退魔師少年が親友に堕とされて淫魔になるけどいちゃラブする話

ドライパイン

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退魔師少年が親友に堕とされて淫魔になるけどいちゃラブする話

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 受験して高校に進級するとなると、気持ちは少しだけ大人になったようになる。だけど急に身長が伸びたり、肉体が成長したりと言った事は流石に起きず。
 桜の季節が過ぎてしばらくたった頃、玲珠れいじゅ葉月はづきは身の丈ギリギリまで特注してもらった学生服に身を包み、ぐったりしていた。

 「うぅぅ……体育の授業が余計にきつくなった……」
 
 6時限目の科目であった体育。クラスの中でも2番ぐらいに背が小さく、よりにもよってバスケットボールの時間だったため。必死でジャンプしようにも届かず、ブロックはすぐに抜き去られて。
 今日ほど自分の体格の無さを恨めしく思った事は無い、と葉月は歯噛みする。
 
 「どしたの葉月。またつぶれてる」
 「環観ちゃん、察して……」
 「そんな予想はしてたけどね~。でもでも、葉月くんは女子の中でも人気だよ。『小さいしカワイイ』とか、『運動できない子が必死なのがカワイイ』とか『困った顔させたい』とか」
 「もっとカッコイイとかそういう人気はないの!?」
 
 よりガックリと肩を落とした葉月に、ぽんぽんと慰めるように肩を叩く少女。彼女は葉月の小学校からの友人である白水しらみず環観たまみ。小学校の頃は同じぐらいの身長だったのに、葉月がようやく140cmになる頃には既に環観は170cmを超えていて。
 家も近く、一緒に帰ることが多かったが──姉弟の様に誤解されることもあった。彼女の翡翠色の瞳に見つめられると──葉月は、どことなくドキドキする。それは不快な感覚ではなく、心地よくすらある。
 
 「いつかアタシたち2人でビッグになるんでしょ! 昔約束したじゃん!」
 「そんなバンドみたいな約束したっけ……」
 「もー、覚えてないの? 寂しいなぁ、ビッグになるために毎日古武術の練習もしてるのに」
 「体格の話だったの!?」
 
 他愛もない女友達との会話。しかし、僅かに葉月の心が揺れる。確かに、約束はした。内容は環観の言うものとは大きく違っていたが。
 『何があっても、彼女を悲しませたくない』と。
 放課後、帰ろうとしたその時。
 
 葉月の着用している学生服の、胸ポケットの内側。小型の通信端末が振動した。
 いつも葉月が使っているスマホとは違って、この端末から連絡が来たときは──『緊急を要する』事態が発生したという事。
 
 「ご、ごめん、環観ちゃん! 急用を思い出したから、先に帰るね!」
 「……そっか。ふふっ、行ってらっしゃい」
 
 慌てて教室を飛び出す葉月には、当然ながら見えない。
 いつも元気で明るいがモットーの環観が……心配そうな表情で彼の姿を見つめている様子は。
 
■■

 人類は火を駆使し、電気を発明し、闇を克服した。しかし──闇に潜むものどもについても同時に知ってしまった。
 今まで迷信とされていた妖精、精霊……あるいは魔物、妖怪、悪魔。それらの存在についても、同時に『発見』してしまったのだ。
 『人類』が育ち、文明を開発し、成長したその末に──育った果実を口にするのを心待ちにしていた『魔物』という存在が居る事を。
 
「嫌、いや、やだっ、来ないでッ……!」

 オフィス街の火災から逃げ出し、ケガをした足を引きずりながらも逃げたOLの女性。しかし──彼女の決死の逃走を嘲笑うかのように。
 狼のような──黒く毛むくじゃらで、その毛が炎の様に揺らめきながらも、瞳は赤々と獲物を狙う目で彼女を見つめていて。
 そして、そのバケモノの口が開き。無数の歯が。その口の中に、既に呑み込まれた犠牲者の姿が。自分も、あんな無残な姿になるのかと絶望し。
 魔物が女性に襲い掛かった、その瞬間。
 
 「──雷穿」
 
 ドン、と爆発音が響いたかと思うと。目を閉じていても伝わるほどの眩しい光が一瞬輝く。女性は、自分の身体が魔物に喰われていない事に気が付き、
 恐る恐る目を開ける。信じられない光景がそこにあった。今まで優位に立っていて獲物の味を確かめんとばかりに残忍な笑顔のまま──その魔獣は、背中に大きな穴をこじ開けられて絶命していたから。
 
「すぐに救助が来ます。それまで、このお札を身に着けてください。仲間が貴方を探すための識別札です」

 女性は口を開く事すらできず。ただ、おかっぱ姿の、頼りなさそうな印象を与えながらも、その退魔の剣で雷撃を振るった少年。玲珠レイジュ葉月ハヅキから離れてゆく。
 
「こちらレイジュ現着、兵部室オペレーターの指揮下に入ります」
"形代ドローンの指示する方向へ急行願います、7km先、駅の構内が激戦区! 守備戦力が市民を保護していますが、防戦一方!"

 学生服ではなく、白色の衣に濃紺のハーフパンツ。葉月はまだ少年でありながら、その身に宿した退魔の力により「祓者イグナイター」として活動する退魔師でもあった。
 言い換えれば。彼はいつ、その身が魔物に食われてもおかしくない状況の中で戦い続けていた。
 飛来してくる誘導機の合図に従い、葉月は一気に魔物の襲撃してきた駅への距離を詰める。
 
「禹歩・脱」

 魔を祓う歩み。それを改造した、ジグザグの光速移動。彼の視界に入った魔物全てを切り裂くように、退魔の刃が振りぬかれる。魔物の首を、胸を、顔を貫き、羽をもぐ。
 時間にして20秒。たったそれだけの時間で、駅までの百数十にも及ぶ魔物の類は『祓われた』。
 そして辿り着いた、駅のロータリー。駅構内から大量の悲鳴が響く中、それを保護するように8人ほどの退魔師が防御態勢をとっていた。
 
「……デカブツが。何処から入り込んできたんだ」
"識別名、牛鬼! 通常個体の10倍以上の妖力が観測されています!"

