竜皇女と呼ばれた娘

Aoi

文字の大きさ
上 下
217 / 233
竜魔決戦編

不可視の攻撃

しおりを挟む
『さて、タネ明かしも済んだし続きといこうか』
『そうだね、あなたにどんな力があろうと私はあなたを倒して仲間を助けに行かなくちゃいけないんだから』
『ならお互い肩慣らしもすんだだろうしそろそろ本気でいこうじゃないか』


そう言うや否や、ミュゼルは攻撃を再開し始めた
しかし先程までと変わらない攻撃、これまで通りにいなして反撃を試みようとヴァイオレットは機を窺った
だがそこで思いもよらぬ出来事が起こる
なんと避けようと見ていたミュゼルの魔法攻撃が途中でいきなり消えてしまったのだ


『えっ!消え……』


不発かと思った次の瞬間、右肩が突如爆発し思わず仰け反ってしまう
それだけではない。目視で確認できていない攻撃が次々とヴァイオレットを襲った


『いったぁ……!なにこれぇ』
『マジックエンチャント"インビジブル"。不可視化する魔法で本来は人に対して使うものだが魔法に付与することで今のを実現しておるんじゃよ』
『そんな使い方があるんだ……』
『まぁ一朝一夕でできる芸当ではないがな。ほれドンドンいくぞ』


魔法攻撃をリキャストタイムなしでバンバン撃ってくるだけでも面倒なのにその上それを不可視化されては対策のしようがなくなってしまう
とにかく動き回って回避を試みようとするヴァイオレット、そこに今度は通常の攻撃を視覚で捉えた


『今度は見える!』
『残念ハズレじゃ』
『うげっ!』


目視できた攻撃をリフレクションで反射しようとしたが、直前で霧散してしまった
そしてリフレクションを張った場所とは真逆の方向から攻撃がやってきて見事にくらってしまう


『今のは形だけ作った偽物じゃ。見事に騙されおったの。かっかっか』
『また面倒事が増えた……』


見えるものが偽物で見えないものが本物、かと思えば今度は見える攻撃も本物だったりとミュゼルに完全に翻弄されてしまう
段々と訳が分からなくなってくるヴァイオレット
致命傷になるような大きなダメージを負わされているわけじゃないが、小賢しい技でチクチクとやられるのは非常にストレスが溜まった
魔力で探知することもできず目で捉えられない
避けるのが困難ならとヴァイオレットはある手段をとることにした


『シルフ、あれお願いしていい?』
『あれ?あーあれね。仕方ないわね、その代わりさっさと終わらせなさいよね』
『分かってる』


攻撃の方に魔力を集中しようと思っていたが、このままでは攻撃をできずまともに近づくこともできない
そこでヴァイオレットは攻撃にではなく回復の方に魔力を集中させることにした


『いくよ……自動回復オートヒール

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~

銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。 少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。 ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。 陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。 その結果――?

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

処理中です...