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夏至前一日~レイ~
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「ユキ。ユキ」
「うーん……」
それがレイの声だと気づくまでしばらくかかった。
「あ、ごめん。レイ、具合悪い?お水飲む?」
がばっと起きると、レイの顔がすぐ近くにあった。
焚火の炎に照らされているせいか、目が琥珀色に揺れている。
「だいぶ良くなった」
レイはにっこり笑った。
黒の森に入ってたった一日なのに、少しやせて大人びて、美少年ぶりに磨きがかかっている。
「良くなったって、そんなに早く良くなるはずないわよ。だめよ。寝てなさい」
むりやりレイの頭を枯れ葉のベッドに押し付けた。
触った頭が熱くなかった。
すっかり熱が引いている。
焚火の火が小さくなっていた。火の番はラニだったらしい。座りながら眠っている。
「代わるよ。ラニ。横になって寝なよ」
ラニに声をかけると「うーん」といいながら、眠たそうに毛布にくるまった。
「レイも、もうひと眠りしなさい」
そう言いながら、あたしは、小さな枝を火に投げ入れた。
枝は徐々に赤い火の中に侵食されていく。
「もう大丈夫。『力』がなくても、この身には一滴だって人間の血は入ってないからね」
レイは笑った。その笑顔に何となく薄ら寒いものを感じて、あたしは枯れた太い木をとって火に投げ込んだ。
火はみるみる間に大きくなり、体が急に熱くなった。
「それより、なんか話してよ。もう寝てるの飽きちゃった」
レイは甘えるように言うと、自分の指輪をくるくるまわした。
「あ、その指輪、レイの『力』が入ってるんでしょ。それがあれば傷を早く治せるんじゃないの?その中の『力』を自分の中に戻すことはできないの?」
「んーできるけど……黒の森では止めといたほうがいいかなあ。ラミアにまた襲われたくないでしょ」
確かに。
あたしは大きく頷いた。
「わかった。じゃあ、黒の森から出たら戻してね。この指輪も返すわ」
「えーー僕、このままでもいいけどなあ。何も困んないよ。そろそろトネリコネリの作用も消えてくるだろうしねーー」
レイは楽しそうに言った。
「ダメだよ。なんだかこれ、婚約指輪だって聞いたわよ。そんなの未来のある青少年に……て、え?トネリコネリの作用って、消えるの?」
「消えるよーートネリコネリは僕らの中で『力』を眠らせているだけ。じゃなきゃ、さすがの僕もついてこなかったよ」
レイは笑った。
そういわれてみれば、レイの髪の色が金髪から琥珀色になっているような気がする。これは焚火の炎の色を映しているだけではないのかも。
「ねえ。ユキ、なんか話してよーー。あ、ユキの兄上の話してよ。この世界狭いからねーー。僕の知ってる人かも。どんな人?なんて呼ばれてるの?」
「どんなって……まあ……ちょっと変わった人かな」
「?」
あたしは昔空き地にあった土管に似た白いアヴォイドの骨をうんざりしながら眺めた。
「名前はヒロ。ヒロって呼んでた」
「ヒロ?うーん。ヒロかーわかんないなあ」
レイは悔しそうに顔をしかめた。
「ヒロ兄は……まあ、あたしには……いい兄さんだよ。レイは?レイは兄弟いるの?」
あたしはレイの毛布を掛けなおした。レイは嬉しそうにもぞもぞと毛布に丸まった。
「いないよーー。シーの貴族で兄弟がいるって、あんまり聞かないかなあ。本当に子供が生まれないからね」
ふうん。文明が高度化すると少子化になるという。なんでだろう。
「じゃあ友達は?小学校とかアバダンって生まれた時から『学校』に行くんでしょ?アバダンの『学校』ってどういうとこなの?」
「僕は『学校』には行っていない。教育は家庭教師だった」
「そうなんだ。さすがおぼっちゃま」
「……一度だけ、『学校』に行ったことがある」
レイがためらいがちに言った。
「家庭教師の連中が、実施教育とか言って、僕を『学校』に連れて行った。僕は『学校』のシステムは知っていたけど、行ったことがなくって、同じような年齢の知り合いもほとんどいなかったから、『学校』に行くのをとても楽しみにしていたんだ」
レイは苦いものを飲み込むみたいに、目をつぶった。
