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竜魔決戦編
被害の状況
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カラミティに着いたヴァイオレットが見たのは仲間達が力なく倒れている姿
目の前の光景を目撃したことで体中の血が沸騰するような感覚に陥った
今までも何度か怒る事はあったが、今回はその比ではない
溢れ出てくる感情の赴くままにヴァイオレットが暴れ出しそうになったその時、脳内でシオリがそれを制止してくる
(落ち着きなさい。あなたが冷静にならないとダメでしょ)
『でも仲間がやられてるんだよ!?』
(その仲間を救う為にやることがあるでしょ。よく見てみなさい)
シオリに言われもう一度仲間達の方に目を向けると、苦しそうにしながらも僅かにまだ動いてることが分かった
ヴァイオレットはそれを見て一目散に駆け寄った
『大丈夫!?』
『この声……ヴァイオレット様……ですか?』
『そうだよ、ここにいる人達は大きな怪我をしてるわけじゃなさそうだけど……何をされたの』
『すみません……ここにいる物は皆……敵の毒で……やられ……て……目ももう……大分霞んで……きてしまって……』
『ここにいる全員そうなの?待ってて!今治してあげるから!シルフ!力を貸して!』
『仕方ないわね』
ヴァイオレットだけでは毒を取り除くことはできないが、シルフの力を借りることによって浄化の魔法を使うことができる
浄化魔法は対象の毒などの状態異常を取り除いてくれる魔法
それを目の前にいる数十人の仲間に一斉にかけていく
そうすると今まで苦しんでいた者達の表情が落ち着いていった
『ありがとうございますヴァイオレット様……』
『とりあえず解毒は済んだね……けど……』
全員に浄化の魔法をかけたが何人か反応しなかった
その者達の状態を確認してみると既に手遅れで二度と目を開けることはなかった
『どうして……』
混ざり合う怒りと悲しみ
負の感情によって頭がどうにかなりそうだったがシオリの言葉を思い出してどうにか平静を取り戻す
いや平静を装うが正解か。本当はこの怒りを今すぐにでも敵にぶつけたいところだったが、それよりも仲間達の安否確認を優先である
ヴァイオレットは仲間から敵が襲ってきた場所を聞き急いで門がある場所へ向かうと、そこには先程よりも多くの仲間達が怪我をして倒れているのを発見した
『皆!』
『おぉ……ヴァイオレット様』
『ヴァイオレット様が来てくれたぞ』
ここでは最前線で戦ってくれた者達が他の者達に手当てをされていて、ヴァイオレットが来たことに反応する者もいれば重傷で寝たままの者もいた
中には家族と思われる者達に抱かれたまま動かない者もいたが、ヴァイオレットは目を背けずに一人一人に声をかけていった
するとその中に一際大きな身体をした者が横たわっていた
『ガオウ!大丈夫!?』
『あぁ……ヴァイオレット様か……グッ……!悪ぃなドジしちまった』
『寝てていいよ』
ガオウの傷は他の者達よりもかなり重く、生きているのが不思議なくらいだった
ヴァイオレットは再びシルフの力を借り治癒の魔法をガオウに施した
傷が癒えていきまともに話せる状態になると、ヴァイオレットはガオウに話を聞くことにした
『ガオウ、何があったのか教えて』
『あぁ、俺達がいつものように過ごしていたら突然人間共が現れて襲ってきたんだ。それで俺ら全員で食い止めてたんだが敵の方が数が多くてよ……このザマってわけだ』
『でもまさかガオウがこれだけの傷を負わされるなんて』
『敵の中に手強いのが数人いてな……面目ねぇ』
『とにかく無事でよかったよ。それでその人間達がいないけど何処に消えた分かる?』
『それがあいつら……ヴァイオレット様がいないと分かったら戦えない仲間を人質にして森の中に消えていったんだ……』
『私を……?』
