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夏至前一日~カイの事情~
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「急ぐぞ。火をおこせ。だいぶ暗くなってきた」
彼がこのチームのリーダーなんだろう。
ラニとマリーにてきぱきと指示を出している。
あっという間に火がたかれ、あたりが急に暗くなった気がした。
「ここを少し降りたところに川があった。水が汲めそうだ。マリー、銃を貸してくれ」
「おっけーー」
マリーがズボンをめくりあげ、小さな小型の銃を足首から抜き取った。カイが残りの弾丸の数を確かめながら受け取る。
「そんなに危ないの?」
「黒の森はどこでも危ないが、水の近くは特に危ない。生き物は水を求めて集まってくるからな。その生き物を狙ってさらに生き物が集まる。水を飲んでる時は、注意力が落ちるから、捕食者にとっては格好の狩場だ」
カイは心配そうにしているあたしに笑いかけた。
「大丈夫だ。アバダンの貴族連中に比べたら、へでもない」
「あいつら、えげつないからな」
ラニがうげーーという顔をして言った。
「連中はとにかく頭が切れる。人間には持ちえない『力』もある。あいつらが戦っているところを遠くで見たことあるが、忘れられないよ。たまに、連中が戦争じゃなくて虐殺してるんじゃないかと思う時がある」
カイはぶるっと体を震わした。
シー族はどうも評判がよろしくない。
「まあ、そこのぼっちゃんみたいなのもいるし、シー族もそれぞれってことだな。ラニ、ほら、行くぞ」
カイはラニの腕を引っ張った。
「気を付けて」
あたしは複雑な笑顔を顔に貼り付けて二人を送り出した。
二人がいなくなると、マリーはバックから干し肉を取り出した。
集めた花の水を鍋に開け、さっきカイと摘んできた草と干し肉を一緒に、燃えさかる火にかける。
すぐにむっとした草の臭いが辺りにただよいはじめた。
これが今日の晩御飯になるらしい。
「ユキさん、明るいうちに、持って来られるだけの乾いた木を持ってきて。レイ君起きないし、今晩は一晩中火が必要だろうから」
「あ、うん。マリー、あたしのことはユキって呼んで。あたしたち、そんなに年も変わらないでしょ」
マリーはあっけにとられたようにこちらをみた。
「アバダンの国のシー族がそんなこと言うなんて、初めて聞いたよ」
「いや、シー族って……あたし、シー族なのかなあ。レイはそう言うけど……何族って聞いたことないよ。アバダン人たって半分だけだし」
「半分?あんたミックスなの?シーと何の?」
「え……うん。シーかどうかわかんないけど、日本人とアバダン人の。日本人としか見えないと思うけど」
ここまで言って気がついた。あたし、今、金髪だった。
「え、日本人?人間なの?しかも日本人って、あの、ドラゴンボールの」
「古いなあ……マリーさんってフランス人でしょ?」
「フランス人よ」
なんでわかんのよ。
マリーは美しい顔をしかめて言った。
「まあ、この大陸じゃあ、どこの国の生まれだろうが、関係ないけどね。アバダン人か、それ以外」
マリーは両手を左から右に移動させて肩をすくめた。
「ねえ、じゃあ、さっき言ってたマールって子……」
「そう。あたし昨日来たばかりなの。落とされ子って言葉も知らなくって……」
「あれ、びっくりだよね。ねえ、じゃあさ、ユキはアバダンに入れたってことだよね。ね、お父さんに会えたの?」
一番最初に聞く質問がそれですか。
あたしは、昨日の夜、レイが話していた落とされ子の話を思い出して、胸がきゅっとしめつけられた。
「ううん。あたしのお父さん、死んじゃったから」
あたしは、何となく、母親の方がアバダン人と言いそびれた。
「そうなんだ。それなのにアバダンに来たの?お母さんは?」
「え……と日本に住んでる」
そして、今は多分、アバダンの飛行場で呆れているか、日本に帰っているかのどちらか。
「へー?まだ生きてんの?じゃあ、日本にも帰れるのね」
マリーはうらやましそうに言った。
あたしはそんな良いものじゃないと言いかけてやめた。
レイは言った。
あたしが愛された子だって。
もし、万が一あの人がまだ日本に帰っていなかったら?
