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六十五話 「長期戦」
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エルダートレントとの長期戦を繰り広げるアッシュ達
既に前のダンジョンボスと戦っていた時間はとっくに越えた
それでもエルダートレントに与えたダメージはようやく半分程度といったところか
相手はその場から動いてこない上的がデカイので躱されるということはないが、咄嗟に現れる防御壁が厄介だった
『アレッサ、イズナ大丈夫?ずっと動きっぱなしだし魔法も結構使ってるけど』
『これ位なんてことはない。そっちこそへバるんじゃないぞ』
『私も大丈夫だよ』
全員まだ余力は残っている。ベルとの特訓で鍛えられたお陰だ
イズナも序盤から前線を張ってくれているにも関わらず息一つ乱れていない
時間はかかるがこのままいけばダンジョンボスを倒せるはず
そう思っていると今までただ枝や根で攻撃しているだけだったエルダートレントが攻撃方法を変えてきた
相手は枝を激しく揺らし始めると、上空に黄色い花粉のようなものを舞い上げた
『あの粉はヤバそうだ!吸い込むなよ!』
イズナがあの粉を瞬時に危険と察知し報告してくる
黄色い粉は広範囲に渡り回避は困難、そこでアレッサが魔法を使って対抗した
『私に任せて!ハリケーン!』
アレッサが新しく覚えた風魔法で巨大な竜巻を発生させ、降り掛かってきた黄色い粉を舞い上げ拡散する
『ありがとうアレッサ!』
『待って、まだ何かくるよ!』
エルダートレントの方に目を向けると再び枝を大きく揺らしていた
次の攻撃に身を構えていると今度は上から無数の木の実のようなものがアッシュとイズナの周り目掛けて落としてきた
先程の攻撃同様あれもただの木の実ではないのは間違いないだろう
『とにかく当たらないように避けないと』
降り注ぐ木の実をアッシュは回避する
しかし上から落ちてきた物体が地面に触れた瞬間、突然爆発が起きた
『アッシュ君!』
アッシュは爆発に巻き込まれ爆煙に飲み込まれた
しくじった。そう思ったが体に痛みはなく気づけばアッシュは上空にいた
『ったく、世話の焼ける主だぜ』
『ありがとう、助かったよベル』
ベルが咄嗟の判断で駆けつけて助けてくれたようだ
まさか木の実が爆発するとは。油断しているつもりはなかったが警戒が足りなかったようだ
今のところエルダートレントの攻撃手段は根の操ってくる攻撃と先程の黄色い粉、そして今の木の実の爆発
まだ他にも攻撃手段は隠されているかもしれないことを考慮しつつ、今までより気を引き締めて戦闘に臨んだ
それからもアッシュ達はエルダートレントに地道にダメージを重ねていき、あともう一押しというところまで追い詰めた
『ふっ、手こずりはしたがダンジョンボスにしては案外大したことなかったな』
『まだ何か隠してるかもしれないから最後まで気を緩めないでいこう』
かなりタフな相手ではあったがイズナの言う通り想像を大きく超えてくるようなことはなかった
自分達の実力がこのダンジョンに来てから格段に上がったことも大きな要因だろうが、こんなあっさりと倒せてしまっていいのだろうか
違和感を覚えつつもあともう一息のところまできている
ここは一気に攻撃を仕掛けようとしたその瞬間、エルダートレントに異変が起こる
突然エルダートレントの周囲の地面が光り出した
『なんだ?何が起こってるんだ?』
また何かの攻撃かと警戒しながらエルダートレントの様子を窺う
すると今までアッシュ達が苦労して与えていた傷がなんと回復していっていた
光が収束した頃にはエルダートレントは完全に回復した状態に戻ってしまっていた
『この魔物回復魔法が使えたんだ・・・』
『おいふざけるな!せっかく苦労してダメージを与えていったのに!回復するなんて卑怯だぞ!』
『いやまぁそれは僕達もなんだけどね。けどこれは確かに辛いね』
つべこべ文句を言ってもこの状況がどうにかなるわけではないのでとにかくもう一度ダメージを与えるしかないが、これまで地道に与えてきたダメージが一気に回復されてしまうと流石に精神的にくるものがある
だがあれだけの傷を回復させる魔法はそう何度も使えないはず
アッシュが再びエルダートレントに立ち向かおうとすると、背後でサポートを任せていたベルが口を開く
『主、オイラなら一撃で終わらせることが出来るぞ』
確かにベルが攻撃に加わってくれれば相手に回復される隙すら与えずに倒すことができるだろう
だがそれでは真の意味でダンジョンボスを攻略したと胸を張って言えない
『ベルはこれまで通りサポートをお願い。このダンジョンボスはできるだけ自分達の力だけで倒したいんだ』
『そうか。けど危なくなったら言うんだぞ』
