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砂漠の王子 アフマド
王子 アフマドの話 ~ニカブを着たモデル~
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「どこまで続いてるんだ?」
俺は飛行場にあるターンテーブルの荷物を見つめた。
スーツケースが永遠に出てくる。
「まだ半分ですよ」
空港の荷物係は、大きな運搬用の台車に次々と乗せながら笑った。
飛行機のタラップから、乗客が順番に下りてくるのが見えた。
「くそ」
荷物を積み込むのを見届けてから、客人を迎えに行きたかったが、そうもいかないらしい。
しょうがないので、信頼できる部下を置いて、俺はタラップに向かって走った。
モデルらしき女達の笑い声が、乾燥した飛行場に響いている。
タラップから一番最初に下りてきた、帽子をかぶった初老の男が、ジョン・マークレーだろう。
隣の金髪の男がパウル・ド・メーヌ。フランス貴族のぼっちゃんだが、政財界に幅広い人脈を持ち、ビジネスは、ドライにして的確。ブランド ジョワを立ち上げたのはジョン・マークレーだが、世界的ブランドまでに押し上げたのはこの男だと言われている。
続けて降りてきたのは、世界的に有名な写真家だ。どんなに金を積んでも自分の気に入った被写体しか撮らないという男だ。
やれやれ。国の威信をかけた砂漠旅行ということか。
「アフマド王子」
初老の男が、両手を広げて俺を抱きしめた。
「ようこそミスター マークレー。フライトはいかがでしたか?」
俺は笑顔を貼り付けて言った。
「大変快適でした。王子、自らお出迎えいただけるとは光栄です」
「まずはホテルにお送りしましょう。夕飯は宮殿で。父が歓迎の宴を用意しております」
後ろのモデル達から黄色い歓声が上がった。
王子と聞いたとたん、モデルの三人が、あからさまに色目を使ってくる。
反吐がでる。
「さあ、みんな車に乗るんだ」
パウル・ド・メーヌが、女達の背中を押した。
「ちょっと。何これ。ステキ」
迎えのリムジンは全て白に統一し、車の端には国旗付だ。
女達の、俺を見る目の色が、さらに濃厚なものに変わる。
「不愉快だ。先に車に乗せて宮殿に送れ。俺は荷物と一緒にバンで行く」
俺は、側近のカリムに囁いた。
「王子。我慢しろよ。女達は別な車に乗せるから。お前は、リムジンに乗れ」
「女を別な車に乗せるのは、当たり前だ」
カリムは乳兄弟だ。俺のことは、だいたいわかっている。
「女性達はこちらへ。ミスター達はこちらの車で王子と」
カリムがてきぱきと指示をし、一番大きな車には、ジョン・マークレーと写真家のスティーブン・メイヤード、パウル・ド・メーヌが乗り込んだ。
「朔はこちらに乗りなさい」
ジョン・マークレーが、車の中から手招きをしている。
誰だ?女達はもう全て乗っている。
見渡してもアバヤとニカブで全身を隠しているムスリマしかいない。
背の高い黒のニカブを着た女性が、俺の脇を通った。
モデルなのか? ムスリマの?まさか。
女性は、ジョン・マークレーに何事かを囁くと、彼らが乗る車から離れ、そのままモデル達の叫び声がする車に乗り込んだ。
女性たちの車の中では、もうシャンパンの開く音がしている。
「おい。早く乗れよ」
カリムが俺の背を押した。
「あ、ああ」
俺は、車に乗り込みながらマークレーに聞いた。
「ミスター。今の女性はムスリマのようですが、あなたのところのモデルですか?」
「ああ。朔のことですね。彼女はムスリマではないのですが、この国に入る前に着替えていましたね。彼女は、モデル達があなたの国のしきたりに反していないか、大層心配していました。王子が笑顔で迎えてくださって、本当に嬉しい」
笑顔で出迎えざるえなかったのだが。
俺は苦虫をつぶしたような顔を、思わずしてしまった。
