上 下
3 / 3

惹かれ合う2人、繋がる2人

しおりを挟む
その翌日。放課後、女子バドミントン部ではダブルスの模擬試合が行われていた。今度の県大会でも有力候補と呼ばれる、3年の大塚志保しほと2年の佐野真央さのまおのペアは、今日も大活躍だった。

「──ふんっ!」
「センパイ、ナイスですっ!」

 前衛の真央が機敏な動きで主導権を握り、相手が崩れた瞬間に浮いたシャトルを高帆がスマッシュする。お互いの考えている事が分かっているかのように、連携の取れたチームプレイ。彼女らを打ち崩せる相手はほとんど居なかった。マッチポイントを再び強烈な一撃で制し、試合終了。

「えへっ、今日もウチら絶好調!」
「お疲れ様。そうね、次の大会が最後だから……全力をぶつけないと」

 3年である志保は、次の夏の大会が最後の部活での試合となる。当然、彼女らのダブルスペアもその大会が最後となる。2年間ずっと同じペアでやってきた2人にとって、是非ともいい結果を取って有終の美を飾りたかった。あるいは、もっと良い結果を取って更なる試合に挑みたいとも目論んでいる。そんな彼女らであるが。

「それもそうですけど……ねぇセンパイ。今日って時間あったりしますか?」
「何もなければ、塾にまっすぐ行く予定だけど……真央ちゃんの誘いだもの。断らないわ」
「やった! そーですよ、志保センパイは最近バドミントンも勉強も頑張りすぎですって! たまには気を抜くのも大事ってウチは思います」

 落ち着いた性格の志保と、陽気な性格の真央。性格の違う2人だったが、その仲は周囲が認めるほど非常に親密であった。部活外でも一緒に旅行に行ったり、放課後だべったり、ひょっとしたらお互いの同級生の友人よりも仲がいいんじゃないか、などと外野からは言われることもあった。

「今日、アタシのウチに来てくださいっ! チョー面白い漫画あるんで! せっかくだし、センパイに料理とかも振る舞ってみたいなー……なんて!」 
「本当? 嬉しいわ……折角誘ってくれたんだし、今日は羽を伸ばすことにしようかしら」
「いぇい! めっちゃ愛情込めて作っちゃいます!」

 おいおいあんたら夫婦かよー、などとバドミントン部の部員が茶化す。気恥ずかしく顔を赤らめる志保だったが、真央はむしろ彼女にくっつくように抱き着いて。

「そうそう! ウチらめっちゃ仲良しなんで!」
「も、もう……真央ちゃん……」

 ケラケラと笑う部員たち。こんな事は日常茶飯事だったので、彼女らもよく見る光景だと慣れ切っていた。──しかし。佐野真央は、抱き着く力を僅かに強める。今日の夜が、勝負だと。

──────────────────────────────

「ふぅ、ごちそうさまでした。真央ちゃんの料理、時々頂くけどいつも美味しいわね」
「ふふっ、目指すは家庭的なお嫁さんなので!」

 キッチンでしばらく料理をした後、真央の部屋で2人でのんびりと夕食を取る。笑顔で語る真央に、一瞬志保の心が揺れる。いつかは、この娘も誰かと結ばれて。そして、誰かと幸せな家庭を築くのだろう。そこに、自分の入り込む余地なんてないだろう。自分は、彼女にとっての何者なのか。だけど、それを確かめるのは不安だった。

「──センパイ? お箸、止まってますよ?」
「あ、うん……ごめんね、少し考え事してて」

 2人で料理の片づけと皿洗いを行う。隣に彼女が居るだけで、志保にとっては、それだけで幸せだった。時々他愛ない話をして、笑い合って。──だけど、それはいつかは無くなってしまう。きっと自分が卒業して、大学に行けば。繋がりは、自然に解けてしまうだろう。だけど、それ以上に踏み込む勇気は。大塚志保には、無かった。片付けを終え、もう一度真央の部屋に戻る。ゴロンと、自分のベッドに仰向けに寝転ぶ真央。

「えへへ……やっぱり志保センパイと一緒に居ると、楽しいし、ホッとします」
「そ、そんな事……でもアナタ、たくさん友達居るじゃない。私だけ、って事じゃないでしょ」

 言ってから、志保は後悔した。これじゃ、他の友達に嫉妬しているみたいだと。そんな言葉を発した志保に対して、真央は口元をやわらげて。

「みんなと一緒に居ると楽しいですよ? でも、センパイと居る時間は特別なんです。──ねぇ、センパイ。こっちに、来てくれませんか?」

 ベッドに寝転んだ状態で、両手を開く真央。おずおずと、志保もベッドに寝転ぶようにして、真央とシングルベッドを共にする。窮屈だが、ベッドに染み込んだ真央の匂いが身体中を包み込む。一瞬、くらくらした瞬間に。真央は小さな体躯でぎゅうと、志保の身体を抱きしめたのだった。

「あわっ……! ちょ、ちょっと……!」
「わーい! センパイ抱き枕だぁ~!」

 嫌な気持ちは微塵もなかったが、それはそれで恥ずかしい。押し付けられる身体から、ふんわりと真央の香りが漂う。ドキリとした気持ちが、どうか向こうにバレてない事を祈りながら。

「しょ、しょうがないわね……」
「えへへ、センパイも、ぎゅーですよっ」

 顔の位置が同じになる様にズレて、志保の方からも真央に抱きつき返す。驚くこともなく、真央は喜んで。小さなベッドの同じ枕に、2人でくっついていた。真央の脚が志保の太ももに絡みつくように、もっと接近する。悪戯っぽい小声で、真央が囁いた。

「ねぇ、センパイ──今日、ウチの両親出かけてるんですよ」
「えぇ、聞いたわ」
「夜遅くまで帰ってこないし、それまでずっと、誰からの邪魔も入らない。絶好のタイミングなんです」
「……何の、こと?」

 ギュ、と抱きしめる力が強くなる。

「これからいっぱい、激しい事シても……誰も気づかないし、咎める事だってない。だからこれは──アタシから、センパイを襲っちゃうんです♡♡」
「ぇ……っ♡」

 その瞬間。真央のリップが、志保のと重なる。大好きな人の顔が近づいて、夢中になるかのように目を閉じて。志保も同じように目を閉じてしまって、ただ唇どうしが重なり合う感覚を味わう。──どちらからだろうか。舌を入れ合い、互いのものと絡み合う。くちゅ、と水音を立てながらのディープキス。吐息が、お互いの顔にかかる。

「んっ♡♡ はふぅ……♡♡♡ ちゅぅっ……♡♡♡」
「ちゅ……♡♡♡ れろっ……♡♡♡ ん、うぅ……♡♡♡♡」

 涙ぐむような、トロンと蕩けた瞳で。真央はキスが名残惜しいかのようにしつつも、一度接吻を止めて。

「ぁはっ……♡♡ センパイ、凄くえっちな顔してるっ……♡♡♡」
「……真央、だってっ……♡♡ とても綺麗、よ……♡♡♡」

 快活な少女と、落ち着いた美女。そう評されるバドミントンのダブルスの2人だったが。こうしてベッドの上で一緒に寝ていると、真央の中に不思議な妖艶さがあるように思ってしまう。ずっと明るく振る舞っていた真央だったが、一瞬不安げに目線を落として。

「志保センパイ……アタシ、怖いんです。これから試合があって、勝っても負けても……アタシ達の繋がりはそこで切れちゃうんじゃないかって。センパイが卒業して、大学に行ったら。センパイは遠い人になってしまう」
「真央ちゃん……」