「僕の『力』は強い。うぬぼれじゃなくてさ。本当に強いんだよ。家庭教師から教わることはほとんどなかったし……彼らの『力』の弱さに憐れみすらもってたよ。『力』の強さに関係なく王国には必要な種族がこれだけいますとか、どんな種族も尊重しなきゃいけないとか、連中の言うことがばかばかしくて、家庭教師の講義を抜け出してさぼったり、いたずらしたり、まあ、教師にとっては手を焼く生徒だったよね。僕は何も知らないまま甘やかされて育てられていたんだよ。あの日『学校』に行くまではね」
レイは肩をすくめた。
「アバダンの『学校』はこの黒の森を抜けたところにあるんだ。海水の湖と大気の精霊に守られて、太古の『力』に囲まれた、最も安全な場所で、国中から集められた優秀な教師によってシーを、アバダンに住む様々な種族の子どもを教育するんだ。シー族は生まれたらすぐに『学校』に送られるけど、他の種族は学齢になってから、『学校』に入るんだ。僕は見学に行って、とんでもなく面白いところだと思ったよ。様々な種族が祭りでもないのに一緒の空間にいる。しかも、そこでは『力』が使えないんだ」
「え、それってどういうこと?」
「磁場の問題だと聞いたことがあるんだけど、詳しくはわかんない。普通のアバダン人はほとんど『力』を発現できないらしいよ。『学校』では、『力』によるヒエラルキーをなくして種族間の差別をなくそうって教育の意図もあるみたいだよ。まあ、教師もいろいろで、『力』は弱いけど、知識はある学者みたいなのもいっぱいいるから、そういう教師が莫迦にされないためなのかも。『力』が弱いってだけで莫迦にする連中も多いしね」
「レイは違ったの?」
あたしはちょっとからかう口調で言った。
「いや、僕も同じだった。その時は、『力』ない奴が何を言っても負け犬の遠吠えにしか聞こえなかった。でも、ずっと一人で部屋にいてさ。本を読むしかなくて、いろいろ考えた。『学校』では、全ての学問が保護されて、本当に自由に研究ができる。今の政府を批判する発言をしても、政府に都合の悪い歴史認識について発言しても、『学校』にいる限りそいつを『力』で攻撃したり、考えを変えさせることはできない。それはすごいことだと思うんだ。この王国で、あの女王への批判すら保護されるんだ。彼女はものすごく短気で残忍だけど、『学校』の中だけでは、自分を批判することを保証してる」
レイは「知ってる?」と真面目な顔をして言った。
「アバダンが戦争に勝ち続けていて、どことも国交をもたずに国として成立しているのは『力』の恩恵だけではないんだよ。『学校』での学問を保護し、自分の国を批判する研究をさせているからなんだ。
長い歴史の中では、アバダンが負けた戦いや虐殺した史実だってある。
それらの事実を徹底的に考察、検証するんだ。
戦術だけじゃない。
倫理感、精神面、その時代の国際法、ありとあらゆる学問で、様々な角度から研究するんだ。
自分の国の間違ったことから目を逸らさずに考え続けることではじめて自分の国の正しさを言えるんだ。
国の正しさはほめたたえてばかりいては証明できない。
自分の国の良いところだけみてればそりゃ気持ちいいけど、腐敗と肥大でそのうち身動きできなくなる。
だからアバダンは強いんだ。
万に一つ、これから先アバダンが他国との戦争に負けることがあっても、この国は国際社会の中で、矛盾ない論理で自国の正当性を主張できる」
あたしがぽかんとして聞いていると、
「まあ、うちの女王様の受け売りだけどね」
大人びた顔をしてレイは恥ずかしそうに笑った。
「でも、僕はその頃はまだそんなこと考えもしなかったし、自分の『力』に首までどっぷり溺れてたからね」
レイは笑いながら首をとんとん、と叩いた。
「『学校』は、実にばかばかしいシステムだと思ったよ。僕は『学校』の中でも、『力』を使えるのがわかっていたから、見学しながらずっと、偉そうにしている教師連中にどうにか僕の『力』を見せつけられないかと思っていた」
レイは美しい指で側にあった白い花を摘み取ると、一気に中の水を飲み干した。
あたしは目の前にいる男の子が孤独の中で幾晩も本を読みふける姿を想像した。いく夜もいく夜も一人で本を読み、一人で考える男の子。
「そこで、会ったんだよ。僕の大っ嫌いなイトコ殿にね」