何を勘違いしたのか、パウル・ド・メーヌが慌てたように言った。
「彼女に気を悪くしないでいただきたい。朔はこの国では男性と未婚の女性が同じ車には乗らないだろうと言い、後ろの車に乗ったのです」
ああ。そう言うことか。
「とんでもない。我々の文化を尊重してくださり、ありがとうございます。あのまま彼女が乗ってきたら大層、気まずいことになったかと思います」
「そう。尊重。朔は何よりも、そのことを気にしていました。歴史のあるこの国に、大変興味を示していて、訪れるのを、とても楽しみにしていました」
「あなたのお身内ですか?」
朔と呼ばれた女性への口調が妙に親しいので、思わず、込み入ったことを聞いてしまった。
「いいえ。彼女は、私の特別なモデルです。血はつながっていませんが、家族でもある」
隣でパウルが深く頷いた。
陽が落ちた宮殿の宴では、王とジョン・マークレーが隣同士に座り、熱心に話し込んでいた。
親しい友人というのは本当らしい。
あの厳格な王が声をあげて絶え間なく笑っている。
宴に合わせ、ジョン・マークレーが仕立てたであろう、ゆったりとした夜会服と、きらめくアクセサリーに身を包んだモデル達は、昼とは打って変わって貞淑な女性に見えた。
ごく私的な宴と言うことで、今回は、城の女達も出席している。
ニカブを来たモデルはどの娘だったのか。
ちらちらと探したが、男性と女性の席はかなり離れており、ニカブの一角は王宮の女性達で占められているようだった。
「王子。今日はお出迎え頂き光栄でした」
末席の自分のところまで、パウル・ド・メーヌが、わざわざ挨拶に来た。
「パウル・ド・メーヌ」
差し出された手を握り返した。
男のものとは思えない白い細い指だった。この男は一生力仕事とは無縁なんだろう。
「パウルで結構です。聞けば、あなたに砂漠までご案内して頂くとか。ありがとうございます」
「砂漠は初めてですか?」
「はい。ジョーが、ジョン・マークレーが大学時代に、父君の王から聖なる海の話を聞いていて、いつの日か自分の作品をもって訪れたいと願っていました。今回叶えられてとてもラッキーです」
作品?
あの壮大な自然の中では、どんな作品だって見劣りするだろう。
俺は、ジョン・マークレーの尊大さを笑った。
だが、世界的な写真家、スティーブン・メイヤードが撮る「アヤバハル 聖なる海」は楽しみだった。
うまくいけば、この国の美しい自然に、世界中が注目するだろう。
「聖なる海、アヤバハルと言いましたっけ? ここから、だいぶ遠いのですか?」
「たいしたことはありません。王の行幸のように駱駝で行くならともかく、ランドクルーザーなら朝日が昇る時間に出発して、日没までには、近くの街まで戻れます。ただ、今回は朝日と夕日の中で撮影したいと伺いましたので、途中のオアシスで泊まることになるでしょう」
「朝と夕闇がすばらしいと聞きました。はじめまして王子。スティーブン・メイヤードと言います。スティーブと呼んでください」
ひげをたくわえた穏やかな目をした男が厚い手を差し出した。
「スティーブン・メイヤード。お会いできるのを楽しみにしていました」
俺はお世辞ではなく、言った。
「光栄です。王子。ところでランドクルーザーで砂漠を横断すると聞いたのですが、撮影で駱駝も持って行きたいと思っていたところなんです。今から調達することはできますか?」
今からだって!? 出発は明日だぞ。
俺は天を仰ぎたくなるのを、必死でこらえた。
「何とかしましょう」
俺は笑顔を崩さないようにしながら、早々に席を立った。
ドア近くに座っていたカリムを呼ぶ。
「何だよ。せっかく王宮の飯が食えるってのに」
カリムは渋々席を立ってきた。
「うるさい。その飯の出所が明日まで、撮影場所に駱駝を用意しろとの仰せだ」
「まじかよ。無理だぜ。ここからなら三日はかかる」
「だから。アマズィーグの親父のとこに、お前の鷹を飛ばすんだ。一族の誰かが近くを回ってるだろうから、明日、一番近くのオアシスで落ち合うことにしよう」
