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第十二話 舞の成果
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二人が舞の衣装に着替えて,氷の湖に着くと,そこはすでにお祭り状態で会場は大盛り上がりでした。
「さて!花嫁候補のご到着じゃ,まずは雨月様から披露してもらう。」
雨月様はさっきのアツとは裏腹に緊張なのか,寒さなのかカチカチになっていました。
湖の中央に雨月様が立つと,どこからか音楽が流れてきて,雨月様は舞い始めました。
雨月様の舞は動きがガタついて,まるでロボットのようでしたが,一生懸命に踊っていました。
世話役を担った錦はヒヤヒヤしながらその姿を見守ります。
雨月様の舞が終わり,お辞儀をすると周りから拍手が聞こえ,指揮官が声を上げました。
「雨月様。この種目では脱落者が多い…そんななか,雨の神の意地を見せてくれた。この極寒の中,大義であった!」
「ありがとうございます!」
雨月様が氷の湖から陸に上がると,今度は由貴の番が来ました。
「さあ!今度は人間の若君,由貴様の登場じゃ!」
由貴は音楽が流れると,寒いながらも一生懸命,スケートのように優雅に舞いました。
会場の人達が美しさに魅入っていると,どこからか粉雪が降り始めました。
誰もが陰で誰かがフォローしていると思っていると,その粉雪は自然のもので偶然降り始めたものでした。
「そんな…あんな男にどうして…こんな奇跡ばかりが起こるのだ…?」
雨月様は悔しがって地団駄を踏んでいました。
「由貴よ…其方はわらわが思っている以上に…美しいお人だったのじゃな…///」
悔しそうにする雨月様をよそに,氷織は由貴の神秘的な姿を目に焼き付けていました。
由貴が舞を無事に終えると,会場はさっきよりも一層大盛り上がりになりました。
そんな中,指揮官が手を挙げて辺りが静かになると,口を開きました。
「人間の若君よ…其方もほんに美しいものを見せてもろた。今回は自然現象もあったが,二人ともよく踊ってくれた…この行事は『最後まで踊れたものが』次に行けるのだ。二人とも合格!次の決勝も期待しておるぞ!」
「はい!」
大差を付けていた雨月様と由貴でしたが,厳しくも優しい指揮官の言葉に助けられ,最終決戦で決着をつけることになりました。
由貴は雨月様の方によると言いました。
「両方最終決戦に行けるようになりましたね。最後まで…よろしくお願いします!」
そういうと由貴は雨月様に手を差し伸べましたが,雨月様は無視を決め込んでキツイ言葉を返しました。
「調子に乗るでないわ!最終決戦で力を見せつけてやる,覚悟しておれ!」
そんな雨月様に由貴はこう返しました。
「……はい!どっちが勝つか!最後までやり切りましょう!」
こうして,いよいよ次は最終決戦になりました。
結果はどっちに転ぶか,最後まで緊張感が続くのでした。
続く
「さて!花嫁候補のご到着じゃ,まずは雨月様から披露してもらう。」
雨月様はさっきのアツとは裏腹に緊張なのか,寒さなのかカチカチになっていました。
湖の中央に雨月様が立つと,どこからか音楽が流れてきて,雨月様は舞い始めました。
雨月様の舞は動きがガタついて,まるでロボットのようでしたが,一生懸命に踊っていました。
世話役を担った錦はヒヤヒヤしながらその姿を見守ります。
雨月様の舞が終わり,お辞儀をすると周りから拍手が聞こえ,指揮官が声を上げました。
「雨月様。この種目では脱落者が多い…そんななか,雨の神の意地を見せてくれた。この極寒の中,大義であった!」
「ありがとうございます!」
雨月様が氷の湖から陸に上がると,今度は由貴の番が来ました。
「さあ!今度は人間の若君,由貴様の登場じゃ!」
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会場の人達が美しさに魅入っていると,どこからか粉雪が降り始めました。
誰もが陰で誰かがフォローしていると思っていると,その粉雪は自然のもので偶然降り始めたものでした。
「そんな…あんな男にどうして…こんな奇跡ばかりが起こるのだ…?」
雨月様は悔しがって地団駄を踏んでいました。
「由貴よ…其方はわらわが思っている以上に…美しいお人だったのじゃな…///」
悔しそうにする雨月様をよそに,氷織は由貴の神秘的な姿を目に焼き付けていました。
由貴が舞を無事に終えると,会場はさっきよりも一層大盛り上がりになりました。
そんな中,指揮官が手を挙げて辺りが静かになると,口を開きました。
「人間の若君よ…其方もほんに美しいものを見せてもろた。今回は自然現象もあったが,二人ともよく踊ってくれた…この行事は『最後まで踊れたものが』次に行けるのだ。二人とも合格!次の決勝も期待しておるぞ!」
「はい!」
大差を付けていた雨月様と由貴でしたが,厳しくも優しい指揮官の言葉に助けられ,最終決戦で決着をつけることになりました。
由貴は雨月様の方によると言いました。
「両方最終決戦に行けるようになりましたね。最後まで…よろしくお願いします!」
そういうと由貴は雨月様に手を差し伸べましたが,雨月様は無視を決め込んでキツイ言葉を返しました。
「調子に乗るでないわ!最終決戦で力を見せつけてやる,覚悟しておれ!」
そんな雨月様に由貴はこう返しました。
「……はい!どっちが勝つか!最後までやり切りましょう!」
こうして,いよいよ次は最終決戦になりました。
結果はどっちに転ぶか,最後まで緊張感が続くのでした。
続く
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