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心優しい魔女
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魔女が恐れられていた時代,ヨーロッパの片隅のとある山奥に一人の若い魔女が隠れ住んでいました。
この魔女の名はカヤナといい,カヤナは魔女になるための修行で魔女になったのではなく元々魔術の力を持った一族の娘でした。
魔女の一族は人を襲うことはせず,むしろ人々から好かれて仲良く暮らしていました。
ところが魔女が邪悪なものと思っていたある貴族は国民をうまく騙して,一族を追い出してしまいます。
一族のほとんどがそれをキッカケで貴族を恨むようになり,貴族が言ったように悪さを働くようになりました。
悪行が広まり,国民は一族を恐れるようになりますが,誰かに恨みを持つものや黒魔術に興味を持つものも現れて魔女になるための宗教が誕生してしまったのです。
それを知った貴族は
「黒魔術一族はもちろん魔女の邪悪な力に手を染めたものを捉える,火刑にせよ!魔女狩りじゃ!」
と魔女を捉えるためのおフレを出し長きに渡る魔女狩りが始まったのでした。
魔女狩りによって一族や魔女宗教の人たちが次々と処刑されていく中,カヤナの家族は生き残り狭い山奥に暮らし始めました。他にも運良く生き残っている仲間が何人かいると風の噂で聞いたけれど,隠れ住んでいるので生き残っている仲間が何人残っているのかわからなかった。
ある日のこと山奥で過ごしていると食べ物を探すのに一苦労となり,顔を隠して街に両親が降りて行きました。
「お父様,お母様,早く帰ってきてね。」
「はいはい,カヤナもいい子にしているのよ」
「大きな野生動物には気をつけるんだぞ。」
「はーい。」
両親はカヤナの頭を撫でました。
「よしよし,いい子だね。それじゃあ行ってくるね。」
「うん。お父様,お母様,いってらっしゃい」
笑顔で両親を見送るカヤナでしたが彼女は知りませんでした,この会話が両親との最後の会話になってしまうことを…
夜になっても帰ってこない両親を心配して暗い山を降りていくと何かにつまずいてコケてしまいました。
「きゃっ!イッターイ…何かしら?」
振り向くとそこには酷い扱いで殴り殺された両親の姿だったのです。
「きゃー,お母様!お父様!目を開けてよー」
「あれ?もう一人子供もいたのか,捕まえてやる!今は子どもでも成長したら何するかわからないからな!」
「きゃー,誰か助けてー!」
追いつかれないようにカヤナは急いで逃げて元の隠れ家よりもっと遠い洞窟に逃げ込みました。
そこには一人の老人がいて,カヤナは驚いてしまいました。
「ヒィー殺さないで!何もしないから」
「ほぅ,怯えることはない私はお前さんの仲間じゃ,安心せい。こんな幼子が可哀想にどうして一人なのじゃ?」
カヤナは落ち着きを取り戻して,その老人にさっきあったことやどうやって過ごして行きたかを伝えました。
「それはそれは目の前で両親を亡くしてさぞ怖くて悔しかったであろう。生き残り同士私が面倒を見よう。お前さんの名前はなんじゃ?」
こうしてカヤナは老人と二人で暮らし始めました。
老人は古くから黒魔術で魔女狩りが行われる前は人を助けるための魔術師の学校の先生をしていた人で名前をレノといいました。
彼はカヤナを自分の娘のように可愛がってくれて人間を殺してはいけないことや助けるために使うことを教えてくれました。
カヤナは老人のことをレノおじさんと呼びとても懐きました。
心優しいカヤナはレノおじさんが住みやすいようにボロボロではありましたが,コヤを作りそこで暮らし始めました。
両親が家の作る仕方を教えておいてくれていたのです。
どんな形でも自分のために作ってくれたのをレノおじさんは喜び楽しく暮らしました。
いつしかカヤナはいろいろ教えてくれるレノおじさんのことを師匠と呼ぶようになりました。
月日が経ち,カヤナは美しい娘に成長しました。
しかし,これまで育ててくれた師匠が病に倒れてしまいました。
貧しい暮らしなので薬も買えず,魔法も未完成でどうしたらいいか悩んでいると師匠が声をかけました。