「これだから砂漠を知らない奴らは」
カリムと意見があい、俺は久しぶりに笑った。
俺は飛行場にあるターンテーブルの荷物を見つめた。
スーツケースが永遠に出てくる。
「まだ半分ですよ」
空港の荷物係は、大きな運搬用の台車に次々と乗せながら笑った。
飛行機のタラップから、乗客が順番に下りてくるのが見えた。
「くそ」
荷物を積み込むのを見届けてから、客人を迎えに行きたかったが、そうもいかないらしい。
しょうがないので、信頼できる部下を置いて、俺はタラップに向かって走った。
モデルらしき女達の笑い声が、乾燥した飛行場に響いている。
タラップから一番最初に下りてきた、帽子をかぶった初老の男が、ジョン・マークレーだろう。
隣の金髪の男がパウル・ド・メーヌ。フランス貴族のぼっちゃんだが、政財界に幅広い人脈を持ち、ビジネスは、ドライにして的確。ブランド ジョワを立ち上げたのはジョン・マークレーだが、世界的ブランドまでに押し上げたのはこの男だと言われている。
続けて降りてきたのは、世界的に有名な写真家だ。どんなに金を積んでも自分の気に入った被写体しか撮らないという男だ。
やれやれ。国の威信をかけた砂漠旅行ということか。
「アフマド王子」
初老の男が、両手を広げて俺を抱きしめた。
「ようこそミスター マークレー。フライトはいかがでしたか?」
俺は笑顔を貼り付けて言った。
「大変快適でした。王子、自らお出迎えいただけるとは光栄です」
「まずはホテルにお送りしましょう。夕飯は宮殿で。父が歓迎の宴を用意しております」
後ろのモデル達から黄色い歓声が上がった。
王子と聞いたとたん、モデルの三人が、あからさまに色目を使ってくる。
反吐がでる。
「さあ、みんな車に乗るんだ」
パウル・ド・メーヌが、女達の背中を押した。
「ちょっと。何これ。ステキ」
迎えのリムジンは全て白に統一し、車の端には国旗付だ。
女達の、俺を見る目の色が、さらに濃厚なものに変わる。
「不愉快だ。先に車に乗せて宮殿に送れ。俺は荷物と一緒にバンで行く」
俺は、側近のカリムに囁いた。
「王子。我慢しろよ。女達は別な車に乗せるから。お前は、リムジンに乗れ」
「女を別な車に乗せるのは、当たり前だ」
カリムは乳兄弟だ。俺のことは、だいたいわかっている。
「女性達はこちらへ。ミスター達はこちらの車で王子と」
カリムがてきぱきと指示をし、一番大きな車には、ジョン・マークレーと写真家のスティーブン・メイヤード、パウル・ド・メーヌが乗り込んだ。
「朔はこちらに乗りなさい」
ジョン・マークレーが、車の中から手招きをしている。
誰だ?女達はもう全て乗っている。
見渡してもアバヤとニカブで全身を隠しているムスリマしかいない。
背の高い黒のニカブを着た女性が、俺の脇を通った。
モデルなのか? ムスリマの?まさか。
女性は、ジョン・マークレーに何事かを囁くと、彼らが乗る車から離れ、そのままモデル達の叫び声がする車に乗り込んだ。
女性たちの車の中では、もうシャンパンの開く音がしている。
「おい。早く乗れよ」
カリムが俺の背を押した。
「あ、ああ」
俺は、車に乗り込みながらマークレーに聞いた。
「ミスター。今の女性はムスリマのようですが、あなたのところのモデルですか?」
「ああ。朔のことですね。彼女はムスリマではないのですが、この国に入る前に着替えていましたね。彼女は、モデル達があなたの国のしきたりに反していないか、大層心配していました。王子が笑顔で迎えてくださって、本当に嬉しい」
笑顔で出迎えざるえなかったのだが。
俺は苦虫をつぶしたような顔を、思わずしてしまった。
何を勘違いしたのか、パウル・ド・メーヌが慌てたように言った。
「彼女に気を悪くしないでいただきたい。朔はこの国では男性と未婚の女性が同じ車には乗らないだろうと言い、後ろの車に乗ったのです」