 頭は牛でありながら──首から下は鬼の様に筋骨隆々としており。蜘蛛の様な動きで人間を貪り食う悪しき妖。6つの脚がそれぞれ爪の様に鋭利で、ソレを振って退魔師たちが敷いた防壁にヒビを入れようとしている。
 毒を吐く習性もあるが、既に誰かが封じたのか。牛鬼の口を縫って塞ぐように、一本の刀が刺さっていた。
 
【Guorrrrrrrooooooo!!!】

 口を封じてもなお、地を轟かせるようなおぞましい鳴き声。そしてついに、退魔師たちが張っていた防壁のヒビが大きくなり。グワシャン、と大きな音を立てて崩れ去る。
 駅構内の悲鳴が、最も大きくなり。牛鬼はせせら笑うように鳴いた。
 
【Urruuooooooo──o......?】

 しかし。牛鬼の歓喜の鳴き声と表情が、寸秒と経たずに困惑に変わる。防壁に突き刺した、巨木ほどもある爪と腕が──コンクリートの地面に落ち、道路にヒビを入れていたから。
 
【Agyuuooorrruuuuu!!!】
「……臨兵闘者、皆陳列在前全魔力を、此の刃に!」
『は、はいっ!』

 防衛に回っていた退魔師だが、魔力リソースを保護に割く必要がなくなった事を悟り一気にサポートに回る。葉月の握る刃が、一層の白い輝きを増して。

「十字・斬」

 蓄えた魔力を剣に宿し──牛鬼の頭を、胴を、全てを呑み込む浄化の光。巨大なレーザーの如く、牛鬼を焼き尽くす。
 
【Gooooaaaaaaa!!! aaa...】

 そして。葉月が剣を振った後には。『牛鬼だったもの』の消し炭が、風に乗って飛んで行った。
 それを確認した直後。葉月は、再び跳躍するようにしてその場を去る。
 あとに残された警備の退魔師が、安堵した乗客たちを宥める様子を見ることも無く。
 
■■

 "町の妖魔の討滅を確認。警戒態勢を解除。各員のオペレーターの指示を以て解散。協力に感謝する"
 
 物々しい、兵部室の上官の言葉が通信で聞こえた後。今度は女性の声で通信が入る。
 
 "お疲れ様でした、レイジュさん。被害は最小限に抑えられました"
 「疲れた……本当に疲れた……」
 
 戦っていた時の冷徹なまでの声とは裏腹に、現場から去った後の葉月の声はひどく弱弱しかった。いつも弱音を吐いていそうな少年が、強力な退魔師とは誰も思わないだろう。
 実際に退魔師を束ねる兵部室でも、その認識は薄い。たまに、職場見学に来た学生と間違われる事すらある程度には。
 
 "そのふにゃふにゃな言動がなければ、もっと組織でも上に立てそうなんですけどねぇ……女の子にもモテませんよ?"
 「知ってる……もういじられキャラになっちゃった……」
 "も~! キミみたいな子がキメ顔で『お前の事を絶対に守る』って言ったら、絶対女子はコロって落ちちゃうわよ、恋に!"
 「イヤですよ、そんな歯の浮くような言葉……」
 
 ただ。オペレーターの女性が語った言葉が、やっぱり胸のどこかに刺さる。『誰かを護りたい』──その心は、人一倍あった。何があっても、あの子だけは魔物の餌食になどさせないと、そう心に誓ってもいた。
 
 "ま、イメチェンは急には難しいよね。それじゃ、解散を…………待って"
 「どうしましたか、星宮さん」
 
 通信の向こう側で聞こえる声のトーンが急に変わった事に、葉月も気が付く。
 
 "ッ……! 緊急指令! 妖魔の大群を確認、場所は──君の住んでいる街!"
 「…………急急如律令鎮圧モード起動ッ!」
 
 コンクリートの地面にヒビが入るほどの跳躍力で。葉月は空を切り、自分たちの──環観の住んでいる街に、急行する。
 
■■

────────全身が、痛む。直前の記憶が無い。頭を割られているような痛みがずっと続く。気が付くと、自分の身体が壁に繋がった装置に繋がれて拘束されているのが分かった。機械による拘束は腕までだというのに、指の一つも動かせない。
毒の類ではない。呼吸が出来る事を鑑みるに、何らかの呪術によるものだろうかと推測する。

「……目が覚めたかえ?」

目を開く。葉月の目に飛び込んだのは、金色の長髪と、顔を映さないためか。白色の、笑みのような能面を被った女性。6本の尻尾を生やし、黒色と赤色の入り混じった巫女衣装のようなモノを纏った、妖狐系の魔物。
ぼやけた視界がハッキリすると徐々に思考も冷静になってゆく。妖狐が着ている黒色の巫女装束に見えたソレだが、ボディスーツの様に身体をぴっちりと覆っていた。強い魔力が織られているのは、退魔師である葉月には一見しただけでも分かる。

「あんたが強情やさかい、無理やり連れてくるのに少し手荒な方法を取らなあかんかったんどすえ?」
「何が……目的です……? 魔物が、退魔師を捕虜に取ったところで、交渉の余地なんてない……」
「知ってます。そもそも、ウチらは人間ヒトを取って食うのんが趣味ちゃいますさかいに。話し合いの場も設けたちゅうのに、あんたは血の気ぃ多いからに」

 おぼろげだった記憶を、もう一度思い出してみる。自分の住む町に魔物が出現したという緊急連絡を受けて現場に着いたが────出くわしたのが、確か。この妖狐と、狼型の魔物。
 どちらも、人型をしていながら強力な魔力を扱い……普段は魔物を斃す事を得意とする葉月ですら、防戦一方。最後に聞いたのは、市街地に住む住人の避難がもう少しで完了する事を伝える通信だったはず。
 