 同じことを考えていたのだ、と志保は理解する。ずっと一緒、なんて口では言っても。遠く離れた場所で、ずっと思いを繋ぐことは難しい。

「こんな事を想ってしまうの、志保センパイだけなの。センパイがいつか、誰かのモノになってしまうなんて……ウチには耐えられない。だから──」

 泣きそうな顔で、真央は語る。

「──アタシ、志保の事が大好きです。だから……志保センパイで、アタシをいっぱいにしてほしい。他の何もが入らないように、志保センパイの全部が欲しい」

 その言葉は、ふわりと志保の心を包む。

「……な、なーんて! 急にこんな事言って、びっくりさせちゃったかも──」

 急におどけて、先ほどまでの言葉を誤魔化そうとした真央。だが、その台詞の途中で、志保は彼女の唇をキスで塞ぐ。

「んんっ♡♡ ぁぅぅ……♡♡♡♡」
「真央、ちゃん……私も、おんなじ気持ち。貴方の事が好きなのに、踏み込めずにいた。ごめんね……」

 志保は赤子をあやすように、真央の頭を抱きかかえてゆっくりと撫でる。安堵の気持ちか、喜びか。ぽろりと、真央の瞳から涙がこぼれる。

「……ぁハっ♡♡ ウチら、両思いですね♡♡♡」
「えぇ……真央ちゃんにだったら、何されてもいい。たとえひどい目に合わされても、真央ちゃんなら信じられる」

 一瞬目を見開いた真央。何かを考えるように息を止め、そして彼女は意を決して。

「……こんなこと、されても?」
「──んっ♡♡ ぁ、ぁぅぅん……♡♡♡」

 密着した体、志保のスカートの内側に手を潜らせて、ショーツの上から秘部に触れる。人に触られることなど普通あり得ない所。だけど、大好きな真央に触られていると思っているだけで、全てが心地よく感じてしまう。

「いやなら、イヤって言っていいんですよ……」
「イヤ、じゃない……! 真央ちゃんの、スキにしてイイから……っ♡♡」

 その言葉で、真央の心に火が付く。──センパイを、思いっきりぐちゃどろにしてあげたい。アタシの攻めで、いっぱい感じてもらいたい。もうやめて、って言われても止めてなんかあげない。ショーツをずらし、手のひらを入れて。ワレメをゆっくりと撫でるように弄り、クリトリスに優しく触れて。

「あ゛っ♡♡ ふぁぁん♡♡♡ んうぅうぅ♡♡♡♡」
「えへへ……♡♡ センパイが、ウチの手でこんなになってるっ……♡♡♡」

 体を震わせ、愛撫に甘い声を漏らしている志保。そんな彼女の事が、真央はとても愛おしい。指先からわずかに、ねっとりとした液が染み出してくる。彼女の愛液だ、と遅れて理解した。このまま濡らしてしまうのも良くないと思い、ショーツを脱がしてしまう。

「あぅぅ……♡♡♡ こんなに、なっちゃったわ……♡♡♡♡」
「嬉しいです、センパイがこんなに感じてくれて♡♡」
「……こんなに気持ちよくしてくれたんだから……私も、シていいわよね♡♡」

 志保の方からも、真央のスカートに手を潜らせる。当然、拒むことなんてなかった。センパイの指が触れていて、自分のアソコを弄っていて。キュンと身体が疼く。ぐちゅり、とピンク色の陰部が弄られて。

「んぁぁあ゛ぁっ♡♡ んくぅぅう♡♡♡ やん゛っ♡♡♡ しぇんぱいっ♡♡♡♡」
「うふっ……♡♡ そんなに感じてくれるのかしら……うれしい……♡♡♡」

 互いの指先が相手の大事な所をそっと、優しく撫でる。相手の顔が悦びで歪み、熱く火照る。好きな人に弄ってもらえる。好きな人をこの手で愛撫している。──堪らなかった。

「ん゛んっ♡♡♡ ふぅう゛ぅうっ♡♡♡♡ ぁああ゛ぁぁっ♡♡♡♡♡」
「や゛ぁんっ♡♡♡♡ ひぁぁあ゛ぁっ♡♡♡♡♡ うぅうう゛ぁっ♡♡♡♡♡」

 お互いの背筋がピンと跳ねる。溜まった熱が一気に放出され、漏らしてしまったかのように潮を吹いて。志保も真央も、顔を見合わせる。涙も涎もでた、だらしない顔。だけど大好き。唇が再び重なり、深いキスをする。