ああ。そう言うことか。
「とんでもない。我々の文化を尊重してくださり、ありがとうございます。あのまま彼女が乗ってきたら大層、気まずいことになったかと思います」
「そう。尊重。朔は何よりも、そのことを気にしていました。歴史のあるこの国に、大変興味を示していて、訪れるのを、とても楽しみにしていました」
「あなたのお身内ですか?」
朔と呼ばれた女性への口調が妙に親しいので、思わず、込み入ったことを聞いてしまった。
「いいえ。彼女は、私の特別なモデルです。血はつながっていませんが、家族でもある」
隣でパウルが深く頷いた。
陽が落ちた宮殿の宴では、王とジョン・マークレーが隣同士に座り、熱心に話し込んでいた。
親しい友人というのは本当らしい。
あの厳格な王が声をあげて絶え間なく笑っている。
宴に合わせ、ジョン・マークレーが仕立てたであろう、ゆったりとした夜会服と、きらめくアクセサリーに身を包んだモデル達は、昼とは打って変わって貞淑な女性に見えた。
ごく私的な宴と言うことで、今回は、城の女達も出席している。
ニカブを来たモデルはどの娘だったのか。
ちらちらと探したが、男性と女性の席はかなり離れており、ニカブの一角は王宮の女性達で占められているようだった。
「王子。今日はお出迎え頂き光栄でした」
末席の自分のところまで、パウル・ド・メーヌが、わざわざ挨拶に来た。
「パウル・ド・メーヌ」
差し出された手を握り返した。
男のものとは思えない白い細い指だった。この男は一生力仕事とは無縁なんだろう。
「パウルで結構です。聞けば、あなたに砂漠までご案内して頂くとか。ありがとうございます」
「砂漠は初めてですか?」
「はい。ジョーが、ジョン・マークレーが大学時代に、父君の王から聖なる海の話を聞いていて、いつの日か自分の作品をもって訪れたいと願っていました。今回叶えられてとてもラッキーです」
作品?
あの壮大な自然の中では、どんな作品だって見劣りするだろう。
俺は、ジョン・マークレーの尊大さを笑った。
だが、世界的な写真家、スティーブン・メイヤードが撮る「アヤバハル 聖なる海」は楽しみだった。
うまくいけば、この国の美しい自然に、世界中が注目するだろう。
「聖なる海、アヤバハルと言いましたっけ? ここから、だいぶ遠いのですか?」
「たいしたことはありません。王の行幸のように駱駝で行くならともかく、ランドクルーザーなら朝日が昇る時間に出発して、日没までには、近くの街まで戻れます。ただ、今回は朝日と夕日の中で撮影したいと伺いましたので、途中のオアシスで泊まることになるでしょう」
「朝と夕闇がすばらしいと聞きました。はじめまして王子。スティーブン・メイヤードと言います。スティーブと呼んでください」
ひげをたくわえた穏やかな目をした男が厚い手を差し出した。
「スティーブン・メイヤード。お会いできるのを楽しみにしていました」
俺はお世辞ではなく、言った。
「光栄です。王子。ところでランドクルーザーで砂漠を横断すると聞いたのですが、撮影で駱駝も持って行きたいと思っていたところなんです。今から調達することはできますか?」
今からだって!? 出発は明日だぞ。
俺は天を仰ぎたくなるのを、必死でこらえた。
「何とかしましょう」
俺は笑顔を崩さないようにしながら、早々に席を立った。
ドア近くに座っていたカリムを呼ぶ。
「何だよ。せっかく王宮の飯が食えるってのに」
カリムは渋々席を立ってきた。
「うるさい。その飯の出所が明日まで、撮影場所に駱駝を用意しろとの仰せだ」
「まじかよ。無理だぜ。ここからなら三日はかかる」
「だから。アマズィーグの親父のとこに、お前の鷹を飛ばすんだ。一族の誰かが近くを回ってるだろうから、明日、一番近くのオアシスで落ち合うことにしよう」
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