万が一あたしのこと捜していたら?
もしかして、あの人が心配していたら……。
あの人があたしを愛しているってことになるんだろうか?
その想像はとてつもなく甘美だった。
あたしは頭からその考えを切り離して、代わりにマリーに聞いた。
「……マリーは?お母さんは?」
「他のミックスと一緒。あたし産んでから母さん、体が弱くなってね、
アバダン行きのチケットが届いたら泣いて喜んでた。
これで安心して死ねるってね。
それからすぐ死んじゃった。
母さんが死んでも会いに来ない親父になんて会いたくなかったんだけど、頼れる親戚なんて誰もいないし、アバダンの親父のところに行くのが母さんの遺言だったからね。
意を決して飛行機に乗ったんだけど、途中で落とされちゃった。
親父にも会えずじまい。まあ、会えたかどうかわかんないけどね。
チケット送ってきたから、来るのわかっているのに、探しにも来なかったからね。
『力』がない人間との娘は会う価値もないってね……ちょっと、そんな顔しないでよ。この大陸に来てカイやラニと出会って、『力』も少しはでてきたし。こっちの方が居心地よくなったから、帰れなくなっちゃったんだよ」
「え、マリーも『力』使えるの?どんなの?」
レイ以外の『力』を見る機会がなかったあたしは、食いついた。
「いや、たいした『力』じゃないよ。食べられる草とか、薬草とかがわかるのよ。直感的に」
「あ、だからさっき薬草を」
「そ、だから、黒の森の草でも安心して食べたりできるってわけ。でも、こんな『力』があっても、今のフランスでは何にも役に立たないじゃん。あんなに食べ物がスーパーにあふれてんだもん。能力なんて発現しようがないよ」
そりゃそうだ。あたしは申し訳なさそうに頷いた。
「あたしが落とされたエリヤって国は、食料自給率も低いし、医療も進んでないからね。薬草探しやら食べ物探しやらで森に入ることも多くて、あたしの能力は、そりゃ、重宝されてるのよ」
マリーは誇らしげに言った。
「エリヤはどんな国?どこにあるの?」
「アバダンの黒の森を挟んで隣にある貧しい国よ。
この大陸はサンゴ礁から派生してるから土壌が悪いの。建国から何百年もたっているのに、未だに塩害がひどくて、アバダンから一歩出たら、驚くわよ。
つねに食料が不足していて、だから、政情が不安定なんだよね。
アバダン人とは比べ物にならないくらい弱い『力』だけど、あたし達の国でも『力』の強さが権力に直結していてさ。
『力』が強い奴が政治を握ってる。
でも、どいつもこいつも中途半端だから、つねに争いがあってさ。割を食うのは、弱いやつと貧乏人。
そんなわけであたしは、今日もラミアに追いかけられながら、黒の森で泥水すすって生きてるってワケ」
あたしは黙ってしまった。
そんなあたしを見て、マリーは明るく言った。
「それよりさ、あたしは途中で降ろされた方だからさ、アバダンの話聞かせてよ。ホントのとこの話、どうなのよ。アバダンって国はさ。飢えもしない、震えもしない、犯罪も貧困もないってホントなのかなあ」
「いや、ちょっと……あたしも来たばっかりでよくわかんないんだけど。ただ、浮浪者みたいな人とかは見てないかなあ」
まさか、あたしも飛行機から落ちました。その後、無銭飲食しました。なんて言えやしない。
あーーあ。いいなあ。とマリーは大きく伸びをした。
「マリーのいるエリヤから見て、アバダンってそんなにいいとこ?」
あたしは薪にするために、近くにある乾いた木や葉を集めながら聞いてみた。
「いいって聞くよ。まず、土地が肥えている。政治が安定している。飢えるヤツらもいなければ、浮浪者もいないんでしょ。十分じゃない?この世界、どの国だってそんな国ないわよ。ねえ。生きていくのに他に何がいるの?アバダンの夏至祭りの市に行った奴らは、アバダン人になれるんなら何でもするって言ってたよ。女王様はえらく怖いらしいけど、あたしらみたいなのは会うこともないからね。あと」
マリーは恥ずかしそうに続けた。
「身内がいるかもって思うと一回くらい会ってみたいじゃん?……会って文句は言ってみたいなって思うよ。仮にも昔愛した女の葬式ぐらい来てもいいじゃない?じゃないと、母さんが浮かばれないよ」