レイは形のいい鼻をぎゅっとしかめながら、言った。
「あら、イトコがいるの?」
こいつのイトコなら、さぞかしイケメンだろう。
レイもあと二年もすれば、女の子がうるさくなる。毎日お風呂に入れれば、だけど。
「うん。母上の姉君の子供。小さい時は結構会っていたらしいんだけど、僕は全然覚えてない。とにかく、嫌なヤツなんだ」
「どんな風に?」
あたしは笑いながら、ちいさな枝を火にくべた。
「なんていうの?ああいうの。い……いんきんたむし……違う、違くないけど。い……慇懃無礼。そう。いんぎんぶれい」
「難しい言葉知ってるねーー」
「あいつ、全然、僕の事好きじゃないんだよ。それなのに、やたらめったら丁寧な言葉を使うんだ」
「何があったの?」
絶対それだけじゃないはずだ。
あたしはあくびしながら太めの薪を火にくべると、ごろりと横になった。
反対にレイが、がばりと起きる。元気だなあ。明日は移動できそう。
「……女の子が三階から落ちた」
「……そりゃ大変だ」
どんな学校だ。
「バルコニーから僕を見ようと身を乗り出していたシー族の女の子が落ちたんだ。僕は思ったよ。しめた。『力』を見せられる」
そこでレイは言葉を止めた。あたしは続きを黙って待った。
薪がはぜる音が森に吸い込まれていく。
「でも、うまく『力』がコントロール出来なかった。思った以上に女の子は重くて、僕の『力』じゃ支え切れなかった。僕はパニックになった。女の子の頭が地面に叩きつけられる瞬間、僕の目の前で女の子がくるりと回転した。僕は彼女のスカートをめくりあげちゃったけど、そいつはスカートの襞まで直して、足から着地させたよ。誰がやったかなんてすぐわかった。そいつは『学校』の中ですら『力』を自由に操り、あろうことか、そのことを隠すグラマーも使っていたんだ」
「グラマー?そういえば、昨日ヤックのところに来ていた男の人達も言ってたわね。そのグラマーってなに?」
「めくらましの『力』のことだよ。
そいつは限りなく『力』がないように見せていた。
あるものを増幅するのではなく、あるものをみせないグラマーは、普通の時でも本当に難しいんだ。
それをヤツはずっと、ずっとやってたんだ。
生徒の皆は当然のように僕がやったと思った。
拍手喝采だった。
そいつは僕にこう言った。
「この『学校』で『力』をお使いになるとはすばらしい」とね。
わざとらしくおじぎまで。
僕はそのことを否定できなかった。
失敗はしたけど『力』を使ったのは嘘じゃない。
でも、わかる奴にはわかってた。僕が失敗して、そいつが助けたってね。
生徒は騙せても、国の中枢にいる優秀な教師たちは騙せなかった。
そして僕は初めて気づいたんだ。
教師たちが僕に礼を尽くしているのは、単に僕が……非常に高位な家の生まれだから。
僕自身を見ているわけではなかった。
でも、そいつには本当の敬意をもって接していたんだ。
教師達のそいつを見る目は崇拝と言っても良かった。
そのことに一度気づいたらもうだめだった。みんな憐れみをもって僕を見ているように思えた。
それから僕は誰にも会えなくなった。誰も信じられなかった。
おじい様の持ち物だったあの塔の部屋にこもって、そこから出ることができなくなった。
最初は皆、何とか僕を塔の部屋から出そうとした。
僕も何とか出ようとしたんだ。
でも、ダメだった。
どうしても、出られなかったんだ。
もうその頃には、誰かと話すのもつらくて、塔の部屋全体に呪いをかけた。
誰も近寄らないように。近寄った者には呪いがかかるように。
でも、母上……おじい様が、けがをしたら大変だし、僕と同じ血をもつ人だけは、塔の部屋に入ることができるようにして……やがて、塔の部屋に誰も近づかなくなって、僕はずっと部屋に閉じこもっていた」
薪が爆ぜて、レイが少し黙った。
「誰も来なくなって、どのくらい経ったかわからなくなった時……そんな時君が来た」
レイはあたしの顔をじっと見た。
琥珀色の目が炎を映してゆれていた。
「君は『力』も使えず、落ちてきた。僕はあの時、『学校』で助けられなかったシー族の女の子を、今度こそ自分の『力』で助けた気がした。
何も知らない君が心の底から僕にお礼を言ってくれた時、優しいと言ってくれた時、もう一度外に出てもいいんじゃないかと思ったんだ。
