罰ゲームで告白した子を本気で好きになってしまった。

火野 あかり

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第十三話 帰りたくない

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「ちょっと面白いかも……」

 隣でぜーはーと息をしていた僕に、楓は呟くように言う。
 し、死ぬっ! 
 体がどうかしてしまっている。楓の声や顔を見ているだけで興奮しすぎる。
 呼吸のリズムが不安定で、いつまでたっても息切れが収まる気配がない。

「はぁはぁっ! お、面白い?」
「うん。え、えっちなこと言うと、佑樹くんびくんって固まって、そのままびゅうってするからっ……」
「楓があんなこと言うと思ってなかったから……」
「佑樹くんは私が恥ずかしいこと言うの好きだね?」
「みたい……性癖なのかな、僕も知らなかったけど……」
「憧れの人は思ってたよりえっちだったみたい。昨日よりもたくさんしちゃったね」
「わかんない……ぼんやりしてた。ずっと止まんないで出てたから」
「──昨日より激しかったね。お風呂入ってご飯食べる? 佑樹くん食べ物は何が好き?」
「好き嫌いは何もないから、楓の得意なのがいいな。──お風呂って一緒に?」
「え、佑樹くんは一緒に入りたがるね? 憧れ?」
「ううん、離れたくないだけ。見えるところにいてほしいんだ」
「そ、そう言われると断りにくい……。──もう。普段は別々だよ? 恥ずかしいもん。あ、あそこ洗ってるのとかはあんまり見ないでね?」
「約束はできないかな。見ちゃうと思う」
 
 少し嫌そうな顔をした。行為中以外はやっぱり恥ずかしいのだろうか?
 もう一度キスをして、二人でゆっくり起き上がる。
 服を着る理由はなかったので、着ていたものだけ持って風呂場へ向かう。

「変な気持ち。家の中裸で歩いてるよ、私たち」
「楓はともかく、僕なんて他人の家だからね。誰かに見られるんじゃないかとヒヤヒヤしてるよ」
「家の中でも誰かに見られたら捕まるらしいよ? わいせつ物陳列罪で」
「理不尽な話だね。家の中くらい好き放題していいと思うんだけど」
「ゆ、佑樹くんって家では裸の人とかじゃないよね?」
「違うよ?」
「良かった……」

 楓の中での僕はどんな人物なんだ?
 少なくとも変態扱いはされている気がする。
 楓からすればそう思っても無理はない、か。実際そうかもしれないし。

 風呂の中は広い。
 楓の家は豪邸なので、全てのものが見合うもので揃えられているのだ。
 浴室の中だけでも、僕の家の風呂場スペース全体より大きい。
 掃除大変そうだな……。昨日も見たときに思ったが、やはりそうとしか思えない。僕個人としてはもっと小さな家に住みたいものだ。この風呂場スペース全体だけで一人暮らしできる自信が僕にはある。それくらい大きいのだ。
 浴槽は三人くらい横になれそうな大きさで、家の風呂というよりも旅館だとか、そういうサイズ。
 借りてきた猫の気持ち。落ち着かない……。
 
「洗いっこする?」
「うん。どうすればいい?」
「手に泡つけて、さ、触りあう……」
「それはもうえっちじゃない……?」
「わっ。佑樹くんまたおっきくなってる……むくむくって膨らむんだね。いっつもかちかちの状態だから、おっきくなるとこは初めて見た」
「だって触りあうとか言うから……」
「お、お風呂の中でもういっかいする? 私はいいよ?」
「面目ない……性欲強すぎるよ、僕」
「気持ちいいもん、仕方ないよ?」
「楓も気持ちいいの?」
「き、気持ちいいよ? 何回もイッてたでしょ? ──思い出さないでね!?」
「もう我慢できなくなってきた。僕の上に来て?」

 浴槽の壁に背をつけて、床に座る。ひんやりした感触が全身につたわる。
 楓が上に乗ってきて、抱き合うような形。
 性器に触れたペニスがにゅるん、と滑って変な声が出る。