「全員喰ったのか? さぞかし美味かっただろうな……」
「ほんまに血の気ぃ盛んな少年やな。誰も襲うたらないどすえ……目的は『キミ』なんやさかい」

 意図が、見えない。今まで葉月が戦ってきた魔物は、人間を喰らい、あるいは楽しみのために残虐な事をする存在。人間そのものに悪意を持っている存在も居た。そもそも対話が通じる相手ではなかった。
 だが……目の前の相手は、力が強いばかりではなく。何らかの単純ではない意図を持っているように見えた。
 
「どういう意味で……」
「魔物人間を残虐に扱うてるのんは知ってる。けどもうちはちゃう。『うちら』は人間が好きなんや」
「なら、何故街を襲った!」
「魔物の連中の中でもうちら淫魔は。チカラがあっても迫害対象なんよ。思想が思いっきりちゃいますさかい、他の魔物と同じように行動しないと種族ごと攻撃されるので」

 今まで狩ってきた魔物にも、そうした種族による対立、あるいは弱肉強食の世界がある事は葉月にとっても知っている知識だったが。
 
「他の魔族と同時に襲ってきたなら……今頃街は火の海か?」
「……相当、魔物に恨みがあるようどすなぁ。安心しとぉくれやすよ、侵攻は失敗したと上に伝えて、他の魔族はうちらが討滅したさかい」

 それを確証するかのように、妖狐の女性は部屋のモニターを点灯させる。映ったのは葉月の住んでいる街。あちらこちらにパトカーの光の反射や、形代ドローンの飛翔している様子が確認できるが。式紙ドローンの飛翔パターンが、襲撃鎮圧後の生存者探査モードである事、それらを妨害する存在も居ないことを悟る。……このライブ映像が真実なら、確かに街に何ら被害は出ていない様に見える。
 なら。この妖狐の目的は、何だ?
 
「ならなおさら、武勲を上げた方が良かったんじゃないのか? 他の魔族を裏切ってまでボクを拉致する意味が……」
「理由の1つ。うちらは淫魔。性質上、人間とは共生関係を築きたいと考えてる。ほんで人間を餌や玩具のようにしか思てへん魔物に対しては。あんたとおんなじように憎らしゅう思てる。そして2つ……」

 妖狐の指が、葉月の右横を指す。そちらの方を見ると──緑色の培養液に浸かった、狼型の魔物。それが眠る様に、カプセルの中に沈んでいた。そのカプセルから伸びているチューブは──葉月の身体に無数に張り付けられている。
 
「『玲珠 葉月』。君がどうしても欲しい。だから……仲間になってほしい」

 それまで培養器の中で眠っていた狼型の魔物の目が開く。銀色の瞳が葉月を見つめ──ニヤリと笑った瞬間。彼女の身体は、培養器の中でドロドロと溶けてゆき。そして。
 
「ガ……ぁっ!? なにか、入ってッ……!!?」

 葉月のカラダに繋がれたケーブルを通じて、彼に入り込んでくるのは。禍々しい魔力。葉月の宿す討魔の魔力とは真逆の、陰の魔力。体の中に無理やり異物を入れられたときに発するのは……強烈な拒絶反応。
 痛みではなく。自分の根底を揺るがすような。
 
「い、いや、嫌だっ!! そんな、頭がっ、おかしくっ」
「不安にならんといて。すぐに……気持ちようなるさかい♡」

 その囁きは。魔力を伴って葉月の心を揺さぶる。これから起こる事への恐怖を無理やり沈静化させる、一種の催眠作用。
 そして……彼の履いている魔防の袴を。妖狐はいとも容易く切り裂き。
 
「ぁ、うぅう……? なに、してっ……?」
「そら簡単なこと。淫魔の大好きな事は……人と交わる事やで♡♡」

 刹那。葉月の股間に、ヒュンと縮こまるような感覚が走った後──生暖かく、葉月の敏感な器官を舐め取られる感覚が。
 
「ひゃ、あぅっ!? お、お前っ……! ぅあっ!?」
「ちゅぅうっ♡♡ ぢゅぷっ……♡♡ ふふっ、カワイイ声で嬉しいわぁ……♡♡ 感じてくれとるんやねぇ♡」

 退魔のチカラだけで言えば一線級の能力を誇る葉月。しかし彼の性への目覚めは、他の少年たちと同じようなもので。こんな──自分のソコを、魔物とはいえ女性に舐められるなど。
 無理やり感覚を切り離し、行動するための魔術もあるが。なぜかそれを詠唱できない。
 
「あっ、ぅあぁっ! や、やめてよっ……おちんぽ、舐めないでっ……!」
「くふっ……♡♡ そないな弱弱しい声で言うたら『もっとシて欲しい』って言うてるようなものよ♡♡ それに、ココもどんどん大きなってる♡♡」

 亀頭の先をチロチロと舌先で。竿全体をディープキスするように。緩急のある扱き。色仕掛けをする魔物なんて初めてのケースでもある。そして、葉月という少年にとっても、こんな事をされるのはもちろん初めてだ。
 
「は、ぅ、ぅゔっ♡ か、カラダが……あついっ……♡♡ おちんぽ、なめられるとっ♡♡ やらっ、やめっ♡♡♡」
「その年で声変わりもしてへんの、頼りあらへんって想うとったけど……今はそれも可愛う思えてまうなぁ……♡♡ ちゅぅぅっ♡♡♡♡」
「あ、あ゛っ♡♡♡ んひゃぁあっ♡♡」

 葉月は。まだ、気が付いていない。自分の身体に繋がれたチューブから注ぎ込まれる、淫魔の魔力。それが、自分の身体に及ぼしている影響に。

「えらい大きなって……♡♡ 惜しいなぁ。これがうちのナカに入ったかもしれへんって思たら……これが最初で、最後なんやなぁって……♡♡」
「何を、言って──」

 妖狐が僅かにフェラでの攻めを止めて、何かを呟く。一瞬冷静になった葉月がよく見ると、そこには。どのような技術かは分からないが、黒色と赤のボディースーツの股間部分だけを露出させた彼女が居た。
 丁寧に、黒と紫の下着を穿いていながらも。最も大事な場所は、全くの無防備で。
 
