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二十六話 「最奥到達」
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ミノタウロスを倒した後ダンジョンから帰ってきたアッシュ達
いつものように換金をしに組合所にやってきたが、今回は魔石以外のものもあった
『まさかこんなものまで手に入ってしまうなんて・・・』
『お肉が光っているように見えます・・・』
アッシュ達が手に入れたのはミノタウロスから超低確率でドロップすると言われている肉の塊。通称"ミノ肉"
ミノタウロスからとれるこの肉は筋肉質な見た目からは想像できない程柔らかく熟成肉のような旨味があり、一度食べると病みつきになると言われている程で美食家の間では有名な肉だ
普通の牛とは比べ物にならない値で取引され、百グラムあたり金貨一枚はする
今手にしている肉は持った感じ五kg近くはある
つまりこの肉だけで金貨五十枚相当はあるということだ
『これってそんな高級なお肉だったんですか・・・ど、どうします?少しだけ切って食べてみます?』
『いえ・・・残念ですけどこれは食べられません』
確かに非常に美味い肉として有名なミノ肉だが、それはその肉を調理できる者がいてこそ
ミノ肉は特殊な肉で決められた調理法で調理しないと肉質が格段に落ちて不味くなってしまう
調理ができるのは本当に高級な店で働いている料理人位なものでこの町にミノ肉の調理ができる者はいないだろう
高級肉を前にして食べられないというのは生殺しだが諦めるしかない
換金することはできるのだから今回はそれで十分だ
ドロップアイテムのミノ肉と魔石を換金したことでアッシュ達の財布は一気に潤った
そのお金でモリンの店に行ってアイテム類を購入
生産数自体少なくて高価ではあったが貴重なマナポーションも手に入れることができた
何本も買っていたらあっという間にお金が無くなってしまうので、保険として一本だけ購入しておくことに
それからアッシュ達は数日かけて七階層を突破、更に数週間の間に八、九階層の攻略を進めていき遂にダンジョンボスが存在する扉の前まで到達した
『とうとうここまで来ましたね』
『ここがダンジョンボスの部屋ですか。今までとは違う雰囲気をこの奥から感じますね』
ミノタウロスとの一戦後、アッシュは今までよりも相手の動きを捉えられるようになり自身が強くなったことを実感
お陰でミノタウロスと同じ強さの魔物が相手でも臆せず戦闘で勝利を収めることができた
だからこそこの奥にいる魔物が今までとは違う雰囲気を放っているのを扉の向こうからでも感じた
念入りな準備をしてから挑まないと痛い目に遭う
アッシュ達はそのまま挑むことはせず、一旦態勢を整えてからダンジョンボスに挑むことに決めた
帰る途中、別の冒険者パーティとすれ違った
アッシュ達のような小規模パーティと違い前衛、後衛の構成のバランスがしっかりととれたパーティ
アッシュ達も欲を言えば前衛に盾役と後衛に支援できる者がいればあのままダンジョンボスに挑んでも勝てたかもしれないが、ないものねだりをしても仕方がない
その翌日、前日しっかりとダンジョンボスに向けての準備を整えたアッシュ達はいつも以上に気合が入っていた
『今日は頑張りましょうね!』
『はい!打ち合わせた通りにいけばきっと上手くいくはずです』
事前に練っていた作戦を再確認しながらダンジョンを目指す三人はやがて冒険者組合の前までやって来る
すると組合所の中が何やら異様な盛り上がりを見せていたので中を覗いてみると、朝から酒を浴びるように飲んでいる冒険者達の姿を見つけた
昼間から飲んでいる者はよく見かけたが、朝からというのは非常に珍しい
普段とは違う様子が気になったアッシュは受付にいるナタリアに聞いてみることにした
『おはようございますナタリアさん。あそこの人達随分と盛り上がっているみたいですが何かあったんですか?』
『あぁ、あの方達は昨日ダンジョンボスを倒したそうですよ』
『えっ、ダンジョンボスを倒したんですか?』
そう言われてもう一度その冒険者達の顔を確認してみると、その者達は昨日アッシュ達が帰る際にすれ違ったあのパーティだった
その者達の手の甲には確かにダンジョンを攻略した証である紋様が刻まれていた
ダンジョンを攻略するとあのように紋様が刻まれ、次のダンジョンに入る資格が与えられる
どうやら先を越されてしまったようだ
ダンジョンボスは階層にいる魔物と違い復活に時間がかかる
昨日倒されたということは復活に凡そ一週間は要することになるだろう
一週間ともなると今のモチベーションを維持するのは難しい
だからといってこちらの都合でダンジョンボスが早く復活するわけでもないので、その間は何か別の事をして時間を潰すしかない
この事を外で待機していたアレッサとクウにも伝えた
『ダンジョンボスが復活するまではダンジョンで個々のレベルアップでもしますか?』
『そうですね、それも大切ですが・・・アッシュさん、この機会にそろそろ防具の方を買い替えてみてはどうですか?剣の時もですがそれもかなり使っていますよね?』
アレッサの言う通り確かにかなりガタがきているのは事実
サイズも丁度よく愛着があったから使い続けていたが、これでダンジョンボスに挑むのは心許ないとは薄々感じていた
今ちょうど手元には何か使い道があるかと思い換金しないで取っておいた魔物のドロップ素材があるので、それを使って新しい防具ができそうだった