「カヤナ…いいかいよく聞くのじゃ,わしはもうダメかもしれぬ…その前にカヤナに知っておいて欲しいことがある,私たち黒魔術の一族をはめた貴族を許してはいけない!昔にお前さんの両親が殺されたのも,黒魔術に恨みを持ったものがやらかしたことつまり,貴族が我らを闇に突き落としたのじゃ,貴族を決して許してはいかんぞ~」
「はい。師匠が必ず守ります!」
その言葉を最後にカヤナはひとりぼっちになってしまいました。
「許せない!貴族め許せない!許せない気持ちはあるけれど,この恨みの力で貴族を襲ってしまったら,あいつらの思い通りになってしまうどうすればいいんだ!」
カヤナの恨みは強くとも直接は襲わないようにして,貴族から何か来るのを待つことにしました。
心優しい彼女は両親を殺されたトラウマと襲われそうになった苦しみで怯えることしかできませんでした。
「うぅ…お父様…お母様…師匠,私は復讐はしたいけれど,人を殺めるなどできません!どうすればいいのでしょうか…?」
彼女は心を痛めました。
ある日のこといつの日にか嵐が多い時期が続き,疫病が流行り始めたのです。
貴族はこれを魔女がしでかしたことだと信じ込み,カヤナの両親を殺めた者達から残りの魔女は娘のカヤナしかいないことを,突き止めた貴族はカヤナを殺すように魔女狩りの者達に言いつけました。
その情報を森の鳥達から聞いたカヤナはすぐ遠くに引っ越そうと動き出しました。
もちろん嵐や疫病はカヤナがやったことではありませんでした。
またある日のこと,新しい住処で生活していたカヤナが森を散歩していた時のこと一人の男性に出会いました。
「っ…」
カヤナは殺されると思い逃げようとしたその時,男性が声をかけました。
「おい!どうして逃げるんだ?君は誰だい?こんなところで何をしているの?」
カヤナは足を止めて後ろも向いたまま答えました。
「誰ってこの格好を見て気づかないの?」
「あっ!もしかして魔女のカヤナかい?」
「そっそうよ…わかったらあっちへ行ってちょうだい!私は人と話すの嫌いなの!」
カヤナはそういうと歩き出しました。
「待ってくれ!カヤナ!君を探していたんだ。お願い待ってくれ。どうしても頼みたいことがあるんだ!」
カヤナはその言葉に足を止めて男性の方に振り向きました。
「っ…頼みたいこと?」
カヤナは男性の言葉が気になり事情を聞くことにしました。
話を聞くと嵐と疫病の原因がこの国で一番高い山にあるらしいのです。
その山は周りが疫病を巻き起こす雲に覆われているため,生身の人間には頂上にはたどり着けない恐怖の山と恐れられています。
「だから不思議な力を持つ魔女の君に原因を突き止めてほしい。」
「どうして私があなた達人間を助けなきゃいけないの?大体あなたは誰なのよ?」
「これは申し訳ない自己紹介が遅れたね。私の名はローベルトこの国の王さ」
「こっ国王!あなたがこの国の王だというの?だったらこの話はなしにするわ」
カヤナは男性が王だと分かると早足で歩き出しました。
「えっ?ちょっと待ってくれ,それは困るよ」
「ついてこないでよ。」
カヤナは王族であるローベルトを自分の一族をはめた貴族達と同じと考え嫌い自分の山に帰ろうとします。
しかし,どうしても助けてほしいローベルトはカヤナを追いかけました。
「待ってくれ!どうして私が王だと知ったらそうまでして逃げようとするんだい?」
「ついてこないで!私は貴族が心底嫌いなの!」
「でも,どうかこの頼みだけは聞いてくれ!」
「いやよ!」
「待ってくれ事情を…君の事情を聞かせてくれ!」
頑固に追ってくるローベルトにカヤナは痺れを切らしました。
「っ…あのね,きゃっ!」
カヤナがローベルトの方に振り向き話そうとした瞬間強い風が吹いて飛ばされそうになりました。
「っ…これはまた嵐が来るわね。」
「大変だ!国民がまた危険な目にあってしまう!急いで帰らねば!」
そう言って自分の国に帰ろうとするローベルトをカヤナは引き止めました。
「バカ!今帰ったら疫病どころか,嵐に巻き込まれるわよ。仕方ないわね。こっちきて!」
そして,カヤナはローベルトを自分の隠れ家に連れて行きました。
カヤナの家は育ててくれた師匠と暮らした家を真似たボロボロのプレハブ小屋に住んでいました。
「あれ?君はどこかの金持ちを騙して得た金で立派な屋敷を建てたと聞いたのだが…」