「ふふっ……わらわ陰部ホトを晒したのも、キミが初めてじゃ♡♡ ずっとずっと、この日を待ちわびて……♡♡」
「ひゅっ、ひゅーっ……♡♡♡ ッ、ぁ、ぁぁぁあっ♡♡♡♡♡♡」

 異様なほどの勃起をした、葉月のペニス。与えられた淫魔の気に影響されたのか、普段以上にいきり立ち、自分のヘソよりも上に届くぐらいに痛いほどに勃っていて。
 その頭を、竿を。ゆっくりと、愛おしい人のモノを受け入れるかのように。妖狐は機械に繋がれた葉月に身体を重ねながら。そのワレメで、葉月の肉棒を受け入れる。
 
「あっ、や、めっ♡♡ おちんぽ、おかしくっ♡♡♡ あぅあぁっ♡♡♡♡ おまんこっ♡♡ きもち、イイっ♡♡♡」
「くぅっ……♡♡♡ ふ、ふふふっ……♡♡♡ 葉月のモノ、アタシの中に入っちゃったっ……♡♡♡ この器も喜んでる……♡♡♡ 子宮がきゅうきゅうと疼いてんで……♡♡♡♡♡」

 一瞬。妖狐の語る言葉に誰かの姿が被った気がしたが。考え直すことが出来るほどの理性はない。ぎゅうと締め付けるペニスへの快楽で、あっという間に思考が蕩けてしまう。
 抵抗できないままに、うわ言のように言葉を呟く事しかできない葉月に。トドメを差すかのように、妖狐は囁く。
 
「気づいてへんみたいだけど……葉月の髪も、胸も、おちんちんも……どんどん変わってんで? ふふっ……えらい綺麗になってる……♡♡♡ ほれ、乳首の感覚は……」
「ひゃ、ぁぅっ♡♡ なん、れぇっ♡♡♡♡ ぼくにっ、おっぱいがぁっ♡♡♡♡ やぁっ♡♡ 乳首くりくりしないれっ♡♡♡♡」

 自分の喉から漏れ出る声が。少年のソレではなく、気が付くと妖艶な女性の喘ぎ声になっている事に葉月は気が付いてしまう。膨らんだ胸、そして身体を縛る機械が余計にキツく感じる。一体何が起こっているのか。
 それを冷静に分析しようとするが。
 
「だぁ~め♡♡♡ 葉月のせーし♡♡♡ どろっどろに濃いのっ♡♡♡♡ 全部、ぜ~んぶ……♡♡♡ アタシにちょうだい♡♡♡♡♡♡」
「は、ぁああ゛っ♡♡♡♡ ぐりぐり、しない、れぇぇっ♡♡♡♡」

 乳首と乳房を弄りながら。葉月の肩に手を組み、恋する少女のように──しかし妖狐は、娼婦のようなテクで葉月の肉棒を責め立てる。そして。
 
「う、ぐぅうぅっ♡♡♡♡ で、ちゃうぅぅっ♡♡♡♡♡♡」
「あっ────き、たぁぁっ♡♡♡♡ アタシのなかっ♡♡♡ 葉月のが、いっぱいっ♡♡♡♡♡♡♡」

 退魔師と魔物というには。少年を慕う女性のように。自分の身体の中に注ぎ込まれた精液の感覚、それを愛おしいものとして受け入れる彼女。くたり、と膝から崩れ落ちた妖狐は。
 
「ぁ……ぁはは……すっごく、きもち、よかった……っ♡♡♡♡♡」

 酔いしれる様にそう呟く。──その瞬間。ベキン、と金属の歪む音。
 射精の快楽に溺れかけていた葉月の理性が。瞬時に回復する。全く動かなかった身体が、わずかに動く。チカラをかけると、ベキンと拘束具の砕ける音。
 
 グッと全身に力を込めて。体中を縛っていた機械とケーブルを振り切る。視界の先。葉月の普段使いの退魔刀と呪符が、無機質な棚に置いている。
 跳躍。まだ身体を縛る機械の残骸もろとも、退魔刀に一瞬で近づき、握る。三角飛びの要領で、一気に妖狐へと刀を振り──
 
『キィィン──────』
 
 葉月は。目の前の光景が信じられなかった。確かに、妖狐の首を斬るために振り下ろした斬撃。柄まで振るった剣。
 ……剣の方が折れて、床に突き刺さっていた。
 
「信じられへんかもしれへんけど、当然。その刀は退魔の力を持つ人でしか本領を発揮できひん。ましてや、『魔物が振るうたところで、効力を発揮しいひん』」

 何を、言って。
 
「しっかりと見たらええのに。これが──生まれ変わった葉月の姿♡♡♡♡」

 妖狐が手をかざすと、葉月の小さな身長よりもずっと大きな姿見が現れる。その向こう側に映るのは。
 
「何、なんだ…………」

 自分の口と、鏡の向こうの『彼女』と動きがシンクロしていて。否が応でも理解せざるを得ない。
 先ほど、培養器に入っていた狼型の淫魔と似た姿。茶色の髪が腰まで長く伸び、金色の瞳を大きく見開いていて。拳よりも大きく膨らんだ乳房が、ぽよんと柔らかそうに存在していて。

「ぁ、ぁぁうぁっ♡♡♡」

 退魔師として戦った葉月。しかし、彼の──彼女の身体はもう作り変えられてしまっていて。射精で萎えただけではなく、肉棒はどんどんと縮小していって。
 ぐぐぐ、と葉月の身体の中に新しい器官が。女性として、身体が作り替わってゆく。子宮が、乳腺が、頭頂部の獣耳が。どんどんと血流と魔力によって、新しく作られてゆく。
 
「っ、ぁああ゛っ──♡♡♡♡」

 何も、触られていないのに。射精と似た感覚とともに、漏らしたような失禁感。プシっと潮を吹き、葉月は倒れこむ。ビクビクと身体を震わせ、身体が歪められてゆく快楽に呑まれて行って。
 立ち上がらなきゃ。そう、思うのに。
 
