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三十五話 「一夜が明けて」
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ダンジョンを攻略した日から一夜が明けた
昨夜の祝宴で変な酔い方をしていたアレッサが起きたのは昼を過ぎた頃
そして目を覚ますと昨日の行いを反省し始めた
どうやら酔った後の自分の行動を覚えていたようだ
『すみません、私とんだ粗相をしてしまって・・・』
『別にいいよアレッサ。それよりこれからはこっちの話し方の方がいいんでしょ?ほら、アレッサも』
『は、はい・・・じゃなくてうん。アッシュ君』
酒が抜けたアレッサは普段の雰囲気に戻り、照れ臭そうにアッシュの名を呼んだ
お互いまだぎこちないだろうがその内慣れるだろう
アレッサも目を覚ましたので三人で昼食を食べに外へ
胃に優しそうな料理を注文し、その間にこれからの事について話し始めた
『次のダンジョンがある場所はここから西に行ったセグエンテっていう町の森近くにあるんだ。実際に行ったことはないんだけど山間に位置する町でそこには鉱山があるみたい。色んな鉱石が採掘できてそれを仕事にしてる人や鍛冶職人が多く住んでるんだって』
セグエンテで作られている装備は他の町で売られているものよりも品質が良い
それは鉱山で採れる鉱石の質がいいというのも理由の一つではあるが、やはりそこに住んでいる職人達の腕の良さが大きいだろう
蝶が花の蜜を吸いにやって来るように、セグエンテには鉱山で採れる鉱石に魅入られて名のある鍛冶師が集まってくる
なので冒険者は皆セグエンテに立ち寄った際は必ずと言っていい程自分専用の装備を作ってもらう
セグエンテの装備は市場に滅多に出回らず、見つけても殆どが偽物らしい
それだけセグエンテ産が人気ということだ
ここが始まりの町と呼ばれているようにセグエンテの町は"鍛冶師の町"とも言われている
『オーダーメイドとなるとやっぱり高いのかな』
『鍛冶師によって変わってくるみたいだけどね。一番安くても金貨十枚以上はするんじゃないかな』
『色々揃えると考えたら今の手持ちじゃ厳しそうだね・・・またダンジョンで頑張って稼がないと』
値が張るということはその分装備の性能も高いということ
いきなりそんな装備分不相応かもしれないがやはりオーダーメイドの装備は憧れる
アレッサの言う通り次のダンジョンでも魔物を倒して貯金するしかなさそうだ
『それでダンジョンについてなんだけど次のダンジョンは中が樹海になってるんだって』
ダンジョンにはそれぞれ特性があり、次のダンジョンは樹海という広範囲に渡り草木が生い茂っている大森林
今のところダンジョンボスが植物系の魔物だということ以外は分からず、それ以外は現地で情報収集をしなくてはいけない
植物系ということはアレッサの強力な火魔法がより効果を発揮することになるだろう
『いつ頃この町を出る?私はいつでも大丈夫だよ』
『そうだなぁ・・・』
セグエンテまでの道のりを計算してどれ位の物資が必要になるか、それによって移動手段をどうするか等色々考えていると、突然後ろから野太い声がかかる
『ここにいたのか、探したぞ』
『え?く、組合長?』
声をかけてきたのは組合長のボーゼス
以前見かけたのは冒険者組合であの時は他の冒険者に向けて殺気にも近い雰囲気を放っていて恐ろしい印象だったが、今のボーゼスからはそんな雰囲気は感じられなかった
まぁ年中あんな殺気を放っていたら誰も近づかなくなるだろうが・・・
ボーゼスはアッシュ達を見つけると何故か隣の席に座ってきた
組合長自ら話しかけてくることなんて初めてのことだったので何の用件だろうと戸惑っていると、ボーゼスが口を開いた
『お前らダンジョンを攻略したみたいだな』
『はい、お陰様でどうにか』
『それで話が聞こえちまったんだがまだ出立の日にちは決まってないんだよな?』
『は、はい』
『なら一つ依頼を受けてくれねぇか?』
ボーゼスの話を聞いたところによると馬車の護衛を受けてほしいとのことだった
なんでも馬車の出立の期日が迫ってきているが未だに護衛を受けてくれる者が現れず、どうしたものかと困っていたらしい
馬車の護衛は報酬はいいが数日間、長いと数週間ダンジョンから離れることになってしまうので受ける冒険者は中々いない
そこでダンジョンを攻略しているアッシュ達に白羽の矢が立ったというわけだ
『ちなみに目的地はどこなんですか?』
『ここから北にあるルルネという町に寄ってからセグエンテに向かうそうだ。お前達の目的地だな。ルルネはここから大体三日はかかる場所にある』
『北ですかぁ』
西に位置するセグエンテとは異なる方角、最終的には目的地に着くのだろうが依頼を受けるとなるとダンジョンへの到着が大分遅れてしまう
だがここの冒険者組合には一年以上いた
最後に困っている組合長の助けをしたいという気持ちもあった
この依頼を受けるかどうかをアッシュだけで決めるわけにはいかないのでアレッサにも意見を求めた
『アレッサはどう?』
『私は受けてもいいと思うよ。ちょっと位遅れてもダンジョンがどこか行くわけでもないし』
『そっか・・・分かった。組合長、その護衛依頼受けさせてもらいます』
『助かるぜ、出立は二日後の明朝だ。それまでに準備を済ませておいてくれ。あと次のダンジョンも頑張れよ』
それだけ言い残すとボーゼスは席を立ち店をあとにした