「ちゅぅっ……♡♡」
「はむぅっ……♡♡♡」

 ぎゅ、と身体を抱きしめ合う。しばらく、お互いの匂いを味わうかのように、ただ呼吸だけする。

「────っはぁっ……♡ センパイ、激しいんだからっ……♡♡」
「んもぅ、真央ちゃんったら……♡♡」

 少し笑い合った後、真央は立ち上がり。机の内側から何かを取り出した。女の子座りをした真央は、透明無色の『ソレ』を志保に見せつけた。

「ちょっと、真央ちゃん!? それって……!」
「じゃーん! この日のために用意しちゃいました、双頭ペニバンでーす!」
 
 U字型をした小さな筒状のソレの両端は、亀頭を模した形状をしていて、否応もなく男性器を模したモノだと分かってしまう。その片方を、既にショーツを脱ぎ去っている自らの女性器にあてがい。ぐい、と下の口で呑み込む。

「あぁぁっ……♡♡♡ ん、くぅぅっ♡♡♡♡ はぁっ、んくぅぅう゛ぅぅ♡♡♡♡♡」

 ぐい、と押し込み自らの膣壁をこじ開けるように、ペニバンの片側を自らの内側に入れ込む。そうして全てを挿入しきった後、真央の股間にはちょうど勃起したかのような透明なペニスが出来上がったのである。

「ごめんなさい、センパイ……♡♡ アタシ、自分で弄ってるときに処女じゃなくなっちゃって……でも、センパイを好きになってからは。ずっと志保センパイの事を想ってシてました」

 ずい、と迫る。

「だから……アタシの初めて、あげますから……センパイのハジメテも、あたしにくださいっ♡♡」
「えぇ……♡♡♡ 真央ちゃんなら……貴方になら、私の全部、あげちゃってもいいぐらいだもの……♡♡♡♡」

 『真央のペニス』を招き入れるかのように 志保は自らのワレメを指先で開いて。ゴクリ、と唾を飲み込んだ真央は、センパイの処女を奪うべく、自らの腰をあてがう。

「はあ゛ぁぁっ……! ぁ、ぐぅっ……ん、ぁあっ……♡♡」
「んぅっ……♡♡♡ くぅぅっ……♡♡♡♡」

 一瞬息苦しさと痛みを訴える志保だが、その声が嬌声に変わるのはあっという間だった。真央が志保のおっぱいを舌先で優しく舐めると、強張っていた身体が蕩けてゆく。痛みに段々と慣れ始めた志保の方から、徐々に腰が動き始める。

「んっ♡♡ くぅんっ♡♡♡ あ゛ぁっ♡♡♡♡ はぅう゛ぅ♡♡♡♡♡」
「ひぁっ♡♡♡ んあ゛ぁっ♡♡♡♡ センパイのがっ♡♡♡♡ アタシのナカにっ♡♡♡♡」

 始めは2人とも仰向けになって繋がっていたが、徐々に志保は真央に覆いかぶさるようにして体勢を変える。まるで雄が種付けプレスでもするかのような、強烈なストンプ。少し痛い。だけど、それだけ先輩が自分を愛してくれているのだと思うと、その痛みですら気持ちよかった。

「ほらっ……♡♡♡ ぁう゛ぅ♡♡♡♡ これはっ♡♡♡ どうっ♡♡♡♡♡」
「や、ぁあ゛ん♡♡♡ せんぱい、はげしぃっ♡♡♡♡ んぅう゛ぅ♡♡♡♡♡」

 二人の手が自然に、お互いの指を重ね合う恋人繋ぎになって。

「キて、くださいっ……♡♡♡」
「イくときは、一緒だからっ……♡♡♡♡」

 腰を激しくぶつけ合う。大好きなヒトのペニスが自分の内側をかき混ぜてくれる。おっぱい同士が触れあって、そのこそばゆい刺激ですら敏感に感じてしまう。だけど、それだけじゃもう満足できない。ぐい、とお互いの膣奥までペニスを挿入れて──────

「──あ゛ぁぁっ♡♡♡♡ ひ、ぁあ゛ぁあ゛♡♡♡♡♡ んにゃぁあ゛ぁあ゛ぁあ゛♡♡♡♡♡♡♡♡」
「ぉあぁあ゛ぁ♡♡♡♡♡ ぁ゛ああ゛ぁっ♡♡♡♡♡ ふぁああ゛ぁっはぁっ」

 深いところまで互いに繋がった瞬間、脳を灼くような絶頂を味わう。だいすきだけが、頭の中でいっぱいになる。近づいた二人は、もう一度深いキスをしようと、して────────