「ぁあ……葉月、くん……♡♡♡」

 それまで、敵として認識していた妖狐が。白面を外す。そこから見えた、彼女の顔。
 翡翠色の瞳。大切な、守りたい、環観と同じ色。
 その声と顔が、『ありえない答え』を導き出す。。

「そん、な…………」
「ずっと──こうしたかったの……葉月くん♡」
「たまみ……ちゃん……?」
 
 その疑問を塞ぐように。妖狐の──いや。狐娘と融合した、親友が。葉月の唇を奪った。
 
「ちゅっ……♡♡♡  れろっ♡♡♡♡ ……えへ、ぎゅ~っ♡♡♡」
「はぅっ♡♡♡ た、たまみ、ちゃ……♡♡ りゃめっ……♡♡♡」

 今まで魔族として見てきた敵愾心が一気に挫けて。確かに環観たまみは葉月よりも背が高かったが、190cmもあるほどの、長身美女の姿とどうしても重ならない。そのはず、なのに。
 
「あははっ♡♡ 葉月くんのモノ、すっごく美味しかった……♡♡ ようやく、妖狐様とアタシが完全に結びついて……葉月くんの事が、もっともっと好きになっちゃった♡♡♡♡ このおっきくなったおっぱいも、もふもふの尻尾も──ぜーんぶ、葉月くんのモノだよ♡♡♡♡」

 そう言って、いつもの口調で。だけど、あやすように。葉月の全身を包み込む環観たまみの身体。金色の毛並みがふわふわと温かく、胸元に押し付けられたおっぱいが柔らかくて。
 幼馴染のえっちな態度に、骨抜きになってしまう。魔のモノに対峙する時には、耳を貸してはならない。心を許してはならない。それが隙になるから。
 でも──目の前に居るのは、大切な親友で。
 
「でもぉ……葉月のおちんぽがもう無くなっちゃって……こ~んなにカワイイ狼っ娘になっちゃった♡♡ これは……オンナノコの気持ちいい所を教えてあげないと……ね♡♡♡♡」
「な、なにする、のっ……」

 葉月は、自分の格好を確認する。立っていたら足元も見えないだろう大きなおっぱいに、黒色の長い尻尾が揺れている。
 退魔師の装束すら変えられていて、灰色の和装ボディスーツを着ていた。しかし、その一部は露出していて。ピンク色の乳首が映えて。
 鼠径部を強調するような、ハイレグレオタードの着物。股間部分にはあるはずの男性器がなく。
 
 股の部分にはぷっくりと膨らんだ部分に、スジが入っていて。その上側に、ちんちんの代わりによく分からない突起もある。
 これが────淫魔と混ざってしまった、自分の姿。それを受け入れる事が出来ず、ただ手に口を当てる事しかできず。

「カワイイ自分に見とれるのも分かるけど……使い方はこう、だよっ♡♡♡」
「あ、ひゅぅ♡♡♡ え、ひゃぅう♡♡♡ お、おまんこっ♡♡♡ さすさす、しないりぇっ♡♡♡♡♡」
「や~だ♡♡ 毎日葉月の事考えて、アタシもしてたんだから……気持ちいいのをお返しだよっ♡♡♡」

 ただ、ワレメのスジを彼女に擦られて。おっぱいをむぎゅうと搾られる、それだけの動きで。少女になってしまった葉月の身体は、それを鋭敏に伝えてくる。
 痺れの呪術でも使われたかのように、身体が勝手に跳ねる。なのに……それが、不快な感覚じゃない。

「ね……こんなに気持ちいいのに、どこかもどかしくて、切ない気持ちが止まらないでしょ……♡♡ アタシも、ずっとそうだったから……っ♡♡♡♡」
「だめ、だよっ……たまみちゃんっ……! こんな、淫魔の気に当てられて、おかしくなってるんだ……!」

 一瞬。葉月のカラダを弄んでいた環観たまみの手が止まる。

「────おかしくなんか、ない」

 静かに告げる言葉に、一瞬の怒気が混ざったように。そして声色に悲壮感が混ざる。
 
「ずっとずっと、心がざわついてたの。キミが教室や遊びの時に姿を消すと……決まって、近くの町で事故や事件が起こっているの。ニュースになるぐらいに」
「地下配管の破損で大規模陥没、急な直下型地震……でも、どの事故でも死傷者の報告は聞かなくて」
「もしかしたら──葉月が、何か危険な事に巻き込まれているんじゃないかって、不安になって」

 魔族の存在は、世に知られてはならない事。そのため、襲撃に巻き込まれた人には必要な記憶処理を、漏れてはいけないニュースは封じ込めを。
 そうして、人々の平穏は守られてきたのだから。
 
「怖かったの。いつか葉月が、どこか遠くに行ってしまって……そのまま帰ってこないんじゃないかって」
「それで今日……淫魔のお狐様が、アタシに教えてくれたの。葉月が、ずっとずっと長い間……命を顧みずに魔物と戦い続けていたんだって」

 環観たまみの抱きしめる力が、強くなる。
 
「いつ、魔物に食べられて、襲われて。死んでもおかしくない戦いを、何百回と生き延びたんだって聞いて……」
「凄く怖くなった。だって……だって!」

 ぽたり、と。葉月の顔に水が落ちる。……涙。いつの間にか、葉月を組み伏せるように上に乗っていた環観たまみの目から、こぼれ落ちたものだった。

「あなたと普段通りに別れを告げて────それで、二度と会えなくなったりしたら! そんなの……そんなの、耐えられない! だってアタシは、あなたの事をっ……!」

 慟哭にも等しく、環観たまみの声が震えていて。真っすぐに葉月を見つめる瞳からは、ぼろぼろと感情が溢れていて。
 ……しかし。彼女は深呼吸をする。そして──翡翠色をした瞳が、艶やかな紫に変わっていた。

「淫魔様と融合されて……こうすれば良かったんだって分かっちゃった♡♡ だって、そうだよね♡♡♡ 淫魔様は人間を傷つけたりしない……だって、そう約束したもの!
 それで……アタシたちは、こうしてずっと幸せで居られるんだ♡♡♡♡」