カヤナはいきよいよく振り向いて怒鳴りました。
「私がお金を騙し取った⁉︎そんなことしてないわ。その代わり私は…」
カヤナはハッとして黙り込みました。
「ん?どうしたんだい?」
カヤナは誤解を説こうと話そうとしますが,口が震え出したのです。
彼女にとってはそれは忘れたい過去を振り返ることなので胸が苦しくなりました。
「っ…私は貴族に…仲間も親も育ての親の師匠も奪われたんだから!仲間の場合は貴族に唆されて悪いことしちゃったから強くは言えないけど,両親や師匠は何もしない優しい人だった。でも,黒魔術の仲間なだけで両親は…私の目の前で…貴族の手下に殺されて,師匠は…貴族に恨みを残しながら亡くなったわ。だから私も貴方達貴族を許さない!泣」
ローベルトは信じられないという顔でカヤナに問いかけました。
「でっでは…最初から私の貴族は君たちのことを消すためにあんなことを言っていたのか⁉︎」
「そうよ。貴族が私達のタチの悪い噂を作ったからみんな壊れていった。その前はみんな普通に生活できていたのに…」
「なんと!この国の貴族はなんで愚かなことをしてきたのだ…わかった私が皆に,本当のことを言ってもう君が苦しまないようにしてみせる!」
それを聞いたカヤナはため息をついて言いました。
「もう遅すぎる…もう魔女と呼ばれるものは私一人もうどっちでもいいわ,それに今更みんなに接することなんて怖くてできないわ…みんな私が消えることを望んでいるもうたくさんよ!」
そんなカヤナにローベルトはこう答えました。
「気持ちはわかる。だけど,これをとめなくちゃ君はずっと心を閉ざしてしまう!それに今の危機だって,人々だけじゃない君が可愛がっている動物達だって危険になるかもしれないんだ!それでもダメなら私の命を代償にしてもいい!」
カヤナはそれに怒って言いました。
「貴方本気で言ってるの?そんなこと言ってたら本当にそうしちゃうわよ!」
「うわっ!」
カヤナはローベルトを押し倒して喉元に杖をつけました。
カヤナは殺せないことが本心で手が震えます。
「お願いだ!みんなを助けてくれ!私はこの国の王であり,この国の人々は家族なんだ」
それを聞いたカヤナはローベルトを離しました。
「わかったわ…だけど助けた代わりにあの貴族のように恩を仇で返すことしないでよ!そんなことしたら今度こそ許さない!」
ローベルトは起き上がって言いました。
「わかってるよ。私も君が悪い魔女じゃないことが分かったから,人を殺さない優しい魔女さんってことをね。」
カヤナはそっぽを向いて答えました。
「調子に乗らないで!まだ決まってないわ!じゃあ,治ってきたし貴方はとっとと帰ってよ。これ病除けのマント…帰るだけなら役に立つわ。」
カヤナはマントをポイッと投げました。
「あっありがとう」
カヤナは原因になっているであろう山に向かって飛んで行きました。
頂上につくとそこには凶暴化した狼達がいました。
「狼…私苦手なのよね~それにこれは魔物のランクスの魔術の力ね。」
すると頂上の洞穴から野太い声が聞こえました。
「久しぶりだね~カヤナ」
「ランクス!出てきなさい!っていうか,なんで貴方みたいな闇の住人がこんなところにいるの?人間界に住処を作らなくてもいいじゃない!」
カヤナはなんとかこの場から立ち去ってもらうことを頼みました。
すると洞穴から大きな体のランクスが出てきました。
「その願いは聞けないな~カヤナ~」
「ふざけないで!貴方の力の影響で国民がどうなっているか,わかってるの?」
「ああ知ってるさ,なんせその人間どもの魂を吸い取って養分にしているから何千人,何万人死んでいるか把握しているぞクククッ,ああ人間の苦しみとその魂ハァ、ハァ私の良い養分になっているよハハハ」
「なっなんですって!」
カヤナはランクスの発言に怒りを覚えて手に力を入れました。
「カヤナはあの狂った人間どもに騙されて両親や大切な人を殺されているというのに人間の味方に付いているなんてクククッ貴方らしいでもそんなことをしているとまた騙されて今度こそ自分が死ぬかもしれないじゃないかそれでもいいのか?」
「っ…それは!」
カヤナはローベルトのことを信じようとしていたけれど,内心本当に信じてもいいのかわからなかった。
