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二十話 「正式パーティ結成」
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大通りまで逃げてきたところでアッシュ達は男達が追ってきていないか確認し、追ってくる様子がないと分かるとそこで足を止めた
流石に大通りで騒ぎを起こすような馬鹿な真似はしてこないようだ
『ここまで来れば大丈夫そうですね』
『助かりましたアッシュさん。クウちゃんもありがとう』
『一先ずアレッサさんが無事でよかったです。あの・・・どうして男性達に絡まれていたか聞いても?』
『はい・・・』
人目のつく場所では話しづらいだろうと思ったアッシュは大通りから落ち着いた場所に移動し絡まれていた理由を聞かせてもらった
アッシュとパーティを組んで以降様々な冒険者達からの誘いでパーティと組んでいたアレッサ
その日もいつものようにパーティに入れてもらいダンジョンへ向かったそうだが、その時の男女二人組の冒険者が今回の揉め事の発端となったらしい
そのパーティとのダンジョン探索はトラブルなく終わったはずだった
だが問題が起きたのはそれから数日後、なんとその二人組パーティが喧嘩別れしてしまったという
そしてその理由にアレッサが絡んでいた
どうやら二人は付き合っていたらしく、男側の方が彼女がいるにも関わらずアレッサに好意を寄せてしまったのが原因で彼女との関係が壊れてしまったそうだ
なんでもダンジョン中にアレッサが献身的に接してきたのを勘違いしてしまったらしい
『それでどうやら女性の方が私の変な噂を流しているみたいなんです・・・』
『変な噂?』
『その・・・私が男性相手なら・・・えっと』
口ごもるアレッサの様子からして口にするのも憚れる内容だというのは理解した
その女性も同情すべき点はあるが、怒りの矛先をアレッサに向けるのは間違っている
今噂は過去アレッサとパーティを組んでいた者達が動いてくれたお陰で下火にはなっているらしい
その者達はアレッサの為というより自分達の保身の為だろう
だが火のないところに煙は立たないと思う者も一定数いる
その件について表立って話す者はいなくなったが、噂を聞きつけてアレッサに言い寄って来る輩は未だにいるそうだ
先程の男達もそれ絡みだそう。アッシュが介入していなかったら取り返しのつかないことになっていたかもしれないとアレッサは再び頭を下げた
一週間自分がクウと能力の検証に夢中になっている頃にアレッサの身にそんな事が起きていたなんて思いもしなかった
まだ付き合いは浅いが、少なくともアレッサがそんな事をするような人物ではこと位は分かっているつもりである
パーティ間で恋愛事情を持ち込むとロクなことが起きないとは言われているが、自分達だけならまだしも全く関係のない者まで巻き込まれるのはあまりにも理不尽だ
『それ以降パーティの誘いもすっかり無くなってこちらが頼みにいっても相手にしてくれなくて。私これからどうすれば・・・』
関係の無い者からしたら厄介事に巻き込まることは避けたいだろうしまぁそうなるだろう
いくら優秀、貴重な人材だろうとパーティ内に不和を齎す恐れがある人間を加えることはできない
肝心のこの騒動の大元である男はというと女性が流した噂にまんまと惑わされ、以降アレッサに近づいてこないらしい
荒らすだけ荒らしておいて自分だけ逃げるなんてとんだ男に引っかかってしまったようだ
そんな困り果てているアレッサに対し、アッシュがかけられる言葉は一つしか思い浮かばなかった
『アレッサさん、僕とパーティを組みませんか?仮とかではなく正式なパーティを』
『えっ?』
アレッサはアッシュの言葉にすぐ反応が出来ず呆けていた
今の話を聞いてパーティの誘いが来るとは思っていなかったのだろう
暫くしてようやくアレッサは口を開いた
『お誘いは凄く嬉しいです。でもそうしたらアッシュさんに迷惑がかかるんじゃ・・・他の方とパーティが組めなくなってしまうかも』
『自分で言うのもなんですけど僕はおちこぼれと呼ばれていてパーティ組んでくれる人なんていないんです。だから今更変な噂とかされても全然平気です』
アレッサは再び考え込み二人の間に沈黙が流れた
相手が平気だと言っても迷惑をかけてしまうかもしれない本人からしたらやはり踏み出し辛いのだろうか
今すぐに答えを出してもらおうなんて思っていなかったので返答は後日に、とアッシュが言おうとする前にアレッサは答えを決めたようで話し始めた
『アッシュさんがその・・・おちこぼれと呼ばれているというのは以前他の方から聞きました。でも私はそうは思いません!だからえっと・・・未熟者の魔導士でよければよろしくお願いします!』
『本当ですか!こちらこそ未熟者のテイマーですがこれからよろしくお願いします!』
こうしてアッシュ達はアレッサと正式にパーティを組むことが決まった
正直自分から誰かをパーティに誘うなんて前の自分では考えられなかったのでアッシュ自身が一番驚いている
二人の話を聞いていたクウもアレッサが仲間に加わったことを歓迎し飛びついた