 たまに。人間の精神に干渉し、思考を捻じ曲げて、人間同士を争わせるような。そんな悪辣な魔物も存在はする。
 だが。魔族と融合してしまった環観の思考は。操作されたものでは無く──『選んだ』のだと。葉月は理解してしまう。

「ずっと幸せになれれば──それで良くない? だから……こうやって、一緒になろっ♡♡」
「ひゃ、ぁあっ♡♡♡ や、はひゅっ♡♡♡♡ そ、そんなトコっ、くすぐらないで、よぉっ♡♡♡♡」

 自分に新たに出来てしまった器官。狼の尻尾。付け根にあたる部分のお尻の上の部分が、彼女の細い指先で弄られる。ただ背筋の奥を触られている、それだけなのに。
 脊髄を走るように、ゾクゾクする感覚が伝わってきて。自分の喉から漏れ出る女性の喘ぎ声。その事実が、余計に葉月をおかしくさせる。

「自分で試したけど……魔獣にとって尻尾は敏感なの♡♡ ね、おちんちんを触られた時と同じ……いいえ、それ以上じゃないかな♡♡♡♡」
「あ゛っひゅっ♡♡♡ や、やぁっ♡♡♡ たまみちゃんっ♡♡♡♡ そんな、撫でないでよぉっ♡♡♡♡♡」

 根本から先っぽまで。ゆっくりと柔らかい手のひらで包まれ、すいっと撫でられる。むずがゆい。ほわほわする。きもちいい。
 ──好きな人に、弱いところを触られて。こんな事を考えちゃいけないのに。それが、嬉しく思ってしまう。
 抗わないといけないのに。もっと触ってほしい。もっと、幼馴染に甘えたい。彼女に愛されたい。あの子に、されるがままでいたい。
 
「けど……まだ、葉月くんの身体は、淫魔様の身体と完全に混ざっていないの。このままアタシと交わったら、葉月くんを搾り取ってしまう。だから……」

 すると、狐娘となった環観は。床に突き刺さった退魔刀の切っ先、刃の部分を軽く手でつまむ。本来なら、魔物が触れようものなら一瞬でその身を焼かれるはずだが。
 人間と交わった『狭間』にある彼女は、それをいとも容易く抜いて見せて。その刀身に淫術を掛ける。鮮やかな桃色の魔力が刀に集まっていって。徐々に、その形状が変わってゆく。

「じゃ~ん♡♡ もう、戦う必要なんてないよね? だから……これも気持ちよくなるための道具にしちゃった♡♡♡」

 ……葉月が、彼の両親から預かり。幾度もの死闘を共にした剣は。
 元々の彼の逸物よりも大きな、20cmはゆうに超えたディルドへと変貌してしまった。蛍光色のピンクが、その淫靡さを余計に目立たせる。
 
「ボクの、剣…………!」
「……ごめん、ね。こうするしかないの。こうやって、淫魔の力を一気に葉月くんに注ぎ込むには──」

 ショックを受けたであろう葉月の顔を見てか、環観たまみの表情も曇る。しかし、行動は止まらない。押し倒された状態で身動きが取れないまま。そのディルドは、葉月の身体に。
 本来、性行為とは全く関係のない方の穴へと近づけられて。
 
「怖くないよ、でも不安だろうから……ぎゅってしてあげる」
「たまみ、ちゃん……!? そっちは、その、だめ、だって……!」
「淫魔のカラダは、消化管が無いの。だから……ただソコは、気持ちよくなるためだけにあるから♡♡♡」

 いや。葉月にしてみれば、どちらに挿入されるのも強い抵抗感があるが。まさか、好きな人にアナルをディルドで、しかも自分の愛用の剣だったもので犯されるのは。
 あらゆる感情よりも混乱の方が強く。拒絶するだけの強い言葉も出せずに。遂にソレは、葉月の体内に入り込んでしまう。
 
「っくぅうゔっ!? ぁ、あっ、ああっ♡ あひゅっ♡♡♡ かひゅっ♡♡♡♡ んうゔっ♡♡♡♡♡♡」
「どう、かなっ♡ 葉月くんの事、気持ちよく、出来てるかなぁ♡♡♡ ケツマンコでどんなふうに感じてるかなぁ♡♡♡♡」

 認めたくなんてない。幼馴染にこんな恥ずかしい所を見られて。不浄の穴を犯されているというのに。圧迫感と共に伝わってくるのは、「もっとシて欲しい」という有り得ない願望。
 身体の内側を犯される感覚が、身体に染み込む魔力が、優しい笑顔で自分を犯す環観の顔が。気持ちよくて、愛おしくて、切なくて仕方がない。
 だけど。快楽を一度口に出してしまえば。もう、取り返しがつかなくなる。だから、必死で口を抑えることしかできなくて。
 
「……葉月くん。言って、欲しいの。アタシの事が嫌なら、キライだったら。拒絶して欲しいの」
「は、ぁああ゛っ♡♡♡♡ う、ぐぅぅうヴっ♡♡♡♡」

 言ってはダメだ。戻れなくなる。
 
「アタシの事…………キライ?」
「────そんな訳、無いッ……!」
「アタシのしてる事、嫌かな?」
「──イヤじゃ、ない……」
「…………ケツマンコをディルドで犯されるの、気持ちいい?」

 分からない。だけど。環観たまみを拒絶したくない。その一心で。
 
「きもち、いいっ……♡♡」
「アタシにぎゅ~っってされるの、好き?」
「すき、スキ、好きっ♡♡♡♡♡」
「尻尾をサスサスって撫でられるの、嬉しい?」
「うれしいっ♡♡♡ ぞくぞくするっ♡♡♡♡」
「アナルを攻められて、とろとろになっちゃった?」
「ぜんぶすきっ♡♡♡ たまみちゃんのっ♡♡♡♡ ぜんぶっ♡♡♡♡♡」

