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魔法学校編
新たな生徒
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王女様の取り巻きである貴族達に嫌がらせをされたことをヴァイオレットはミーシャ達には明かさなかった
実害はなかったしそんな事を相談してミーシャ達まで面倒なことに巻き込んでしまうのは忍びないと思ってのことだ
だがそれとは別で王女様と友達になることは諦めていなかった
あの後もしつこく王女様に声をかけようとしてはその取り巻きの貴族達の妨害を受ける日々を送っていた
『うーん、どうすれば王女様とお友達になれるのかなぁ』
『ヴァイオレットまだ王女様の事諦めてなかったの』
『本人の口から嫌だって言われるまで私は諦めないよ!』
『あなたに最初会った時にハッキリと断られていたような……』
『あれは私の中ではカウントしてないから問題なし!』
『都合良すぎだろ』
『そのうち王女様直々に罰が下されるんじゃない?』
『うーん、そんな様子は全然ないけどなぁ。あっそうだ!これを皆に見てもらえば何か参考になる意見が聞けるかも』
何かを閃いたヴァイオレットは鞄の中から一冊のメモ帳を取り出しミーシャ達に見せた
『何そのメモは』
『これは王女様の一日の行動パターンを記録したものだよ!』
『たまに部屋にいない時があったけどそんな事してたの?勉強しなさいよ……』
『私の調べによると王女様は少食なのか朝はあったかいお茶しか飲まないみたい。昼食や夕食も野菜がメインで鳥を蒸した料理とかと一緒に食べてるよ。甘いものなんて一週間に一度食べるかどうか。それ以外の時間は基本本を読んでるか勉強してるかだね』
『そこまで調べ上げてるの?最早ストーカーじゃんこわっ……』
『というかどうしてあの王女様とそんなに友達になりたいと思ってるの?』
『うーん……なんでだろ。なんか気になるんだよね。まるで他人じゃないみたいな感じがして』
『なにそれ変なの』
ルナにそう言われるがヴァイオレット自身も味わった事のない感覚なのでどう表現すれば上手く伝わるか分からなかった
初めて言葉を交わした時から感じているこの気持ちは一体なんなのか、それを知る為にも王女様とお近づきになりたいと思っている
『まぁヴァイオレットのどうでもいい話は置いといて』
『ひどいっ!』
『今日うちのクラスに新しい生徒が来るみたいよ』
『え?新入生ってこと?この前入学試験したばかりなのに?この学校に編入試験ってあったっけ?』
『違う違う。うちのクラスって全員で三十一人だけど今日まで三十人しなかったじゃない?その三十一人目が今日初登校してくるらしいの』
『へー気づかなかった。なんで今日まで学校に来てなかったんだろ。もうすぐ一回目の試験だっていうのに大丈夫なのかな』
『なんでもその人は王女様の側近みたいよ。しかも首席の王女様に続く次席だって。学校に来ていなかった理由は知らないけど王族に仕えてる人だし色々あるんでしょ』
王女様の側近ということは王女様周辺のガードが更に固くなるということ
その側近というのがどんな人物か分からないがヴァイオレットにとって不都合なのは確かだった
教室に行くと他の生徒達の間でもその話題でも盛り上がっていた
そして鐘の音が鳴るとケーニッヒと共にその生徒が教室に入ってきた
全員の視線が集まるとその者は自己紹介を始めた
『アレクと申します。皆さんより遅れてのスタートとなりますが追いつけるよう精進して参りますのでどうかよろしくお願い致します』
王女様の側近だというアレクなる人物は超がつくほどの美男子だった
女性顔負けのサラサラな髪、そして端正な顔立ち
深々とお辞儀した後に向けてくる笑顔に教室内にいる女生徒の殆どが釘付けにされてしまった
『ちょっと、あの人凄いイケメンじゃない?』
『そりゃあ王女様の側近ですもの。実力だけじゃなくやっぱり外見も釣り合う方じゃないと。それにしても本当にカッコいいわ……』
周りの女生徒達が盛り上がっている中、男性陣の反応は真逆で全く興味がないような素振りを見せていた
かくいうヴァイオレットもアレクという男性を見ても特になんとも思わなかった
『皆ああいう人が好きなんだねぇ』
『ヴァイオレットはああいう人は好みじゃないの?』
『私はお父さんみたいな人がいいんだー。だって私のお父さんの方がずっと強いしかっこいいもん!』
『へぇ、ヴァイオレットの父親ってどんな人なんだ?』
『りゅう!……派を教えてるよ』
『流派?武闘家か何かか?』
『武術の心得はないけどそういう何かを極めた人は素敵かもね』
『あははーそうでしょー』
イースとレイナがいいように解釈してくれたお陰でどうにか誤魔化すことができた
竜に育てられたなんて言ったところで誰も信じるはずがない
信じてもらったとしてもそれはそれで問題になり最悪討伐隊を出されてしまうかもしれない
イグニス達であれば群がってきた蟻を吹き飛ばすかの如く処理するだろうが、あそこはヴァイオレットが育った場所でもあるので棲み処を脅かすような真似はしたくなかった
『まぁ好みかどうかは置いといてヴァイオレットはあの人をどうにかしないと王女様とは友達どころか話すこともできないでしょうね』
