青い華が選んだのは。

さん。

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推しに会えました。

出会ってしまった。

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「ご馳走様でした。」

カフェを出た私たちは

「私は少しここで用事がありますので先におふたりで待ち合わせ場所に向かって下さい。」と言ったジルさんを残し.

クォーツさんとの待ち合わせ場所に向かう。
王子と2人で大丈夫かなと思ったけど影の方達がいてくれてるし、一応は変装してくれているので心配ないだろう。


いざとなれば盾になろう(使命)


それに待ち合わせ場所と言っても、
今日来たゲートの場所なので
実際は戻るだけである。


「どうせ初めてで迷うと思うしぃー、お昼過ぎにゲートの前で待ち合わせにしよ☆」


さすが師匠クォーツさんである。
よく私の事を分かっている。

でも、カフェに着くまでの道を
覚えていない私がゲートまで1人で戻るのは無理でした。


クォーツさん、
なんか、ごめん・・・


クォーツさんに会ったらそのまま
今日泊まる所に連れていってもらうつもりだ。(もちろんクォーツさんも一緒)


なので今日の予定は、

ジルさんにラーズの葉を渡す
→お昼を食べる
→クォーツさんに会う
でした!


明日は魔法学園の
見学をして帰る予定だ。

なんか、あっという間に感じる。

実は明日、魔法学園見学が終わった後に
クォーツさんとソウが
(多分)いるパン屋にいく計画をしている。

まだクォーツさんには言っていないので
ちょっとドキドキ・・・

(勿論、ソウの事じゃなくてパン屋に行く事をね??)


転生して何年経っても何故か、
ソウの実家のパン屋の名前だけは覚えている私。
何がまだ推しなのかな??だよ!!!

「ナル、危ないぞ??」

考え事をしていて心ここにあらずだったせいか、人にぶつかりそうになり、
ルイに腕を掴まれる。

「わっ・・・
あっ、ありがとうございます!!」

しまった!!
ルイが隣にいるのに、
1人の世界に入ってた・・・

ルイは、私の腕をそっと離すと

「ボーっとして考え事か?」

と私の顔を覗き込んできた。


「・・・ここオパールはずっと明るいし、人が沢山いてラピスラズリとは全然違うなぁと考えていました。」

私は、目を逸らしつつ、
流石にソウの事を考えていたとは
言えないので誤魔化した。

でも、これもオパールに来てからずっと思っていた事なので嘘じゃないもんね!!


「・・・まぁ、そうだな。
ここは中央都市なだけあって
とても賑やかだと思う。ラピスラズリと違って人も多いし、色々な物もある。便利な物も多いし、店も多い。ナルみたいな女の子達に人気なアクセサリーや服も基本的に店で買えるぞ。・・・どうだ??
住んでみたくなったか・・??」

ルイは何かを探るように聞いてきた。
しかし、私は

「いえ、全く。
私はラピスラズリあそこが好きなので。オパールここに住みたいとは思いません。」

と、即答した。

可愛い物や美味しい物も魅力的だと思う。
でも私の居場所はやっぱり、
ラピスのいるラピスラズリだ。


「・・ははっ!
やっぱりナルは他の奴らとは違うな!!


ルイがおかしそうに笑う。


「そうなのでしょうか??」


そんな事ないと思うんだけどね??
でも、普通の感覚が違うのかもしれない。


「それにしても、よくあのラピス精霊主が外出を許してくれたな」


精霊主・・・あっ、ラピスの事ね。


「学園見学が目的なので。
あと、こう見えて妖精付きです。」


私はさっきから、
肩の上に乗っている
らーちゃんの頭を撫でる。
「ラッ♪ラッ♪」と嬉しそうにしている。

「妖精???」

ルイが不思議そうに
私の肩を見ている。
あっ、そうだった!!
私とラピス以外には見えないんだった。

私は、らーちゃんについて詳しく説明するとルイは目を丸くして

「すごいな!!そんな事ができるのか!!さすが精霊主だな!!しかし、作っている姿が想像できん!!」

と驚いていた。

確かにルイ達が来てる時のラピスは、
大丈夫なのっ?!と思う位
塩対応だけど、
ラピスも一応?(オイ)精霊主なので
色々凄いんですよ!!