あたしは黙って頷いた。
いつの間にかとっぷりと日が暮れていた。
あたしたちはレイの傍らに腰を下ろした。
勢いのついた火の中に太い丸太をほおりこむと、白い煙がもくもくと立ち昇った。やがて大きな火が黒い鍋を包み込むように燃え上がる。鍋の中ではふやけた干し肉が美味しそうな香りを出しながら煮えていた。
急に目の前の草ががさがさと動いた。マリーの手に大きなナイフが握られる。あたしは無意識のうちに寝ているレイの前に出ていた。
「待たせたな」
カイとラニが色とりどりの魚と水を持って草むらから顔をだした。
「お帰り。スープができてるよ」
ほっとした声でマリーが言った。
「うまそーー」
ラニがすぐに鍋の傍に座り込んだ。
マリーが慣れた手つきで魚の鱗をとって、内臓をかきだした。頭も尻尾も関係なく鍋の中に放り込んでいく。赤い色の魚が鍋の中で緑色に変わった。
うーん。これを食べるのか。
「はい。ユキ、あんたの分」
マリーは白いアヴォイドの骨をのくぼみにスープをよそってこちらに寄越した。
うーん。
さっきのマリーの能力を聞くと、毒は入っていないはず。
あたしは意を決しておそるおそるスープを口に含んでみた。
「美味しい」
「だろ」
ラニは自分が褒められたかのように自慢げに言った。
スープは想像以上に美味しかった。干し肉の塩味が少しきつかったが、疲れた体に染みわたる。
一度レイをおこしてスープを飲ませたが、食欲がないらしく、一口飲んで、顔をしかめて、また泥のように眠った。
「熱がでてきたな」
真っ赤になっているレイの額を抑えながら、カイが言った。あたしは二人の汲んできた冷たい小川の水でひたした布をレイの額に乗せた。
「そこじゃない。わきの下と足の付け根を冷やせ」
カイはそういって濡れた布を3つくれた。
「あ、はい」
「カイはヒーラーでお医者さんなのよ。ね、カイ」
マリーは誇らしげに言った。なるほど、フランスに帰らない理由はもう一つあるらしい。
「あっちの国じゃまだ学生だったけどな」
「え、カイはどこの国の人?」
「ユキもあたし達と同じミックスなんだって。日本人だって」
「なんだよ。最初から言えよ」
ラニがぼそりと呟いた。
「俺はアメリカだ。
最終学年の夏休みを利用して、一度、アバダンにいるとかいう親父の顔でも見てこようと思ったんだ。
落とされちまったけどな。
そのまま帰っても良かったんだけど、エリヤは医療体制があんまり発達してないんだ。
腕の良いヒーラーにかかれるのはごく一部の特権階級の奴らだけ。
俺のヒーラーとしての『力』は弱かったけど、俺は医学の知識があったから、頼まれて治療してるうちに帰れなくなっちまった。
本当は本国に帰って学校を卒業して、きちんと医師免許をとってから治療した方がいいのはわかってんだけど、患者を置いていけなくて、こんなことになっちまってる。モグリの医者でも、いないよりマシなんだよ」
カイは恥ずかしそうに肩をすくめて言った。
「ねえ、市に行くって言ってたけど、その貴重なお医者さんが無理して黒の森通ってまでなんで市に行くの?」
あたしはスープから立ち上る青臭い匂いをかがないようにしながら、聞いた。
三人はお互いの顔を見合わせた。
「実は麻薬が欲しいんだ」
カイは静かな声で言った。
「手術をしなきゃならない患者が何人かいるんだけど、麻薬が手に入らない。手に入ってもエリヤに入ってくるのは大抵粗悪品で、麻酔自体が命にかかわっちまう。
アバダンでは副作用の少ない、本当にいい麻薬が手に入るって聞いた。
一年に一度、アバダンの夏至祭りにしか麻薬はでないんだ。他の人に任せて買ってきてもらっても、それが使える麻薬かどうかは俺じゃないとわからない。だめだったらまた一年待たなきゃならない。正規のルートを待っていたら、患者が死んじまう。
普段、アバダンの国境は蟻も通さないが、夏至祭りのこの時期、この黒の森のルートが一番緩くなるんだ。
まあ、黒の森もかなりやばいけど、モグリの医者なりにできることをやってやろうって、出てきたんだ」