「キスしながらしよ?」
「そうだね」
「あっ、そうだ。あわあわにしてくっついてみない?」
「うん……」
「にゅるにゅるするっ。な、なんか気持ちいいかもっ」
「高ぶるねっ、あったかい」
「あっ、乳首擦れて変っ」
「コリコリしてる……。──い、入れてもいい? 僕もう……」
「私もほしい……じゃ、じゃあ入れるね。また中に出していいからっ」

 楓は僕の両肩を掴み、ぎこちない様子で腰を落としていく。
 狭い膣口がゆっくり僕のペニスを飲み込んでいくのが分かる。
 何回入れてもきつい……。引きちぎられそうだ。
 中の方まで入ってしまえばなんとかなるが、入り口のほうは侵入を拒む様な硬さと締りがある。

「お、おっきいぃ……」
「熱い……」

 半分ほど入ったところで、楓は僕の方へ倒れ込んだ。
 苦しげな顔をする楓と顔を向き合ってみる。
 開いた口に唇を寄せて、舌を伸ばす。楓は僕の肩から背中に手を移し、ボディソープでぬるついた体を擦り付けていた。
 
「下からずんっ、てっ! あうっ……奥っ、きたっ、ぐりぐりだめっ」
「き、きついっ、うねうねするっ!」
「だ、だってぇ、ごりってするからっ!」

 楓のお尻を掴んで上下させる。
 今日何回目かもわからないのに、すぐに射精してしまいそうなほどペニスが気持ちいい。
 激しくしすぎると苦しそうな顔をするので、優しくこすりつけるようにする。そうでないと自分がすぐに限界を迎えてしまうというのもあるけど。
 
「これっ、すきかもっ! ぬるぬるでひとつになったみたいっ!」
「楓、激しい! う、動くの止めて、出るって!」
「いいよっ、出してっ、お、お風呂だからぁ、大丈夫っ、いっぱい出してもいいよっ!?」
「言われなくてもっ、あっ、登ってきたっ!」
「うんっ、奥に押し付けてっ!」

 どくんどくんと注ぎ込み始めてしまう。
 今日最後の一回になる気がした。それくらい大量の塊が尿道を経由して楓の奥へ飛び出ていた。

「あ、うう、楓……」
「佑樹くんあったかい……奥びゅうびゅうきてるっ……」

 冷たく硬い床の感触が消える。
 今感じられるのは、楓の体温とペニスが痺れる感覚だけ。
 

「や、やっぱり終わったあと変な感じする……まだ入ってるみたい」
「ごめんね、夢中になっちゃった」
「それはいいんだけど……夜ご飯簡単なのでいい? 材料あんまりないかも。明日一緒になにか買いに行こう?」
「うん。僕もお金出すよ」

 エプロンをして歩く楓はたどたどしく動く。
 明らかに股を気遣っている様子だ。
 風呂から上がったあと、流石に服を着た。服の下の楓の裸をどうしても想像してしまう。
 いつからなんだろう。僕はこんなにスケベなやつだったのか?
 
「痛い?」
「ううん、痛くないよ。むずむずするだけ。えっちしてる感覚がまだあるの」
「そうなんだ……」
「佑樹くんのおっきいからかもね。すごい広がってるから。佑樹くんの形にあわせて、がばがばになっちゃうかも。──責任、とってね?」
「もちろんだよ。一生大事にする」
「うん……私も。美味しいご飯も頑張って作るよ。──え、えっちなこともなんでもする」
「出来る範囲でいいよ。僕だって全部はできないし、──こんな家にも住めないかもしれない。僕でいいの?」
「家とか、どうでもいいよ? 外は嫌だけど、屋根があればどこでも。佑樹くんといられるならそれでいいもん」
「僕もどこでもいい。今までより勉強頑張らないと。──学校にいる間は。放課後は楓といたい」

