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開拓編
悪夢
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洞窟があった場所から移動を開始してから半日が経過した
日が暮れ辺りが真っ暗になってきたので、ヴァイオレット達は移動を中断し森の中で一夜を過ごすことにした
『はぁ……一日歩き続けたけど結局何の手がかりも見つけられなかったね』
『遭遇したのは魔物ばっかりだったね。お陰で食べ物には困らなかったけど』
『そうだね、飲み水も魔法で確保出来るし食料の心配はしなくて大丈夫そう。けどこの味気ないのはどうにかしたいな……』
イグニス達と生活していた頃はこんな感じの野性味溢れる味でも全然気にしたことがなかったが、一度調味料というものを覚えてしまったら物足りなく感じてしまうのも無理はない
贅沢を言える状況でないのは理解している。それでもいつかまた美味い肉が食べられる事を願いながらヴァイオレットは目の前の肉を平らげた
淡白な食事を終えやる事が無くなると、ヴァイオレットは硬い地面に木の葉を敷き詰め寝る準備を始めた
『明日もまた一日歩くことになるだろうから早めに寝よ』
『うん、おやすみヴァイオレット』
ルージュを抱き締めながら目を閉じる
こうすることで心が落ち着き、目を瞑るとすぐに眠りにつくことができた
だがその後、夢の中で見た光景によってヴァイオレットは魘されることとなる
(ほら、今日の餌よ)
(毎日お前の為に用意してあげてるんだから感謝しろよ)
(わ、私……こんなの食べられないです……)
(は?アンタウチらのこと舐めてんの?)
(つべこべ言わずにさっさと食えよ)
ヴァイオレットが見たのは王都でも見た事がない形をした建物、そこで魔法学校の制服に似た服を着ている黒髪の女性が同じ格好をした女性複数人によって虐められている光景だった
女性の前に出された物は人が食べられるとは思えない代物で、四角い箱の中には吐瀉物のようなのが入っていてそこには何の動物か分からない骨に虫の死骸等が混ぜられていた
見ているだけで気分が悪くなるそれを抵抗している黒髪の女性に無理矢理食べさせる
しかし口につけた瞬間女性は吐き出してしまった
(おぇぇぇぇ……!)
(うっわこいつ吐いたよきったねぇな)
(人がせっかく用意した餌を吐くとかサイテー。てかお前のせいで教室汚したんだから早く掃除しろよ)
(ご、ごめんなさい……)
床に飛び散った汚物を掃除し始める黒髪の女性
女性を虐めていた人達はそれを笑いながら見ていて、周りにいた他の人は我関せずと言った様子で完全に無視していた
自分には全く関係の無い人達のやりとり。その筈なのに何故かまるで自分がされているかのような気分になっていた
次第にその光景は自分からどんどん遠ざかっていき、ヴァイオレットはやがて目を覚ました
『ハッ!はぁはぁ……なんなのあれ……もしかしてあの時見た記憶の続き……?夢にまで出てくるなんて本当なんなんだろう』
かなりの寝汗をかいていたようでヴァイオレットの服は湿り気を帯びていた
ふと横を見るとルージュが心配そうな目でこちらの様子を窺っている
『大丈夫ヴァイオレット?何だか凄い苦しそうだったけど』
『ううん、なんでもない。ちょっと変な夢見ちゃっただけだから』
気づけば木々の隙間から陽光が差し始めていた
悪い夢のせいであまり眠れた気がしなかったが悠長に休んでいる暇はない
一度大きく背伸びをした後ヴァイオレット達は二日目の探索を開始した
日が暮れ辺りが真っ暗になってきたので、ヴァイオレット達は移動を中断し森の中で一夜を過ごすことにした
『はぁ……一日歩き続けたけど結局何の手がかりも見つけられなかったね』
『遭遇したのは魔物ばっかりだったね。お陰で食べ物には困らなかったけど』
『そうだね、飲み水も魔法で確保出来るし食料の心配はしなくて大丈夫そう。けどこの味気ないのはどうにかしたいな……』
イグニス達と生活していた頃はこんな感じの野性味溢れる味でも全然気にしたことがなかったが、一度調味料というものを覚えてしまったら物足りなく感じてしまうのも無理はない
贅沢を言える状況でないのは理解している。それでもいつかまた美味い肉が食べられる事を願いながらヴァイオレットは目の前の肉を平らげた
淡白な食事を終えやる事が無くなると、ヴァイオレットは硬い地面に木の葉を敷き詰め寝る準備を始めた
『明日もまた一日歩くことになるだろうから早めに寝よ』
『うん、おやすみヴァイオレット』
ルージュを抱き締めながら目を閉じる
こうすることで心が落ち着き、目を瞑るとすぐに眠りにつくことができた
だがその後、夢の中で見た光景によってヴァイオレットは魘されることとなる
(ほら、今日の餌よ)
(毎日お前の為に用意してあげてるんだから感謝しろよ)
(わ、私……こんなの食べられないです……)
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ヴァイオレットが見たのは王都でも見た事がない形をした建物、そこで魔法学校の制服に似た服を着ている黒髪の女性が同じ格好をした女性複数人によって虐められている光景だった
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見ているだけで気分が悪くなるそれを抵抗している黒髪の女性に無理矢理食べさせる
しかし口につけた瞬間女性は吐き出してしまった
(おぇぇぇぇ……!)
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(人がせっかく用意した餌を吐くとかサイテー。てかお前のせいで教室汚したんだから早く掃除しろよ)
(ご、ごめんなさい……)
床に飛び散った汚物を掃除し始める黒髪の女性
女性を虐めていた人達はそれを笑いながら見ていて、周りにいた他の人は我関せずと言った様子で完全に無視していた
自分には全く関係の無い人達のやりとり。その筈なのに何故かまるで自分がされているかのような気分になっていた
次第にその光景は自分からどんどん遠ざかっていき、ヴァイオレットはやがて目を覚ました
『ハッ!はぁはぁ……なんなのあれ……もしかしてあの時見た記憶の続き……?夢にまで出てくるなんて本当なんなんだろう』
かなりの寝汗をかいていたようでヴァイオレットの服は湿り気を帯びていた
ふと横を見るとルージュが心配そうな目でこちらの様子を窺っている
『大丈夫ヴァイオレット?何だか凄い苦しそうだったけど』
『ううん、なんでもない。ちょっと変な夢見ちゃっただけだから』
気づけば木々の隙間から陽光が差し始めていた
悪い夢のせいであまり眠れた気がしなかったが悠長に休んでいる暇はない
一度大きく背伸びをした後ヴァイオレット達は二日目の探索を開始した
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