「モグリじゃないよ。カイ兄はたくさんの人を助けてるんだ。黒の森に入るのだって、みんな協力してくれて、だから金だって、装備だって、地図だって手に入ったんだよ」
ラニが必死な顔で言った。
「ユキ」
ラニの声で起きたのか、レイが薄目を開けてあたしの名前を呼んだ。差し出された白い手を握ると、安心したようにまた眠りについた。
「大丈夫だ。シー族は丈夫な体を持っている。金髪のシーでも、例外じゃない」
心配そうにしているあたしを気遣ってカイが言った。
あたしの手を握るレイの指にはめられた指輪が焚火のあかりに照らされて鈍く光っている。
「でも、ラミアに襲われた時、自分の『力』を全部この指輪に封じ込めたって言ってた。『力』のない、ただの人間になるって言ってた。大丈夫かな。あたしじゃ、どうやってその『力』を封じ込めたのかわからないから元に戻せない」
「指輪に『力』を封じた?」
マリーが素っ頓狂な声を出した。
「うん。あたしにも指輪をして、両方にわけて入れたって言ってた」
あたしは右手の薬指にはまっている自分の指輪を見せた。
「それって、婚約指輪だよね」
マリーがあきれたように言った。
「え、ううん。そうじゃないって。あの、ラミアって『力』に向かって襲ってくるから、この指輪に『力』を入れて『力』を消すって言ってた」
「だから、お互いの『力』が入った指輪だろ、それってシー族の婚約指輪だよ。しかもおそろいじゃん。すっげー。金にアメジスト。本物かな?」
ラニが指輪に触りながら言った。マリーがみせてみせてと指輪のはまっている右手をとった。
左手はレイに手を握られていて、離すことができない。あたしは仕方なく案山子のように腕を上げていた。
「ねえ、彼の真名を聞くとき、どうだった?」
マリーが興味津々と言った顔で聞いてくる。
「まな?」
そういえば、さっきレイも同じこと言っていた。
「お互いの『力』が入った指輪を作るには、真名を言わなきゃないはずでしょ」
「真名って何?」
「ほんとの名前よ。この大陸では、本名じゃなくて、通り名を名乗ってるでしょ……ってちょっと、大丈夫?」
マリーが顔色の変わったあたしをみて心配そうに言った。
「どういうこと?」
「だから、『力』が強い人が相手のほんとの名前を知ってたら、その人を支配できるでしょ。反対に言うと、名前さえ知られなければ、まあ、なんとかなったりするのよ。結婚する時は、お互いの真名を教えあって、その『力』を少しづつ分け合って身に着けるの。そうすると、裏切ることはできない。本当の意味でお互いがお互いのものになる……ってユキ、知らなかったの?」
「知らないよー。あたし、日本に帰るし、好きな人いるし、婚約って、指輪って……いやいやいや、純粋にラミアから逃れるための手段だからっ」
「えーー。そうなの?まあ、そっか。レイ君。どう見ても成人してないしね。そっか。婚約してないのに、名前教えあったんだ。すごいね」
何がすごいのかよくわからないまま、あたしはあいまいにうなずいた。
そうか、レイに初めて会った時、名前を聞いてレイがあんなに動揺した訳がようやくわかった。本名を教えあうってそういうことになるんだ。
あきれた。
あたしは初対面でレイにプロポーズしたわけね。それは、かなりおかしなヤツだわ。
「ところで、好きな人ってどんな人?誰?同級生?付き合ってどのくらい?」
すぐに泰治の顔が思い浮かんで、あわてて消した。
「付き合ってないの。あたしが、ただ、好きなだけ」
言ってから、急にすとんと心に落ちた。
ああ。やっぱりあたし泰治が好きなんだ。
胸の奥がくすぐったい。
「えー片思いー?ゆっくり話して」
きゃーと叫ぶマリーをみて、あたしは恋バナという万国共通言語をあらためてかみしめた。
早く帰ってこいよ。
最後に会った日、学校の昇降口で泰治が言った言葉を反芻する。
そうだ。帰るんだった。
早く、絶対早く帰る。
あたしはぎゅうっと握り拳をつくった。
「マリー、明日も早いからな。もう寝ろよ」
カイとラニは興味なさげに火の回りでごろりと横になった。
火の番は興奮冷めやらぬマリーが引き受けることにしたようだ。
あたしはレイの体にあてた布をもう一度冷たいものに変えて、自分の毛布にくるまった。
