Re:攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。【第一部新生版】

水無月いい人(minazuki)

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第一章 《第一部》ヒーラー 少年篇

第1話 「運命に逆らうヒーラー」

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俺は決して裕福とは言えない家庭で育った。
緑豊かな田舎の村。大きな街の喧騒からは程遠く、静かな日常が流れている。

家は木造の小さな家で、大きいとは言えない。いや、むしろ「小さい」と言った方が正しいくらいだ。庭の方が広いくらいだしな。
でも、この村全体が、俺たち家族の庭みたいなもんだ。田舎というのはそういうもんだ。

そんな小さな村で、ある男女の間に赤ん坊が生まれた。

それが俺だ。

金髪の父親は、どこか無骨な顔つきで、筋肉質で戦士らしい雰囲気を醸し出している。

その手に抱かれる赤ん坊は、まさに「今から何かを成し遂げる者」って感じで、少しぎこちなく抱かれていた。

「ォギャーオギャー」

「おーよしよし、いい子だぞ~」

それを見た母親は、胸が大きく、笑顔がよく似合う女性だ。声から滲み出る優しさが伝わってくる。

母親は、少し驚いたような顔をして、父から赤ん坊を奪い取った。

「ほらほら~泣かないでね~。この子はどっちの才能を持つのかしら」

「そりゃ俺の子だ!きっと剣術だろう」

「私は、皆を笑顔にしてくれるヒーラーがいいわ~」


両親は冒険者だった。

父親の名前はガーフィ・シーネット。かつて、A級冒険者として名を馳せた男だ。

母親の名前はアリア・シーネット。彼女もまた、C級冒険者として活動していた元冒険者。だが、母の力は確かだ。特に回復魔法においては、並のヒーラーを超える才能を持っているらしい。

そして冒険者には、ランクというものが存在する。SS級からG級まで、ランクは多岐にわたる。
SS級は、今の時代、勇者たちが持っている最上級のランク。伝説的英雄だけに与えられる称号だ。
その下にS級がある。S級は国の特別なクエストを請け負うため、能力が相当高くなければならない。その数は限られており、試験を突破した者だけが手に入れることができる。

A級はS級に比べれば少しハードルが低く、特別な才能があれば努力次第で到達できる。しかし、A級でも、S級に近い実力を持つ者も少なくない。
そんな俺の父親であるガーフィは、そのA級の中でも異例の存在だ。かつてはS級に匹敵する実力を持ち、名を馳せた男だったが、今は村で静かに暮らしている。

その理由は、冒険者として活躍することに疲れ、安定した生活を望んだからだろう。だが本人曰く、その腕はまだまだ衰えてはいないらしい。

母親のアリアはC級だ。C級は、いわば平均的な実力を持つ冒険者たちのランクだ。戦闘力こそ高くはないが、回復魔法や支援魔法に特化した力を持つ者が多い。
母親はその典型的な例であり、支援魔法の使い手としてパーティには欠かせない存在である。しかし回復や支援魔法という所謂、戦闘の補助役に回る者達は評価が難しいとされている。戦闘によっては活躍する間もなく終わることもあるからだ。特にヒーラー・・・・は。故に戦闘力では父に劣るため、C級止まりというわけだ。こればかりは仕方ない。

それでも、母の持つ癒しの力は、多くの仲間を救ってきた。それに、そんな母親に憧れる者も少なくない。今は現役を引退し、育児に専念している。


――あれは俺が五歳の頃だ。

「ねぇ父さん、僕にも剣を教えて――」

「くるな!危ないっ!!」

俺はその時、父の真剣な素振りを見て、どうしてもやってみたくてつい近づいてしまった。

「わぁっ!」

「いっ……危ないだろう!!」

「ご、ごめんなさい父さん」

父は咄嗟に剣を止めようとし、足を誤って切ってしまった。

膝から血が流れ、父の顔が歪んだ。

「大丈夫?父さん」

「……くそ、ドジった……ああ、大丈夫だ。それよりも危ないから、俺が剣を振っている時は来るんじゃない。分かったか?」

「……はい、ごめんなさい」

「よし!いい子だ」

父さんは、普段はおちゃらけた人だが、こういう時はちゃんと怒る。

「どうしたの!?」

家の中から母親が慌てて駆けつけてきた。

「あなた、大丈夫!?今、傷を治すからじっとしてて!」

「これくらい大丈夫だ。心配するな」

「……父さん、ごめんなさい……」

俺は、無意識に父の足の傷に手を触れた。痛々しい傷を見て、思わず手を伸ばしただけだ。

「ああ、まさか、そんな……」

「あら!」

驚く父と母。

父の傷は、瞬く間に治癒され、傷跡すら残らなかった。

「あなた!見た!?この子、回復魔法の才能があるわ!」

「……ああ、そうみたいだな」

「なぁに?嬉しくないの?」

「いや、嬉しいさ。だが、複数の才能を持つことはないだろう。剣術の道はもう無くなったと思ってな」

「……才能があるだけいいじゃない。世の中には、才能を欲しくても持たない子もいるんだから」

「……それもそうだな」

「ねぇ父さん、母さん、それって凄いの?」

「ええ、凄いわ」

「ああ、凄いぞ」

こうして、俺は五歳で初めての魔法を、無意識に使った――。
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