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三十七話 「迂回路」
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護衛の仕事は特に問題が起こることも無く順調に進んでいった
二日目からはひたすら森と山の中を進み、そこで何度か魔物や獣が遭遇することがあったがダンジョンに比べたらどうということはない
ダンジョンの外にいる魔物はダンジョンに存在する魔物よりも何故か弱い
一説によるとダンジョン内には魔力が満ち溢れている為、生み出される魔物も強く活発化しているのではないかという説がある
その証拠の一つとして外の魔物から取れる魔石は少し小さい
現在は護衛する対象がいる状態なので、危険が少ないというのはいいことだ
獣に関しては魔物と違って美味しく食べられるので途中の食事が豪華になり寧ろ有難かった
そして現在三日目、アッシュ達はルルネの町が見えるまであと少しというところまで来ていた
このまま何事もなく町に着くかと思われたが、ここにきて問題が起きてしまった
『橋が無くなってる・・・』
本来その場に架かっていたという橋はアッシュ達の目の前には無い
場所を間違えているのではないかと依頼主に聞いてみたが、ここの橋は何度も使ったことがあるらしく間違いないとのこと
数年前に作られ馬車が乗っても大丈夫な位丈夫な橋だったらしく、一週間位前にもこの橋を利用してその時はなんの問題もなく通れていたので突然無くなってしまった事に対して不思議そうに首を傾げていた
ここ最近大きな天候の変化もなかったし、この山を登っている最中泥濘はなく嵐が来たような形跡もなかった
原因は不明だが今は想定外の事態に見舞われてしまったこの現状をどうにかするしかない
『ここから別の道で町に向かうことはできないんですか?』
『前に使っていた道があるにはあるんだが起伏が多い上に遠回りになるから到着が遅れるかもなぁ』
予定では昼過ぎ位に到着する予定だったがその道を使うとなると日没までかかってしまうかもしれないらしい
山を下りて迂回するルートもありそちらの方が前者より楽に着けるようだが、そちらを使うと町の到着が明日になってしまうという
依頼主は出来れば今日中に着きたいという事だったので、アッシュ達は進路を最初に挙げられた起伏の多い道からルルネの町を目指すことに
去り際橋があった場所に再度目をやると、橋の一部だったと思われる破片に爪で引っ掻いた様な鋭い傷がついているのを確認した
その傷は明らかに人がやったような跡には見えなかった
こちら側に傷がついている破片があるということはその魔物が近くにいる可能性がある
アッシュはその事をアレッサに伝えて警戒を怠らないよう目を配った
『それにしても道がガタガタだね』
『あの橋が作られてからこっちは殆ど使われてなかったみたい』
『道もだけどこの道は落石とか降ってくることがあるから上にも気をつけて』
ゆるやかなだが起伏がいくつも続く道
馬車が行き交うことができるギリギリの道幅ですぐ横は崖、柵は設置されているが利用されなくなったからか少しガタついていて心許ない
あの橋が壊れていなかったらまず選ばないような悪路だ
こんな場所で落石なんて降ってきて当たりでもしたら大怪我どころでは済まない
十分に注意を払いながら進んでいると依頼人がこんな話を振ってきた
『そういえば知っていますか?この山には昔ドラゴンが住んでたって言い伝えがあるそうですよ』
『え!ドラゴンですか!』
今は巣を変えてしまって見かけなくなってしまったらしいが、数百年前まではこの辺りにドラゴンの巣があったらしい
ドラゴンは畏怖の対象として知られているが、テイマーであるアッシュからしたら多少の危険を払ってでも一度はお目にかかりたい憧れの存在である
空を自由に飛べる大きな翼に硬い鱗、ドラゴンのみが使うことのできるドラゴンブレス。テイム出来たらこれ程頼もしい従魔はいない
ドラゴンをテイムしたなんて話は聞いたことがないのでまず無理だろうが
そもそもドラゴンが人前に現れることは滅多になく、それこそ百年に一度お目にかかれるかどうかという話になる
『ドラゴン・・・会ってみたいなぁ』
アッシュがドラゴンに会いたいと強く願っているのは子供の頃よくシスター達が寝かせる為に聞かされていた話がきっかけ
大昔港近くに存在していた国が大津波で危機に瀕した際、その大津波を薙ぎ払って救ったドラゴンがいるという
人々はそのドラゴンの事を聖龍と呼び、彫像を作り崇めたらしい
そんなドラゴンならもしかしたら対話ができるのではないかとアッシュは今でも密かに夢見ている
もしかしたらドラゴンが戻って来ないかな、などと淡い期待を持ちながら移動を続けていると山の頂上を視界に捉えた
『あそこを越えればあとはなだらかな下り坂だよ。この調子なら日没には着きそうだ』
『なんとかなりそうで良かったです』
予定より遅れてしまったがこの分なら無事にルルネに到着できそうだ
だがそんな矢先、アッシュ達に災難が降りかかる