なのでランクスの問いかけにうまく答えれませんでした。
「別に君が怒ることじゃない,君はむしろ貴族に恨みを持っているだろう。ああ可哀想に野蛮な人間に利用されるなんて…私達は仲間だよ。さぁ私の仲間に入りなさい。」
「ふざけないで!」
「お前はそれでいいのか?お前を苦しめた奴らは今もお前のせいだと思って恨み,嵐がおさまったら,殺そうとしているのだぞ。」
「うう…」
「さぁこっちに来るのだ,カヤナ,クククッそしてその力を私のために使い野蛮な人間どもを滅ぼすのだハハハ」
心の優しいカヤナは自分の痛い記憶を当てられてどうすることもできなくなったその時,薄紫色の光がカヤナを包み込んだのです。
「えっ?これは確かお母様が教えてくれた力!こんなに大きかったなんて…」
「くっ…サヤギ!こんな力を娘に託すとわ!うぅ…不愉快な光だ~」
サヤギ,それはカヤナの母の名前でした。カヤナを守るために力を貸してくれたのです。
「ああ,お母様お陰で助かりました。」
「おやおや,カヤナの母上が先に助けてくれたようだね。」
声にびっくりしてカヤナが後ろを振り向くと大きな岩の上にローベルトが立っていました。
「え?ローベルト貴方までこんな危険地帯に一人で来るなんて!そのマントは!」
「そうだよ。これを帽子付きのマントに作り替えたのさ,なかなか似合うだろう?」
「でも,こんなところに来ては危ないわ,早く逃げて!」
「ダメだ!私は君を助けに来たんだ。君の両親の謝罪も兼ねてね」
次々と現れた者達に圧倒されて言葉を出せなかったランクスが口を開きました。
「騙させてはいけない!カヤナ!お前の母親はまだしもあの人間はお前を騙すつもりできたかもしれないのだぞ。」
「なんだと!私は本当に彼女を助けるために来たのだ。そちらこそ騙そうとしているのではないか?」
「黙れ!黙れ!さぁカヤナお前の嫌いな貴族を倒せ!」
「いいえ,断るわ!だってこの人は私を信じようとしてくれる,彼みたいな人だらけだとは限らないけれど私を信じてくれるなら,私は彼らにつく!」
「クソクソ!お前が余計なことをしたせいで許さない!」
ランクスは大きな龍の形に姿を変えてローベルトに襲い掛かろうとしました。
「来るなら来い!」
「どうしよう…お母様どうか私にもう一度力を分けてください!はあー!」
眩い光が立ち込めてランクスは光に吸い込まれて消えてしまいました。
次の日,ローベルト王は国民にこう言いました。
「私達は時に大きな間違いを起こす。それによって疫病はここまで大きくなってしまったのだ。間違えは誰にだってあるが,確かな方法へと導けるのものまた我らの心だ。今ここで宣言する!疫病から救い出してくれたのは魔女,カヤナであることを!」
「おおー!」
国民からは歓声が響き,中には
「カヤナさんはいい魔女さんだったんだ悪い勘違いを吹き込まれたわ。カヤナさんに謝りたい。」
っと感動して涙を流す人もいました。
反発組で黒魔術の一族を潰した張本人達はカヤナをまた悪者にしようと企みますが,王に捕まり街から追い出されてしまいました。
カヤナはどうしたかというと,
「カヤナ。」
「王様!なんの用かしら?」
「相変わらず本音を見せないお嬢さんだね。早速離したいんだけど,私達の街で暮らさないか?」
カヤナはその問いかけに戸惑います。
「いきなり何?私はまだみんなと暮らすのに怖さを感じているの,まだ当分無理ね。それにここの生活が一番落ち着くの。」
「そうか。なら私にも考えがある。」
「考え?」
「君が降りてきてくれるまで,ここに通い続けるって方法さ,君はまだ若いし,イケメンの男を呼んでくるのも悪くないぞ。笑」
カヤナはクスッと鼻で笑って答えました。
「ちょっとちょっと悪い性格が出てるわよ。
それに男ならもし選ぶなら,自分で選びたいしホホホ」
それを聞くとローベルトはからかうように言いました。
「えーそこは私が出てくるかと思ったよハハハ」
「お断りよ!だって私堅苦しい貴族苦手だからフフ」
「なんだよハハハ」
王様が帰って静まり返った部屋でカヤナはつぶやきました。
「お父様,お母様,師匠,私は貴族を最後まで憎むことはできなかったけれど,私たちを苦しめた者達はもうここにはいないのでこれでよかったんですよね?もう悪い過去は忘れて私の幸せを天国で見守っててくださいね。」