君は僕に外の世界を見せてくれた。トネリコネリのせいで『力』のなくなった僕のままでもいいと言ってくれた。動けなくなった僕を見捨てず、危険が迫ったときは、寝ている僕の前に立ちはだかってくれる。僕は……」
レイは真剣な顔で言った。
「ユキ、僕のそばにいてくれる?君がいてくれたら……」
「いやいやいやいや」
あたしはあわてて寝ていた体をおこした。
「そういうことじゃないよね。今、いい話だった。いい話だったけど、最後はいらないよね。勘違い。ひよこが初めて見たものをお母さんだと思っているだけ。まずは黒の森出て、現実の世界に戻ろ。あんた、なんかおかしくなってるから。あの、なんて言ったっけ。そう。吊り橋効果」
「なんだよそれ。人が真剣に言ってるのにーー」
レイはぶーっとふくれてごろんと横になった。
あたしはいつものレイの口調に、ほっとした。
「それに、あたしだけじゃないよ。カイもラニもマリーも、あんたのこと助けてくれたじゃない。正直、動けないあんたと二人、ここに取り残されていたら、ちょっとやばかったと思う」
レイは頷いた。
「覚えてる。あんなちっぽけな『力』なのに、必死でラミアの攻撃から助けてくれた」
「レイ、一人じゃないんだよ。いつだって、顔をあげれば必ず誰かいるんだよ。忘れないでね。そのイトコがいてくれてよかったとも思うよ。ライバルがいるってことは、裸の王様にならなくていいってことだからさ。ラッキーだったよ」
あたしがそう言うと、レイは厳しい顔をした。
「……僕はいずれ広大な領土を統治する権限を持つんだ。一人で判断し、全てを掌握しなければならない。そこに僕と並び立つものはいらないんだ。いずれあいつとは戦わなきゃなんないだよ」
「物騒だなーー」
あたしはぽんぽんとレイの細い肩を叩いた。
「肩の力抜きなよーー。大人になったらその広大な何とかをまとめるんでしょ。なおのこと、いろんな人の話を聞かないと。いくらなんだって一人で何もかもできるわけではないんだからさ。よく人の話の聞いて」
「人の話を聞く?一人で統治し、判断するには邪魔なだけだ」
「自分で判断することと、他人の意見を聞くことは決して相反することじゃないでしょ。今だって、こうやって、あ
たしの言うこと、きちんと聞いてくれてるじゃん」
「……まあ……そうだね……そうか」
「そうだよ。邪魔?」
「いや……そうか。そういうことか」
レイは琥珀の色が濃くなった目を開いていった。
「絶対そのほうが楽しいって。『学校』も、もう一回行ってみたら?そのイトコさんともいずれ仲良しになれるんじゃない?『学校』行くと友達できるかもよ。友達っていいよーー」
「あいつと仲良くなることはないけど……あのさ……友達ってなに?」
「友達、知らないの?あきれた」
レイはむっとした顔をして、側にあった細い木を火の中に放り込んだ。
「友達って、一緒に遊んだり、話したり、ほら、今のあたしとレイの関係みたいなものなんだよ。いい感じじゃない?」
まあ、あたしの方が随分助けられているから、友達と名乗るのも申し訳ない感じがするけど。
「ユキといると、色んなことに巻き込まれる。イライラするし、すごい疲れる」
「うん。そうだよね。ごめん」
あたしは顔の前で片手を上げた。
「そして、ユキは色んなとこに落ちる」
「そんなに落ちないよ」
「飛行機、トネリコネリの穴、黒の森の湖」
レイは指を折りながら数えはじめた。
「……ごめんなさい」
「でも、いつも、考えるより先に、僕の手が、体が動くんだ。ユキがいなくなってしまっては困ると思うんだ。これが友達?」
あたしは嬉しいんだか申し訳ないんだかわからない、くすぐったい気持ちでレイを毛布に押し戻した。
「ケガ人はもう寝な。明日は早いからね」
「うーん……」
レイが納得いかない顔をしながら、再び毛布にくるまった。
まだ体は疲れていたのだろう。
しばらくすると、レイの規則正しい寝息が聞こえてきた。
闇は深く、森の中からは、獣の息遣いが聞こえるようだった。
火の向こうからカイの大きないびきが聞こえる。
ラニが「待て」とかなんとか寝言を言っている。
マリーの銀の髪が琥珀色に輝き、白い肌がなおいっそう美しく見えた。
何も怖くない。
あたしは思った。
これが友達の『力』なんだと思うよ。
