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第五章 ヒーラー 追憶篇《第一部》
第66話「隠し事」
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最近俺は自分を制御出来ない……。
昔からそんな節はあった。感情を抑えられない時があった。
だから俺は自分を隠すことにし生きてきた。
家族やレイラにさえも……。
だが、ある時ルクスという少女が現れた。
そいつは俺の事を『同族』と言って今まで俺が隠していたモノをさらけ出させてくれた。
どれだけのストレスになっていた事だろうか。
生まれた時から俺は俺じゃない気がした。
それもお前のせいなのか……。
《『……』》
俺は何者なんだ……教えてくれよ誰か。
《『……』》
ちっ……だんまりか。
お前はいつもそうだな。
都合の悪いことがあれば黙る。まるで俺を見てるようだ。
そのくせ強がるんだ……俺ならできると。
《『……』》
最近、記憶がだんだんぼやける様な気がする……。
そして、違う記憶が差し込まれるような感覚。
俺は……お前はなんなんだ。
《『……』》
「アスフィ!!」
「………エルザか」
「その……すまない疲れているところを」
「いや……いいまだ昼だしな。正直眠くないんだ」
ルクスはまだ俺のベッドで寝ていた。
「……ついにルクスと……そうか、良かったな」
「………悪い事をしたよ」
「……なぜだ?」
「………………レイラがいるのに……俺は……」
「……仕方ない、謝ればいいさ。レイラが目を覚ました時に」
そんな簡単なことじゃない。
俺は……俺はまだ誰も救えてない。
母さんもレイラも……そしてエルザも守っていく。
守るのは俺が守りたいと思ったやつだけでいい。
それなのにどうしてだ……どうしてなんだよ!
どうして…………あのマキナが出てくんだよ………
そんな誰も守れてない状態で俺は一人の女の子を……
「俺は……バカだ……」
「そんな風に思っていたんですか?」
「うむ……ルクス起きていたのか」
「まぁ……アスフィが自分を責めるのではないかと思いまして」
「……………」
「私はアスフィを心から好きです。だから嬉しいんです。私に愛をくれたのがとてもとても嬉しいんですよアスフィ」
俺はどこか罪悪感があった。
ルクスに愛をあげられなかった気がする。
ずっとレイラのことが頭にあった。
だから、そんな顔で俺を見ないでくれルクス……。
俺は一人の女の子の感情を弄んだクズだ……………。
「……アスフィよ。君は私の告白を受け入れてくれたでは無いか。私が助けて欲しい時に助けてくれた……それで十分だった。私が恋に落ちるのはそれだけで十分だったのだ……」
「エルザ………すみません約束を破ってしまいました」
「……構わん……………とは言えない。正直怒っている……だが、ルクスの気持ちも分かるのだ。私もきっと遅かれ早かれ同じことをしていたはずだ」
こいつらはなに言ってるんだ。
《『落ち着けアスフィ。お前は悪くない』》
(お前は黙ってろ……)
《『……マキナに会え』》
(マキナ……に?)
《『マキナにもう一度会え。俺が話をしてやる』》
(なんでお前なんだよ……)
《『マキナは俺の女だからだ』》
(…………意味わかんねぇよ)
「俺は……ルクスの気持ちを踏みにじった……レイラの事ばかり頭にあった……アイツが死んだ。俺はそれを未だに受け入れられていないんだよ」
「…………アスフィ……」
「でもよ、やっぱり思ったんだ。おれもルクスが好きなんだ。レイラも好きだしルクスも好きだ。こんな俺じゃダメかな……」
「………ダメじゃないです。……レイラはきっと怒ると思います。まだ仲直りしていないですし……そんな女に最愛の人を先に取られたんですから……ですから私も謝ります。死ねと言われたら死にます」
おいおい覚悟が重すぎるよ……。
「だから一緒に謝りましょう? アスフィ」
「そうだぞ、あんまり思い詰めるな。ちなみに私はどうなんだ……その……好き……じゃないのか?」
エルザ・スタイリッシュ。
彼女には何度も助けられた。
剣術修行といいつつサンドバッグにされた日々……
レイラとのやり取りを邪魔してくる日々……。
うん……? あれ?
エルザこいつ邪魔ばっかりしてないか?