木々の葉の間から、あわい月の光が辺りを照らしていた。
明日には満月になるだろう。
泰治も同じ月を見ていると思ったら、寂しさが少し薄れた。
彼がこのチームのリーダーなんだろう。
ラニとマリーにてきぱきと指示を出している。
あっという間に火がたかれ、あたりが急に暗くなった気がした。
「ここを少し降りたところに川があった。水が汲めそうだ。マリー、銃を貸してくれ」
「おっけーー」
マリーがズボンをめくりあげ、小さな小型の銃を足首から抜き取った。カイが残りの弾丸の数を確かめながら受け取る。
「そんなに危ないの?」
「黒の森はどこでも危ないが、水の近くは特に危ない。生き物は水を求めて集まってくるからな。その生き物を狙ってさらに生き物が集まる。水を飲んでる時は、注意力が落ちるから、捕食者にとっては格好の狩場だ」
カイは心配そうにしているあたしに笑いかけた。
「大丈夫だ。アバダンの貴族連中に比べたら、へでもない」
「あいつら、えげつないからな」
ラニがうげーーという顔をして言った。
「連中はとにかく頭が切れる。人間には持ちえない『力』もある。あいつらが戦っているところを遠くで見たことあるが、忘れられないよ。たまに、連中が戦争じゃなくて虐殺してるんじゃないかと思う時がある」
カイはぶるっと体を震わした。
シー族はどうも評判がよろしくない。
「まあ、そこのぼっちゃんみたいなのもいるし、シー族もそれぞれってことだな。ラニ、ほら、行くぞ」
カイはラニの腕を引っ張った。
「気を付けて」
あたしは複雑な笑顔を顔に貼り付けて二人を送り出した。
二人がいなくなると、マリーはバックから干し肉を取り出した。
集めた花の水を鍋に開け、さっきカイと摘んできた草と干し肉を一緒に、燃えさかる火にかける。
すぐにむっとした草の臭いが辺りにただよいはじめた。
これが今日の晩御飯になるらしい。
「ユキさん、明るいうちに、持って来られるだけの乾いた木を持ってきて。レイ君起きないし、今晩は一晩中火が必要だろうから」
「あ、うん。マリー、あたしのことはユキって呼んで。あたしたち、そんなに年も変わらないでしょ」
マリーはあっけにとられたようにこちらをみた。
「アバダンの国のシー族がそんなこと言うなんて、初めて聞いたよ」
「いや、シー族って……あたし、シー族なのかなあ。レイはそう言うけど……何族って聞いたことないよ。アバダン人たって半分だけだし」
「半分?あんたミックスなの?シーと何の?」
「え……うん。シーかどうかわかんないけど、日本人とアバダン人の。日本人としか見えないと思うけど」
ここまで言って気がついた。あたし、今、金髪だった。
「え、日本人?人間なの?しかも日本人って、あの、ドラゴンボールの」
「古いなあ……マリーさんってフランス人でしょ?」
「フランス人よ」
なんでわかんのよ。
マリーは美しい顔をしかめて言った。
「まあ、この大陸じゃあ、どこの国の生まれだろうが、関係ないけどね。アバダン人か、それ以外」
マリーは両手を左から右に移動させて肩をすくめた。
「ねえ、じゃあ、さっき言ってたマールって子……」
「そう。あたし昨日来たばかりなの。落とされ子って言葉も知らなくって……」
「あれ、びっくりだよね。ねえ、じゃあさ、ユキはアバダンに入れたってことだよね。ね、お父さんに会えたの?」
一番最初に聞く質問がそれですか。
あたしは、昨日の夜、レイが話していた落とされ子の話を思い出して、胸がきゅっとしめつけられた。
「ううん。あたしのお父さん、死んじゃったから」
あたしは、何となく、母親の方がアバダン人と言いそびれた。
「そうなんだ。それなのにアバダンに来たの?お母さんは?」
「え……と日本に住んでる」
そして、今は多分、アバダンの飛行場で呆れているか、日本に帰っているかのどちらか。
「へー?まだ生きてんの?じゃあ、日本にも帰れるのね」
マリーはうらやましそうに言った。
あたしはそんな良いものじゃないと言いかけてやめた。
レイは言った。
あたしが愛された子だって。
もし、万が一あの人がまだ日本に帰っていなかったら?
