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最終章 マキナ 世界構築 篇 《第三部》
第176話「名も無き者、襲来」
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立ち尽くしたままのエルブレイドを覗き込むエーシル。
「――ハッ!?」
「うぉ!? ビックリした!」
「……ん? アスフィか。……いや、違う」
「……鋭いですねぇ」
「しかし、混じっている。同化には至っておらんようじゃな」
ちっ。するどいじいさんですねぇ。
(エーシル、『アンノーン』を倒すには彼の協力が必要不可欠です)
私一人でも十分です。
(他はそうかもしれない。でも、君が恨んでいる男は別です。あの男だけは君だけでは勝てない)
……本当にそうお思いですか?
(ええ)
…………はぁ。分かりました、えぇ分かりましたとも。
「エルブレイド、僕と――」
「ワシと――」
「「え?」」
同時だった。
「なんだアスフィいってみろ」
「いえ、エルブレイドからどうぞ」
「……ではワシから。……『アンノーン』を討ちたい。協力してくれ」
これはこれはまさか向こうからお誘いがあるとは、ねぇ?
(……彼にも何か事情が変わったのでしょう。向こうから申し出があるとは思いませんでした。勿論――)
「お断りです」
(何故ですエーシル!)
「うむ……そうか」
「……協力はしませんが、力は貸しましょう。個人的に譲って頂きたい獲物が居ます。それされ残して頂ければ」
「構わん。して、誰のことじゃ?」
「江四留です」
「なんじゃと! 江四留じゃと!?」
「知っているのですか?」
「いや……まぁ少しな」
……この言い方、恐らくかなり存じているようですねぇ。
(ここは深堀りせずにいきましょう)
何故です? 吐かせるべきです。
(そんな時間はありません。今はそれよりもオーディン、彼女達を止めないと)
……どう言いますか? 僕はアスフィだよ~って行きますか~?
(彼女達には既に僕らの事はバレています。君のことも)
ま、でしょうねぇ。ではどうもエーシルです、といって行きますか~?
(……それもそうですね。ここは正直に行きましょう)
……一応冗談だったのですが。
(もうバレているのに隠す必要はありません)
そうですか。
「エルブレイド、まずは先にオーディン達を止めましょう」
「オーディン……うっ」
「大丈夫ですか?」
エルブレイドが頭を抑え、しゃがみ込んだ。
「……うむ、心配ない。行こう」
***
一方神々は未だ激しい戦いを繰り広げていた。戦況はオーディンが優勢である。
「アリア、君はそもそも戦いに向いていない。私に勝てる訳無いよ。それにマキナ、記憶であるゼウスを失った君もそうだよ?」
「……その中に僕が居ないのはわざとですか?」
「あ、いたんだキャルロット。ゴメンね! 存在感薄くて忘れていたよ」
「生き返ってから皆、僕の扱いが酷くないかい? ……って聞いてないし」
キャルロットの言葉は残念ながらオーディンには届かなかった。オーディンは今、マキナとアリアを相手にしているからだ。
「――そこまでです! 皆さん」
少年の声を聞き、この場にいる全員の動きが止まった。
視線は皆、少年に釘付けである。
「……ついに覚醒したんだね。しかも、良い兆候で」
「アスフィちゃんは大丈夫なの?」
「我のフィーを返せ」
「おいアスフィくん! 何故来たんだ! ここは危険だ! 下がっていたまえ!」
うるさいですねぇ。
(……殺してはいけない)
はいはい、分かっていますよ。
「皆さん! どうか落ち着いて! 事情はこの後時間があれば話します! ですから争わないで下さい!」
「…………アスフィよ、来たぞ」
「思っていたより早いですねぇ」
(ふぅ、さて狩りの時間です)
「言われなくとも」
宮殿の中に白いモヤが漂い始めた。
「おいおい何だこりゃ!?」
「落ち着けガーフィ。レイラちゃんこっちへ! さぁ! 早くパパの元へ!」
「お前はその子の事しか頭にねぇのか」
「当たり前だ! 自分の子を心配しねぇ親がどこにいるってんだ!」
「……そのおたくの娘さんにお前の声届いてないみたいだぞ。嫌われすぎだろうよ」
その後も何度もレイモンドはレイラに呼びかけた。しかし――
「……おかしい。こんなに呼んでも来ないなんて」
「それ程、嫌われているってことだろ」
「いや、仮にそうでも無視するような子じゃねぇ。振り向く素振りすらない」
「……確かに、聞こえてないようだな。このモヤのせいか?」
ガーフィは剣を抜こうとするが、
「しまった。猫のあんちゃんに貸したままだった」
「おいおい、なにしてんだよアスフィの父ちゃんよ」
「るせぇ! ……待て、なにか聞こえる……足音だ。誰かこっちに来るぞ! 警戒しろ!」
「け、警戒つったってよ! 俺は魔法使いだぜ? 前衛はあんたら剣士の仕事だろ!?」
「だからその剣が今ねぇんだって!」
段々足音が近づいてくる。だが、姿が一切見えない。
「――無駄ですよ、お父さん方」
どこからか若い男の声が聞こえてきた。
「どこだ!? 姿を現しやがれ!」
「駄目です。僕は戦闘は得意じゃないので」
「なら何しに来た! 敵か? それとも味方か?」
レイモンドは姿の見えない男に問う。
「僕の役割は皆さんを分断し、少しでも戦力を削ぐことなので」
「……おいアスフィのパパさんよ。どうするよ。敵の目的も姿も見えやしね……おい! 聞いてんのか!? ……ちっ、クソ!」
ガーフィは考えていた。この場を打開する方法を。
「――ハッ!?」
「うぉ!? ビックリした!」
「……ん? アスフィか。……いや、違う」
「……鋭いですねぇ」
「しかし、混じっている。同化には至っておらんようじゃな」
ちっ。するどいじいさんですねぇ。
(エーシル、『アンノーン』を倒すには彼の協力が必要不可欠です)
私一人でも十分です。
(他はそうかもしれない。でも、君が恨んでいる男は別です。あの男だけは君だけでは勝てない)
……本当にそうお思いですか?