 楓は真顔のまま顔を赤くする。
 こうして二人きりで楓の手料理が出来あがるのを待っていると、もう夫婦生活が始まったような感覚がある。

「楓、電話借りてもいい?」
「うん、いいよ?」
「あのさ、母さんに楓のこと言ってもいいかな?」
「いいの? ちょっと緊張するけど、佑樹くんのお母さんには会ってみたいな」
「楓のことを紹介したい」
「私もいつか紹介したいな。お父さんの反応がちょっと怖いけど」
「怖い人なの……?」
「ううん、全然。でも男の子紹介したら、お父さんって怒りそうじゃない? 『お前のような男に娘をやれるか!』みたいな」
「謝罪から始めれば許してもらえるかな? 僕の方は全然問題ないと思う。むしろ泣いて喜ばれそう」
「そうなんだ……」
「昨日友達の家にいたって言ったら泣いて喜んでたからね。彼女なんて言ったら絶対泣くと思う」
「いい人なんだね、佑樹くんのお母さん」
「どうだろう……悪い人だとは思わないけど」

 喜んでくれると思う。少なくとも怒ったりはしないだろう。
 楓の携帯電話を借りて、自宅の番号を押す。
 まだ門限よりは早い時間なので怒られる要因はないはず。

「あ、母さん? 今日ちょっと遅くなる。晩ご飯もご馳走になるから。──それでさ、今度会って欲しい人がいるんだけど……」
「それってもしかして……」
「うん、彼女ができたんだ。水島楓っていう名前の子」
「水島って……川のむこうの?」
「あ、ああ、そうだけど? 知ってるの?」
「有名よ? この辺の大地主だから」
「納得した……家に連れて行ってもいい?」
「もちろん、あっ! 日にちとか時間は前もって教えてね? 色々用意しないとだから」
「わかった。それじゃあ」

 母さんは嬉しそうな声だった。家に帰ったらいろいろ聞かれてしまうのだろう。
 照れくさい──。
 でも、自慢したい気持ちもある。
 思えば母さんに何かを報告したことは少ない。テストの点数だとか、そういう学生としての業務報告ばかり。息子としての報告は少なかったのだ。
 
「ど、どうだった?」
「嬉しそうだったよ? 楓の家って有名なんだね。この辺の大地主だって母さんが」
「ああ、ご先祖様がすごかったみたい。お父さんたちは弁護士だよ、どっちも」
「弁護士……すごいね?」
「そうだね。ちょっとすごいかも」
 
 胸を張っていた。張っていても大きくはない。可愛らしいサイズだ。
 考えたことなんてほとんどないけど、僕でも弁護士になれるのだろうか。
 
「できたよ。こんな簡単なのでごめんね?」
「あっ、親子丼。僕好きなんだよね。家じゃあんまり出てこないし、嬉しい」
「卵とろとろにしたけど大丈夫? もしあれなら火をもっと通すけど……?」
「ううん、これがいい。母さんがつくると硬いんだよね、卵。僕は基本的に半熟っぽいのが好き」
「私も半熟派なんだ。良かった。食の好みって結構大事な要素だもんね」

 楓の作った親子丼は美味しかった。
 家で作るのと比べて、何か違う感じ。高級な感じというか、味に深みがある。
 だしの味? よくわからなかったけど、僕は三杯おかわりしてしまった。
 行為の後ということもあって食欲が止まらないのだ。悲しいことに僕は三大欲求に忠実だった。きっと帰ってからすぐに寝てしまう。
 楓は口が小さいからか、食べるのが遅い。だけどそんな姿を見ていると幸せな気持ちになる。
 なんというか……愛らしい。

「なんかいいなぁ、こういうの。結婚したら毎日こんな感じなのかな?」
「多分。さっきご飯出来るの待ってる時、僕も思ってた。──やっぱり楓と結婚したいなぁ。落ち着く。料理びっくりするくらい上手いし」
「私も。こんなに美味しそうに食べてくれると作りがいがあるよ。ちょっと先だけど、クリスマスはケーキ作るから二人でお祝いしよう?」
「──え、ケーキって作れるの? 家で?」
「作れるよ? 今年はどんなのにしようかな」
「すごい……買うものだと思ってた」
「買ったほうが楽なんだけどね。でも、デコレーションとかするの好きなんだっ」
「ホント、いいお嫁さんだ……」
「佑樹くんのね?」
「うん。僕のお嫁さんだ」

 こういう発言の方が性行為そのものよりも恥ずかしい。
 しかし、楓は喜んでくれるし、照れくさいけど僕も幸せな気分になる。
 帰りたくない、な……。
 家に帰っても、楓はいないから。
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