29 / 32
推しに会えました。
出会ってしまった。
しおりを挟む「ご馳走様でした。」
カフェを出た私たちは
「私は少しここで用事がありますので先におふたりで待ち合わせ場所に向かって下さい。」と言ったジルさんを残し.
クォーツさんとの待ち合わせ場所に向かう。
王子と2人で大丈夫かなと思ったけど影の方達がいてくれてるし、一応は変装してくれているので心配ないだろう。
いざとなれば盾になろう(使命)
それに待ち合わせ場所と言っても、
今日来たゲートの場所なので
実際は戻るだけである。
「どうせ初めてで迷うと思うしぃー、お昼過ぎにゲートの前で待ち合わせにしよ☆」
さすが師匠である。
よく私の事を分かっている。
でも、カフェに着くまでの道を
覚えていない私がゲートまで1人で戻るのは無理でした。
クォーツさん、
なんか、ごめん・・・
クォーツさんに会ったらそのまま
今日泊まる所に連れていってもらうつもりだ。(もちろんクォーツさんも一緒)
なので今日の予定は、
ジルさんにラーズの葉を渡す
→お昼を食べる
→クォーツさんに会う
でした!
明日は魔法学園の
見学をして帰る予定だ。
なんか、あっという間に感じる。
実は明日、魔法学園見学が終わった後に
クォーツさんとソウが
(多分)いるパン屋にいく計画をしている。
まだクォーツさんには言っていないので
ちょっとドキドキ・・・
(勿論、ソウの事じゃなくてパン屋に行く事をね??)
転生して何年経っても何故か、
ソウの実家のパン屋の名前だけは覚えている私。
何がまだ推しなのかな??だよ!!!
「ナル、危ないぞ??」
考え事をしていて心ここにあらずだったせいか、人にぶつかりそうになり、
ルイに腕を掴まれる。
「わっ・・・
あっ、ありがとうございます!!」
しまった!!
ルイが隣にいるのに、
1人の世界に入ってた・・・
ルイは、私の腕をそっと離すと
「ボーっとして考え事か?」
と私の顔を覗き込んできた。
「・・・ここはずっと明るいし、人が沢山いてラピスラズリとは全然違うなぁと考えていました。」
私は、目を逸らしつつ、
流石にソウの事を考えていたとは
言えないので誤魔化した。
でも、これもオパールに来てからずっと思っていた事なので嘘じゃないもんね!!
「・・・まぁ、そうだな。
ここは中央都市なだけあって
とても賑やかだと思う。ラピスラズリと違って人も多いし、色々な物もある。便利な物も多いし、店も多い。ナルみたいな女の子達に人気なアクセサリーや服も基本的に店で買えるぞ。・・・どうだ??
住んでみたくなったか・・??」
ルイは何かを探るように聞いてきた。
しかし、私は
「いえ、全く。
私はラピスラズリが好きなので。オパール住みたいとは思いません。」
と、即答した。
可愛い物や美味しい物も魅力的だと思う。
でも私の居場所はやっぱり、
ラピスのいるラピスラズリだ。
「・・ははっ!
やっぱりナルは他の奴らとは違うな!!
」
ルイがおかしそうに笑う。
「そうなのでしょうか??」
そんな事ないと思うんだけどね??
でも、普通の感覚が違うのかもしれない。
「それにしても、よくあのラピスが外出を許してくれたな」
精霊主・・・あっ、ラピスの事ね。
「学園見学が目的なので。
あと、こう見えて妖精付きです。」
私はさっきから、
肩の上に乗っている
らーちゃんの頭を撫でる。
「ラッ♪ラッ♪」と嬉しそうにしている。
「妖精???」
ルイが不思議そうに
私の肩を見ている。
あっ、そうだった!!
私とラピス以外には見えないんだった。
私は、らーちゃんについて詳しく説明するとルイは目を丸くして
「すごいな!!そんな事ができるのか!!さすが精霊主だな!!しかし、作っている姿が想像できん!!」
と驚いていた。
確かにルイ達が来てる時のラピスは、
大丈夫なのっ?!と思う位
塩対応だけど、
ラピスも一応?(オイ)精霊主なので
色々凄いんですよ!!
みんな知らないだけで!!
「この耳のアクセサリーも御守りで持たされましたし、オパール行くのに、必要最低限の護身術と魔法の特訓もしてきました!」
ふふんっ!と
私が誇らしげに胸を張ると、
「・・・究極の親バカだな・・・」と
若干引かれた目で見られた。
え~!!