アッシュはアレッサに勧められたこともあり防具の新調を決めた
いつものように換金をしに組合所にやってきたが、今回は魔石以外のものもあった
『まさかこんなものまで手に入ってしまうなんて・・・』
『お肉が光っているように見えます・・・』
アッシュ達が手に入れたのはミノタウロスから超低確率でドロップすると言われている肉の塊。通称"ミノ肉"
ミノタウロスからとれるこの肉は筋肉質な見た目からは想像できない程柔らかく熟成肉のような旨味があり、一度食べると病みつきになると言われている程で美食家の間では有名な肉だ
普通の牛とは比べ物にならない値で取引され、百グラムあたり金貨一枚はする
今手にしている肉は持った感じ五kg近くはある
つまりこの肉だけで金貨五十枚相当はあるということだ
『これってそんな高級なお肉だったんですか・・・ど、どうします?少しだけ切って食べてみます?』
『いえ・・・残念ですけどこれは食べられません』
確かに非常に美味い肉として有名なミノ肉だが、それはその肉を調理できる者がいてこそ
ミノ肉は特殊な肉で決められた調理法で調理しないと肉質が格段に落ちて不味くなってしまう
調理ができるのは本当に高級な店で働いている料理人位なものでこの町にミノ肉の調理ができる者はいないだろう
高級肉を前にして食べられないというのは生殺しだが諦めるしかない
換金することはできるのだから今回はそれで十分だ
ドロップアイテムのミノ肉と魔石を換金したことでアッシュ達の財布は一気に潤った
そのお金でモリンの店に行ってアイテム類を購入
生産数自体少なくて高価ではあったが貴重なマナポーションも手に入れることができた
何本も買っていたらあっという間にお金が無くなってしまうので、保険として一本だけ購入しておくことに
それからアッシュ達は数日かけて七階層を突破、更に数週間の間に八、九階層の攻略を進めていき遂にダンジョンボスが存在する扉の前まで到達した
『とうとうここまで来ましたね』
『ここがダンジョンボスの部屋ですか。今までとは違う雰囲気をこの奥から感じますね』
ミノタウロスとの一戦後、アッシュは今までよりも相手の動きを捉えられるようになり自身が強くなったことを実感
お陰でミノタウロスと同じ強さの魔物が相手でも臆せず戦闘で勝利を収めることができた
だからこそこの奥にいる魔物が今までとは違う雰囲気を放っているのを扉の向こうからでも感じた
念入りな準備をしてから挑まないと痛い目に遭う
アッシュ達はそのまま挑むことはせず、一旦態勢を整えてからダンジョンボスに挑むことに決めた
帰る途中、別の冒険者パーティとすれ違った
アッシュ達のような小規模パーティと違い前衛、後衛の構成のバランスがしっかりととれたパーティ
アッシュ達も欲を言えば前衛に盾役と後衛に支援できる者がいればあのままダンジョンボスに挑んでも勝てたかもしれないが、ないものねだりをしても仕方がない
その翌日、前日しっかりとダンジョンボスに向けての準備を整えたアッシュ達はいつも以上に気合が入っていた
『今日は頑張りましょうね!』
『はい!打ち合わせた通りにいけばきっと上手くいくはずです』
事前に練っていた作戦を再確認しながらダンジョンを目指す三人はやがて冒険者組合の前までやって来る
すると組合所の中が何やら異様な盛り上がりを見せていたので中を覗いてみると、朝から酒を浴びるように飲んでいる冒険者達の姿を見つけた
昼間から飲んでいる者はよく見かけたが、朝からというのは非常に珍しい
普段とは違う様子が気になったアッシュは受付にいるナタリアに聞いてみることにした
『おはようございますナタリアさん。あそこの人達随分と盛り上がっているみたいですが何かあったんですか?』
『あぁ、あの方達は昨日ダンジョンボスを倒したそうですよ』
『えっ、ダンジョンボスを倒したんですか?』
そう言われてもう一度その冒険者達の顔を確認してみると、その者達は昨日アッシュ達が帰る際にすれ違ったあのパーティだった
その者達の手の甲には確かにダンジョンを攻略した証である紋様が刻まれていた
ダンジョンを攻略するとあのように紋様が刻まれ、次のダンジョンに入る資格が与えられる
どうやら先を越されてしまったようだ
ダンジョンボスは階層にいる魔物と違い復活に時間がかかる
昨日倒されたということは復活に凡そ一週間は要することになるだろう
一週間ともなると今のモチベーションを維持するのは難しい
だからといってこちらの都合でダンジョンボスが早く復活するわけでもないので、その間は何か別の事をして時間を潰すしかない
この事を外で待機していたアレッサとクウにも伝えた
『ダンジョンボスが復活するまではダンジョンで個々のレベルアップでもしますか?』
『そうですね、それも大切ですが・・・アッシュさん、この機会にそろそろ防具の方を買い替えてみてはどうですか?剣の時もですがそれもかなり使っていますよね?』
アレッサの言う通り確かにかなりガタがきているのは事実
サイズも丁度よく愛着があったから使い続けていたが、これでダンジョンボスに挑むのは心許ないとは薄々感じていた
今ちょうど手元には何か使い道があるかと思い換金しないで取っておいた魔物のドロップ素材があるので、それを使って新しい防具ができそうだった
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