アッシュ達はダンジョンに向かう計画を変更し、二日後に迫る護衛の日に備えて準備を行っていった
昨夜の祝宴で変な酔い方をしていたアレッサが起きたのは昼を過ぎた頃
そして目を覚ますと昨日の行いを反省し始めた
どうやら酔った後の自分の行動を覚えていたようだ
『すみません、私とんだ粗相をしてしまって・・・』
『別にいいよアレッサ。それよりこれからはこっちの話し方の方がいいんでしょ?ほら、アレッサも』
『は、はい・・・じゃなくてうん。アッシュ君』
酒が抜けたアレッサは普段の雰囲気に戻り、照れ臭そうにアッシュの名を呼んだ
お互いまだぎこちないだろうがその内慣れるだろう
アレッサも目を覚ましたので三人で昼食を食べに外へ
胃に優しそうな料理を注文し、その間にこれからの事について話し始めた
『次のダンジョンがある場所はここから西に行ったセグエンテっていう町の森近くにあるんだ。実際に行ったことはないんだけど山間に位置する町でそこには鉱山があるみたい。色んな鉱石が採掘できてそれを仕事にしてる人や鍛冶職人が多く住んでるんだって』
セグエンテで作られている装備は他の町で売られているものよりも品質が良い
それは鉱山で採れる鉱石の質がいいというのも理由の一つではあるが、やはりそこに住んでいる職人達の腕の良さが大きいだろう
蝶が花の蜜を吸いにやって来るように、セグエンテには鉱山で採れる鉱石に魅入られて名のある鍛冶師が集まってくる
なので冒険者は皆セグエンテに立ち寄った際は必ずと言っていい程自分専用の装備を作ってもらう
セグエンテの装備は市場に滅多に出回らず、見つけても殆どが偽物らしい
それだけセグエンテ産が人気ということだ
ここが始まりの町と呼ばれているようにセグエンテの町は"鍛冶師の町"とも言われている
『オーダーメイドとなるとやっぱり高いのかな』
『鍛冶師によって変わってくるみたいだけどね。一番安くても金貨十枚以上はするんじゃないかな』
『色々揃えると考えたら今の手持ちじゃ厳しそうだね・・・またダンジョンで頑張って稼がないと』
値が張るということはその分装備の性能も高いということ
いきなりそんな装備分不相応かもしれないがやはりオーダーメイドの装備は憧れる
アレッサの言う通り次のダンジョンでも魔物を倒して貯金するしかなさそうだ
『それでダンジョンについてなんだけど次のダンジョンは中が樹海になってるんだって』
ダンジョンにはそれぞれ特性があり、次のダンジョンは樹海という広範囲に渡り草木が生い茂っている大森林
今のところダンジョンボスが植物系の魔物だということ以外は分からず、それ以外は現地で情報収集をしなくてはいけない
植物系ということはアレッサの強力な火魔法がより効果を発揮することになるだろう
『いつ頃この町を出る?私はいつでも大丈夫だよ』
『そうだなぁ・・・』
セグエンテまでの道のりを計算してどれ位の物資が必要になるか、それによって移動手段をどうするか等色々考えていると、突然後ろから野太い声がかかる
『ここにいたのか、探したぞ』
『え?く、組合長?』
声をかけてきたのは組合長のボーゼス
以前見かけたのは冒険者組合であの時は他の冒険者に向けて殺気にも近い雰囲気を放っていて恐ろしい印象だったが、今のボーゼスからはそんな雰囲気は感じられなかった
まぁ年中あんな殺気を放っていたら誰も近づかなくなるだろうが・・・
ボーゼスはアッシュ達を見つけると何故か隣の席に座ってきた
組合長自ら話しかけてくることなんて初めてのことだったので何の用件だろうと戸惑っていると、ボーゼスが口を開いた
『お前らダンジョンを攻略したみたいだな』
『はい、お陰様でどうにか』
『それで話が聞こえちまったんだがまだ出立の日にちは決まってないんだよな?』
『は、はい』
『なら一つ依頼を受けてくれねぇか?』
ボーゼスの話を聞いたところによると馬車の護衛を受けてほしいとのことだった
なんでも馬車の出立の期日が迫ってきているが未だに護衛を受けてくれる者が現れず、どうしたものかと困っていたらしい
馬車の護衛は報酬はいいが数日間、長いと数週間ダンジョンから離れることになってしまうので受ける冒険者は中々いない
そこでダンジョンを攻略しているアッシュ達に白羽の矢が立ったというわけだ
『ちなみに目的地はどこなんですか?』
『ここから北にあるルルネという町に寄ってからセグエンテに向かうそうだ。お前達の目的地だな。ルルネはここから大体三日はかかる場所にある』
『北ですかぁ』
西に位置するセグエンテとは異なる方角、最終的には目的地に着くのだろうが依頼を受けるとなるとダンジョンへの到着が大分遅れてしまう
だがここの冒険者組合には一年以上いた
最後に困っている組合長の助けをしたいという気持ちもあった
この依頼を受けるかどうかをアッシュだけで決めるわけにはいかないのでアレッサにも意見を求めた
『アレッサはどう?』
『私は受けてもいいと思うよ。ちょっと位遅れてもダンジョンがどこか行くわけでもないし』
『そっか・・・分かった。組合長、その護衛依頼受けさせてもらいます』
『助かるぜ、出立は二日後の明朝だ。それまでに準備を済ませておいてくれ。あと次のダンジョンも頑張れよ』
それだけ言い残すとボーゼスは席を立ち店をあとにした
アッシュ達はダンジョンに向かう計画を変更し、二日後に迫る護衛の日に備えて準備を行っていった
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