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第四章 ヒーラー 模索篇 《第一部》

EXep.3『空腹』

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 ゼウスは、ただ一人、この広い世界をひたすら歩く。
 
 彼女は『探し物』を見つけた。
 しかし、それはまだその時・・・ではなかった。
 かくしてゼウスは再び歩き出す。
 
 
 
 
『……なんだお前か』
「こちらのセリフだ、なぜお前がここにいるアレス」
 
 彼女の前に現れたのは、赤と黒の鎧に赤いハチマキ。
 手には大きな槍を持っている男だった。
 
『なんだ? ゼウスともあろう者が探し物か~?』
「黙れ。我は今忙しい」
『ハッ! なにがだ。似合ってねーんだよ』
 
 アレスはゼウスを罵倒する。
 しかし彼女は全く動じない。
 
「アレス、なにか食べるものをよこせ」
『あ? んなもんあるわけねーだろ』
 
 彼女の周りに雷が出現した。
 
『……ちっわかった。ちょっと待ってろ取ってきてやる』
「感謝する、アレス」
『いらねーよ、そんなもん』
 
 アレスは彼女の為に果物を探しに行った。
 ゼウスは待った………………。
 
  
 
 
「帰って……こない」
 
 彼女はお腹が空いて地面に倒れていた。
 
 しばらくするとアレスが帰ってきた。
 
「遅かっ…………アレスどうした」
『くそ……お前の探し物・・・・・・とやらにやられた』
「なに……? 本当か」
『アレは神でも勝てんかもしれん…………ほら木の実だ』
「おおお! よくやったぞアレス!」
 
 腹の減っていたゼウスは豪快に果実にかぶりつく。
 
『なんなんだやつは。俺の槍の傷を治しやがった……』
「……当たり前……うま……お前が勝てる……うまうま……わけない」
『……美味いのはいいが、食べてから喋れ』
 
 ゼウスはアレスの取ってきた果実を全て食べ尽くした。
 
「ふぅ~美味かったぞ大義だったな、アレス」
『うるせー! こっちは子守りしに来たんじゃねぇんだ!』
「そんなカリカリするな。我が褒めているんだ」
『ちっ……もういい。帰る』
「もう戻るのか?」
『今のお前と喋っていたらイライラしてくんだよ』
 
 アレスは立ち上がり帰っていく。
 
『そうだ――』
 
 アレスは立ち止まりゼウスに言う。
 
『お前の片割れ・・・にも言っておけ』
 
 
 
 
「…………ああそのつもりだ」
 

 
 
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