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魔法学校編
王女からの申し出
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いきなり国王にエンカウントして焦ったヴァイオレットだったが、寛容な国王のお陰で何事もなくやり過ごすことができ無事部屋に辿り着いた
部屋に着くとテーブルに座るよう促され、座るとそこにはポットとティーカップ、そして茶葉が置かれていた
王女様はそれを手に取ると自らお茶を淹れ始めた
ポットには刻印がされており、そこから僅かに魔力の気配を感じた
どうやらこの刻印によって中に入っている液体の温度を保つ仕組みになっているようだ
魔法が得意なヴァイオレットだが、こういう魔道具の知識には疎いので実に興味深かった
『こちらの茶葉は王宮御用達の最高級茶葉なんですよ。私のお気に入りです』
『へー、いただきます……美味しい!これなら何杯でも飲めそう!』
『どうぞこちらも食べて下さい。うちの菓子職人が焼いたクッキーです』
『こっちも美味しい。手が止まらなくなっちゃうよ~』
クッキーで甘くなった口の中を紅茶でリセット、そしてまたクッキーに手を伸ばす。正に無限ループである
王女様の前だということも忘れて夢中で頬張るヴァイオレット
そんなヴァイオレットを見て王女様が話を切り出してきた
『ヴァイオレットさん、こちらを』
『ん?これは?また違うお菓子?』
『違います。こちらは謝礼金になります』
そう言って王女様が渡してきた小袋の中にはヴァイオレットの知らない硬貨が五枚程入れられていた
『これは?』
『聖金貨を見るのは初めてですか?それ一枚で金貨百枚分の価値があるんですよ』
『ひゃっ……!?』
今自分の手に金貨五百枚分が乗っかっていると思うと途端に手が震えだした
ヴァイオレットにはこんな大金を貰うようなことをした覚えがない為、ただただ戸惑うしかなかった
『王女様、私こんな大金貰うようなことしてないよ?』
『何言ってるんですか、迷宮での一件で私を助けてくれたじゃないですか。それに対してのお礼ですよ』
『えぇ~、気持ちは嬉しいけど私こんなのはいらないよ』
『どうしてですか?』
『だって友達が危険な目に遭ってたら助けるのは当たり前のことでしょ?』
その言葉を聞いた王女様はポカンとした顔を見せる
それを見てやってしまったと思うヴァイオレット
勝手に友達だとか言って王女様の機嫌を損ねてしまったかと慌てふためく
しかしヴァイオレットとの予想とは違い、王女様はふっと笑みを浮かべた
『私の謝礼をそんな理由で断ってきた人はあなたが初めてです』
『え?そうかな?友達だったら普通のことだと思うけど。あっまだ違うけど……』
『私の周りにはそういう人はいませんので』
『いつも一緒にいる人達は違うの?友達でしょ?』
『あの方達は私が王女だから側にいるに過ぎません。友達なんて生まれてこの方いたことなんてありませんよ』
交友関係に困らなそうな王女様だが、意外にも友人はいたことがないという
国のトップの娘ともなるとやはり同じ目線で隣に立てる者は限られてくるのかもしれない
そんな人物と友達になるのはやはり難しいのか
ヴァイオレットがそんな風に考えていると王女様が続けてきた
『けどもしかしたらあなたとならなれるかも……』
『えっ?どういうこと?』
『ヴァイオレットさん、私と……友達になってくれませんか?』
部屋に着くとテーブルに座るよう促され、座るとそこにはポットとティーカップ、そして茶葉が置かれていた
王女様はそれを手に取ると自らお茶を淹れ始めた
ポットには刻印がされており、そこから僅かに魔力の気配を感じた
どうやらこの刻印によって中に入っている液体の温度を保つ仕組みになっているようだ
魔法が得意なヴァイオレットだが、こういう魔道具の知識には疎いので実に興味深かった
『こちらの茶葉は王宮御用達の最高級茶葉なんですよ。私のお気に入りです』
『へー、いただきます……美味しい!これなら何杯でも飲めそう!』
『どうぞこちらも食べて下さい。うちの菓子職人が焼いたクッキーです』
『こっちも美味しい。手が止まらなくなっちゃうよ~』
クッキーで甘くなった口の中を紅茶でリセット、そしてまたクッキーに手を伸ばす。正に無限ループである
王女様の前だということも忘れて夢中で頬張るヴァイオレット
そんなヴァイオレットを見て王女様が話を切り出してきた
『ヴァイオレットさん、こちらを』
『ん?これは?また違うお菓子?』
『違います。こちらは謝礼金になります』
そう言って王女様が渡してきた小袋の中にはヴァイオレットの知らない硬貨が五枚程入れられていた
『これは?』
『聖金貨を見るのは初めてですか?それ一枚で金貨百枚分の価値があるんですよ』
『ひゃっ……!?』
今自分の手に金貨五百枚分が乗っかっていると思うと途端に手が震えだした
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『王女様、私こんな大金貰うようなことしてないよ?』
『何言ってるんですか、迷宮での一件で私を助けてくれたじゃないですか。それに対してのお礼ですよ』
『えぇ~、気持ちは嬉しいけど私こんなのはいらないよ』
『どうしてですか?』
『だって友達が危険な目に遭ってたら助けるのは当たり前のことでしょ?』
その言葉を聞いた王女様はポカンとした顔を見せる
それを見てやってしまったと思うヴァイオレット
勝手に友達だとか言って王女様の機嫌を損ねてしまったかと慌てふためく
しかしヴァイオレットとの予想とは違い、王女様はふっと笑みを浮かべた
『私の謝礼をそんな理由で断ってきた人はあなたが初めてです』
『え?そうかな?友達だったら普通のことだと思うけど。あっまだ違うけど……』
『私の周りにはそういう人はいませんので』
『いつも一緒にいる人達は違うの?友達でしょ?』
『あの方達は私が王女だから側にいるに過ぎません。友達なんて生まれてこの方いたことなんてありませんよ』
交友関係に困らなそうな王女様だが、意外にも友人はいたことがないという
国のトップの娘ともなるとやはり同じ目線で隣に立てる者は限られてくるのかもしれない
そんな人物と友達になるのはやはり難しいのか
ヴァイオレットがそんな風に考えていると王女様が続けてきた
『けどもしかしたらあなたとならなれるかも……』
『えっ?どういうこと?』
『ヴァイオレットさん、私と……友達になってくれませんか?』
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