いやだが昨日は……
「なぁエルザ、なんで昨日は来なかったんだ」
「………なんの事だ」
「俺とルクスがその……………お前、レイラの時邪魔していただろう。意図的に……なぜ昨日は部屋に入ってこなかったんだ」
「何を言ってるんだアスフィは」
全く嘘が下手すぎる。
どこ向いてんだよお嬢様よ。
「カンのいいお前のことだ! 俺は知っている! エルザ・スタイリッシュ! この際だから言ってやる! お前、なぜ自分を隠すんだ! ミスタリスで誰でもないお前に言われた言葉だ! お前も隠してるだろ! 何を隠しているエルザ・スタイリッシュ!!」
「………隠してなど……居ない……私はただお前が……」
好きなんて言葉は聞き飽きたんだよ。
そんな気持ちとっくに知っている。
皆どこかで自分を隠してるんだ……俺もルクスもこいつも。
「……さぁ答えろエルザ・スタイリッシュ!」
俺はベッドから降り、部屋の前で立っているエルザに、近づき言う。
ルクスは驚いている様子だ。
だがこれは必要な事だ。俺もルクスも気持ちを伝えた。
あとはお前だけだエルザ……隠しているものを吐け。
俺のことが好きなのは知っている……そんなのは百も承知だ。
「……私はただ……お前が………」
「ああ」
「………………………お前が………」
「憎い」
昔からそんな節はあった。感情を抑えられない時があった。
だから俺は自分を隠すことにし生きてきた。
家族やレイラにさえも……。
だが、ある時ルクスという少女が現れた。
そいつは俺の事を『同族』と言って今まで俺が隠していたモノをさらけ出させてくれた。
どれだけのストレスになっていた事だろうか。
生まれた時から俺は俺じゃない気がした。
それもお前のせいなのか……。
《『……』》
俺は何者なんだ……教えてくれよ誰か。
《『……』》
ちっ……だんまりか。
お前はいつもそうだな。
都合の悪いことがあれば黙る。まるで俺を見てるようだ。
そのくせ強がるんだ……俺ならできると。
《『……』》
最近、記憶がだんだんぼやける様な気がする……。
そして、違う記憶が差し込まれるような感覚。
俺は……お前はなんなんだ。
《『……』》
「アスフィ!!」
「………エルザか」
「その……すまない疲れているところを」
「いや……いいまだ昼だしな。正直眠くないんだ」
ルクスはまだ俺のベッドで寝ていた。
「……ついにルクスと……そうか、良かったな」
「………悪い事をしたよ」
「……なぜだ?」
「………………レイラがいるのに……俺は……」
「……仕方ない、謝ればいいさ。レイラが目を覚ました時に」
そんな簡単なことじゃない。
俺は……俺はまだ誰も救えてない。
母さんもレイラも……そしてエルザも守っていく。
守るのは俺が守りたいと思ったやつだけでいい。
それなのにどうしてだ……どうしてなんだよ!
どうして…………あのマキナが出てくんだよ………
そんな誰も守れてない状態で俺は一人の女の子を……
「俺は……バカだ……」
「そんな風に思っていたんですか?」
「うむ……ルクス起きていたのか」
「まぁ……アスフィが自分を責めるのではないかと思いまして」
「……………」
「私はアスフィを心から好きです。だから嬉しいんです。私に愛をくれたのがとてもとても嬉しいんですよアスフィ」
俺はどこか罪悪感があった。
ルクスに愛をあげられなかった気がする。
ずっとレイラのことが頭にあった。
だから、そんな顔で俺を見ないでくれルクス……。
俺は一人の女の子の感情を弄んだクズだ……………。
「……アスフィよ。君は私の告白を受け入れてくれたでは無いか。私が助けて欲しい時に助けてくれた……それで十分だった。私が恋に落ちるのはそれだけで十分だったのだ……」
「エルザ………すみません約束を破ってしまいました」
「……構わん……………とは言えない。正直怒っている……だが、ルクスの気持ちも分かるのだ。私もきっと遅かれ早かれ同じことをしていたはずだ」
こいつらはなに言ってるんだ。
《『落ち着けアスフィ。お前は悪くない』》
(お前は黙ってろ……)
《『……マキナに会え』》
(マキナ……に?)
《『マキナにもう一度会え。俺が話をしてやる』》
(なんでお前なんだよ……)
《『マキナは俺の女だからだ』》
(…………意味わかんねぇよ)
「俺は……ルクスの気持ちを踏みにじった……レイラの事ばかり頭にあった……アイツが死んだ。俺はそれを未だに受け入れられていないんだよ」
「…………アスフィ……」
「でもよ、やっぱり思ったんだ。おれもルクスが好きなんだ。レイラも好きだしルクスも好きだ。こんな俺じゃダメかな……」
「………ダメじゃないです。……レイラはきっと怒ると思います。まだ仲直りしていないですし……そんな女に最愛の人を先に取られたんですから……ですから私も謝ります。死ねと言われたら死にます」
おいおい覚悟が重すぎるよ……。
「だから一緒に謝りましょう? アスフィ」
「そうだぞ、あんまり思い詰めるな。ちなみに私はどうなんだ……その……好き……じゃないのか?」
エルザ・スタイリッシュ。
彼女には何度も助けられた。
剣術修行といいつつサンドバッグにされた日々……
レイラとのやり取りを邪魔してくる日々……。
うん……? あれ?
エルザこいつ邪魔ばっかりしてないか?
いやだが昨日は……
「なぁエルザ、なんで昨日は来なかったんだ」
「………なんの事だ」
「俺とルクスがその……………お前、レイラの時邪魔していただろう。意図的に……なぜ昨日は部屋に入ってこなかったんだ」
「何を言ってるんだアスフィは」
全く嘘が下手すぎる。
どこ向いてんだよお嬢様よ。
「カンのいいお前のことだ! 俺は知っている! エルザ・スタイリッシュ! この際だから言ってやる! お前、なぜ自分を隠すんだ! ミスタリスで誰でもないお前に言われた言葉だ! お前も隠してるだろ! 何を隠しているエルザ・スタイリッシュ!!」
「………隠してなど……居ない……私はただお前が……」
好きなんて言葉は聞き飽きたんだよ。
そんな気持ちとっくに知っている。
皆どこかで自分を隠してるんだ……俺もルクスもこいつも。
「……さぁ答えろエルザ・スタイリッシュ!」
俺はベッドから降り、部屋の前で立っているエルザに、近づき言う。
ルクスは驚いている様子だ。
だがこれは必要な事だ。俺もルクスも気持ちを伝えた。
あとはお前だけだエルザ……隠しているものを吐け。
俺のことが好きなのは知っている……そんなのは百も承知だ。
「……私はただ……お前が………」
「ああ」
「………………………お前が………」
「憎い」
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