あたしは気持ちよさそうに眠りについたレイに、そっとささやいた。
「うーん……」
それがレイの声だと気づくまでしばらくかかった。
「あ、ごめん。レイ、具合悪い?お水飲む?」
がばっと起きると、レイの顔がすぐ近くにあった。
焚火の炎に照らされているせいか、目が琥珀色に揺れている。
「だいぶ良くなった」
レイはにっこり笑った。
黒の森に入ってたった一日なのに、少しやせて大人びて、美少年ぶりに磨きがかかっている。
「良くなったって、そんなに早く良くなるはずないわよ。だめよ。寝てなさい」
むりやりレイの頭を枯れ葉のベッドに押し付けた。
触った頭が熱くなかった。
すっかり熱が引いている。
焚火の火が小さくなっていた。火の番はラニだったらしい。座りながら眠っている。
「代わるよ。ラニ。横になって寝なよ」
ラニに声をかけると「うーん」といいながら、眠たそうに毛布にくるまった。
「レイも、もうひと眠りしなさい」
そう言いながら、あたしは、小さな枝を火に投げ入れた。
枝は徐々に赤い火の中に侵食されていく。
「もう大丈夫。『力』がなくても、この身には一滴だって人間の血は入ってないからね」
レイは笑った。その笑顔に何となく薄ら寒いものを感じて、あたしは枯れた太い木をとって火に投げ込んだ。
火はみるみる間に大きくなり、体が急に熱くなった。
「それより、なんか話してよ。もう寝てるの飽きちゃった」
レイは甘えるように言うと、自分の指輪をくるくるまわした。
「あ、その指輪、レイの『力』が入ってるんでしょ。それがあれば傷を早く治せるんじゃないの?その中の『力』を自分の中に戻すことはできないの?」
「んーできるけど……黒の森では止めといたほうがいいかなあ。ラミアにまた襲われたくないでしょ」
確かに。
あたしは大きく頷いた。
「わかった。じゃあ、黒の森から出たら戻してね。この指輪も返すわ」
「えーー僕、このままでもいいけどなあ。何も困んないよ。そろそろトネリコネリの作用も消えてくるだろうしねーー」
レイは楽しそうに言った。
「ダメだよ。なんだかこれ、婚約指輪だって聞いたわよ。そんなの未来のある青少年に……て、え?トネリコネリの作用って、消えるの?」
「消えるよーートネリコネリは僕らの中で『力』を眠らせているだけ。じゃなきゃ、さすがの僕もついてこなかったよ」
レイは笑った。
そういわれてみれば、レイの髪の色が金髪から琥珀色になっているような気がする。これは焚火の炎の色を映しているだけではないのかも。
「ねえ。ユキ、なんか話してよーー。あ、ユキの兄上の話してよ。この世界狭いからねーー。僕の知ってる人かも。どんな人?なんて呼ばれてるの?」
「どんなって……まあ……ちょっと変わった人かな」
「?」
あたしは昔空き地にあった土管に似た白いアヴォイドの骨をうんざりしながら眺めた。
「名前はヒロ。ヒロって呼んでた」
「ヒロ?うーん。ヒロかーわかんないなあ」
レイは悔しそうに顔をしかめた。
「ヒロ兄は……まあ、あたしには……いい兄さんだよ。レイは?レイは兄弟いるの?」
あたしはレイの毛布を掛けなおした。レイは嬉しそうにもぞもぞと毛布に丸まった。
「いないよーー。シーの貴族で兄弟がいるって、あんまり聞かないかなあ。本当に子供が生まれないからね」
ふうん。文明が高度化すると少子化になるという。なんでだろう。
「じゃあ友達は?小学校とかアバダンって生まれた時から『学校』に行くんでしょ?アバダンの『学校』ってどういうとこなの?」
「僕は『学校』には行っていない。教育は家庭教師だった」
「そうなんだ。さすがおぼっちゃま」
「……一度だけ、『学校』に行ったことがある」
レイがためらいがちに言った。
「家庭教師の連中が、実施教育とか言って、僕を『学校』に連れて行った。僕は『学校』のシステムは知っていたけど、行ったことがなくって、同じような年齢の知り合いもほとんどいなかったから、『学校』に行くのをとても楽しみにしていたんだ」
レイは苦いものを飲み込むみたいに、目をつぶった。
