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かなり更新が遅れてしまいました、申し訳ありません。
そして、今回はかなり短めです……
エリカさんのお店で、潜入捜査を始めて1週間。
何とか、少しは仕事に慣れてきたと思っている。僕は週に3日程度しか出勤していないが、一応全てのスタッフさんと顔合わせをさせてもらった。
初日に顔を合わせたショウさん、ダイキさん、ミナトさん以外に後3人いて、メインスタッフの1人であるマコトさん、バイトのケイさん、ユイトくんというメンバーだ。
皆さん、仕事に不慣れな僕を厭うこともなく、優しく色々と教えてくれる。もちろん、失敗した時は注意はされるけれど、嫌味のないさっぱりしたものだから、変に気にしないで良かった。
東郷さんは約束通り、毎日お店に通ってくれた。表向き、僕と恋人同士という事になっているから、スタッフさんには色々からかわれているのを見ると、申し訳なく感じてしまう。
「侑吾ちゃんは、気にしなくていいのよ~。だって、貴ちゃんがやりたくてやってる事だし。貴ちゃんて嫌だと思ったら絶対しないんだから、大丈夫よ」
エリカさんはそうやって慰めてくれるけれど、毎日仕事を終えた後までこうして働かせているのは、雇ってもらった身としては、申し訳なさを感じるのは当然だろう。
その上、窃盗に関する調査はほとんど進んでいない。盗聴器を仕込んだバッグを持ち込み続けているけれど、不審な音は全く録音されておらず、当然ながら窃盗事件も今の所落ち着いたままだ。
「多分、警戒されてるんだろうな」
バイトを終えた帰り道。並んで歩いていた東郷さんが呟いた言葉に、「警戒ですか?」と首を傾げた。
「そう。あの店は別に人手不足って訳じゃなかったのに、エリカが人を雇った事でもしかしたらと警戒しているんじゃないかと思っている」
「なるほど……」
確かに、僕がいなくても十分店は回っているものな。むしろ、僕が邪魔をしている可能性もなくはない。
もちろん、エリカさんはそれを承知で、表向き僕をバイトとして雇っているので、問題はないと思いたい。
「だが、そろそろやり始めるとは思うけどな」
「……何だか、辛いですね」
東郷さんの言葉に、小さく呟く。
「何でだ?」
「だって……この一週間でスタッフの皆さんと知り合って、皆さんいい人なんですよ。足手まといの僕に優しく教えてくれるし。なのに、その中に窃盗の犯人がいると思うと……何だかいたたまれません」
「……侑吾は優しいな」
「優しいんじゃないんです。ただ、弱いだけなんです」
そう。結局、弱くて甘いんだ、僕は。
窃盗という犯罪を行った人なんだから、同情する必要なんてないはずだ。けれど、僕に優しく仕事を教えてくれる人の中に犯人がいると思うと、お腹の奥がずぅんと重くなる。
俯いてしまった僕の頭を、東郷さんがぽんぽんと優しく叩く。
「全く、侑吾は真正面から色々受け取り過ぎた。もっと、適当に生きていいんだぞ」
「適当、ですか?」
「ああ、そうだ。真面目に生きるのが悪いわけじゃないが、侑吾の場合は真面目過ぎるんだ。適当に生きてたって何とかなるもんさ。俺みたいにな」
「――そう、でしょうか……」
「そうだ。だから、深く考えすぎんな。今、考えるべき大事な事は、夜食をどうするか、って事だけだな」
真面目な顔でうんうん頷きながらそんな事を言う東郷さんに、思わず吹き出してしまう。でも、そのお陰で鬱々とした気持ちは少し軽くなった気がする。
「そう、ですよね。なるようにしかならないですもんね」
「そうだ。で、夜食はいつものラーメンでいいか?」
あくまで夜食が気になるという姿勢を貫く東郷さんに、僕は「もちろん、いいですよ」と笑顔で頷いた。
そして、今回はかなり短めです……
エリカさんのお店で、潜入捜査を始めて1週間。
何とか、少しは仕事に慣れてきたと思っている。僕は週に3日程度しか出勤していないが、一応全てのスタッフさんと顔合わせをさせてもらった。
初日に顔を合わせたショウさん、ダイキさん、ミナトさん以外に後3人いて、メインスタッフの1人であるマコトさん、バイトのケイさん、ユイトくんというメンバーだ。
皆さん、仕事に不慣れな僕を厭うこともなく、優しく色々と教えてくれる。もちろん、失敗した時は注意はされるけれど、嫌味のないさっぱりしたものだから、変に気にしないで良かった。
東郷さんは約束通り、毎日お店に通ってくれた。表向き、僕と恋人同士という事になっているから、スタッフさんには色々からかわれているのを見ると、申し訳なく感じてしまう。
「侑吾ちゃんは、気にしなくていいのよ~。だって、貴ちゃんがやりたくてやってる事だし。貴ちゃんて嫌だと思ったら絶対しないんだから、大丈夫よ」
エリカさんはそうやって慰めてくれるけれど、毎日仕事を終えた後までこうして働かせているのは、雇ってもらった身としては、申し訳なさを感じるのは当然だろう。
その上、窃盗に関する調査はほとんど進んでいない。盗聴器を仕込んだバッグを持ち込み続けているけれど、不審な音は全く録音されておらず、当然ながら窃盗事件も今の所落ち着いたままだ。
「多分、警戒されてるんだろうな」
バイトを終えた帰り道。並んで歩いていた東郷さんが呟いた言葉に、「警戒ですか?」と首を傾げた。
「そう。あの店は別に人手不足って訳じゃなかったのに、エリカが人を雇った事でもしかしたらと警戒しているんじゃないかと思っている」
「なるほど……」
確かに、僕がいなくても十分店は回っているものな。むしろ、僕が邪魔をしている可能性もなくはない。
もちろん、エリカさんはそれを承知で、表向き僕をバイトとして雇っているので、問題はないと思いたい。
「だが、そろそろやり始めるとは思うけどな」
「……何だか、辛いですね」
東郷さんの言葉に、小さく呟く。
「何でだ?」
「だって……この一週間でスタッフの皆さんと知り合って、皆さんいい人なんですよ。足手まといの僕に優しく教えてくれるし。なのに、その中に窃盗の犯人がいると思うと……何だかいたたまれません」
「……侑吾は優しいな」
「優しいんじゃないんです。ただ、弱いだけなんです」
そう。結局、弱くて甘いんだ、僕は。
窃盗という犯罪を行った人なんだから、同情する必要なんてないはずだ。けれど、僕に優しく仕事を教えてくれる人の中に犯人がいると思うと、お腹の奥がずぅんと重くなる。
俯いてしまった僕の頭を、東郷さんがぽんぽんと優しく叩く。
「全く、侑吾は真正面から色々受け取り過ぎた。もっと、適当に生きていいんだぞ」
「適当、ですか?」
「ああ、そうだ。真面目に生きるのが悪いわけじゃないが、侑吾の場合は真面目過ぎるんだ。適当に生きてたって何とかなるもんさ。俺みたいにな」
「――そう、でしょうか……」
「そうだ。だから、深く考えすぎんな。今、考えるべき大事な事は、夜食をどうするか、って事だけだな」
真面目な顔でうんうん頷きながらそんな事を言う東郷さんに、思わず吹き出してしまう。でも、そのお陰で鬱々とした気持ちは少し軽くなった気がする。
「そう、ですよね。なるようにしかならないですもんね」
「そうだ。で、夜食はいつものラーメンでいいか?」
あくまで夜食が気になるという姿勢を貫く東郷さんに、僕は「もちろん、いいですよ」と笑顔で頷いた。
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