「は…………ぁあ゛っ!? 『俺』は何をっ……!?」
「ぅわああっ!? え、ウチ……じゃない、ボクは……!?」

 ずるん、と2人を繋いでいたペニバンが抜け落ちて。『彼ら』が記憶を取り戻したのは同時だった。自分が全く違和感なく『恋する少女』であった事を思い出し、当惑する。どうしてこうなってしまったのか。姿形はすっかり変わってしまっていたが、元は誰だったのかがお互いに分かってしまう。

「お前……あぁ! あの占い師、本当にホンモノだったのか! 彼女ができるようおまじないを掛けるとか言ってたが……でも何で、俺まで変わってるんだ?」
「えぇ!? 大塚先輩が原因だったんですか!? ──いや、僕もそう言えば誰かに、願いを叶えてあげるって言われたような……」
「はぁ!? じゃあ俺が女に変わってしまったのはテメェのせいかよっ!?」
「ぁ……ごめんなさいっ!」

 ついさっきまでのお淑やかな雰囲気はどこへやら、大塚志保は大声で怒り散らす。翻弄するように楽しんでいた佐野真央はというと、すっかり怯え切っているようだった。

「ああクッソ、見た目だけならすげぇ好みなのによぉ! ……おい、佐野ッ! そのままじっとしてろ」

 逃げ出すこともできず、ベッドに仰向けになったままの真央のカラダ。志保は、ワイシャツの胸元のボタンを乱暴に外し、一気に開いた。薄桃色のブラジャーに覆われていても分かる、たわわなおっぱい。そのブラすら勢い任せにずらすと、ぽよんと跳ねるように真央のおっぱいが露わになる。

「このデカパイを好きなようにしたって、良いよなぁ!?」

 そう言うなり、志保は既にピンと勃っている真央の左乳首を舌先で舐め、ちゅぅっと強く吸い付く。同時に右手でもう片方の乳房を無遠慮に揉みしだき始めた。普通なら痛いはずの刺激だが、それまでの交わり合いで『出来上がっていた』真央にとっては、多少の痛みはむしろ気持ちよくすらあった。……それ以上に。

「あぁあ゛っ♡♡♡ んんぅうぅうっ♡♡♡♡ そんなにぃ゛っ、揉まれるとっ♡♡♡♡」

 ──不思議だった。あれ程怖いと思っていた先輩にこうして乱暴されているのに、真央は何故だか幸せに包まれている。恐怖で凝り固まった心がどんどんと解れてゆき、センパイの性的な乱暴を受け入れてしまう。だって、それすら嬉しいのだから。動物が服従の意を示すかのように、仰向けのまま両手両足をだらんと伸ばす。

「ふむぅっ♡♡ じゅるるっ♡♡♡ ──なんだよ、この、キモチ……っ♡♡♡♡」

 一方の志保も、ただ自分の性欲のまま動いていた、そのつもりだった。だがトロンとした目で、自分のシている事を受け入れている真央を見ると。喜びの感情が湧き上がってくる。それは相手を支配しているときの暗い喜びとは違って。自分の行為でこんなに感じて、悦んでくれている事が嬉しいと。そんな風に思ってしまう。

「あぁクソッ! チンコが無ぇから、セックスすることだって出来ねえじゃねえか……!」

 そう言いながら。どちらもショーツを脱ぎ捨てて下半身を晒している状態で。志保は、ちょうど自分の肉棒があったであろう所を真央の秘部に当て、擦り当てる。既に濡れたアソコ同士は、貝合わせによってお互いの身体にぬるりと、生暖かく心地よい感覚を伝えてくる。きゅぅぅん♡♡ と、腰が浮くような快感。

「くぅっ……♡♡ んぐっ……♡♡♡ はぁぁっ……♡♡♡♡♡」
「あぁっ♡♡♡ ふぁあん♡♡♡♡ しぇん、ぱいっ♡♡♡♡」

 膣内にペニバンを挿入れていた時ほどの強烈な快感とは違う。だけど、恥ずかしいところ同士で相手と繋がっているという事実が、心臓の脈を速めてゆく。ドキドキする気持ちが、抑えられない。嫌っているぐらいの相手だったはずなのに。今は、そんな相手とこれ以上無いほどくっついている事が、幸せでたまらない。