『そうだよねぇ……でも私は諦めないよ!』
『諦め悪いわねぇ』
実害はなかったしそんな事を相談してミーシャ達まで面倒なことに巻き込んでしまうのは忍びないと思ってのことだ
だがそれとは別で王女様と友達になることは諦めていなかった
あの後もしつこく王女様に声をかけようとしてはその取り巻きの貴族達の妨害を受ける日々を送っていた
『うーん、どうすれば王女様とお友達になれるのかなぁ』
『ヴァイオレットまだ王女様の事諦めてなかったの』
『本人の口から嫌だって言われるまで私は諦めないよ!』
『あなたに最初会った時にハッキリと断られていたような……』
『あれは私の中ではカウントしてないから問題なし!』
『都合良すぎだろ』
『そのうち王女様直々に罰が下されるんじゃない?』
『うーん、そんな様子は全然ないけどなぁ。あっそうだ!これを皆に見てもらえば何か参考になる意見が聞けるかも』
何かを閃いたヴァイオレットは鞄の中から一冊のメモ帳を取り出しミーシャ達に見せた
『何そのメモは』
『これは王女様の一日の行動パターンを記録したものだよ!』
『たまに部屋にいない時があったけどそんな事してたの?勉強しなさいよ……』
『私の調べによると王女様は少食なのか朝はあったかいお茶しか飲まないみたい。昼食や夕食も野菜がメインで鳥を蒸した料理とかと一緒に食べてるよ。甘いものなんて一週間に一度食べるかどうか。それ以外の時間は基本本を読んでるか勉強してるかだね』
『そこまで調べ上げてるの?最早ストーカーじゃんこわっ……』
『というかどうしてあの王女様とそんなに友達になりたいと思ってるの?』
『うーん……なんでだろ。なんか気になるんだよね。まるで他人じゃないみたいな感じがして』
『なにそれ変なの』
ルナにそう言われるがヴァイオレット自身も味わった事のない感覚なのでどう表現すれば上手く伝わるか分からなかった
初めて言葉を交わした時から感じているこの気持ちは一体なんなのか、それを知る為にも王女様とお近づきになりたいと思っている
『まぁヴァイオレットのどうでもいい話は置いといて』
『ひどいっ!』
『今日うちのクラスに新しい生徒が来るみたいよ』
『え?新入生ってこと?この前入学試験したばかりなのに?この学校に編入試験ってあったっけ?』
『違う違う。うちのクラスって全員で三十一人だけど今日まで三十人しなかったじゃない?その三十一人目が今日初登校してくるらしいの』
『へー気づかなかった。なんで今日まで学校に来てなかったんだろ。もうすぐ一回目の試験だっていうのに大丈夫なのかな』
『なんでもその人は王女様の側近みたいよ。しかも首席の王女様に続く次席だって。学校に来ていなかった理由は知らないけど王族に仕えてる人だし色々あるんでしょ』
王女様の側近ということは王女様周辺のガードが更に固くなるということ
その側近というのがどんな人物か分からないがヴァイオレットにとって不都合なのは確かだった
教室に行くと他の生徒達の間でもその話題でも盛り上がっていた
そして鐘の音が鳴るとケーニッヒと共にその生徒が教室に入ってきた
全員の視線が集まるとその者は自己紹介を始めた
『アレクと申します。皆さんより遅れてのスタートとなりますが追いつけるよう精進して参りますのでどうかよろしくお願い致します』
王女様の側近だというアレクなる人物は超がつくほどの美男子だった
女性顔負けのサラサラな髪、そして端正な顔立ち
深々とお辞儀した後に向けてくる笑顔に教室内にいる女生徒の殆どが釘付けにされてしまった
『ちょっと、あの人凄いイケメンじゃない?』
『そりゃあ王女様の側近ですもの。実力だけじゃなくやっぱり外見も釣り合う方じゃないと。それにしても本当にカッコいいわ……』
周りの女生徒達が盛り上がっている中、男性陣の反応は真逆で全く興味がないような素振りを見せていた
かくいうヴァイオレットもアレクという男性を見ても特になんとも思わなかった
『皆ああいう人が好きなんだねぇ』
『ヴァイオレットはああいう人は好みじゃないの?』
『私はお父さんみたいな人がいいんだー。だって私のお父さんの方がずっと強いしかっこいいもん!』
『へぇ、ヴァイオレットの父親ってどんな人なんだ?』
『りゅう!……派を教えてるよ』
『流派?武闘家か何かか?』
『武術の心得はないけどそういう何かを極めた人は素敵かもね』
『あははーそうでしょー』
イースとレイナがいいように解釈してくれたお陰でどうにか誤魔化すことができた
竜に育てられたなんて言ったところで誰も信じるはずがない
信じてもらったとしてもそれはそれで問題になり最悪討伐隊を出されてしまうかもしれない
イグニス達であれば群がってきた蟻を吹き飛ばすかの如く処理するだろうが、あそこはヴァイオレットが育った場所でもあるので棲み処を脅かすような真似はしたくなかった
『まぁ好みかどうかは置いといてヴァイオレットはあの人をどうにかしないと王女様とは友達どころか話すこともできないでしょうね』
『そうだよねぇ……でも私は諦めないよ!』
『諦め悪いわねぇ』
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