上の方から小石がパラパラと落ちてきたのを確認したのも束の間、上の方から大きな音を立てて落石が降ってきた
『落石です!全速で進んで下さい!』
二日目からはひたすら森と山の中を進み、そこで何度か魔物や獣が遭遇することがあったがダンジョンに比べたらどうということはない
ダンジョンの外にいる魔物はダンジョンに存在する魔物よりも何故か弱い
一説によるとダンジョン内には魔力が満ち溢れている為、生み出される魔物も強く活発化しているのではないかという説がある
その証拠の一つとして外の魔物から取れる魔石は少し小さい
現在は護衛する対象がいる状態なので、危険が少ないというのはいいことだ
獣に関しては魔物と違って美味しく食べられるので途中の食事が豪華になり寧ろ有難かった
そして現在三日目、アッシュ達はルルネの町が見えるまであと少しというところまで来ていた
このまま何事もなく町に着くかと思われたが、ここにきて問題が起きてしまった
『橋が無くなってる・・・』
本来その場に架かっていたという橋はアッシュ達の目の前には無い
場所を間違えているのではないかと依頼主に聞いてみたが、ここの橋は何度も使ったことがあるらしく間違いないとのこと
数年前に作られ馬車が乗っても大丈夫な位丈夫な橋だったらしく、一週間位前にもこの橋を利用してその時はなんの問題もなく通れていたので突然無くなってしまった事に対して不思議そうに首を傾げていた
ここ最近大きな天候の変化もなかったし、この山を登っている最中泥濘はなく嵐が来たような形跡もなかった
原因は不明だが今は想定外の事態に見舞われてしまったこの現状をどうにかするしかない
『ここから別の道で町に向かうことはできないんですか?』
『前に使っていた道があるにはあるんだが起伏が多い上に遠回りになるから到着が遅れるかもなぁ』
予定では昼過ぎ位に到着する予定だったがその道を使うとなると日没までかかってしまうかもしれないらしい
山を下りて迂回するルートもありそちらの方が前者より楽に着けるようだが、そちらを使うと町の到着が明日になってしまうという
依頼主は出来れば今日中に着きたいという事だったので、アッシュ達は進路を最初に挙げられた起伏の多い道からルルネの町を目指すことに
去り際橋があった場所に再度目をやると、橋の一部だったと思われる破片に爪で引っ掻いた様な鋭い傷がついているのを確認した
その傷は明らかに人がやったような跡には見えなかった
こちら側に傷がついている破片があるということはその魔物が近くにいる可能性がある
アッシュはその事をアレッサに伝えて警戒を怠らないよう目を配った
『それにしても道がガタガタだね』
『あの橋が作られてからこっちは殆ど使われてなかったみたい』
『道もだけどこの道は落石とか降ってくることがあるから上にも気をつけて』
ゆるやかなだが起伏がいくつも続く道
馬車が行き交うことができるギリギリの道幅ですぐ横は崖、柵は設置されているが利用されなくなったからか少しガタついていて心許ない
あの橋が壊れていなかったらまず選ばないような悪路だ
こんな場所で落石なんて降ってきて当たりでもしたら大怪我どころでは済まない
十分に注意を払いながら進んでいると依頼人がこんな話を振ってきた
『そういえば知っていますか?この山には昔ドラゴンが住んでたって言い伝えがあるそうですよ』
『え!ドラゴンですか!』
今は巣を変えてしまって見かけなくなってしまったらしいが、数百年前まではこの辺りにドラゴンの巣があったらしい
ドラゴンは畏怖の対象として知られているが、テイマーであるアッシュからしたら多少の危険を払ってでも一度はお目にかかりたい憧れの存在である
空を自由に飛べる大きな翼に硬い鱗、ドラゴンのみが使うことのできるドラゴンブレス。テイム出来たらこれ程頼もしい従魔はいない
ドラゴンをテイムしたなんて話は聞いたことがないのでまず無理だろうが
そもそもドラゴンが人前に現れることは滅多になく、それこそ百年に一度お目にかかれるかどうかという話になる
『ドラゴン・・・会ってみたいなぁ』
アッシュがドラゴンに会いたいと強く願っているのは子供の頃よくシスター達が寝かせる為に聞かされていた話がきっかけ
大昔港近くに存在していた国が大津波で危機に瀕した際、その大津波を薙ぎ払って救ったドラゴンがいるという
人々はそのドラゴンの事を聖龍と呼び、彫像を作り崇めたらしい
そんなドラゴンならもしかしたら対話ができるのではないかとアッシュは今でも密かに夢見ている
もしかしたらドラゴンが戻って来ないかな、などと淡い期待を持ちながら移動を続けていると山の頂上を視界に捉えた
『あそこを越えればあとはなだらかな下り坂だよ。この調子なら日没には着きそうだ』
『なんとかなりそうで良かったです』
予定より遅れてしまったがこの分なら無事にルルネに到着できそうだ
だがそんな矢先、アッシュ達に災難が降りかかる
上の方から小石がパラパラと落ちてきたのを確認したのも束の間、上の方から大きな音を立てて落石が降ってきた
『落石です!全速で進んで下さい!』
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