こうしてカヤナは無事幸せな生活を送れるようになりました。
めでたしめでたし
この魔女の名はカヤナといい,カヤナは魔女になるための修行で魔女になったのではなく元々魔術の力を持った一族の娘でした。
魔女の一族は人を襲うことはせず,むしろ人々から好かれて仲良く暮らしていました。
ところが魔女が邪悪なものと思っていたある貴族は国民をうまく騙して,一族を追い出してしまいます。
一族のほとんどがそれをキッカケで貴族を恨むようになり,貴族が言ったように悪さを働くようになりました。
悪行が広まり,国民は一族を恐れるようになりますが,誰かに恨みを持つものや黒魔術に興味を持つものも現れて魔女になるための宗教が誕生してしまったのです。
それを知った貴族は
「黒魔術一族はもちろん魔女の邪悪な力に手を染めたものを捉える,火刑にせよ!魔女狩りじゃ!」
と魔女を捉えるためのおフレを出し長きに渡る魔女狩りが始まったのでした。
魔女狩りによって一族や魔女宗教の人たちが次々と処刑されていく中,カヤナの家族は生き残り狭い山奥に暮らし始めました。他にも運良く生き残っている仲間が何人かいると風の噂で聞いたけれど,隠れ住んでいるので生き残っている仲間が何人残っているのかわからなかった。
ある日のこと山奥で過ごしていると食べ物を探すのに一苦労となり,顔を隠して街に両親が降りて行きました。
「お父様,お母様,早く帰ってきてね。」
「はいはい,カヤナもいい子にしているのよ」
「大きな野生動物には気をつけるんだぞ。」
「はーい。」
両親はカヤナの頭を撫でました。
「よしよし,いい子だね。それじゃあ行ってくるね。」
「うん。お父様,お母様,いってらっしゃい」
笑顔で両親を見送るカヤナでしたが彼女は知りませんでした,この会話が両親との最後の会話になってしまうことを…
夜になっても帰ってこない両親を心配して暗い山を降りていくと何かにつまずいてコケてしまいました。
「きゃっ!イッターイ…何かしら?」
振り向くとそこには酷い扱いで殴り殺された両親の姿だったのです。
「きゃー,お母様!お父様!目を開けてよー」
「あれ?もう一人子供もいたのか,捕まえてやる!今は子どもでも成長したら何するかわからないからな!」
「きゃー,誰か助けてー!」
追いつかれないようにカヤナは急いで逃げて元の隠れ家よりもっと遠い洞窟に逃げ込みました。
そこには一人の老人がいて,カヤナは驚いてしまいました。
「ヒィー殺さないで!何もしないから」
「ほぅ,怯えることはない私はお前さんの仲間じゃ,安心せい。こんな幼子が可哀想にどうして一人なのじゃ?」
カヤナは落ち着きを取り戻して,その老人にさっきあったことやどうやって過ごして行きたかを伝えました。
「それはそれは目の前で両親を亡くしてさぞ怖くて悔しかったであろう。生き残り同士私が面倒を見よう。お前さんの名前はなんじゃ?」
こうしてカヤナは老人と二人で暮らし始めました。
老人は古くから黒魔術で魔女狩りが行われる前は人を助けるための魔術師の学校の先生をしていた人で名前をレノといいました。
彼はカヤナを自分の娘のように可愛がってくれて人間を殺してはいけないことや助けるために使うことを教えてくれました。
カヤナは老人のことをレノおじさんと呼びとても懐きました。
心優しいカヤナはレノおじさんが住みやすいようにボロボロではありましたが,コヤを作りそこで暮らし始めました。
両親が家の作る仕方を教えておいてくれていたのです。
どんな形でも自分のために作ってくれたのをレノおじさんは喜び楽しく暮らしました。
いつしかカヤナはいろいろ教えてくれるレノおじさんのことを師匠と呼ぶようになりました。
月日が経ち,カヤナは美しい娘に成長しました。
しかし,これまで育ててくれた師匠が病に倒れてしまいました。
貧しい暮らしなので薬も買えず,魔法も未完成でどうしたらいいか悩んでいると師匠が声をかけました。
「カヤナ…いいかいよく聞くのじゃ,わしはもうダメかもしれぬ…その前にカヤナに知っておいて欲しいことがある,私たち黒魔術の一族をはめた貴族を許してはいけない!昔にお前さんの両親が殺されたのも,黒魔術に恨みを持ったものがやらかしたことつまり,貴族が我らを闇に突き落としたのじゃ,貴族を決して許してはいかんぞ~」
