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第一章 ヒーラー 少年篇 《第一部》
第8話「優しさの裏に隠された罠」
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母の杖を手にした俺とレイラは、家を後にした。
現在、俺は十二歳、レイラは十三歳。まだまだ子供ではあるが、今回の目的はあくまで人探しだ。冒険者ではない俺たちが、わざわざ危険に飛び込む必要はない。
そのため、魔物や魔獣が出ないとされている裏道を選んだ――はずだったのだが。
「――いきなり魔獣か」
目の前には黒い犬型の魔獣が立ちはだかっていた。頭には青白く光る角が生えている。
「レイラに任せて」
「なら回復は僕に……って必要ないか」
俺が杖を構えた瞬間、レイラはすでに魔獣をあっさりと片付けてしまった。
「僕の出番はなしか~」
「アスフィはヒーラーなんだから当然だよ」
そうは言うものの、このままだとレイラばかりに負担をかけてしまう気がする。俺も何か役に立ちたい。
「ヒール」
「え、ダメージなんて負ってな……うそ、なんだか楽になったよ」
「僕のヒールはスタミナも回復させるんだ。えっへん!」
「さすがアスフィだね」
レイラの笑顔に、少しだけ胸を張る。それでも戦闘面では彼女に頼りきりだ。
道中、裏道にはやはり魔獣が潜んでいた。しかし、そのすべてをレイラが片付けてくれた。俺の出番は最後までなかったが、なんとか裏道を抜けることができた。
抜けた先には広い丘が広がっていた。
俺たちの村は森に囲まれているせいで、こんな開放的な景色を見ることは滅多にない。
「きれいだね」
「……うん、最高だ」
緑の草原の中に、花が点在し、風が心地よく吹き抜ける。その光景に俺たちはしばらく言葉を忘れた。
ふと我に返る。まだ具体的にどこに向かうかを決めていなかったことを思い出した。
「うーん、どこから行こうか?」
「ここからだと、ミスタリス王国が近いよ」
「ミスタリス王国? なにそれ」
「アスフィ、知らないの? 冒険者を数多く排出してる街だよ」
「それだ! 冒険者が多いほど母さんの目を覚ます才能を持つ人に出会える可能性がぐんと上がる!」
「うん、きっとそうだね」
こうして、俺たちはミスタリス王国を目指すことにした。歩いて二日ほどで着くらしい。道のりは長いが、希望は確かに見え始めている気がした。
「途中野営が必要だね、どうするレイラ?」
「どうするって?」
「食糧だよ。食べ物を持ってきてないし……」
「あ……」
俺たちは暗くなる前に、まず食糧を調達することにした。
ただ、俺たちは植物や木の実に詳しくない。毒があるのか、ないのかさっぱり分からない。
「これ食べられるの?」
赤と白の水玉模様がついたキノコを見つけた。いかにも毒キノコの代表例のような見た目だ。
「……まぁ、毒があったら僕が治してあげるよ」
「そうだね、じゃあ何でも食べられるね」
なんとも楽観的な結論に至り、毒を恐れず適当に食べ物をかき集めた。
日は暮れ、夜になった。夜空には満点の星が輝き、流れ星がいくつも流れていた。
「母さんが目覚めますように……」
「アスフィはお母さんのこと、大切にしているんだね」
「当たり前さ! 家族なんだから」
「そう、だね」
その言葉にレイラは少し寂しげな表情を見せた。そういえば、レイラの家族については詳しく聞いたことがない。
「レイラは親と仲良くないの?」
「仲はいいと思う……たぶん。でも、うちのお母さんはお父さんがいない時に、いつも違う男の人を家に連れてくるの」
「そ、そうなんだ」
どうやら複雑な家庭事情があるらしい。これ以上聞くのはやめておこう。
「そういえば師匠も何度か家に――」
「ああ! 見てレイラ! また流れ星だ!」
俺は話題を無理やり逸らした。察しはついたが、それ以上突っ込むのはやめた。
「アスフィも女の人が好きなの?」
「もちろん大好き……ゴホンッ! …… 程々に好きだよ」
「ウソツキ。この前えっちなことしたじゃん」
風呂の件だろうか……? あれは結局見れてもなければ、触れてもいない!