みんな知らないだけで!!


「この耳のアクセサリーも御守りで持たされましたし、オパールここに行くのに、必要最低限の護身術と魔法の特訓もしてきました!」

ふふんっ!と
私が誇らしげに胸を張ると、


「・・・究極の親バカだな・・・」と


若干引かれた目で見られた。


え~!!
なんでぇ~~?!?!


あ。そういえば・・・


私は辺りをキョロキョロ見渡すと


「やっぱり、ここオパールには精霊樹が本当にないのですね」


と呟いた。


------------------------------


このジェム国は5本の精霊樹と中央に位置する「オパール」により成り立っている。

水色の精霊樹があり、漁業が盛んな広い湖がある水魔法に特化した
「タンザナイト」

黄色の精霊樹があり、武器の製造、武術や風魔法に特化した
「シトリン」

緑の精霊樹があり、木魔法に特化し、農作物に力をいれているジェム国最大の都市「ペリドット」


白の精霊樹があり、雪が降るが、
回復効果のある温泉が湧き出る氷魔法に特化したジェム国最小都市「クオーツ」


青の精霊樹があり、魔法石が多くとれるがジェム国の裏都市として位置してるため、限られた者しか行けない隠れ都市
「ラピスラズリ」


様々な店が立ち並び、人、物、魔法など
ジェム国の交流の要である中央都市
「オパール」

都市を分ける要にもなっている精霊樹だが、

各都市の真ん中に位置するオパールには精霊樹がない。
なのでそれを守る精霊主も存在しない。


こっちに生まれてからずっと、
精霊樹と精霊主ラピスが存在する環境で育ってきたのでなんだか凄い違和感を感じてしまう。


転生した時はあんなに驚いていたのにっ!!
慣れって凄い~~!!


「そうだ。ここオパールには精霊樹がない。
だから、オパール出身者は精霊樹を実際に見た事ない者がほとんどだぞ。俺もラピスラズリに行くまで書物でしか読んだ事がなかった。」

ルイは頷くと

「まして、精霊主ラピスがあそこまで人間ナルに固執してるとは思わなかった。精霊主は基本、人間には興味を示さないと聞いていたぞ。それは事実ではなかったのか??」

真っ直ぐに私を見る。


「・・ど、どうなんでしょうか??」


ルイがそう思うという事は、
それが一般的な精霊主の評価なんだろう。

でも、
ラピスは人嫌いと言う割に面倒見はいいし、優しいし、クォーツさんもなんだかんだ世話を焼いてくれるし、親切だ。



精霊主は基本的に精霊樹から離れないので、人に関わる事があんまりないからそういうイメージが伝わったのかな??


そういえば、クォーツさんとか
めちゃくちゃ離れてるけど、
クオーツの精霊樹は大丈夫なの?!


そういえば、
ラピスやクォーツさんからたまーに名前が出るけど、まだ他の3人の精霊主には会った事がない。

タンザナイトのタンザさん。
シトリンのリンさん。
ペルドットのペルさん。

精霊主は精霊樹と同じ名前だから
お互いを略して呼んでるんだよね。
(クォーツさんはイントネーションを変えてるだけみたいだけど)


いつか会ってみたいな~。


なんとなくそう遠くないうちに
会えそうな気もするけどね。


「・・・ナルは」

ルイが何か言いかけた時、

前から歩いてきた少年と
肩がぶつかり、
少年の持っていた袋からオレージの実(前世でいうオレンジみたいな果実)が何個か落ちた。

「すみません。」
「ごめん。」

わたしは咄嗟に謝ると
落ちたオレージの実を慌てて拾う。


「どうぞ。」

拾ったオレージの実を渡そうと
少年の方を振り返ると
彼と目が合った。



衝撃が走る。



「・・・・嘘」


ずっと会ってみたかった。


ソウ・フロスト。


本人が前に立っていたのだ。



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