「はい。師匠が必ず守ります!」
その言葉を最後にカヤナはひとりぼっちになってしまいました。
「許せない!貴族め許せない!許せない気持ちはあるけれど,この恨みの力で貴族を襲ってしまったら,あいつらの思い通りになってしまうどうすればいいんだ!」
カヤナの恨みは強くとも直接は襲わないようにして,貴族から何か来るのを待つことにしました。
心優しい彼女は両親を殺されたトラウマと襲われそうになった苦しみで怯えることしかできませんでした。
「うぅ…お父様…お母様…師匠,私は復讐はしたいけれど,人を殺めるなどできません!どうすればいいのでしょうか…?」
彼女は心を痛めました。
ある日のこといつの日にか嵐が多い時期が続き,疫病が流行り始めたのです。
貴族はこれを魔女がしでかしたことだと信じ込み,カヤナの両親を殺めた者達から残りの魔女は娘のカヤナしかいないことを,突き止めた貴族はカヤナを殺すように魔女狩りの者達に言いつけました。
その情報を森の鳥達から聞いたカヤナはすぐ遠くに引っ越そうと動き出しました。
もちろん嵐や疫病はカヤナがやったことではありませんでした。
またある日のこと,新しい住処で生活していたカヤナが森を散歩していた時のこと一人の男性に出会いました。
「っ…」
カヤナは殺されると思い逃げようとしたその時,男性が声をかけました。
「おい!どうして逃げるんだ?君は誰だい?こんなところで何をしているの?」
カヤナは足を止めて後ろも向いたまま答えました。
「誰ってこの格好を見て気づかないの?」
「あっ!もしかして魔女のカヤナかい?」
「そっそうよ…わかったらあっちへ行ってちょうだい!私は人と話すの嫌いなの!」
カヤナはそういうと歩き出しました。
「待ってくれ!カヤナ!君を探していたんだ。お願い待ってくれ。どうしても頼みたいことがあるんだ!」
カヤナはその言葉に足を止めて男性の方に振り向きました。
「っ…頼みたいこと?」
カヤナは男性の言葉が気になり事情を聞くことにしました。
話を聞くと嵐と疫病の原因がこの国で一番高い山にあるらしいのです。
その山は周りが疫病を巻き起こす雲に覆われているため,生身の人間には頂上にはたどり着けない恐怖の山と恐れられています。
「だから不思議な力を持つ魔女の君に原因を突き止めてほしい。」
「どうして私があなた達人間を助けなきゃいけないの?大体あなたは誰なのよ?」
「これは申し訳ない自己紹介が遅れたね。私の名はローベルトこの国の王さ」
「こっ国王!あなたがこの国の王だというの?だったらこの話はなしにするわ」
カヤナは男性が王だと分かると早足で歩き出しました。
「えっ?ちょっと待ってくれ,それは困るよ」
「ついてこないでよ。」
カヤナは王族であるローベルトを自分の一族をはめた貴族達と同じと考え嫌い自分の山に帰ろうとします。
しかし,どうしても助けてほしいローベルトはカヤナを追いかけました。
「待ってくれ!どうして私が王だと知ったらそうまでして逃げようとするんだい?」
「ついてこないで!私は貴族が心底嫌いなの!」
「でも,どうかこの頼みだけは聞いてくれ!」
「いやよ!」
「待ってくれ事情を…君の事情を聞かせてくれ!」
頑固に追ってくるローベルトにカヤナは痺れを切らしました。
「っ…あのね,きゃっ!」
カヤナがローベルトの方に振り向き話そうとした瞬間強い風が吹いて飛ばされそうになりました。
「っ…これはまた嵐が来るわね。」
「大変だ!国民がまた危険な目にあってしまう!急いで帰らねば!」
そう言って自分の国に帰ろうとするローベルトをカヤナは引き止めました。
「バカ!今帰ったら疫病どころか,嵐に巻き込まれるわよ。仕方ないわね。こっちきて!」
そして,カヤナはローベルトを自分の隠れ家に連れて行きました。
カヤナの家は育ててくれた師匠と暮らした家を真似たボロボロのプレハブ小屋に住んでいました。
「あれ?君はどこかの金持ちを騙して得た金で立派な屋敷を建てたと聞いたのだが…」
カヤナはいきよいよく振り向いて怒鳴りました。
「私がお金を騙し取った⁉︎そんなことしてないわ。その代わり私は…」
カヤナはハッとして黙り込みました。
「ん?どうしたんだい?」