なんでぇ~~?!?!
あ。そういえば・・・
私は辺りをキョロキョロ見渡すと
「やっぱり、ここには精霊樹が本当にないのですね」
と呟いた。
------------------------------
このジェム国は5本の精霊樹と中央に位置する「オパール」により成り立っている。
水色の精霊樹があり、漁業が盛んな広い湖がある水魔法に特化した
「タンザナイト」
黄色の精霊樹があり、武器の製造、武術や風魔法に特化した
「シトリン」
緑の精霊樹があり、木魔法に特化し、農作物に力をいれているジェム国最大の都市「ペリドット」
白の精霊樹があり、雪が降るが、
回復効果のある温泉が湧き出る氷魔法に特化したジェム国最小都市「クオーツ」
青の精霊樹があり、魔法石が多くとれるがジェム国の裏都市として位置してるため、限られた者しか行けない隠れ都市
「ラピスラズリ」
様々な店が立ち並び、人、物、魔法など
ジェム国の交流の要である中央都市
「オパール」
都市を分ける要にもなっている精霊樹だが、
各都市の真ん中に位置するオパールには精霊樹がない。
なのでそれを守る精霊主も存在しない。
こっちに生まれてからずっと、
精霊樹と精霊主が存在する環境で育ってきたのでなんだか凄い違和感を感じてしまう。
転生した時はあんなに驚いていたのにっ!!
慣れって凄い~~!!
「そうだ。ここには精霊樹がない。
だから、オパール出身者は精霊樹を実際に見た事ない者がほとんどだぞ。俺もラピスラズリに行くまで書物でしか読んだ事がなかった。」
ルイは頷くと
「まして、精霊主があそこまで人間に固執してるとは思わなかった。精霊主は基本、人間には興味を示さないと聞いていたぞ。それは事実ではなかったのか??」
真っ直ぐに私を見る。
「・・ど、どうなんでしょうか??」
ルイがそう思うという事は、
それが一般的な精霊主の評価なんだろう。
でも、
ラピスは人嫌いと言う割に面倒見はいいし、優しいし、クォーツさんもなんだかんだ世話を焼いてくれるし、親切だ。
精霊主は基本的に精霊樹から離れないので、人に関わる事があんまりないからそういうイメージが伝わったのかな??
そういえば、クォーツさんとか
めちゃくちゃ離れてるけど、
クオーツの精霊樹は大丈夫なの?!
そういえば、
ラピスやクォーツさんからたまーに名前が出るけど、まだ他の3人の精霊主には会った事がない。
タンザナイトのタンザさん。
シトリンのリンさん。
ペルドットのペルさん。
精霊主は精霊樹と同じ名前だから
お互いを略して呼んでるんだよね。
(クォーツさんはイントネーションを変えてるだけみたいだけど)
いつか会ってみたいな~。
なんとなくそう遠くないうちに
会えそうな気もするけどね。
「・・・ナルは」
ルイが何か言いかけた時、
前から歩いてきた少年と
肩がぶつかり、
少年の持っていた袋からオレージの実(前世でいうオレンジみたいな果実)が何個か落ちた。
「すみません。」
「ごめん。」
わたしは咄嗟に謝ると
落ちたオレージの実を慌てて拾う。
「どうぞ。」
拾ったオレージの実を渡そうと
少年の方を振り返ると
彼と目が合った。
衝撃が走る。
「・・・・嘘」
ずっと会ってみたかった。
ソウ・フロスト。
本人が前に立っていたのだ。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
転生幼女アイリスと虹の女神
紺野たくみ
ファンタジー
地球末期。パーソナルデータとなって仮想空間で暮らす人類を管理するAI、システム・イリスは、21世紀の女子高生アイドル『月宮アリス』及びニューヨークの営業ウーマン『イリス・マクギリス』としての前世の記憶を持っていた。地球が滅びた後、彼女は『虹の女神』に異世界転生へと誘われる。
エルレーン公国首都シ・イル・リリヤに豪商ラゼル家の一人娘として生まれたアイリスは虹の女神『スゥエ』のお気に入りで『先祖還り』と呼ばれる前世の記憶持ち。優しい父母、叔父エステリオ・アウル、妖精たちに守られている。
三歳の『魔力診』で保有魔力が規格外に大きいと判明。魔導師協会の長『漆黒の魔法使いカルナック』や『深緑のコマラパ』老師に見込まれる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる