つぶやきボックス

昨日まで

「自殺について」という哲学書

　昨日は哲学コーナーでも２冊ほど読んだ。ヴィトゲンシュタインの「私の限界が世界の限界である」あたりは「すばらしきこのせかい」の「世界は見えるとこまでしかない」（The World ends with you)あたりに通じるのだろう。いやそれにしても哲学書は、それを比較的分かりやすく書いてくれているはずの解説書ですら読むのが困難になる。読んでいるうちに段々と目が滑る。言葉の意味をしっかりと理解できないままに、次の言葉が襲い掛かってくる。ふとページを捲ろうとして、今開いているページの意味を要約できるだろうかと考えると、結局何も理解できていないことに気が付く。

　別の本も読んだ。ショーペンハウエルの「自殺について」。タイトルがキレッキレのやつ。この世界は償いの場なのだ、と思って生きろとか、宗教に自殺に関する善悪の定義はほとんど存在しないのに、なぜ社会は自殺を悪と定義するのかと疑問を呈していたりと、なかなか一般社会で公言するにはちょっと憚られるタイプの考えが色々語られていた。ただ、悲観的すぎではと苦笑いしそうになりながらも、これらの考えを切って捨てるには惜しいと思ってしまう部分がある。なにより、200年前の人間であるショーペンハウエルも、自殺についてポジティブな立ち位置ではいられないけど、完全に否定はできないというスタンスに立っているのが興味深い。

　自殺は悪だという考えはどこからきているのか、という問いは考えたことも無かった。ダメだからダメなのだ、という答えは答えになっていない。他の人の自殺を誘発するから、という答えは果たしてそれは当人の責に帰すべき内容なのかと考えてしまう。ただ、善悪で判断できないところで自殺は「しないほうが君のために良いはず」という所でストップをかけるのがある種絶望しきった人間の、唯一持ちうる希望なのかもしれない。