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第六話 作戦〜会議ーーー!
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テーブルに着いた五人は今回の本題である『真壁のゲームを辞めさせて、仕事させるぞー!』対策会議を始める事にした。
「とりあえず、意見を出し合いましょう。五人で知恵を振り絞ればいい案が出ると思いますが……」
「「「お前が出せよ!」」」
「ええ~、俺上司なのに~!?」
協力して対策を考えようと言い出した榊原に柏木、原島、尾上の三人は自分で考えろ、国の仕事だろと食い気味に返答するのであった。
それには面食らう榊原だったが『逮捕しちゃうぞ』と言うキラーワードで対処してくる。
国の権力ってズルい。
でも仕事か………。
何もできないなりにここはいい案を出すしか無い!
柏木は無い知恵を絞って案を出してみる。
「国の圧力で何とかならないんですか?。さっきみたいに『逮捕しちゃうぞ!』の一言でどうにか……」
「ならないですね」
「バカだろお前」
「秀くん。それが無理だからこっそり僕たちがやってるんだよ」
「柏木……ごめん、俺もそれはフォロー無理」
榊原から始まり原島、尾上、そして終いには国枝までもが柏木の意見を否定するのであった。
「……俺、何も出来ないじゃん」
柏木なりに最高に楽な方法を考えて言ったつもりだったのに。ここまで否定されると何も言えなくなる柏木であった。
それを見た原島はアホは放っておいて、別の考えを出そうと言い出す。
「原島~。お前、金が絡まないのに案なんか出せるのか?」
国枝は原島を心配そうに見つめるが、原島は自信満々に自分が考えた作戦案を話し始めた。
「今VRMMOをやってて強いアバターを持ってるプレイヤーのコクーンを買収する。そのキャラ使って真壁をキルしてやるんだよ。そうすりゃゲーム嫌いになって真壁も……」
「「「誰が売ってくれるんだよ!」」」
自分の案を話す原島だったが榊原、柏木、尾上から食い気味の否定が入る。
VRMMOを辞める人間がいないから対策しましょうと話をしているのに。自分が丹精《たんせい》込めて作ったキャラを売るような奴がいたら、ゲーム廃人たちは生まれてない。
俺の意見がアホならお前のは何だよ!。
コクーン売ってくれる奴もいないだろうし、そもそも誰が金出すんだよ。どうせ国が出す前提で話してるに決まってる。そしてあわよくば売って金にするつもりだろ。俺が言うのもなんだけど、コイツも考えが甘い。
「みなさん本当にダメですね。ここは僕が案を出しますかね」
二人の案が没になるのを見るや、次は尾上が案を出すと言い出した。
「あれ。お前本当に国のために働くつもり?」
「そう言ってるじゃないですか。捕まりたく無いんですって。出しますよ~いい案。驚きますよ~」
疑っていた柏木だが対策案を考えると言う尾上を見て、もしかしたら本当に国のために働ける人間なんだと思ってしまった。
しかしそんな考えも尾上の一言が一瞬で間違いだったと気づかせてくれた。
「ヤングジェネシスの子らを使いましょう!」
「「「やっぱお前反社じゃねーか!!!」」」
尾上の意見には断固反対する柏木、原島、榊原。
ヤングジェネシスのやつらを使って真壁をどうするつもりだよ。真壁をいらない大人として排除しようとしてるだろ!。
コイツやっぱ思考が反社。一瞬でもまともな奴かもとか思った俺が馬鹿だったわ。
柏木は尾上を危ない奴と再認識するのであった。
そしてさっきから話に入ってこない国枝に話を聞く事にする。
「何も喋らねーけど、お前はなんか無いのかよ?」
「え、俺?。………じゃあこれとか」
国枝は手に持っていたデジカメのデータから写真を選び、柏木たちに見せる。そこに写っていたのは明日の真壁のゲーム内での行動予定表であった。
「……これ最初に見せて欲しかったけど?」
「いや、なんかお前ら頑張ってるっぽいから。口出すの邪魔かなと思って」
国枝はこの議題が始まる前からもう既に明日の真壁対策案を用意していたのだ。でも他の三人が意見を出すということで、聞いてみたいから黙っていたのだと言う。
「いや、これを見ながら作戦立てるのが一番だろ。見つけてたのなら先に出しとけよ。国枝、お前仕事舐めてる?」