「し、してない! そんな嘘はやめてもらおう!」
「じゃあ、アスフィはしたくないの?」
「……したくないわけでもない」
何を、とは聞かない。俺は父の血が流れているから、大体レイラが何を言いたいのか分かった。
「……そうなんだ」
なんだか夜の雰囲気が変な感じになってきた。妙に体が暑い。
レイラは十三歳。母親譲りなのか胸もここ数年で大きくなり、正直少し触りたくなる衝動を抑えながら必死で話題を切り替えた。
「じゃ、じゃあご飯にしようか」
「そうだね」
集めた木の実やキノコを前にして、いざ食事タイム。だが問題があった。
「あ、火がない」
「アスフィ、火は付けられないの?」
「だって回復魔法しか使えないし……」
「木の実はいいけど、キノコは……」
取ってきた食糧の8割がキノコ。結局、生のキノコを食べる羽目になった。
「くっそまっずぅ……」
「そう……だね」
案の定、腹を下した。
「『ヒール』」
「あ、ありがとうアスフィ……」
「礼はいいよ。でも味が不味すぎる。次は火を通さなくてもいい食糧を探そう」
「そう……だね……オエェーー」
「『ヒール』!」
毒は治せても味の不味さはどうにもならない。レイラは何度も吐き、俺はそのたびに魔法で治す羽目になった。
吐き気が収まり、葉っぱを集めて布団代わりにし、交代で寝ることにした。見張りをするためだ。
「さ、寒い……」
俺から先に寝ることになったが、寒さで眠れそうにない。
「……レイラは寒くないの?」
「寒いけど仕方ないよ。見張りがあるから」
「ならいい方法があるんだけど……殴らないでね」
俺はレイラを手招きした。彼女は首を傾げながらも近づいてきたところを、俺は思い切って背中に手を回して抱き寄せた。
「……少しは暖かくなったけど、見張りはどうするの?」
「僕は多分眠れないから、僕が明るくなるまで警戒しておくよ。だからレイラは寝ても大丈夫だよ」
「そう……ならおや……すみ」
「…………はぁ、柔らかすぎて全然眠れないよぉ……」
「………………ぇっち」
そんな会話を交わしながらも、俺たちは朝までどうにか寒さを凌ぎ切った。
【はぁ……やれやれ。やっぱり君は全てを忘れてしまったんだね】
(ん……? 誰かの声が……いや、気のせいか? 頭がぼんやりして、よく分からない)
【……いや……忘れてはいないか。そうか二人……混じって……なるほど。となると……ああそうだ。これも……】
(何だよ……さっきからうるさいな……頭が痛い。眠らせてくれ)
【……ケン……チ……君はエシルを…………して……】
***
――気付けば、俺は朝を迎えていた。見張りをすると決めていたのに、いつの間にか眠ってしまったらしい。情けないと思いながら目を覚ますと、周囲には鎧を着た集団が立っていた。
「おい、子供たち。こんな場所で何をしている」
低く荒んだ声が響く。目の前に立つ男の鎧はひどく汚れていて、所々に錆びが目立つ。手入れを怠ったそれは、どこか威厳とは程遠い印象だった。
「えっと……キャンプをしていただけです」
「キャンプだと? こんな場所でか?」
鋭い目で睨みつけられ、俺は言葉に詰まる。
「親はどこだ」
「……います。離れ離れで……」
レイラが口を挟むが、男の表情は険しいままだった。
「ふん。まあいい。ここは危険な場所だ。すぐに立ち去れ」
立ち去れと言われても、俺たちには向かうべき目的地がある。こんなところで追い返されるわけにはいかない。覚悟を決めて、俺は一歩前に出た。
「あの……僕たち、ミスタリス王国に行きたいんです」
「ミスタリス? 何のために?」
「……母が病気なんです。その治療に必要な薬がミスタリスにしかなくて……」
俺はとっさに嘘をついた。『呪い』だなんて話している時間はないし、説明が面倒だ。
「……ふん。母親のため、か」
男は俺をじっと見つめ、その次にレイラに視線を向けた。その視線には何か探るような鋭さがあったが、やがて笑みを浮かべた。
「まあいい。ミスタリスまで連れて行ってやる」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
安堵した俺の声に男は鼻を鳴らすと、後ろを振り返り仲間に命じた。
「おい、お前ら。この子供たちをミスタリスまで護衛するぞ」
「……了解、リーダー」
と、後ろの男たちが小声で薄ら笑いして答えるのが聞こえたが、リーダーらしいこの男の一声で従わざるを得ないらしい。
「感謝しろよ、坊主。俺たちは優しいからな」
「ありがとうございます!」
「……フンッ……よし、出発だ。寄り道するなよ」
不穏な空気を漂わせながら、俺たちと彼らの行軍が始まった。
だが、それが後に地獄の入り口になるとは、この時の俺たちは知る由もなかった――。
現在、俺は十二歳、レイラは十三歳。まだまだ子供ではあるが、今回の目的はあくまで人探しだ。冒険者ではない俺たちが、わざわざ危険に飛び込む必要はない。
そのため、魔物や魔獣が出ないとされている裏道を選んだ――はずだったのだが。
「――いきなり魔獣か」
目の前には黒い犬型の魔獣が立ちはだかっていた。頭には青白く光る角が生えている。
「レイラに任せて」
「なら回復は僕に……って必要ないか」
俺が杖を構えた瞬間、レイラはすでに魔獣をあっさりと片付けてしまった。
「僕の出番はなしか~」
「アスフィはヒーラーなんだから当然だよ」
そうは言うものの、このままだとレイラばかりに負担をかけてしまう気がする。俺も何か役に立ちたい。
「ヒール」
「え、ダメージなんて負ってな……うそ、なんだか楽になったよ」
「僕のヒールはスタミナも回復させるんだ。えっへん!」
「さすがアスフィだね」
レイラの笑顔に、少しだけ胸を張る。それでも戦闘面では彼女に頼りきりだ。
道中、裏道にはやはり魔獣が潜んでいた。しかし、そのすべてをレイラが片付けてくれた。俺の出番は最後までなかったが、なんとか裏道を抜けることができた。
抜けた先には広い丘が広がっていた。
俺たちの村は森に囲まれているせいで、こんな開放的な景色を見ることは滅多にない。
「きれいだね」
「……うん、最高だ」
緑の草原の中に、花が点在し、風が心地よく吹き抜ける。その光景に俺たちはしばらく言葉を忘れた。
ふと我に返る。まだ具体的にどこに向かうかを決めていなかったことを思い出した。
「うーん、どこから行こうか?」
「ここからだと、ミスタリス王国が近いよ」
「ミスタリス王国? なにそれ」
「アスフィ、知らないの? 冒険者を数多く排出してる街だよ」
「それだ! 冒険者が多いほど母さんの目を覚ます才能を持つ人に出会える可能性がぐんと上がる!」
「うん、きっとそうだね」
こうして、俺たちはミスタリス王国を目指すことにした。歩いて二日ほどで着くらしい。道のりは長いが、希望は確かに見え始めている気がした。
「途中野営が必要だね、どうするレイラ?」
「どうするって?」
「食糧だよ。食べ物を持ってきてないし……」
「あ……」
俺たちは暗くなる前に、まず食糧を調達することにした。
ただ、俺たちは植物や木の実に詳しくない。毒があるのか、ないのかさっぱり分からない。
「これ食べられるの?」
赤と白の水玉模様がついたキノコを見つけた。いかにも毒キノコの代表例のような見た目だ。
「……まぁ、毒があったら僕が治してあげるよ」
「そうだね、じゃあ何でも食べられるね」
なんとも楽観的な結論に至り、毒を恐れず適当に食べ物をかき集めた。
日は暮れ、夜になった。夜空には満点の星が輝き、流れ星がいくつも流れていた。
「母さんが目覚めますように……」
「アスフィはお母さんのこと、大切にしているんだね」
「当たり前さ! 家族なんだから」
「そう、だね」
その言葉にレイラは少し寂しげな表情を見せた。そういえば、レイラの家族については詳しく聞いたことがない。
「レイラは親と仲良くないの?」
「仲はいいと思う……たぶん。でも、うちのお母さんはお父さんがいない時に、いつも違う男の人を家に連れてくるの」
「そ、そうなんだ」
どうやら複雑な家庭事情があるらしい。これ以上聞くのはやめておこう。
「そういえば師匠も何度か家に――」
「ああ! 見てレイラ! また流れ星だ!」
俺は話題を無理やり逸らした。察しはついたが、それ以上突っ込むのはやめた。
「アスフィも女の人が好きなの?」
「もちろん大好き……ゴホンッ! …… 程々に好きだよ」
「ウソツキ。この前えっちなことしたじゃん」
風呂の件だろうか……? あれは結局見れてもなければ、触れてもいない!
「し、してない! そんな嘘はやめてもらおう!」
「じゃあ、アスフィはしたくないの?」
「……したくないわけでもない」
何を、とは聞かない。俺は父の血が流れているから、大体レイラが何を言いたいのか分かった。
「……そうなんだ」
なんだか夜の雰囲気が変な感じになってきた。妙に体が暑い。
レイラは十三歳。母親譲りなのか胸もここ数年で大きくなり、正直少し触りたくなる衝動を抑えながら必死で話題を切り替えた。
「じゃ、じゃあご飯にしようか」
「そうだね」
集めた木の実やキノコを前にして、いざ食事タイム。だが問題があった。
「あ、火がない」
「アスフィ、火は付けられないの?」
「だって回復魔法しか使えないし……」
「木の実はいいけど、キノコは……」
取ってきた食糧の8割がキノコ。結局、生のキノコを食べる羽目になった。
「くっそまっずぅ……」
「そう……だね」
案の定、腹を下した。
「『ヒール』」
「あ、ありがとうアスフィ……」
「礼はいいよ。でも味が不味すぎる。次は火を通さなくてもいい食糧を探そう」
「そう……だね……オエェーー」
「『ヒール』!」
毒は治せても味の不味さはどうにもならない。レイラは何度も吐き、俺はそのたびに魔法で治す羽目になった。
吐き気が収まり、葉っぱを集めて布団代わりにし、交代で寝ることにした。見張りをするためだ。
「さ、寒い……」
俺から先に寝ることになったが、寒さで眠れそうにない。
「……レイラは寒くないの?」
「寒いけど仕方ないよ。見張りがあるから」
「ならいい方法があるんだけど……殴らないでね」
俺はレイラを手招きした。彼女は首を傾げながらも近づいてきたところを、俺は思い切って背中に手を回して抱き寄せた。
「……少しは暖かくなったけど、見張りはどうするの?」
「僕は多分眠れないから、僕が明るくなるまで警戒しておくよ。だからレイラは寝ても大丈夫だよ」
「そう……ならおや……すみ」
「…………はぁ、柔らかすぎて全然眠れないよぉ……」
「………………ぇっち」
そんな会話を交わしながらも、俺たちは朝までどうにか寒さを凌ぎ切った。
【はぁ……やれやれ。やっぱり君は全てを忘れてしまったんだね】
(ん……? 誰かの声が……いや、気のせいか? 頭がぼんやりして、よく分からない)
【……いや……忘れてはいないか。そうか二人……混じって……なるほど。となると……ああそうだ。これも……】
(何だよ……さっきからうるさいな……頭が痛い。眠らせてくれ)
【……ケン……チ……君はエシルを…………して……】
***
――気付けば、俺は朝を迎えていた。見張りをすると決めていたのに、いつの間にか眠ってしまったらしい。情けないと思いながら目を覚ますと、周囲には鎧を着た集団が立っていた。
「おい、子供たち。こんな場所で何をしている」
低く荒んだ声が響く。目の前に立つ男の鎧はひどく汚れていて、所々に錆びが目立つ。手入れを怠ったそれは、どこか威厳とは程遠い印象だった。
「えっと……キャンプをしていただけです」
「キャンプだと? こんな場所でか?」
鋭い目で睨みつけられ、俺は言葉に詰まる。
「親はどこだ」
「……います。離れ離れで……」
レイラが口を挟むが、男の表情は険しいままだった。
「ふん。まあいい。ここは危険な場所だ。すぐに立ち去れ」
立ち去れと言われても、俺たちには向かうべき目的地がある。こんなところで追い返されるわけにはいかない。覚悟を決めて、俺は一歩前に出た。
「あの……僕たち、ミスタリス王国に行きたいんです」
「ミスタリス? 何のために?」
「……母が病気なんです。その治療に必要な薬がミスタリスにしかなくて……」
俺はとっさに嘘をついた。『呪い』だなんて話している時間はないし、説明が面倒だ。
「……ふん。母親のため、か」
男は俺をじっと見つめ、その次にレイラに視線を向けた。その視線には何か探るような鋭さがあったが、やがて笑みを浮かべた。
「まあいい。ミスタリスまで連れて行ってやる」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
安堵した俺の声に男は鼻を鳴らすと、後ろを振り返り仲間に命じた。
「おい、お前ら。この子供たちをミスタリスまで護衛するぞ」
「……了解、リーダー」
と、後ろの男たちが小声で薄ら笑いして答えるのが聞こえたが、リーダーらしいこの男の一声で従わざるを得ないらしい。
「感謝しろよ、坊主。俺たちは優しいからな」
「ありがとうございます!」
「……フンッ……よし、出発だ。寄り道するなよ」
不穏な空気を漂わせながら、俺たちと彼らの行軍が始まった。
だが、それが後に地獄の入り口になるとは、この時の俺たちは知る由もなかった――。
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