ガオウからその事を聞いたヴァイオレットは、自分がこの騒動を引き起こした原因だと知り罪悪感に苛まれた
目の前の光景を目撃したことで体中の血が沸騰するような感覚に陥った
今までも何度か怒る事はあったが、今回はその比ではない
溢れ出てくる感情の赴くままにヴァイオレットが暴れ出しそうになったその時、脳内でシオリがそれを制止してくる
(落ち着きなさい。あなたが冷静にならないとダメでしょ)
『でも仲間がやられてるんだよ!?』
(その仲間を救う為にやることがあるでしょ。よく見てみなさい)
シオリに言われもう一度仲間達の方に目を向けると、苦しそうにしながらも僅かにまだ動いてることが分かった
ヴァイオレットはそれを見て一目散に駆け寄った
『大丈夫!?』
『この声……ヴァイオレット様……ですか?』
『そうだよ、ここにいる人達は大きな怪我をしてるわけじゃなさそうだけど……何をされたの』
『すみません……ここにいる物は皆……敵の毒で……やられ……て……目ももう……大分霞んで……きてしまって……』
『ここにいる全員そうなの?待ってて!今治してあげるから!シルフ!力を貸して!』
『仕方ないわね』
ヴァイオレットだけでは毒を取り除くことはできないが、シルフの力を借りることによって浄化の魔法を使うことができる
浄化魔法は対象の毒などの状態異常を取り除いてくれる魔法
それを目の前にいる数十人の仲間に一斉にかけていく
そうすると今まで苦しんでいた者達の表情が落ち着いていった
『ありがとうございますヴァイオレット様……』
『とりあえず解毒は済んだね……けど……』
全員に浄化の魔法をかけたが何人か反応しなかった
その者達の状態を確認してみると既に手遅れで二度と目を開けることはなかった
『どうして……』
混ざり合う怒りと悲しみ
負の感情によって頭がどうにかなりそうだったがシオリの言葉を思い出してどうにか平静を取り戻す
いや平静を装うが正解か。本当はこの怒りを今すぐにでも敵にぶつけたいところだったが、それよりも仲間達の安否確認を優先である
ヴァイオレットは仲間から敵が襲ってきた場所を聞き急いで門がある場所へ向かうと、そこには先程よりも多くの仲間達が怪我をして倒れているのを発見した
『皆!』
『おぉ……ヴァイオレット様』
『ヴァイオレット様が来てくれたぞ』
ここでは最前線で戦ってくれた者達が他の者達に手当てをされていて、ヴァイオレットが来たことに反応する者もいれば重傷で寝たままの者もいた
中には家族と思われる者達に抱かれたまま動かない者もいたが、ヴァイオレットは目を背けずに一人一人に声をかけていった
するとその中に一際大きな身体をした者が横たわっていた
『ガオウ!大丈夫!?』
『あぁ……ヴァイオレット様か……グッ……!悪ぃなドジしちまった』
『寝てていいよ』
ガオウの傷は他の者達よりもかなり重く、生きているのが不思議なくらいだった
ヴァイオレットは再びシルフの力を借り治癒の魔法をガオウに施した
傷が癒えていきまともに話せる状態になると、ヴァイオレットはガオウに話を聞くことにした
『ガオウ、何があったのか教えて』
『あぁ、俺達がいつものように過ごしていたら突然人間共が現れて襲ってきたんだ。それで俺ら全員で食い止めてたんだが敵の方が数が多くてよ……このザマってわけだ』
『でもまさかガオウがこれだけの傷を負わされるなんて』
『敵の中に手強いのが数人いてな……面目ねぇ』
『とにかく無事でよかったよ。それでその人間達がいないけど何処に消えた分かる?』
『それがあいつら……ヴァイオレット様がいないと分かったら戦えない仲間を人質にして森の中に消えていったんだ……』
『私を……?』
ガオウからその事を聞いたヴァイオレットは、自分がこの騒動を引き起こした原因だと知り罪悪感に苛まれた
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