後出しで情報を提示して来た国枝に原島がつっかかる。
いつもはあまり意見の合わない奴だが今回は原島の意見に俺も賛成!。
言ってやれ原島!。国枝を言葉責めにしてやれー!!。
柏木は国枝を責める原島を心の中で応援していた。しかし国枝はそれに怯むことなく返事を返すのであった。
「俺さっきカメラのデータ見せたぞ。お前らがちゃんと確認してたらよかっただろ。データ集めてたの確認するだけじゃ意味ないだろ。大事なのは中身だからな」
「ぐぅ」
国枝の正論にはぐぅしか出ない。
……分かるぞ、原島。俺も国枝の正論には「ぐぅ」とか「うぅ」しか出ない。
国枝はそつなくこなす上に意外とぬかりがない。長年付き合って来た俺でも、国枝の正論攻撃には反論が出来ない。
「海ちゃんって正論しか言わないよね?」
「正論だからいいだろ、正しいんだから。なんか反論あるか?」
「……いえ、すいませんでした」
言葉巧みに人を操る尾上が最後の砦であったが、国枝の正論は尾上の厚い壁すらぶち抜き、挙句尾上が謝るハメになっていた。
誰も反論ができなくなったところで国枝は自分が考えていた作戦を話し出した。
国枝の提案は真壁の手帳に書いてあった明日の予定を参考にしたもの。作戦はゲーム『エターナルナイト~天空の覇者~』の緊急クエストに原島と尾上を参加させ、真壁との接触を試みることであった。
エターナルナイトは月末から月始にかけて集団で行う緊急クエストというイベントが存在するらしく、そのイベント予定日が明日の17時から開催の予定なのである。
そのクエストは仲間と共に強力なモンスターを倒すというもので、クエスト依頼を受けたプレイヤーは全員参加でき、好きにパーティーを組めるのだという。
真壁のゲーム内の役職は剣士。魔法使いキャラの原島と回復術師キャラである尾上はパーティーを組むならピッタリ。もしかしたらアイラという魔法使いがいるかもしれないがそこは尾上の交渉術で何とかしてもらう。
無事パーティーが組めれば後は親しくクエストをやりながら中と外で真壁攻略をするだけ。パーティーさえ組めればイベント自体は一週間近くあるのでじっくり対策していけばいいというもの。
時間はかかるかもしれないが、それ以外に文句の言いようが無いこの作戦は全員が納得。
明日の17時に作戦を決行すると約束して、五人は一時解散することにするのであった。
「とりあえず、意見を出し合いましょう。五人で知恵を振り絞ればいい案が出ると思いますが……」
「「「お前が出せよ!」」」
「ええ~、俺上司なのに~!?」
協力して対策を考えようと言い出した榊原に柏木、原島、尾上の三人は自分で考えろ、国の仕事だろと食い気味に返答するのであった。
それには面食らう榊原だったが『逮捕しちゃうぞ』と言うキラーワードで対処してくる。
国の権力ってズルい。
でも仕事か………。
何もできないなりにここはいい案を出すしか無い!
柏木は無い知恵を絞って案を出してみる。
「国の圧力で何とかならないんですか?。さっきみたいに『逮捕しちゃうぞ!』の一言でどうにか……」
「ならないですね」
「バカだろお前」
「秀くん。それが無理だからこっそり僕たちがやってるんだよ」
「柏木……ごめん、俺もそれはフォロー無理」
榊原から始まり原島、尾上、そして終いには国枝までもが柏木の意見を否定するのであった。
「……俺、何も出来ないじゃん」
柏木なりに最高に楽な方法を考えて言ったつもりだったのに。ここまで否定されると何も言えなくなる柏木であった。
それを見た原島はアホは放っておいて、別の考えを出そうと言い出す。
「原島~。お前、金が絡まないのに案なんか出せるのか?」
国枝は原島を心配そうに見つめるが、原島は自信満々に自分が考えた作戦案を話し始めた。
「今VRMMOをやってて強いアバターを持ってるプレイヤーのコクーンを買収する。そのキャラ使って真壁をキルしてやるんだよ。そうすりゃゲーム嫌いになって真壁も……」
「「「誰が売ってくれるんだよ!」」」
自分の案を話す原島だったが榊原、柏木、尾上から食い気味の否定が入る。
VRMMOを辞める人間がいないから対策しましょうと話をしているのに。自分が丹精《たんせい》込めて作ったキャラを売るような奴がいたら、ゲーム廃人たちは生まれてない。
俺の意見がアホならお前のは何だよ!。
