竜皇女と呼ばれた娘

Aoi

文字の大きさ
上 下
44 / 103
魔法学校編

躾の首輪

しおりを挟む
炎に焼かれたミュゼルは医務室に運ばれ、その騒ぎの張本人であるルージュは遊び感覚だったのか楽しそうにしていた
ただでさえ竜ということで警戒されているのにさっきので火に油を注ぐ結果となってしまった


『本当に大丈夫なんだろうな?生徒に危害を加えるようなことがあったら子ドラゴンだろうと処分することになるぞ』
『大丈夫大丈夫、私が責任を持って躾けるから。ね?お願いだよー』
『お前だから不安なんだがな……仕方ない、ちょっと待っていろ』


ケーニッヒはヴァイオレットにその場で待つように促すと職員室から出て行ってしまった
ルージュと遊びながら待っていると、暫くしてケーニッヒが何かを持って職員室に戻って来た


『待たせたな、これをそのドラゴンの首に着けておけ』
『何この首輪?』
『これは従属の首輪と言って装着した者は命令に逆らえなくなるんだ。何かあった時にそのドラゴンを止めるのにこの首輪を着けるのがこの学校で過ごす条件だ』
『うーんまぁ仕方ないか』


周りからしたらきっと猛獣が野放しの状態になっているようなものだろう
少し可哀想な気もしたが他人に危害を加えてしまったらもっと酷いことになってしまうので、しっかり躾ができるまではケーニッヒにもらった首輪でルージュを管理することにした
話を終えると教室に戻ってルージュを頭に乗せながら普段通り授業を受けていたが、やはり皆ルージュの事が気になるのかヴァイオレットの方に頻繁に視線が向けられた
それは休み時間も同様で、どこからか噂を聞いたのか他の教室から実物の竜を一度その目で拝みたいという野次馬が集まってきた


『皆凄い見てくるねぇ。そんなに珍しいのかな』
『そりゃドラゴンなんて一生に一度見るかどうかなんだから当たり前でしょ。寧ろドラゴンを見て全く驚かないあなたの方が変だと思うわよ』
『えっ!そ、そんな事ないよー十分驚いてるよ?』
『短い期間とはいえこれだけずっと一緒にいればあなたが嘘を言ってるかどうかすぐ分かるわよ。何か隠してるみたいね』
『うぐっ……それはぁ……』


二頭の竜に育てられてきたからですとは口が裂けても言えない
こんなにちっちゃな子竜でも騒ぎになるのだからイグニスやバシリッサ達の事なんて尚更だろう
しかし友人に隠し事をし続けるのも辛い。ミーシャなら自分の秘密を話しても問題ないだろうか?
打ち明けるかどうかとヴァイオレットが悩んでいると先に口を開いた


『まぁいいわ、誰にだって隠し事の一つや二つあるわよね。変に詮索して悪かったわね』
『う、ううん別に。ホッ……』

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

無敵のツルペタ剣聖

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:263pt お気に入り:8

見た目幼女は精神年齢20歳

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:683

異世界で賢者になったのだが……

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:72

チートなタブレットを持って快適異世界生活

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:489pt お気に入り:14,298

義妹の身代わりに売られた私は大公家で幸せを掴む

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,385pt お気に入り:937

妹が私の婚約者も立場も欲しいらしいので、全てあげようと思います

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:3,159pt お気に入り:3,908

ヒロインのシスコンお兄様は、悪役令嬢を溺愛してはいけません!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,997pt お気に入り:1,088

異世界転生令嬢、出奔する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:15,044pt お気に入り:13,928

処理中です...