カヤナは誤解を説こうと話そうとしますが,口が震え出したのです。
彼女にとってはそれは忘れたい過去を振り返ることなので胸が苦しくなりました。
「っ…私は貴族に…仲間も親も育ての親の師匠も奪われたんだから!仲間の場合は貴族に唆されて悪いことしちゃったから強くは言えないけど,両親や師匠は何もしない優しい人だった。でも,黒魔術の仲間なだけで両親は…私の目の前で…貴族の手下に殺されて,師匠は…貴族に恨みを残しながら亡くなったわ。だから私も貴方達貴族を許さない!泣」
ローベルトは信じられないという顔でカヤナに問いかけました。
「でっでは…最初から私の貴族は君たちのことを消すためにあんなことを言っていたのか⁉︎」
「そうよ。貴族が私達のタチの悪い噂を作ったからみんな壊れていった。その前はみんな普通に生活できていたのに…」
「なんと!この国の貴族はなんで愚かなことをしてきたのだ…わかった私が皆に,本当のことを言ってもう君が苦しまないようにしてみせる!」
それを聞いたカヤナはため息をついて言いました。
「もう遅すぎる…もう魔女と呼ばれるものは私一人もうどっちでもいいわ,それに今更みんなに接することなんて怖くてできないわ…みんな私が消えることを望んでいるもうたくさんよ!」
そんなカヤナにローベルトはこう答えました。
「気持ちはわかる。だけど,これをとめなくちゃ君はずっと心を閉ざしてしまう!それに今の危機だって,人々だけじゃない君が可愛がっている動物達だって危険になるかもしれないんだ!それでもダメなら私の命を代償にしてもいい!」
カヤナはそれに怒って言いました。
「貴方本気で言ってるの?そんなこと言ってたら本当にそうしちゃうわよ!」
「うわっ!」
カヤナはローベルトを押し倒して喉元に杖をつけました。
カヤナは殺せないことが本心で手が震えます。
「お願いだ!みんなを助けてくれ!私はこの国の王であり,この国の人々は家族なんだ」
それを聞いたカヤナはローベルトを離しました。
「わかったわ…だけど助けた代わりにあの貴族のように恩を仇で返すことしないでよ!そんなことしたら今度こそ許さない!」
ローベルトは起き上がって言いました。
「わかってるよ。私も君が悪い魔女じゃないことが分かったから,人を殺さない優しい魔女さんってことをね。」
カヤナはそっぽを向いて答えました。
「調子に乗らないで!まだ決まってないわ!じゃあ,治ってきたし貴方はとっとと帰ってよ。これ病除けのマント…帰るだけなら役に立つわ。」
カヤナはマントをポイッと投げました。
「あっありがとう」
カヤナは原因になっているであろう山に向かって飛んで行きました。
頂上につくとそこには凶暴化した狼達がいました。
「狼…私苦手なのよね~それにこれは魔物のランクスの魔術の力ね。」
すると頂上の洞穴から野太い声が聞こえました。
「久しぶりだね~カヤナ」
「ランクス!出てきなさい!っていうか,なんで貴方みたいな闇の住人がこんなところにいるの?人間界に住処を作らなくてもいいじゃない!」
カヤナはなんとかこの場から立ち去ってもらうことを頼みました。
すると洞穴から大きな体のランクスが出てきました。
「その願いは聞けないな~カヤナ~」
「ふざけないで!貴方の力の影響で国民がどうなっているか,わかってるの?」
「ああ知ってるさ,なんせその人間どもの魂を吸い取って養分にしているから何千人,何万人死んでいるか把握しているぞクククッ,ああ人間の苦しみとその魂ハァ、ハァ私の良い養分になっているよハハハ」
「なっなんですって!」
カヤナはランクスの発言に怒りを覚えて手に力を入れました。
「カヤナはあの狂った人間どもに騙されて両親や大切な人を殺されているというのに人間の味方に付いているなんてクククッ貴方らしいでもそんなことをしているとまた騙されて今度こそ自分が死ぬかもしれないじゃないかそれでもいいのか?」
「っ…それは!」
カヤナはローベルトのことを信じようとしていたけれど,内心本当に信じてもいいのかわからなかった。
なのでランクスの問いかけにうまく答えれませんでした。
「別に君が怒ることじゃない,君はむしろ貴族に恨みを持っているだろう。ああ可哀想に野蛮な人間に利用されるなんて…私達は仲間だよ。さぁ私の仲間に入りなさい。」