万が一あたしのこと捜していたら?
もしかして、あの人が心配していたら……。
あの人があたしを愛しているってことになるんだろうか?
その想像はとてつもなく甘美だった。
あたしは頭からその考えを切り離して、代わりにマリーに聞いた。
「……マリーは?お母さんは?」
「他のミックスと一緒。あたし産んでから母さん、体が弱くなってね、
アバダン行きのチケットが届いたら泣いて喜んでた。
これで安心して死ねるってね。
それからすぐ死んじゃった。
母さんが死んでも会いに来ない親父になんて会いたくなかったんだけど、頼れる親戚なんて誰もいないし、アバダンの親父のところに行くのが母さんの遺言だったからね。
意を決して飛行機に乗ったんだけど、途中で落とされちゃった。
親父にも会えずじまい。まあ、会えたかどうかわかんないけどね。
チケット送ってきたから、来るのわかっているのに、探しにも来なかったからね。
『力』がない人間との娘は会う価値もないってね……ちょっと、そんな顔しないでよ。この大陸に来てカイやラニと出会って、『力』も少しはでてきたし。こっちの方が居心地よくなったから、帰れなくなっちゃったんだよ」
「え、マリーも『力』使えるの?どんなの?」
レイ以外の『力』を見る機会がなかったあたしは、食いついた。
「いや、たいした『力』じゃないよ。食べられる草とか、薬草とかがわかるのよ。直感的に」
「あ、だからさっき薬草を」
「そ、だから、黒の森の草でも安心して食べたりできるってわけ。でも、こんな『力』があっても、今のフランスでは何にも役に立たないじゃん。あんなに食べ物がスーパーにあふれてんだもん。能力なんて発現しようがないよ」
そりゃそうだ。あたしは申し訳なさそうに頷いた。
「あたしが落とされたエリヤって国は、食料自給率も低いし、医療も進んでないからね。薬草探しやら食べ物探しやらで森に入ることも多くて、あたしの能力は、そりゃ、重宝されてるのよ」
マリーは誇らしげに言った。
「エリヤはどんな国?どこにあるの?」
「アバダンの黒の森を挟んで隣にある貧しい国よ。
この大陸はサンゴ礁から派生してるから土壌が悪いの。建国から何百年もたっているのに、未だに塩害がひどくて、アバダンから一歩出たら、驚くわよ。
つねに食料が不足していて、だから、政情が不安定なんだよね。
アバダン人とは比べ物にならないくらい弱い『力』だけど、あたし達の国でも『力』の強さが権力に直結していてさ。
『力』が強い奴が政治を握ってる。
でも、どいつもこいつも中途半端だから、つねに争いがあってさ。割を食うのは、弱いやつと貧乏人。
そんなわけであたしは、今日もラミアに追いかけられながら、黒の森で泥水すすって生きてるってワケ」
あたしは黙ってしまった。
そんなあたしを見て、マリーは明るく言った。
「それよりさ、あたしは途中で降ろされた方だからさ、アバダンの話聞かせてよ。ホントのとこの話、どうなのよ。アバダンって国はさ。飢えもしない、震えもしない、犯罪も貧困もないってホントなのかなあ」
「いや、ちょっと……あたしも来たばっかりでよくわかんないんだけど。ただ、浮浪者みたいな人とかは見てないかなあ」
まさか、あたしも飛行機から落ちました。その後、無銭飲食しました。なんて言えやしない。
あーーあ。いいなあ。とマリーは大きく伸びをした。
「マリーのいるエリヤから見て、アバダンってそんなにいいとこ?」
あたしは薪にするために、近くにある乾いた木や葉を集めながら聞いてみた。
「いいって聞くよ。まず、土地が肥えている。政治が安定している。飢えるヤツらもいなければ、浮浪者もいないんでしょ。十分じゃない?この世界、どの国だってそんな国ないわよ。ねえ。生きていくのに他に何がいるの?アバダンの夏至祭りの市に行った奴らは、アバダン人になれるんなら何でもするって言ってたよ。女王様はえらく怖いらしいけど、あたしらみたいなのは会うこともないからね。あと」