「センパイっ……♡♡♡ キス、していいですかっ……♡♡♡♡」
「は、はぁっ!? なんでオマエとなん、か……」

 眼下に映る真央が、上目遣いで自分の事を求めている。抵抗はあった。だけど、見た目が好みだという以上に、この娘とキスがしたい、そんな衝動に心が揺り動かされて。

「んちゅぅっ……♡♡♡ はむぅっ……♡♡♡♡♡」
「ちゅ……♡♡♡♡ んふぅっ……♡♡♡♡ お前がっ……♡♡ カワイイ顔してるのが、いけないんだからなっ……♡♡♡」

 どちらから近づいたのかは、お互い分からない。ただ、キスを拒絶することはなかった。リップが触れ合って、好きな人の顔がすぐ近くにある。大塚志保は、何がなんだか分からなくなってきた。自分は男だった、後輩も男だった。そのはずなのに。今自分は、何を感じてしまっているのだろう。

「センパイっ……これじゃ、ボク……ウチだけが気持ちよくなっちゃってます♡♡♡ だからぁ……♡♡♡♡」

 ゆっくりと身体を起こした真央は、志保と逆側に横になって。未だに快楽の余波が収まりきっていない志保のおまんこに、キスするかのように顔を近づけて舌先でチロチロと舐める。

「ひゃぁぅっ♡♡♡ おいおまえっ……そんなとこ、舐めっ……んうぅう゛っ♡♡♡♡」
「キモチイイですよね、センパイ……♡♡♡ アタシのここも、好きにしていいんですよ……?」

 ちょうど志保の目の前に、真央の大事な所があって。下の毛も処理してある、綺麗なアソコ。志保の心の内側で、舐めたい、味わいたい、そんな欲求が起こってしまう。相手はあの佐野だというのに。好きな人のおまんこを弄って、どんな風に感じてくれるのか見てみたい。もっと『真央ちゃん』と繋がっていたい。

「ん、むぅっ……♡♡♡ ふむぅぅっ♡♡♡♡ じゅるっ♡♡♡ はぁああ゛っ♡♡♡♡♡」
「あっ♡♡ んひゅぅぅっ♡♡♡♡ セン、パイっ……♡♡♡ しゅごいっ……♡♡♡ あむぅっ……♡♡♡♡」

 シックスナインの体位になって相手のまたぐら、むき出しになった女性器、クリトリス、秘部に顔を潜り込ませ、生暖かいサーモンピンクの膣肉を、陰核を、ざらっとした舌で舐めて、時々息を吹きかけ、相手の匂いに包まれる。それだけで、2人ともキュンと身体に疼きが走る。男の時の自慰で感じた気持ちよさとは違う。──『この人』だからだ。

「おれっ……男だったの、にぃっ♡♡♡ ひぅっ♡♡♡♡」
「──元の自分たちがどうとか──関係ないしっ! 今のウチは──センパイのこと、ダイスキだからっ……♡♡♡」
「ぅ……ぁ……♡♡♡♡」

 おかしくなりそうだ。だけど──ずっとこうしていたい。真央ちゃんにアソコを舐められて、真央ちゃんのおまんこを舐めて。上ずった声で『志保』の事を求めてくれる真央ちゃんの事が、たまらなく愛おしくて。一瞬頭に浮かんでいた躊躇は、あっさりと崩れ落ちた。

「──そう、だったら……っ! 思いっきり、感じさせてあげるんだからっ……!」
「んぁあ゛ぁっ♡♡♡♡ しぇんぱっ♡♡♡♡♡ ひゅごいのっ♡♡♡♡ きてりゅぅっ♡♡♡♡♡♡」

 志保が舌先での攻めを激しくすると、ビクンと身体を震わせて真央の愛撫も一度止まる。構わない。真央ちゃんの事を、真央ちゃんのおまんこを私が味わって、感じさせてあげている。それだけで、『しほ』の感情も、身体も湧き上がる悦びを抑えられない。