「僕の『力』は強い。うぬぼれじゃなくてさ。本当に強いんだよ。家庭教師から教わることはほとんどなかったし……彼らの『力』の弱さに憐れみすらもってたよ。『力』の強さに関係なく王国には必要な種族がこれだけいますとか、どんな種族も尊重しなきゃいけないとか、連中の言うことがばかばかしくて、家庭教師の講義を抜け出してさぼったり、いたずらしたり、まあ、教師にとっては手を焼く生徒だったよね。僕は何も知らないまま甘やかされて育てられていたんだよ。あの日『学校』に行くまではね」
レイは肩をすくめた。
「アバダンの『学校』はこの黒の森を抜けたところにあるんだ。海水の湖と大気の精霊に守られて、太古の『力』に囲まれた、最も安全な場所で、国中から集められた優秀な教師によってシーを、アバダンに住む様々な種族の子どもを教育するんだ。シー族は生まれたらすぐに『学校』に送られるけど、他の種族は学齢になってから、『学校』に入るんだ。僕は見学に行って、とんでもなく面白いところだと思ったよ。様々な種族が祭りでもないのに一緒の空間にいる。しかも、そこでは『力』が使えないんだ」
「え、それってどういうこと?」
「磁場の問題だと聞いたことがあるんだけど、詳しくはわかんない。普通のアバダン人はほとんど『力』を発現できないらしいよ。『学校』では、『力』によるヒエラルキーをなくして種族間の差別をなくそうって教育の意図もあるみたいだよ。まあ、教師もいろいろで、『力』は弱いけど、知識はある学者みたいなのもいっぱいいるから、そういう教師が莫迦にされないためなのかも。『力』が弱いってだけで莫迦にする連中も多いしね」
「レイは違ったの?」
あたしはちょっとからかう口調で言った。
「いや、僕も同じだった。その時は、『力』ない奴が何を言っても負け犬の遠吠えにしか聞こえなかった。でも、ずっと一人で部屋にいてさ。本を読むしかなくて、いろいろ考えた。『学校』では、全ての学問が保護されて、本当に自由に研究ができる。今の政府を批判する発言をしても、政府に都合の悪い歴史認識について発言しても、『学校』にいる限りそいつを『力』で攻撃したり、考えを変えさせることはできない。それはすごいことだと思うんだ。この王国で、あの女王への批判すら保護されるんだ。彼女はものすごく短気で残忍だけど、『学校』の中だけでは、自分を批判することを保証してる」
レイは「知ってる?」と真面目な顔をして言った。
「アバダンが戦争に勝ち続けていて、どことも国交をもたずに国として成立しているのは『力』の恩恵だけではないんだよ。『学校』での学問を保護し、自分の国を批判する研究をさせているからなんだ。
長い歴史の中では、アバダンが負けた戦いや虐殺した史実だってある。
それらの事実を徹底的に考察、検証するんだ。
戦術だけじゃない。
倫理感、精神面、その時代の国際法、ありとあらゆる学問で、様々な角度から研究するんだ。
自分の国の間違ったことから目を逸らさずに考え続けることではじめて自分の国の正しさを言えるんだ。
国の正しさはほめたたえてばかりいては証明できない。
自分の国の良いところだけみてればそりゃ気持ちいいけど、腐敗と肥大でそのうち身動きできなくなる。
だからアバダンは強いんだ。
万に一つ、これから先アバダンが他国との戦争に負けることがあっても、この国は国際社会の中で、矛盾ない論理で自国の正当性を主張できる」
あたしがぽかんとして聞いていると、
「まあ、うちの女王様の受け売りだけどね」
大人びた顔をしてレイは恥ずかしそうに笑った。
「でも、僕はその頃はまだそんなこと考えもしなかったし、自分の『力』に首までどっぷり溺れてたからね」
レイは笑いながら首をとんとん、と叩いた。
「『学校』は、実にばかばかしいシステムだと思ったよ。僕は『学校』の中でも、『力』を使えるのがわかっていたから、見学しながらずっと、偉そうにしている教師連中にどうにか僕の『力』を見せつけられないかと思っていた」
レイは美しい指で側にあった白い花を摘み取ると、一気に中の水を飲み干した。
あたしは目の前にいる男の子が孤独の中で幾晩も本を読みふける姿を想像した。いく夜もいく夜も一人で本を読み、一人で考える男の子。
「そこで、会ったんだよ。僕の大っ嫌いなイトコ殿にね」
レイは形のいい鼻をぎゅっとしかめながら、言った。
「あら、イトコがいるの?」
こいつのイトコなら、さぞかしイケメンだろう。
レイもあと二年もすれば、女の子がうるさくなる。毎日お風呂に入れれば、だけど。