ベルにそう告げたアッシュはエルダートレントへと向き直り、イズナ達が繰り広げている戦いの中へと入っていった
既に前のダンジョンボスと戦っていた時間はとっくに越えた
それでもエルダートレントに与えたダメージはようやく半分程度といったところか
相手はその場から動いてこない上的がデカイので躱されるということはないが、咄嗟に現れる防御壁が厄介だった
『アレッサ、イズナ大丈夫?ずっと動きっぱなしだし魔法も結構使ってるけど』
『これ位なんてことはない。そっちこそへバるんじゃないぞ』
『私も大丈夫だよ』
全員まだ余力は残っている。ベルとの特訓で鍛えられたお陰だ
イズナも序盤から前線を張ってくれているにも関わらず息一つ乱れていない
時間はかかるがこのままいけばダンジョンボスを倒せるはず
そう思っていると今までただ枝や根で攻撃しているだけだったエルダートレントが攻撃方法を変えてきた
相手は枝を激しく揺らし始めると、上空に黄色い花粉のようなものを舞い上げた
『あの粉はヤバそうだ!吸い込むなよ!』
イズナがあの粉を瞬時に危険と察知し報告してくる
黄色い粉は広範囲に渡り回避は困難、そこでアレッサが魔法を使って対抗した
『私に任せて!ハリケーン!』
アレッサが新しく覚えた風魔法で巨大な竜巻を発生させ、降り掛かってきた黄色い粉を舞い上げ拡散する
『ありがとうアレッサ!』
『待って、まだ何かくるよ!』
エルダートレントの方に目を向けると再び枝を大きく揺らしていた
次の攻撃に身を構えていると今度は上から無数の木の実のようなものがアッシュとイズナの周り目掛けて落としてきた
先程の攻撃同様あれもただの木の実ではないのは間違いないだろう
『とにかく当たらないように避けないと』
降り注ぐ木の実をアッシュは回避する
しかし上から落ちてきた物体が地面に触れた瞬間、突然爆発が起きた
『アッシュ君!』
アッシュは爆発に巻き込まれ爆煙に飲み込まれた
しくじった。そう思ったが体に痛みはなく気づけばアッシュは上空にいた
『ったく、世話の焼ける主だぜ』
『ありがとう、助かったよベル』
ベルが咄嗟の判断で駆けつけて助けてくれたようだ
まさか木の実が爆発するとは。油断しているつもりはなかったが警戒が足りなかったようだ
今のところエルダートレントの攻撃手段は根の操ってくる攻撃と先程の黄色い粉、そして今の木の実の爆発
まだ他にも攻撃手段は隠されているかもしれないことを考慮しつつ、今までより気を引き締めて戦闘に臨んだ
それからもアッシュ達はエルダートレントに地道にダメージを重ねていき、あともう一押しというところまで追い詰めた
『ふっ、手こずりはしたがダンジョンボスにしては案外大したことなかったな』
『まだ何か隠してるかもしれないから最後まで気を緩めないでいこう』
かなりタフな相手ではあったがイズナの言う通り想像を大きく超えてくるようなことはなかった
自分達の実力がこのダンジョンに来てから格段に上がったことも大きな要因だろうが、こんなあっさりと倒せてしまっていいのだろうか
違和感を覚えつつもあともう一息のところまできている
ここは一気に攻撃を仕掛けようとしたその瞬間、エルダートレントに異変が起こる
突然エルダートレントの周囲の地面が光り出した
『なんだ?何が起こってるんだ?』
また何かの攻撃かと警戒しながらエルダートレントの様子を窺う
すると今までアッシュ達が苦労して与えていた傷がなんと回復していっていた
光が収束した頃にはエルダートレントは完全に回復した状態に戻ってしまっていた
『この魔物回復魔法が使えたんだ・・・』
『おいふざけるな!せっかく苦労してダメージを与えていったのに!回復するなんて卑怯だぞ!』
『いやまぁそれは僕達もなんだけどね。けどこれは確かに辛いね』
つべこべ文句を言ってもこの状況がどうにかなるわけではないのでとにかくもう一度ダメージを与えるしかないが、これまで地道に与えてきたダメージが一気に回復されてしまうと流石に精神的にくるものがある
だがあれだけの傷を回復させる魔法はそう何度も使えないはず
アッシュが再びエルダートレントに立ち向かおうとすると、背後でサポートを任せていたベルが口を開く
『主、オイラなら一撃で終わらせることが出来るぞ』
確かにベルが攻撃に加わってくれれば相手に回復される隙すら与えずに倒すことができるだろう
だがそれでは真の意味でダンジョンボスを攻略したと胸を張って言えない
『ベルはこれまで通りサポートをお願い。このダンジョンボスはできるだけ自分達の力だけで倒したいんだ』
『そうか。けど危なくなったら言うんだぞ』
ベルにそう告げたアッシュはエルダートレントへと向き直り、イズナ達が繰り広げている戦いの中へと入っていった
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