マリーは恥ずかしそうに続けた。
「身内がいるかもって思うと一回くらい会ってみたいじゃん?……会って文句は言ってみたいなって思うよ。仮にも昔愛した女の葬式ぐらい来てもいいじゃない?じゃないと、母さんが浮かばれないよ」
あたしは黙って頷いた。
いつの間にかとっぷりと日が暮れていた。
あたしたちはレイの傍らに腰を下ろした。
勢いのついた火の中に太い丸太をほおりこむと、白い煙がもくもくと立ち昇った。やがて大きな火が黒い鍋を包み込むように燃え上がる。鍋の中ではふやけた干し肉が美味しそうな香りを出しながら煮えていた。
急に目の前の草ががさがさと動いた。マリーの手に大きなナイフが握られる。あたしは無意識のうちに寝ているレイの前に出ていた。
「待たせたな」
カイとラニが色とりどりの魚と水を持って草むらから顔をだした。
「お帰り。スープができてるよ」
ほっとした声でマリーが言った。
「うまそーー」
ラニがすぐに鍋の傍に座り込んだ。
マリーが慣れた手つきで魚の鱗をとって、内臓をかきだした。頭も尻尾も関係なく鍋の中に放り込んでいく。赤い色の魚が鍋の中で緑色に変わった。
うーん。これを食べるのか。
「はい。ユキ、あんたの分」
マリーは白いアヴォイドの骨をのくぼみにスープをよそってこちらに寄越した。
うーん。
さっきのマリーの能力を聞くと、毒は入っていないはず。
あたしは意を決しておそるおそるスープを口に含んでみた。
「美味しい」
「だろ」
ラニは自分が褒められたかのように自慢げに言った。
スープは想像以上に美味しかった。干し肉の塩味が少しきつかったが、疲れた体に染みわたる。
一度レイをおこしてスープを飲ませたが、食欲がないらしく、一口飲んで、顔をしかめて、また泥のように眠った。
「熱がでてきたな」
真っ赤になっているレイの額を抑えながら、カイが言った。あたしは二人の汲んできた冷たい小川の水でひたした布をレイの額に乗せた。
「そこじゃない。わきの下と足の付け根を冷やせ」
カイはそういって濡れた布を3つくれた。
「あ、はい」
「カイはヒーラーでお医者さんなのよ。ね、カイ」
マリーは誇らしげに言った。なるほど、フランスに帰らない理由はもう一つあるらしい。
「あっちの国じゃまだ学生だったけどな」
「え、カイはどこの国の人?」
「ユキもあたし達と同じミックスなんだって。日本人だって」
「なんだよ。最初から言えよ」
ラニがぼそりと呟いた。
「俺はアメリカだ。
最終学年の夏休みを利用して、一度、アバダンにいるとかいう親父の顔でも見てこようと思ったんだ。
落とされちまったけどな。
そのまま帰っても良かったんだけど、エリヤは医療体制があんまり発達してないんだ。
腕の良いヒーラーにかかれるのはごく一部の特権階級の奴らだけ。
俺のヒーラーとしての『力』は弱かったけど、俺は医学の知識があったから、頼まれて治療してるうちに帰れなくなっちまった。
本当は本国に帰って学校を卒業して、きちんと医師免許をとってから治療した方がいいのはわかってんだけど、患者を置いていけなくて、こんなことになっちまってる。モグリの医者でも、いないよりマシなんだよ」
カイは恥ずかしそうに肩をすくめて言った。
「ねえ、市に行くって言ってたけど、その貴重なお医者さんが無理して黒の森通ってまでなんで市に行くの?」
あたしはスープから立ち上る青臭い匂いをかがないようにしながら、聞いた。
三人はお互いの顔を見合わせた。
「実は麻薬が欲しいんだ」
カイは静かな声で言った。
「手術をしなきゃならない患者が何人かいるんだけど、麻薬が手に入らない。手に入ってもエリヤに入ってくるのは大抵粗悪品で、麻酔自体が命にかかわっちまう。
アバダンでは副作用の少ない、本当にいい麻薬が手に入るって聞いた。
