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二十一話 「同室生活の幕開け」
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アレッサを正式なパーティメンバーとして迎えたアッシュ達はそれから順調にダンジョンの攻略を進めていった
男達の件は念の為組員に報告したが、目撃者がアッシュ達しかいない為罰することは出来なかった
けれど前から問題行動が多い一団だったようで、これまで以上に目を光らせてくれるとのことだったのでアレッサに再び絡んでくるような事はしてこないだろう
『今日はこの辺りまでにしておきますか』
『そうですね』
アッシュ達は現在六階層の攻略中
アッシュとクウだけで三階層に挑もうとしていたところにアレッサが加わってくれたことで、三階層は言わずもがな四、五階層と余裕を持って攻略
今日やって来た六階層は初めてだったので偵察に来ていた
やはりメンバーが一人増えるだけで効率は大分上がる
アレッサがパーティに加わってくれて本当に助かっている
六階層攻略の計画を練りながら魔石の換金をしに冒険者組合にやって来ると、アッシュ達を見た周りの冒険者がザワついた
『おい見ろ・・・』
組合所に来ると毎回こうして多くの視線がアッシュ達に集中した
理由は言うまでもない。あれから日は経ちこれでも大分落ち着いた方ではあるが、まだほとぼりは冷めていない
だがもうそんな視線は二人共気にもとめていない
どう思われようと危害を加えてこない限り基本スルー
言いたい者には言わせておけばいいのだ
『合計で金貨四枚になります。本日もお疲れ様でした』
『ありがとうございますモリンさん』
いつものようにモリンから換金したお金を受け取る
モリンもアレッサの噂を耳にしているだろうが、これまでと接し方は変わらずに対応してくれている
そういう根拠のない話は信じない質のようでアレッサの事もよく気にかけてくれていた
女性同士でしか話せない内容もあるだろうし非常に助かっている
『じゃあ今日はこれで解散ですね。また明日お願いします』
『アッシュさん、ちょっといいですか?』
『なんですか?』
配分を済ませ宿に帰ろうとするとアレッサが呼び止めてきた
表情からして何か言いたいことがあるのだろうと尋てみると、アレッサは突飛な事を言い出した
『これからは一緒の部屋に泊まりませんか?』
『・・・・はい?』
その言葉でアッシュの動きがピタリと止まる
アレッサは確かに今自分に同じ部屋に泊まろうと言ってきた
前触れもなくいきなりそんな提案をされたのでアッシュは即座に答えることができなかった
その間にアレッサが続ける
『このお金は私達の共有ですよね。なのにわざわざ別々に宿を泊まっていたら勿体ないじゃないですか。二人部屋の方が安いですからこれからは同じ部屋に泊まりましょう』
アレッサの言い分は尤もだ
だがそれでも年頃の男女が同じ空間で寝泊まりするということにやはり思うところがあった
それに二人で同じ部屋に泊まっていることを他の冒険者に知られたらまたあらぬ誤解が・・・いやそれはもう今更か
これからのダンジョン攻略に今まで以上のお金が必要になってくるのも事実
長い葛藤の末アッシュが出した結論は後者だった
『分かりました・・・』
『決まりですね!じゃあアッシュさんが泊まっている宿に向かいましょうか』
アレッサはパーティの事を考えて言ってくれている
変な想像はそれこそ失礼というものだ
宿屋に到着すると店主に早速二人部屋を用意してもらった
提案を受け入れておいてなんだが最近男に関してのトラブルがあったばかりだというのにアレッサは自分と一緒の部屋で大丈夫なのだろうか
もしかして自分は異性として見られていない?
アレッサと大して身長も変わらず同年代の男性と比べて体も細い
そう考えると不思議と緊張は吹き飛び、代わりに切なさを感じた
だがその気持ちも部屋に入った途端どこかへいってしまった
普段から利用している者なら特別豪華というわけでもなくどこにでもあるような部屋だと思うだろう
だが今まで納屋生活を送っていたアッシュからしたら素晴らしいの一言に尽きた
『はぁ~・・・ふかふかのベッドだ。納屋の藁の上で寝てた時とは全然違う』
『アッシュさん、ちょっといいですか?』
アッシュが我を忘れベッドを堪能しているところにアレッサが再び声をかけてくる
また何か突飛な事を言い出すのではないかと警戒していると、鞄を漁り始め中から短剣を手渡してきた
『アッシュさんが今使っている短剣ってかなり使い込んでいますよね。使い慣れた剣の方がいいかなって思ったんですけど他に思いつかなくて・・・』
確かに最近切れ味が落ちてきていてこれまで問題なく倒していた魔物にも中々刃が通らず苦戦することがあった
今使っている短剣はアッシュが冒険者になりたての頃に買ったものでそれからもう随分と経っている
自分で手入れはして何とか誤魔化していたが、それも限界がきていたのでそろそろ買い替えようか迷っていたところだった
『あっ、お金!幾らでしたか?』
『いりませんよ、これは私の感謝の気持ちですから。なので気にせず受け取って下さい』
『アレッサさん・・・ありがとうございます!早速明日から使わせてもらいますね!』
アッシュはアレッサからのサプライズで新しい剣を手に入れた
感謝の気持ちと言うがこちらこそパーティを組んでくれた事に感謝している