 ──嗚呼。言って、しまった。認めてしまった。これで、もう。環観ちゃんの前で、隠し事も、快楽を抑える事も、抵抗する事も。
 葉月ボクは。もう、環観ちゃんには、抗えない。
 それに。こうして環観ちゃんの尻尾に包まれているだけで、頭が蕩けてしまって。
 
「あぁ、ああぁ……♡♡♡ 葉月くんが、アタシのコト、好きって……っ♡♡♡♡♡ ほら、見て葉月くんっ♡♡♡♡ キミの事が好きな気持ちがもう、抑えられなくてっ♡♡♡♡ こんなのが出ちゃったのっ♡♡♡♡」

 身もだえするように、身体をくねらせた環観。彼女の愛液が溢れだす陰部、その上に。かつての葉月のソレよりも遥かに大きく。いきり立ったペニスが、どくどくと脈打っていた。
 
「いい、よね……♡♡ だって、アタシたち……お互いに大好きだもの、ね♡♡♡♡♡」
「そんなに大きいの、絶対入らな────ぁ、ぁああ゛っ♡♡♡♡」

 僅かな抵抗も無意味で。葉月の、既に身体の内側に出来た膣に。そして子宮口まで。一気に躊躇いも無く、♡♡♡♡の巨大な肉棒が突き刺さる。
 
「か、ひゅっ♡♡♡ ぉ、ぉおぉおゔっ♡♡♡♡♡♡」
「ぁ、ぁああ゛っ♡♡♡♡ これっ、ひゅごいっ♡♡♡ 葉月の膣内ナカっ♡♡♡♡♡ アタシのおちんぽ、抱き着いて離してくれないっ♡♡♡♡♡ そんなに好きになってくれるんだぁっ♡♡♡♡♡♡♡」

 葉月の意志によるモノというよりは、淫魔と混ざった身体の性質として。性行為を拒むことはできない。むしろ、それを気持ちよく行えるよう本能レベルで身体が適合してしまうから。
 
「はじゅきっ♡♡♡♡♡ アタシにくれたぶん、いっぱい、いっぱい、い~っぱい♡♡♡♡ アタシのモノ、あげるねっ♡♡♡♡」
「くひゅっ♡♡♡♡ ぁ、ぁうゔぁっ♡♡♡♡♡♡♡♡」

 環観が腰を振る度に。アナルに刺さった方のディルドも動いて、快楽になど慣れていない葉月の頭では、もう理解が追い付かなくなる。
 熱い。ふわふわがとまらない。じんじんする。くらくらする。抱きしめられる。柔らかい。気持ちいい。好きな気持ちが、おさえられなくなる。
 ぎゅ~っってくっついて。からだじゅうが、たまみちゃんと、いっしょになって。
 
「たまみ、ちゃっ……♡♡♡♡♡ だい、すきっ……♡♡♡♡♡♡♡」

 思わず、目の前の美女に。口づけをする。ソレが引き金だったのか。葉月の胎内にある肉棒の限界も。
 
「────ぁ。ぁ、ぁああ゛っ♡♡♡♡♡♡♡ っぁああ゛あ゛~~っ♡♡♡♡」
「ん゛っ────♡♡♡♡♡」

 自然と、葉月の脚が環観を逃すまいと、彼女の背中に絡みつき。腰と腰、体中が密着して。
 環観の射精は、全て葉月の膣内に注ぎ込まれる。
 射精されたことで、葉月の思考も。どんどんと鈍っていった。
 
(……環観ちゃんが、好きにしてくれる。愛してくれる)
(それで、いいのかもしれない)

 だって、こんなに幸せなのに。こんなにも、愛し合っているのに。それを断ち切るだけの、理由がないじゃないか。
 
 ────理由が、無い?

 ボクは……何のために。戦ってきたのだろうか。
 
(…………思い出した)

 誓い。魔物の襲撃で両親を失った葉月。その悲しみを……誰にも、味わってほしくないと。親しい人を失う嘆きは、誰よりも知っているから。
 誰一人として、傷つけたくない。そして……幼い時から、いつも一緒で。家族のような存在だと思っていた環観を。
 傷つけられることも、失う事も。そして、彼女が悲しむような事も。葉月は望んでいなかった。だから……戦い続けていた。
 
(このまま淫魔の精神に、環観ちゃんが歪められたままで)
(良い訳が────無い)

 淫魔の誘惑は、ここに断ち切られる。退魔師として、最期の使命を果たすべく。葉月は、自身の身体にまだ残っている退魔のチカラを一点に集中させる。
 葉月の身体に埋め込まれた、小型の呪符に魔力を注ぎ込む。
 何をしようとしているのか、『妖狐』も気が付いたようで。
 
「──な、何してはるのアンタ!? うち、バッドエンドは好かんのやで!?」
「……知った事か。ボクは、環観ちゃんを取り戻す!」

 葉月の身体の血管が組み変わる。彼の身体の組織を無理やり呪符の回路として発動させる、自爆覚悟の『浄化』。
 
「い────けっ……!」

 そして。暗い地下牢と実験室は、真っ白な光で染め上げられた。
 
 ■■

 とある街の駅で『事故』があってから1週間後。人々は何事もなかったかのように生活していた。魔物の襲撃、という真実を知るものは僅かで。
 暗闇マモノに恐怖する事は、魔物の力を増幅させる。そのため、魔族に対処できる人間以外は魔物の存在を消去される。
 
 ──だが。闇は常に有り、獣は常に獲物を求める。
 
「やだ、嫌だ……! 来ないでっ……!」
 
 吸血鬼。かつては貴族への恐れが生み出したとされる魔物が、夜闇に潜み少女に襲い掛かる。
 逃げ場を失い、腰の抜けた彼女に。吸血鬼の牙が迫り──
 
狐火りんか・爆炎!」

 紫色の火柱が上がり、吸血鬼の身体を焼く。致命的なダメージに至らなかったのか、吸血鬼はすぐさま逃亡を図ろうとするが。
 
狼花束縛刃ルピナスウィップ!」

 蝙蝠の群体になって飛び去ろうとした吸血鬼を。何十本もの触手が球を作る様に囲んで。
 
「狼穿」

 球体の触手から、吸血鬼の身体を刺し穿つ触手が無数に生える。球体の触手塊の中で、吸血鬼は逃れる事も出来ず、触手が変化した狼の牙によって消滅した。

「あ……あぁ……? あ、あなたたち、は……?」

 吸血鬼に怯えていた少女は。当惑した声で、目の前の2人に話しかける。
 一見して、彼女たちは巫女のように見えたが──片方は頭に銀色の狐耳、銀色のポニーテール。そして、2つの尻尾。手には紫色の炎が燃えていて。
 もう片方は、茶色の毛並みをした狼を連想させる、獣耳とウルフヘア。紅白の巫女服と彼女たちのコスプレのような風貌が、困惑する少女を余計に戸惑わせる。