「せん、ぱぃっ……♡♡♡ いっしょに、イきましょっ……♡♡♡♡」

 喜びと快楽の余り、声は震えて。真央はそう呟く。答えは不要だった。お互いの秘部への攻めはより激しく。より甘い吐息と喘ぎ声が響く。

「むぅっ♡♡♡ んぁぁあ゛っ♡♡♡♡ じゅるっ♡♡♡♡ んん゛っ♡♡♡♡」
「ひゃぁんっ♡♡♡♡ れろぉっ♡♡♡♡♡ んぁああ゛ぁっ♡♡♡♡♡ ……ふぅーっ♡♡♡♡♡」

 互いにタイミングを見計らっていた訳ではない。──だが、愛し合っていた二人が心で繋がっていたのか。

「──あぁああ゛っ♡♡♡♡♡ んっくぅうぅぅう゛っ♡♡♡♡ んん゛うぅぅっ♡♡♡♡♡」
「ひぃっ♡♡♡♡♡ ふぅうう゛っ♡♡♡♡ んくぅうぅぅう゛っ゛っ♡♡♡♡」

 絶頂して、相手の顔に潮を吹きかけて。頭の中が、しあわせでいっぱいになって。少女たち2人は、ただ愛している人と傍にいて。その人と愛し合う事の悦びを、深く、深く感じていた。

────────────────────────────

 深い夜が明け、その翌日。今日も部活に精を出した2人は、同じ道を歩いていた。

「……こっちだと帰るのに大変じゃない? 私の塾に着いていって、そこから帰るのは反対側の道でしょ?」
「志保センパイと少しでも一緒に居たいからじゃ、ダメですか……?」
「ダメ、じゃないけど……」

 ほんの少し、志保は照れる。空が夕焼けで良かった、照れてる顔を見せたらまた真央ちゃんにからかわれる。……そんな真央ちゃんも好きだけど。

「これから部活が終わっても、センパイが受験終わるまで一緒に帰っちゃいますから♡」
「真央ちゃん……気持ちは嬉しいけど、アナタも来年は受験なんだから」
「それじゃ志保センパイ、たまにウチに教えに来てください! そうしたら、大学が遠くになっても会う理由ができるし……」

 遠いところの大学を目指していて。だからこそ、真央と離れ離れになるのは怖かったけど。──帰ってくる理由を見つけてくれたのは、嬉しかった。

「分かったわ。ちゃんと真央ちゃんに教えられるよう、今からも頑張らなきゃね」
「えへっ、応援してますよ、センパイ!」

 周りに人影は居ない。いや、居たとしても構わない。誰も咎めやしないのだから。指先を絡め合い、お互いの手の平を包み込むように。恋人繋ぎで、2人は共に歩いて行った。

 ──その一方、彼女らの視界に何故か全く映らなかった不思議なテント。そこに、肩をがっくり落とした1人の少女が入っていった。テントの内側では、変わらず奇妙なオブジェクトに囲まれたギャル風少女が佇む。

「いらっしゃ……うわ、なんかすっごいどんよりしてる娘が来た。大丈夫?」
「うぅぅぅ……最悪の気分です……こんな気分の時は誰か適当にアドバイスくれそうな人に頼るもんです……」

 佐野の元に現れたロリっ娘。願いを叶える悪魔を自称した時の悠然たる態度はどこへやら、酷く消沈した様子だった。

「えぇ、何? どしたの?」
「顧客との契約を結んだら、その代償を踏み倒されちゃって……商売あがったりなんですぅ……!」

『天使』である彼女は、瞬時に察した。ああ、そういえば自分のせいだったかもしれないと。

「…………まぁ、お互い幸せそうだし良くない?」
「良くないですよぉ! 結ばれた2人がセックスレスになって、それでも愛し合ってる不均衡さを楽しみたかったのにぃ!!」
「うわぁ……まさに『悪魔』って感じ」

 最後の一言は、本人に聞こえないように呟く。

 上位者に翻弄された2人の少年。──だが、『彼女ら』にとって。それは幸せを呼ぶ福音だった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

変身シートマスク

廣瀬純一
ファンタジー
変身するシートマスクで女性に変身する男の話

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

処理中です...