「うん。母上の姉君の子供。小さい時は結構会っていたらしいんだけど、僕は全然覚えてない。とにかく、嫌なヤツなんだ」
「どんな風に?」
あたしは笑いながら、ちいさな枝を火にくべた。
「なんていうの?ああいうの。い……いんきんたむし……違う、違くないけど。い……慇懃無礼。そう。いんぎんぶれい」
「難しい言葉知ってるねーー」
「あいつ、全然、僕の事好きじゃないんだよ。それなのに、やたらめったら丁寧な言葉を使うんだ」
「何があったの?」
絶対それだけじゃないはずだ。
あたしはあくびしながら太めの薪を火にくべると、ごろりと横になった。
反対にレイが、がばりと起きる。元気だなあ。明日は移動できそう。
「……女の子が三階から落ちた」
「……そりゃ大変だ」
どんな学校だ。
「バルコニーから僕を見ようと身を乗り出していたシー族の女の子が落ちたんだ。僕は思ったよ。しめた。『力』を見せられる」
そこでレイは言葉を止めた。あたしは続きを黙って待った。
薪がはぜる音が森に吸い込まれていく。
「でも、うまく『力』がコントロール出来なかった。思った以上に女の子は重くて、僕の『力』じゃ支え切れなかった。僕はパニックになった。女の子の頭が地面に叩きつけられる瞬間、僕の目の前で女の子がくるりと回転した。僕は彼女のスカートをめくりあげちゃったけど、そいつはスカートの襞まで直して、足から着地させたよ。誰がやったかなんてすぐわかった。そいつは『学校』の中ですら『力』を自由に操り、あろうことか、そのことを隠すグラマーも使っていたんだ」
「グラマー?そういえば、昨日ヤックのところに来ていた男の人達も言ってたわね。そのグラマーってなに?」
「めくらましの『力』のことだよ。
そいつは限りなく『力』がないように見せていた。
あるものを増幅するのではなく、あるものをみせないグラマーは、普通の時でも本当に難しいんだ。
それをヤツはずっと、ずっとやってたんだ。
生徒の皆は当然のように僕がやったと思った。
拍手喝采だった。
そいつは僕にこう言った。
「この『学校』で『力』をお使いになるとはすばらしい」とね。
わざとらしくおじぎまで。
僕はそのことを否定できなかった。
失敗はしたけど『力』を使ったのは嘘じゃない。
でも、わかる奴にはわかってた。僕が失敗して、そいつが助けたってね。
生徒は騙せても、国の中枢にいる優秀な教師たちは騙せなかった。
そして僕は初めて気づいたんだ。
教師たちが僕に礼を尽くしているのは、単に僕が……非常に高位な家の生まれだから。
僕自身を見ているわけではなかった。
でも、そいつには本当の敬意をもって接していたんだ。
教師達のそいつを見る目は崇拝と言っても良かった。
そのことに一度気づいたらもうだめだった。みんな憐れみをもって僕を見ているように思えた。
それから僕は誰にも会えなくなった。誰も信じられなかった。
おじい様の持ち物だったあの塔の部屋にこもって、そこから出ることができなくなった。
最初は皆、何とか僕を塔の部屋から出そうとした。
僕も何とか出ようとしたんだ。
でも、ダメだった。
どうしても、出られなかったんだ。
もうその頃には、誰かと話すのもつらくて、塔の部屋全体に呪いをかけた。
誰も近寄らないように。近寄った者には呪いがかかるように。
でも、母上……おじい様が、けがをしたら大変だし、僕と同じ血をもつ人だけは、塔の部屋に入ることができるようにして……やがて、塔の部屋に誰も近づかなくなって、僕はずっと部屋に閉じこもっていた」
薪が爆ぜて、レイが少し黙った。
「誰も来なくなって、どのくらい経ったかわからなくなった時……そんな時君が来た」
レイはあたしの顔をじっと見た。
琥珀色の目が炎を映してゆれていた。
「君は『力』も使えず、落ちてきた。僕はあの時、『学校』で助けられなかったシー族の女の子を、今度こそ自分の『力』で助けた気がした。
何も知らない君が心の底から僕にお礼を言ってくれた時、優しいと言ってくれた時、もう一度外に出てもいいんじゃないかと思ったんだ。
君は僕に外の世界を見せてくれた。トネリコネリのせいで『力』のなくなった僕のままでもいいと言ってくれた。動けなくなった僕を見捨てず、危険が迫ったときは、寝ている僕の前に立ちはだかってくれる。僕は……」