「ふざけないで!」
「お前はそれでいいのか?お前を苦しめた奴らは今もお前のせいだと思って恨み,嵐がおさまったら,殺そうとしているのだぞ。」
「うう…」
「さぁこっちに来るのだ,カヤナ,クククッそしてその力を私のために使い野蛮な人間どもを滅ぼすのだハハハ」
心の優しいカヤナは自分の痛い記憶を当てられてどうすることもできなくなったその時,薄紫色の光がカヤナを包み込んだのです。
「えっ?これは確かお母様が教えてくれた力!こんなに大きかったなんて…」
「くっ…サヤギ!こんな力を娘に託すとわ!うぅ…不愉快な光だ~」
サヤギ,それはカヤナの母の名前でした。カヤナを守るために力を貸してくれたのです。
「ああ,お母様お陰で助かりました。」
「おやおや,カヤナの母上が先に助けてくれたようだね。」
声にびっくりしてカヤナが後ろを振り向くと大きな岩の上にローベルトが立っていました。
「え?ローベルト貴方までこんな危険地帯に一人で来るなんて!そのマントは!」
「そうだよ。これを帽子付きのマントに作り替えたのさ,なかなか似合うだろう?」
「でも,こんなところに来ては危ないわ,早く逃げて!」
「ダメだ!私は君を助けに来たんだ。君の両親の謝罪も兼ねてね」
次々と現れた者達に圧倒されて言葉を出せなかったランクスが口を開きました。
「騙させてはいけない!カヤナ!お前の母親はまだしもあの人間はお前を騙すつもりできたかもしれないのだぞ。」
「なんだと!私は本当に彼女を助けるために来たのだ。そちらこそ騙そうとしているのではないか?」
「黙れ!黙れ!さぁカヤナお前の嫌いな貴族を倒せ!」
「いいえ,断るわ!だってこの人は私を信じようとしてくれる,彼みたいな人だらけだとは限らないけれど私を信じてくれるなら,私は彼らにつく!」
「クソクソ!お前が余計なことをしたせいで許さない!」
ランクスは大きな龍の形に姿を変えてローベルトに襲い掛かろうとしました。
「来るなら来い!」
「どうしよう…お母様どうか私にもう一度力を分けてください!はあー!」
眩い光が立ち込めてランクスは光に吸い込まれて消えてしまいました。
次の日,ローベルト王は国民にこう言いました。
「私達は時に大きな間違いを起こす。それによって疫病はここまで大きくなってしまったのだ。間違えは誰にだってあるが,確かな方法へと導けるのものまた我らの心だ。今ここで宣言する!疫病から救い出してくれたのは魔女,カヤナであることを!」
「おおー!」
国民からは歓声が響き,中には
「カヤナさんはいい魔女さんだったんだ悪い勘違いを吹き込まれたわ。カヤナさんに謝りたい。」
っと感動して涙を流す人もいました。
反発組で黒魔術の一族を潰した張本人達はカヤナをまた悪者にしようと企みますが,王に捕まり街から追い出されてしまいました。
カヤナはどうしたかというと,
「カヤナ。」
「王様!なんの用かしら?」
「相変わらず本音を見せないお嬢さんだね。早速離したいんだけど,私達の街で暮らさないか?」
カヤナはその問いかけに戸惑います。
「いきなり何?私はまだみんなと暮らすのに怖さを感じているの,まだ当分無理ね。それにここの生活が一番落ち着くの。」
「そうか。なら私にも考えがある。」
「考え?」
「君が降りてきてくれるまで,ここに通い続けるって方法さ,君はまだ若いし,イケメンの男を呼んでくるのも悪くないぞ。笑」
カヤナはクスッと鼻で笑って答えました。
「ちょっとちょっと悪い性格が出てるわよ。
それに男ならもし選ぶなら,自分で選びたいしホホホ」
それを聞くとローベルトはからかうように言いました。
「えーそこは私が出てくるかと思ったよハハハ」
「お断りよ!だって私堅苦しい貴族苦手だからフフ」
「なんだよハハハ」
王様が帰って静まり返った部屋でカヤナはつぶやきました。
「お父様,お母様,師匠,私は貴族を最後まで憎むことはできなかったけれど,私たちを苦しめた者達はもうここにはいないのでこれでよかったんですよね?もう悪い過去は忘れて私の幸せを天国で見守っててくださいね。」
こうしてカヤナは無事幸せな生活を送れるようになりました。
めでたしめでたし
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