(ええ)
…………はぁ。分かりました、えぇ分かりましたとも。
「エルブレイド、僕と――」
「ワシと――」
「「え?」」
同時だった。
「なんだアスフィいってみろ」
「いえ、エルブレイドからどうぞ」
「……ではワシから。……『アンノーン』を討ちたい。協力してくれ」
これはこれはまさか向こうからお誘いがあるとは、ねぇ?
(……彼にも何か事情が変わったのでしょう。向こうから申し出があるとは思いませんでした。勿論――)
「お断りです」
(何故ですエーシル!)
「うむ……そうか」
「……協力はしませんが、力は貸しましょう。個人的に譲って頂きたい獲物が居ます。それされ残して頂ければ」
「構わん。して、誰のことじゃ?」
「江四留です」
「なんじゃと! 江四留じゃと!?」
「知っているのですか?」
「いや……まぁ少しな」
……この言い方、恐らくかなり存じているようですねぇ。
(ここは深堀りせずにいきましょう)
何故です? 吐かせるべきです。
(そんな時間はありません。今はそれよりもオーディン、彼女達を止めないと)
……どう言いますか? 僕はアスフィだよ~って行きますか~?
(彼女達には既に僕らの事はバレています。君のことも)
ま、でしょうねぇ。ではどうもエーシルです、といって行きますか~?
(……それもそうですね。ここは正直に行きましょう)
……一応冗談だったのですが。
(もうバレているのに隠す必要はありません)
そうですか。
「エルブレイド、まずは先にオーディン達を止めましょう」
「オーディン……うっ」
「大丈夫ですか?」
エルブレイドが頭を抑え、しゃがみ込んだ。
「……うむ、心配ない。行こう」
***
一方神々は未だ激しい戦いを繰り広げていた。戦況はオーディンが優勢である。
「アリア、君はそもそも戦いに向いていない。私に勝てる訳無いよ。それにマキナ、記憶であるゼウスを失った君もそうだよ?」
「……その中に僕が居ないのはわざとですか?」
「あ、いたんだキャルロット。ゴメンね! 存在感薄くて忘れていたよ」
「生き返ってから皆、僕の扱いが酷くないかい? ……って聞いてないし」
キャルロットの言葉は残念ながらオーディンには届かなかった。オーディンは今、マキナとアリアを相手にしているからだ。
「――そこまでです! 皆さん」
少年の声を聞き、この場にいる全員の動きが止まった。
視線は皆、少年に釘付けである。
「……ついに覚醒したんだね。しかも、良い兆候で」
「アスフィちゃんは大丈夫なの?」
「我のフィーを返せ」
「おいアスフィくん! 何故来たんだ! ここは危険だ! 下がっていたまえ!」
うるさいですねぇ。
(……殺してはいけない)
はいはい、分かっていますよ。
「皆さん! どうか落ち着いて! 事情はこの後時間があれば話します! ですから争わないで下さい!」
「…………アスフィよ、来たぞ」
「思っていたより早いですねぇ」
(ふぅ、さて狩りの時間です)
「言われなくとも」
宮殿の中に白いモヤが漂い始めた。
「おいおい何だこりゃ!?」
「落ち着けガーフィ。レイラちゃんこっちへ! さぁ! 早くパパの元へ!」
「お前はその子の事しか頭にねぇのか」
「当たり前だ! 自分の子を心配しねぇ親がどこにいるってんだ!」
「……そのおたくの娘さんにお前の声届いてないみたいだぞ。嫌われすぎだろうよ」
その後も何度もレイモンドはレイラに呼びかけた。しかし――
「……おかしい。こんなに呼んでも来ないなんて」
「それ程、嫌われているってことだろ」
「いや、仮にそうでも無視するような子じゃねぇ。振り向く素振りすらない」
「……確かに、聞こえてないようだな。このモヤのせいか?」
ガーフィは剣を抜こうとするが、
「しまった。猫のあんちゃんに貸したままだった」
「おいおい、なにしてんだよアスフィの父ちゃんよ」
「るせぇ! ……待て、なにか聞こえる……足音だ。誰かこっちに来るぞ! 警戒しろ!」
「け、警戒つったってよ! 俺は魔法使いだぜ? 前衛はあんたら剣士の仕事だろ!?」
「だからその剣が今ねぇんだって!」
段々足音が近づいてくる。だが、姿が一切見えない。
「――無駄ですよ、お父さん方」
どこからか若い男の声が聞こえてきた。
「どこだ!? 姿を現しやがれ!」
「駄目です。僕は戦闘は得意じゃないので」
「なら何しに来た! 敵か? それとも味方か?」
レイモンドは姿の見えない男に問う。
「僕の役割は皆さんを分断し、少しでも戦力を削ぐことなので」
「……おいアスフィのパパさんよ。どうするよ。敵の目的も姿も見えやしね……おい! 聞いてんのか!? ……ちっ、クソ!」
ガーフィは考えていた。この場を打開する方法を。
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