『クウちゃんもよろしくね』
テイマーとスライムに黒魔導士
決してバランスのいい構成とはいえないがアッシュはこのメンバーならきっと上手くやれる、そんな根拠のない自信を持っていた
流石に大通りで騒ぎを起こすような馬鹿な真似はしてこないようだ
『ここまで来れば大丈夫そうですね』
『助かりましたアッシュさん。クウちゃんもありがとう』
『一先ずアレッサさんが無事でよかったです。あの・・・どうして男性達に絡まれていたか聞いても?』
『はい・・・』
人目のつく場所では話しづらいだろうと思ったアッシュは大通りから落ち着いた場所に移動し絡まれていた理由を聞かせてもらった
アッシュとパーティを組んで以降様々な冒険者達からの誘いでパーティと組んでいたアレッサ
その日もいつものようにパーティに入れてもらいダンジョンへ向かったそうだが、その時の男女二人組の冒険者が今回の揉め事の発端となったらしい
そのパーティとのダンジョン探索はトラブルなく終わったはずだった
だが問題が起きたのはそれから数日後、なんとその二人組パーティが喧嘩別れしてしまったという
そしてその理由にアレッサが絡んでいた
どうやら二人は付き合っていたらしく、男側の方が彼女がいるにも関わらずアレッサに好意を寄せてしまったのが原因で彼女との関係が壊れてしまったそうだ
なんでもダンジョン中にアレッサが献身的に接してきたのを勘違いしてしまったらしい
『それでどうやら女性の方が私の変な噂を流しているみたいなんです・・・』
『変な噂?』
『その・・・私が男性相手なら・・・えっと』
口ごもるアレッサの様子からして口にするのも憚れる内容だというのは理解した
その女性も同情すべき点はあるが、怒りの矛先をアレッサに向けるのは間違っている
今噂は過去アレッサとパーティを組んでいた者達が動いてくれたお陰で下火にはなっているらしい
その者達はアレッサの為というより自分達の保身の為だろう
だが火のないところに煙は立たないと思う者も一定数いる
その件について表立って話す者はいなくなったが、噂を聞きつけてアレッサに言い寄って来る輩は未だにいるそうだ
先程の男達もそれ絡みだそう。アッシュが介入していなかったら取り返しのつかないことになっていたかもしれないとアレッサは再び頭を下げた
一週間自分がクウと能力の検証に夢中になっている頃にアレッサの身にそんな事が起きていたなんて思いもしなかった
まだ付き合いは浅いが、少なくともアレッサがそんな事をするような人物ではこと位は分かっているつもりである
パーティ間で恋愛事情を持ち込むとロクなことが起きないとは言われているが、自分達だけならまだしも全く関係のない者まで巻き込まれるのはあまりにも理不尽だ
『それ以降パーティの誘いもすっかり無くなってこちらが頼みにいっても相手にしてくれなくて。私これからどうすれば・・・』
関係の無い者からしたら厄介事に巻き込まることは避けたいだろうしまぁそうなるだろう
いくら優秀、貴重な人材だろうとパーティ内に不和を齎す恐れがある人間を加えることはできない
肝心のこの騒動の大元である男はというと女性が流した噂にまんまと惑わされ、以降アレッサに近づいてこないらしい
荒らすだけ荒らしておいて自分だけ逃げるなんてとんだ男に引っかかってしまったようだ
そんな困り果てているアレッサに対し、アッシュがかけられる言葉は一つしか思い浮かばなかった
『アレッサさん、僕とパーティを組みませんか?仮とかではなく正式なパーティを』
『えっ?』
アレッサはアッシュの言葉にすぐ反応が出来ず呆けていた
今の話を聞いてパーティの誘いが来るとは思っていなかったのだろう
暫くしてようやくアレッサは口を開いた
『お誘いは凄く嬉しいです。でもそうしたらアッシュさんに迷惑がかかるんじゃ・・・他の方とパーティが組めなくなってしまうかも』
『自分で言うのもなんですけど僕はおちこぼれと呼ばれていてパーティ組んでくれる人なんていないんです。だから今更変な噂とかされても全然平気です』
アレッサは再び考え込み二人の間に沈黙が流れた
相手が平気だと言っても迷惑をかけてしまうかもしれない本人からしたらやはり踏み出し辛いのだろうか
今すぐに答えを出してもらおうなんて思っていなかったので返答は後日に、とアッシュが言おうとする前にアレッサは答えを決めたようで話し始めた
『アッシュさんがその・・・おちこぼれと呼ばれているというのは以前他の方から聞きました。でも私はそうは思いません!だからえっと・・・未熟者の魔導士でよければよろしくお願いします!』
『本当ですか!こちらこそ未熟者のテイマーですがこれからよろしくお願いします!』
こうしてアッシュ達はアレッサと正式にパーティを組むことが決まった
正直自分から誰かをパーティに誘うなんて前の自分では考えられなかったのでアッシュ自身が一番驚いている
二人の話を聞いていたクウもアレッサが仲間に加わったことを歓迎し飛びついた
『クウちゃんもよろしくね』
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