「安心して! アタシたちが来たらもう大丈夫! アタシたち……というか、葉月くんはとっても強いから!」
「た、環観たまみちゃん!? あんまり名前を人に教えちゃいけないんだって!」

 笑顔で語る狐巫女の少女と裏腹に、どこか頼りない印象を与える狼巫女。しかし──
 
《敵、複数を確認! 住宅街を徘徊しています、すぐに排除を!》
「了解! キミ、この御守りを持っていて。すぐに助けが来るから」

 その言葉と共に、2人の少女は。空を切り去っていった。
 
「葉月、くん。この後、終わったら、さ……♡♡」
「……う、うんっ……♡♡」
「えへへっ♡♡ 葉月くんの触手ちんぽ、楽しみだなぁ♡♡♡」

 通信にも、助けられた少女にも聞こえない様に。彼女らは愛し合いながらも、爛れた会話をしながら。
 今日も街の、誰かの平穏を守るために戦い続けていた。

■■

「おお、またアイツらが街を襲うてる。そやけど……あの子ぉたちなら楽勝やろうな」
「お前な……流石にストーキングだろ、これは」

 狐巫女、環観と狼巫女、葉月。彼女たちの戦いを、気配を隠して見ている2人の淫魔が居た。
 片方は6尾の金色をした、もふもふと柔らかい体躯と尻尾を持つ狐淫魔。
 もう片方は、鋭い爪と牙を持ちながらピッチリとしたボディースーツで、その妖艶さを示す狼淫魔。
 
「魂レベルでお互いに繋がった少年少女の行く末、あんたは気にならへんのでっしゃろか」
「どっちの事を……いや、まあ。お前は少女の方、オレは退魔師の方に文字通り溶けあったが。あのレベルまで退魔のチカラがあるとは思わなかったな?」
「まあ、精気はぎょうさん稼げたさかい。身体吹き飛んでも魂から簡単に戻ってこれたやろう? しかしあの子の胆力も凄いわ、自爆覚悟で恋人を助けるなんて……見込んだ甲斐があったわ」
「お前……わざと退魔師の身体の爆発を防いだだろ。そのせいで自分の修復に時間がかかるのはどうなんだ……?」
「ウチは悲恋が嫌いや。ハッピーエンドしか認めへん」

 鼻歌交じりに妖狐は語る。

 
「それで。どうどした? 純愛イチャラブ少年少女の精気は?」
「……美味しかった、凄く」
「ふふっ、あんたを誘うたのは正解どしたなぁ。こういうピュアなのも『美味』やろ?」
「…………まぁ、認める」
「それで──ウチらのチカラも漲ったわけや。淫魔ウチらの怖さも……他のけったいな連中人喰い魔物を蹴散らしたりまへんか」
「退魔組織との裏取引、だろ? ……ちょうどいい。オレも運動不足になっていた所だ」

 淫魔のチカラは弱い。それは、組織としての話だ。個体レベルで言えば退魔師を凌駕しかねないほどのチカラもある。
 淫魔という種族はその習性上。人間をどこまでも愛していて。ただ、一人の人間を愛する人間の在り方と、精気をあらゆる人間から集める生き方とでは、必ずしも合致せず。
 しかして。人間を襲う魔物に対しては、退魔師以上に憎んでいた。
 
「ほなぁ……やりまひょか」

 白と赤の退魔巫女2人が、街を守る中。2人の淫魔も、また暗躍していた。
 彼女たち4人が再び邂逅するのは────また別の話。
 
■■

「あはっ……♡♡♡ やっぱり葉月くん、男の子のときもだけど……ずっとずっと、カワイイ♡♡♡」
「っ……恥ずかしいから、言わないでよ……♡♡♡」
「や~だ♡♡ だってだって……こんなにキスしたいほど愛おしいもん♡♡♡」

 2人の少女が、ホテルの一室で重なる。もう大人ぐらいの体躯になった彼女たちだが、精神は幼い少年少女のままだから。
 
「葉月くんの初めて、あんな風に乱暴に奪っちゃって……本当に、ごめんね」

 ぽつりとこぼれた、環観たまみの声。互いを愛し合っているときも、その後悔はトゲのように彼女の心に刺さっていて。
 しかし、葉月は。
 
「……いいんだ。環観ちゃんが無事で居た事が嬉しいし。それに……こんな風になっても、ボクたちはお互いの事が大好きだから」
「だいすきっ……? て、照れるような事言わないでよぉ!」
「それは……ぐっちょぐっちょの触手双頭ディルドでお互いイった後に恥じらっても、その。」

 環観の初々しい反応に、葉月の身体に備わった触手が反応する。魔を祓う短刀だったものは、葉月の身体に纏わりつき、防御し攻撃の一助ともなる『身体の一部』になっていて。
 そして──文字通り、愛し合うもの同士を繋げる部位にもなっていて。

「も、もうっ! そんなに触手チンポ大きくしたって、奉仕なんてしてあげないんだから! ちゅぅぅっ♡♡♡ 勝手にアタシが気持ちよくなるもんねっ♡♡」
「ひゔっ♡♡ たまみ、ちゃんっ……」

 百戦錬磨の少年──今は少女も。床の上では、連戦連敗で。それでも、何度も何度も彼女たちはこの行為を続けていく。
 親友で、仲間で、運命を共にした。愛し合う存在だから。
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