レイは真剣な顔で言った。
「ユキ、僕のそばにいてくれる?君がいてくれたら……」
「いやいやいやいや」
あたしはあわてて寝ていた体をおこした。
「そういうことじゃないよね。今、いい話だった。いい話だったけど、最後はいらないよね。勘違い。ひよこが初めて見たものをお母さんだと思っているだけ。まずは黒の森出て、現実の世界に戻ろ。あんた、なんかおかしくなってるから。あの、なんて言ったっけ。そう。吊り橋効果」
「なんだよそれ。人が真剣に言ってるのにーー」
レイはぶーっとふくれてごろんと横になった。
あたしはいつものレイの口調に、ほっとした。
「それに、あたしだけじゃないよ。カイもラニもマリーも、あんたのこと助けてくれたじゃない。正直、動けないあんたと二人、ここに取り残されていたら、ちょっとやばかったと思う」
レイは頷いた。
「覚えてる。あんなちっぽけな『力』なのに、必死でラミアの攻撃から助けてくれた」
「レイ、一人じゃないんだよ。いつだって、顔をあげれば必ず誰かいるんだよ。忘れないでね。そのイトコがいてくれてよかったとも思うよ。ライバルがいるってことは、裸の王様にならなくていいってことだからさ。ラッキーだったよ」
あたしがそう言うと、レイは厳しい顔をした。
「……僕はいずれ広大な領土を統治する権限を持つんだ。一人で判断し、全てを掌握しなければならない。そこに僕と並び立つものはいらないんだ。いずれあいつとは戦わなきゃなんないだよ」
「物騒だなーー」
あたしはぽんぽんとレイの細い肩を叩いた。
「肩の力抜きなよーー。大人になったらその広大な何とかをまとめるんでしょ。なおのこと、いろんな人の話を聞かないと。いくらなんだって一人で何もかもできるわけではないんだからさ。よく人の話の聞いて」
「人の話を聞く?一人で統治し、判断するには邪魔なだけだ」
「自分で判断することと、他人の意見を聞くことは決して相反することじゃないでしょ。今だって、こうやって、あ
たしの言うこと、きちんと聞いてくれてるじゃん」
「……まあ……そうだね……そうか」
「そうだよ。邪魔?」
「いや……そうか。そういうことか」
レイは琥珀の色が濃くなった目を開いていった。
「絶対そのほうが楽しいって。『学校』も、もう一回行ってみたら?そのイトコさんともいずれ仲良しになれるんじゃない?『学校』行くと友達できるかもよ。友達っていいよーー」
「あいつと仲良くなることはないけど……あのさ……友達ってなに?」
「友達、知らないの?あきれた」
レイはむっとした顔をして、側にあった細い木を火の中に放り込んだ。
「友達って、一緒に遊んだり、話したり、ほら、今のあたしとレイの関係みたいなものなんだよ。いい感じじゃない?」
まあ、あたしの方が随分助けられているから、友達と名乗るのも申し訳ない感じがするけど。
「ユキといると、色んなことに巻き込まれる。イライラするし、すごい疲れる」
「うん。そうだよね。ごめん」
あたしは顔の前で片手を上げた。
「そして、ユキは色んなとこに落ちる」
「そんなに落ちないよ」
「飛行機、トネリコネリの穴、黒の森の湖」
レイは指を折りながら数えはじめた。
「……ごめんなさい」
「でも、いつも、考えるより先に、僕の手が、体が動くんだ。ユキがいなくなってしまっては困ると思うんだ。これが友達?」
あたしは嬉しいんだか申し訳ないんだかわからない、くすぐったい気持ちでレイを毛布に押し戻した。
「ケガ人はもう寝な。明日は早いからね」
「うーん……」
レイが納得いかない顔をしながら、再び毛布にくるまった。
まだ体は疲れていたのだろう。
しばらくすると、レイの規則正しい寝息が聞こえてきた。
闇は深く、森の中からは、獣の息遣いが聞こえるようだった。
火の向こうからカイの大きないびきが聞こえる。
ラニが「待て」とかなんとか寝言を言っている。
マリーの銀の髪が琥珀色に輝き、白い肌がなおいっそう美しく見えた。
何も怖くない。
あたしは思った。
これが友達の『力』なんだと思うよ。
あたしは気持ちよさそうに眠りについたレイに、そっとささやいた。
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