コクーン売ってくれる奴もいないだろうし、そもそも誰が金出すんだよ。どうせ国が出す前提で話してるに決まってる。そしてあわよくば売って金にするつもりだろ。俺が言うのもなんだけど、コイツも考えが甘い。
「みなさん本当にダメですね。ここは僕が案を出しますかね」
二人の案が没になるのを見るや、次は尾上が案を出すと言い出した。
「あれ。お前本当に国のために働くつもり?」
「そう言ってるじゃないですか。捕まりたく無いんですって。出しますよ~いい案。驚きますよ~」
疑っていた柏木だが対策案を考えると言う尾上を見て、もしかしたら本当に国のために働ける人間なんだと思ってしまった。
しかしそんな考えも尾上の一言が一瞬で間違いだったと気づかせてくれた。
「ヤングジェネシスの子らを使いましょう!」
「「「やっぱお前反社じゃねーか!!!」」」
尾上の意見には断固反対する柏木、原島、榊原。
ヤングジェネシスのやつらを使って真壁をどうするつもりだよ。真壁をいらない大人として排除しようとしてるだろ!。
コイツやっぱ思考が反社。一瞬でもまともな奴かもとか思った俺が馬鹿だったわ。
柏木は尾上を危ない奴と再認識するのであった。
そしてさっきから話に入ってこない国枝に話を聞く事にする。
「何も喋らねーけど、お前はなんか無いのかよ?」
「え、俺?。………じゃあこれとか」
国枝は手に持っていたデジカメのデータから写真を選び、柏木たちに見せる。そこに写っていたのは明日の真壁のゲーム内での行動予定表であった。
「……これ最初に見せて欲しかったけど?」
「いや、なんかお前ら頑張ってるっぽいから。口出すの邪魔かなと思って」
国枝はこの議題が始まる前からもう既に明日の真壁対策案を用意していたのだ。でも他の三人が意見を出すということで、聞いてみたいから黙っていたのだと言う。
「いや、これを見ながら作戦立てるのが一番だろ。見つけてたのなら先に出しとけよ。国枝、お前仕事舐めてる?」
後出しで情報を提示して来た国枝に原島がつっかかる。
いつもはあまり意見の合わない奴だが今回は原島の意見に俺も賛成!。
言ってやれ原島!。国枝を言葉責めにしてやれー!!。
柏木は国枝を責める原島を心の中で応援していた。しかし国枝はそれに怯むことなく返事を返すのであった。
「俺さっきカメラのデータ見せたぞ。お前らがちゃんと確認してたらよかっただろ。データ集めてたの確認するだけじゃ意味ないだろ。大事なのは中身だからな」
「ぐぅ」
国枝の正論にはぐぅしか出ない。
……分かるぞ、原島。俺も国枝の正論には「ぐぅ」とか「うぅ」しか出ない。
国枝はそつなくこなす上に意外とぬかりがない。長年付き合って来た俺でも、国枝の正論攻撃には反論が出来ない。
「海ちゃんって正論しか言わないよね?」
「正論だからいいだろ、正しいんだから。なんか反論あるか?」
「……いえ、すいませんでした」
言葉巧みに人を操る尾上が最後の砦であったが、国枝の正論は尾上の厚い壁すらぶち抜き、挙句尾上が謝るハメになっていた。
誰も反論ができなくなったところで国枝は自分が考えていた作戦を話し出した。
国枝の提案は真壁の手帳に書いてあった明日の予定を参考にしたもの。作戦はゲーム『エターナルナイト~天空の覇者~』の緊急クエストに原島と尾上を参加させ、真壁との接触を試みることであった。
エターナルナイトは月末から月始にかけて集団で行う緊急クエストというイベントが存在するらしく、そのイベント予定日が明日の17時から開催の予定なのである。
そのクエストは仲間と共に強力なモンスターを倒すというもので、クエスト依頼を受けたプレイヤーは全員参加でき、好きにパーティーを組めるのだという。
真壁のゲーム内の役職は剣士。魔法使いキャラの原島と回復術師キャラである尾上はパーティーを組むならピッタリ。もしかしたらアイラという魔法使いがいるかもしれないがそこは尾上の交渉術で何とかしてもらう。
無事パーティーが組めれば後は親しくクエストをやりながら中と外で真壁攻略をするだけ。パーティーさえ組めればイベント自体は一週間近くあるのでじっくり対策していけばいいというもの。
時間はかかるかもしれないが、それ以外に文句の言いようが無いこの作戦は全員が納得。
明日の17時に作戦を決行すると約束して、五人は一時解散することにするのであった。
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