竜皇女と呼ばれた娘

Aoi

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竜魔決戦編

団長と国王

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魔動機竜の完成を確認したアレクサンドロスはとある場所へと向かっているその道中、前からミュゼルがやって来るのを見つけたので声をかけた


『ミュゼル騎士団長』
『おや国王陛下、こんなところで奇遇じゃの』
『先程研究所で例の物を見せてもらった。お主のお陰で素晴らしい出来栄えになっていた。感謝するぞ』
『そうか、妾はただ王都近隣に現れたという竜を倒しただけなのじゃがな。しかしあの竜を倒すのには骨が折れた。まだ若いようだったから助かったがもう少し歳をくっている竜だったら手に負えなかったじゃろうな。かっかっか』


たとえまだ若い竜だったとしても単独で竜を倒せる人間なんて数える程しかいない
そんな実力のあるミュゼルにアレクサンドロスは問いかけた


『ちなみに参考までに聞かせて欲しい。あれには魔法を跳ね返す力があるそうだがあれを破壊することは可能だと思うか?』
『何か懸念する点でもあったのか?』
『いいや、ただこれをぶつけるのは油断出来ない相手。だから竜を倒すことのできる実力があるお主の意見を聞きたいのだ』


いくら強力な兵器といえど何かしらの弱点はある
魔動機竜は今回の戦いの切り札と言っても過言ではない
もしその弱点が工夫でどうにかできるのなら可能な限り対策しておきたかった
ミュゼルは顎を触りながら考える素振りを暫し見せ、自分なりの魔動機竜との戦い方を話し始めた


『ふむ……そうじゃのぉ。あれはミスリルで出来ているそうじゃから正面からいくら魔法を撃ったところで無駄に魔力を消費するだけになる。じゃが竜の動きを再現する為に関節等の可動部まではミスリルに覆われていない。狙うならそこじゃろうな』
『つまりお主ならあれを破壊することができる……そういうことか?』
『まぁの。とはいえその僅かな隙間を狙うのは難しいじゃろうから一筋縄ではいかんだろうな』


これまでミュゼルの功績を見てきているので、その言葉が虚勢ではなく事実を述べていることは分かった
念の為研究員達に今話していた事を伝え、対策出来るのならギリギリまで改良を施してもらうことにした


『助言感謝しよう。それと戦いにはお主にも出てもらうことになるが問題はなかろうな?』
『まぁあの娘とはほんの少しの付き合いじゃしのぉ。それに妾は強い相手と戦えるのなら他の細かいことは些末なことよ』
『お主はそれでいい。任せたぞ』


ミュゼルと話を終え別れた後アレクサンドロスは当初向かっていた場所に再度足を運んだ
その場所はエリザの部屋。部屋の前には普段いない衛兵達が扉の番をしていた
アレクサンドロスがその扉を開けると暗い顔をしたエリザが静かに佇んでいた


『久しぶりだなエリザよ』
『……お父様』

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