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魔法学校編
尋問
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ヴァイオレットが兵士に尋問だと言われ連れてこられたとある一室
そこには既に数人が待ち構えており、ヴァイオレットは引っ張られながら証言台の前に立つ
すると真ん中の長い顎髭を蓄えた年老いている男性がゆっくりと話し始めた
『これより王女殺しの容疑についてお主にいくつか質問をさせてもらう。まずは自分の名前を名乗りなさい』
『えと……ヴァイオレット・カラミティア』
『出身は?』
『うーん、出身はちょっとなんて言えばいいのか……』
『なんだ?言えぬのか?』
『私は物心ついた時から森の中で暮らしていたからどこの出身とかはないの、です』
ありのままを正直に伝えるもそれを聞かされた男は訝しんだ顔で見てくる
そんな顔をされてもそれが真実なのだから仕方がない
『まぁよい……それでは本題へとはいろう。今件のエリザ・アレクサンドロス王女殿下殺害の件について率直に問う。お主は王女殿下をその手にかけたか?』
『そんな事は絶対にしてない』
『ではお主は王女殺しには関与していないと、そう主張すると。では報告にあった試合開始直後に発生した黒い靄は?』
『あれも私じゃない。誰かは分からないけど多分他の誰かの仕業だよ』
『ふむ……つまりお主はあの場で第三者による介入があったと言うのだな』
顎髭を弄りながらヴァイオレットの言い分を聞く老人
ここまで連れてきた兵士はまともに話を聞いてくれようとはしなかったが、この人物であれば気になっていたことを話してくれそうだ
そう思ったヴァイオレットは老人に質問を投げかけた
『あの、王女様は本当に亡くなっちゃったの?どうしてもまだ信じられなくて……』
『なんじゃ聞いておらんのか、王女殿下は無事じゃ。殿下が従えていた魔物の能力により息を吹き返したんじゃ。まだ目は覚めておらんが』
『従魔……あっ!』
頭からすっかり抜け落ちていたが、エリザの従魔不死鳥には主を死から一度だけ救ってくれるという能力がある
それを聞かされたヴァイオレットはホッと胸を撫で下ろした
『そっかぁ、よかったぁ……』
『だが一度襲われ命を奪われたのは紛れもない事実、その件についてはしっかりと白黒をつけないといかん。引き続き質問を続けるぞ』
エリザが生きているということで安心し問いにきちんと答えていこうとしたその時、今まで黙って話を聞いていた数人の者達が口を開いた
『もういいでしょうクラーク殿、この者が犯人で違いありません』
『そうです。あの場にいたのは紛れもなく王女殿下とこの者、そして審判を務めていた男の三人』
『あの場は結界が張られていて外から入ることは不可能、審判員は大会前入念に経歴等調べあげられた人材で犯行。ならば犯人は一人しかいないでしょう』
老人とは違いこの者達はヴァイオレットを始めから犯人として扱っている
一方的な言い分を述べる者達に対し、老人が宥めようとする
『お主達の言っている事は憶測の域を出ないであろう』
『この状況証拠だけで十分でしょう!王女殿下が襲われたのですよ!』
『気持ちは分かるが我々は冷静に話を聞いてしっかりと判断せねばならんのじゃ』
老人がそう言うと、一人がふぅと一つ溜め息をついた後再び口を開いた
『クラーク殿、我々は状況証拠だけでものを言っているわけではありません。しっかりとした証拠があるのです』
『証拠じゃと?』
そこには既に数人が待ち構えており、ヴァイオレットは引っ張られながら証言台の前に立つ
すると真ん中の長い顎髭を蓄えた年老いている男性がゆっくりと話し始めた
『これより王女殺しの容疑についてお主にいくつか質問をさせてもらう。まずは自分の名前を名乗りなさい』
『えと……ヴァイオレット・カラミティア』
『出身は?』
『うーん、出身はちょっとなんて言えばいいのか……』
『なんだ?言えぬのか?』
『私は物心ついた時から森の中で暮らしていたからどこの出身とかはないの、です』
ありのままを正直に伝えるもそれを聞かされた男は訝しんだ顔で見てくる
そんな顔をされてもそれが真実なのだから仕方がない
『まぁよい……それでは本題へとはいろう。今件のエリザ・アレクサンドロス王女殿下殺害の件について率直に問う。お主は王女殿下をその手にかけたか?』
『そんな事は絶対にしてない』
『ではお主は王女殺しには関与していないと、そう主張すると。では報告にあった試合開始直後に発生した黒い靄は?』
『あれも私じゃない。誰かは分からないけど多分他の誰かの仕業だよ』
『ふむ……つまりお主はあの場で第三者による介入があったと言うのだな』
顎髭を弄りながらヴァイオレットの言い分を聞く老人
ここまで連れてきた兵士はまともに話を聞いてくれようとはしなかったが、この人物であれば気になっていたことを話してくれそうだ
そう思ったヴァイオレットは老人に質問を投げかけた
『あの、王女様は本当に亡くなっちゃったの?どうしてもまだ信じられなくて……』
『なんじゃ聞いておらんのか、王女殿下は無事じゃ。殿下が従えていた魔物の能力により息を吹き返したんじゃ。まだ目は覚めておらんが』
『従魔……あっ!』
頭からすっかり抜け落ちていたが、エリザの従魔不死鳥には主を死から一度だけ救ってくれるという能力がある
それを聞かされたヴァイオレットはホッと胸を撫で下ろした
『そっかぁ、よかったぁ……』
『だが一度襲われ命を奪われたのは紛れもない事実、その件についてはしっかりと白黒をつけないといかん。引き続き質問を続けるぞ』
エリザが生きているということで安心し問いにきちんと答えていこうとしたその時、今まで黙って話を聞いていた数人の者達が口を開いた
『もういいでしょうクラーク殿、この者が犯人で違いありません』
『そうです。あの場にいたのは紛れもなく王女殿下とこの者、そして審判を務めていた男の三人』
『あの場は結界が張られていて外から入ることは不可能、審判員は大会前入念に経歴等調べあげられた人材で犯行。ならば犯人は一人しかいないでしょう』
老人とは違いこの者達はヴァイオレットを始めから犯人として扱っている
一方的な言い分を述べる者達に対し、老人が宥めようとする
『お主達の言っている事は憶測の域を出ないであろう』
『この状況証拠だけで十分でしょう!王女殿下が襲われたのですよ!』
『気持ちは分かるが我々は冷静に話を聞いてしっかりと判断せねばならんのじゃ』
老人がそう言うと、一人がふぅと一つ溜め息をついた後再び口を開いた
『クラーク殿、我々は状況証拠だけでものを言っているわけではありません。しっかりとした証拠があるのです』
『証拠じゃと?』
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