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六十六話 「原因解明」
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回復を行ってくるエルダートレントに対しアッシュ達はめげずに戦闘を繰り広げダメージを与えていった
『今度こそ仕留めてやる!爪撃!』
イズナが意気込んで深手を負っているエルダートレントに向かって攻撃を飛ばす
しかしそれはエルダートレントが生み出した強固な壁によって防がれる
あと一歩というところまでくるとこうして相手がこちらを近づかせないよう壁を築き、破壊する間に回復するので振り出しに戻ってしまう
『あいつまた回復したぞ!これでもう三回目だ!』
これだけのサイズに回復魔法をかけるならそう何度も回復するのは難しいだろうと思っていたが、エルダートレントはその回数を超えても魔力が尽きる様子は見られず余裕すらあるように感じられた
『このままじゃこっちが先に限界を迎えちゃうな・・・何とかしてあの回復を止める手段を考えないと』
相手の回復手段をどうにかして阻止しようとアッシュは一旦攻撃を中断し、エルダートレントをよく観察することにした
エルダートレントが回復している光景を反芻しながら思考を巡らす
そうしている間にもアレッサ達が着々とダメージを与えていく
早く何か打開策を思いつかなければまた回復されてしまうかもしれないと焦っていると、ベルがアッシュの元にやってきた
『主、アイツの魔力なんか変だ』
『変ってどういうこと?』
『回復魔法を使っているはずなのにアイツな魔力が一向に減っていないんだ』
『えっ!?じゃあいくらダメージを与えても意味が無いってこと?』
『何かカラクリがあるかもしれないな』
ベルの言葉で更に混乱してしまう
あれだけ回復して魔力が減っていないわけがない
それこそベルがさっき言ったように一撃で仕留める位のダメージでなければ倒せないということなのだろうか
どうすればいいのかと必死に頭をフル回転させているその時、傷を負ったイズナがクウに回復してもらっている姿が目に入ってきた
『よし、ありがとうなクウちゃん!いくぞ!』
回復を終えたイズナ再びエルダートレントに向かっていく
その光景を見てアッシュは一つある事が気になった
クウが使う治癒、あれは徐々にだが全体の傷を一度に癒してくれる
だがエルダートレントの回復は少し異なっていた
奴の傷が癒える際、下の根元から枝葉にかけて回復していっていた
もしかしたら些細な違いで的外れな予想かもしれない
けれどアッシュはそこに何らかのからくりが隠されているのかもしれないと考えた
そこでアッシュはクウに声をかけた
『クウ!アースクエイクであの魔物の周りの地面を掘り起こせる?』
アッシュの声を聞いたクウは頷くとすぐさま行動に移した
クウにアースクエイクを発動してもらいエルダートレントの周囲の土を操ってもらう
すると異変を感じたエルダートレントがそれを拒むかのように枝に大量に生えている木の葉を雨のように飛ばしてきた
一見ただの木の葉のように見えるが実際は鉄のように硬く、一枚でも直撃したらひとたまりもない
クウにはアースクエイクで引き続き地面を掘り起こしてもらい、アッシュは鞭を使って飛んでくる幾つもの葉を弾き飛ばしクウを守った
そうして暫く地面を掘り起こしているとやがてエルダートレントの根の先の部分が見えてくる
そこには予想だにしていなかった光景があった
『ま、魔物?』
クウが地面を掘り起こした場所から現れたのは樹の根によって捕獲されている魔物達だった
よく見てみるとそのうちの何体かは干からびて力尽きていた
恐らく魔力を消費せず何度も回復を行えていたのはこの捕らえた魔物達の魔力を利用していたからだったのだろう
あとはこの捕らえられている魔物達をエルダートレントから奪うだけだ
『アレッサお願い!』
『任せて!新しく覚えた魔法で・・・フレイム・レイン!』
アレッサは炎の雨を魔物達がいる場所に狙いを定めて浴びせていく
捕らえられていた魔物ごと魔物を拘束していた根が燃えていき、攻撃を食らわせた場所は消し炭となった
エルダートレントはそこで初めて悲鳴のような不気味な奇声をあげた
『ギィエエエエエエエ!!!』