いつかお返しをしなければと考えながら明日のダンジョン攻略で貰った剣を使うのを楽しみにしつつ、その日は柔らかなベッドで心地よい眠りについた
男達の件は念の為組員に報告したが、目撃者がアッシュ達しかいない為罰することは出来なかった
けれど前から問題行動が多い一団だったようで、これまで以上に目を光らせてくれるとのことだったのでアレッサに再び絡んでくるような事はしてこないだろう
『今日はこの辺りまでにしておきますか』
『そうですね』
アッシュ達は現在六階層の攻略中
アッシュとクウだけで三階層に挑もうとしていたところにアレッサが加わってくれたことで、三階層は言わずもがな四、五階層と余裕を持って攻略
今日やって来た六階層は初めてだったので偵察に来ていた
やはりメンバーが一人増えるだけで効率は大分上がる
アレッサがパーティに加わってくれて本当に助かっている
六階層攻略の計画を練りながら魔石の換金をしに冒険者組合にやって来ると、アッシュ達を見た周りの冒険者がザワついた
『おい見ろ・・・』
組合所に来ると毎回こうして多くの視線がアッシュ達に集中した
理由は言うまでもない。あれから日は経ちこれでも大分落ち着いた方ではあるが、まだほとぼりは冷めていない
だがもうそんな視線は二人共気にもとめていない
どう思われようと危害を加えてこない限り基本スルー
言いたい者には言わせておけばいいのだ
『合計で金貨四枚になります。本日もお疲れ様でした』
『ありがとうございますモリンさん』
いつものようにモリンから換金したお金を受け取る
モリンもアレッサの噂を耳にしているだろうが、これまでと接し方は変わらずに対応してくれている
そういう根拠のない話は信じない質のようでアレッサの事もよく気にかけてくれていた
女性同士でしか話せない内容もあるだろうし非常に助かっている
『じゃあ今日はこれで解散ですね。また明日お願いします』
『アッシュさん、ちょっといいですか?』
『なんですか?』
配分を済ませ宿に帰ろうとするとアレッサが呼び止めてきた
表情からして何か言いたいことがあるのだろうと尋てみると、アレッサは突飛な事を言い出した
『これからは一緒の部屋に泊まりませんか?』
『・・・・はい?』
その言葉でアッシュの動きがピタリと止まる
アレッサは確かに今自分に同じ部屋に泊まろうと言ってきた
前触れもなくいきなりそんな提案をされたのでアッシュは即座に答えることができなかった
その間にアレッサが続ける
『このお金は私達の共有ですよね。なのにわざわざ別々に宿を泊まっていたら勿体ないじゃないですか。二人部屋の方が安いですからこれからは同じ部屋に泊まりましょう』
アレッサの言い分は尤もだ
だがそれでも年頃の男女が同じ空間で寝泊まりするということにやはり思うところがあった
それに二人で同じ部屋に泊まっていることを他の冒険者に知られたらまたあらぬ誤解が・・・いやそれはもう今更か
これからのダンジョン攻略に今まで以上のお金が必要になってくるのも事実
長い葛藤の末アッシュが出した結論は後者だった
『分かりました・・・』
『決まりですね!じゃあアッシュさんが泊まっている宿に向かいましょうか』
アレッサはパーティの事を考えて言ってくれている
変な想像はそれこそ失礼というものだ
宿屋に到着すると店主に早速二人部屋を用意してもらった
提案を受け入れておいてなんだが最近男に関してのトラブルがあったばかりだというのにアレッサは自分と一緒の部屋で大丈夫なのだろうか
もしかして自分は異性として見られていない?
アレッサと大して身長も変わらず同年代の男性と比べて体も細い
そう考えると不思議と緊張は吹き飛び、代わりに切なさを感じた
だがその気持ちも部屋に入った途端どこかへいってしまった
普段から利用している者なら特別豪華というわけでもなくどこにでもあるような部屋だと思うだろう
だが今まで納屋生活を送っていたアッシュからしたら素晴らしいの一言に尽きた
『はぁ~・・・ふかふかのベッドだ。納屋の藁の上で寝てた時とは全然違う』
『アッシュさん、ちょっといいですか?』
アッシュが我を忘れベッドを堪能しているところにアレッサが再び声をかけてくる
また何か突飛な事を言い出すのではないかと警戒していると、鞄を漁り始め中から短剣を手渡してきた
『アッシュさんが今使っている短剣ってかなり使い込んでいますよね。使い慣れた剣の方がいいかなって思ったんですけど他に思いつかなくて・・・』
確かに最近切れ味が落ちてきていてこれまで問題なく倒していた魔物にも中々刃が通らず苦戦することがあった
今使っている短剣はアッシュが冒険者になりたての頃に買ったものでそれからもう随分と経っている
自分で手入れはして何とか誤魔化していたが、それも限界がきていたのでそろそろ買い替えようか迷っていたところだった
『あっ、お金!幾らでしたか?』
『いりませんよ、これは私の感謝の気持ちですから。なので気にせず受け取って下さい』
『アレッサさん・・・ありがとうございます!早速明日から使わせてもらいますね!』
アッシュはアレッサからのサプライズで新しい剣を手に入れた
感謝の気持ちと言うがこちらこそパーティを組んでくれた事に感謝している
いつかお返しをしなければと考えながら明日のダンジョン攻略で貰った剣を使うのを楽しみにしつつ、その日は柔らかなベッドで心地よい眠りについた
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