『これで相手の回復手段は無くなったはずだよ。ここは一気に攻めよう!』
『おう!今度こそ息の根を止めてやる!』
『今度こそ仕留めてやる!爪撃!』
イズナが意気込んで深手を負っているエルダートレントに向かって攻撃を飛ばす
しかしそれはエルダートレントが生み出した強固な壁によって防がれる
あと一歩というところまでくるとこうして相手がこちらを近づかせないよう壁を築き、破壊する間に回復するので振り出しに戻ってしまう
『あいつまた回復したぞ!これでもう三回目だ!』
これだけのサイズに回復魔法をかけるならそう何度も回復するのは難しいだろうと思っていたが、エルダートレントはその回数を超えても魔力が尽きる様子は見られず余裕すらあるように感じられた
『このままじゃこっちが先に限界を迎えちゃうな・・・何とかしてあの回復を止める手段を考えないと』
相手の回復手段をどうにかして阻止しようとアッシュは一旦攻撃を中断し、エルダートレントをよく観察することにした
エルダートレントが回復している光景を反芻しながら思考を巡らす
そうしている間にもアレッサ達が着々とダメージを与えていく
早く何か打開策を思いつかなければまた回復されてしまうかもしれないと焦っていると、ベルがアッシュの元にやってきた
『主、アイツの魔力なんか変だ』
『変ってどういうこと?』
『回復魔法を使っているはずなのにアイツな魔力が一向に減っていないんだ』
『えっ!?じゃあいくらダメージを与えても意味が無いってこと?』
『何かカラクリがあるかもしれないな』
ベルの言葉で更に混乱してしまう
あれだけ回復して魔力が減っていないわけがない
それこそベルがさっき言ったように一撃で仕留める位のダメージでなければ倒せないということなのだろうか
どうすればいいのかと必死に頭をフル回転させているその時、傷を負ったイズナがクウに回復してもらっている姿が目に入ってきた
『よし、ありがとうなクウちゃん!いくぞ!』
回復を終えたイズナ再びエルダートレントに向かっていく
その光景を見てアッシュは一つある事が気になった
クウが使う治癒、あれは徐々にだが全体の傷を一度に癒してくれる
だがエルダートレントの回復は少し異なっていた
奴の傷が癒える際、下の根元から枝葉にかけて回復していっていた
もしかしたら些細な違いで的外れな予想かもしれない
けれどアッシュはそこに何らかのからくりが隠されているのかもしれないと考えた
そこでアッシュはクウに声をかけた
『クウ!アースクエイクであの魔物の周りの地面を掘り起こせる?』
アッシュの声を聞いたクウは頷くとすぐさま行動に移した
クウにアースクエイクを発動してもらいエルダートレントの周囲の土を操ってもらう
すると異変を感じたエルダートレントがそれを拒むかのように枝に大量に生えている木の葉を雨のように飛ばしてきた
一見ただの木の葉のように見えるが実際は鉄のように硬く、一枚でも直撃したらひとたまりもない
クウにはアースクエイクで引き続き地面を掘り起こしてもらい、アッシュは鞭を使って飛んでくる幾つもの葉を弾き飛ばしクウを守った
そうして暫く地面を掘り起こしているとやがてエルダートレントの根の先の部分が見えてくる
そこには予想だにしていなかった光景があった
『ま、魔物?』
クウが地面を掘り起こした場所から現れたのは樹の根によって捕獲されている魔物達だった
よく見てみるとそのうちの何体かは干からびて力尽きていた
恐らく魔力を消費せず何度も回復を行えていたのはこの捕らえた魔物達の魔力を利用していたからだったのだろう
あとはこの捕らえられている魔物達をエルダートレントから奪うだけだ
『アレッサお願い!』
『任せて!新しく覚えた魔法で・・・フレイム・レイン!』
アレッサは炎の雨を魔物達がいる場所に狙いを定めて浴びせていく
捕らえられていた魔物ごと魔物を拘束していた根が燃えていき、攻撃を食らわせた場所は消し炭となった
エルダートレントはそこで初めて悲鳴のような不気味な奇声をあげた
『ギィエエエエエエエ!!!』
『これで相手の回復手段は無くなったはずだよ。ここは一気に攻めよう!』
『おう!今度こそ息の根を止めてやる!』
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