一年に一度、アバダンの夏至祭りにしか麻薬はでないんだ。他の人に任せて買ってきてもらっても、それが使える麻薬かどうかは俺じゃないとわからない。だめだったらまた一年待たなきゃならない。正規のルートを待っていたら、患者が死んじまう。
普段、アバダンの国境は蟻も通さないが、夏至祭りのこの時期、この黒の森のルートが一番緩くなるんだ。
まあ、黒の森もかなりやばいけど、モグリの医者なりにできることをやってやろうって、出てきたんだ」
「モグリじゃないよ。カイ兄はたくさんの人を助けてるんだ。黒の森に入るのだって、みんな協力してくれて、だから金だって、装備だって、地図だって手に入ったんだよ」
ラニが必死な顔で言った。
「ユキ」
ラニの声で起きたのか、レイが薄目を開けてあたしの名前を呼んだ。差し出された白い手を握ると、安心したようにまた眠りについた。
「大丈夫だ。シー族は丈夫な体を持っている。金髪のシーでも、例外じゃない」
心配そうにしているあたしを気遣ってカイが言った。
あたしの手を握るレイの指にはめられた指輪が焚火のあかりに照らされて鈍く光っている。
「でも、ラミアに襲われた時、自分の『力』を全部この指輪に封じ込めたって言ってた。『力』のない、ただの人間になるって言ってた。大丈夫かな。あたしじゃ、どうやってその『力』を封じ込めたのかわからないから元に戻せない」
「指輪に『力』を封じた?」
マリーが素っ頓狂な声を出した。
「うん。あたしにも指輪をして、両方にわけて入れたって言ってた」
あたしは右手の薬指にはまっている自分の指輪を見せた。
「それって、婚約指輪だよね」
マリーがあきれたように言った。
「え、ううん。そうじゃないって。あの、ラミアって『力』に向かって襲ってくるから、この指輪に『力』を入れて『力』を消すって言ってた」
「だから、お互いの『力』が入った指輪だろ、それってシー族の婚約指輪だよ。しかもおそろいじゃん。すっげー。金にアメジスト。本物かな?」
ラニが指輪に触りながら言った。マリーがみせてみせてと指輪のはまっている右手をとった。
左手はレイに手を握られていて、離すことができない。あたしは仕方なく案山子のように腕を上げていた。
「ねえ、彼の真名を聞くとき、どうだった?」
マリーが興味津々と言った顔で聞いてくる。
「まな?」
そういえば、さっきレイも同じこと言っていた。
「お互いの『力』が入った指輪を作るには、真名を言わなきゃないはずでしょ」
「真名って何?」
「ほんとの名前よ。この大陸では、本名じゃなくて、通り名を名乗ってるでしょ……ってちょっと、大丈夫?」
マリーが顔色の変わったあたしをみて心配そうに言った。
「どういうこと?」
「だから、『力』が強い人が相手のほんとの名前を知ってたら、その人を支配できるでしょ。反対に言うと、名前さえ知られなければ、まあ、なんとかなったりするのよ。結婚する時は、お互いの真名を教えあって、その『力』を少しづつ分け合って身に着けるの。そうすると、裏切ることはできない。本当の意味でお互いがお互いのものになる……ってユキ、知らなかったの?」
「知らないよー。あたし、日本に帰るし、好きな人いるし、婚約って、指輪って……いやいやいや、純粋にラミアから逃れるための手段だからっ」
「えーー。そうなの?まあ、そっか。レイ君。どう見ても成人してないしね。そっか。婚約してないのに、名前教えあったんだ。すごいね」
何がすごいのかよくわからないまま、あたしはあいまいにうなずいた。
そうか、レイに初めて会った時、名前を聞いてレイがあんなに動揺した訳がようやくわかった。本名を教えあうってそういうことになるんだ。
あきれた。
あたしは初対面でレイにプロポーズしたわけね。それは、かなりおかしなヤツだわ。
「ところで、好きな人ってどんな人?誰?同級生?付き合ってどのくらい?」
すぐに泰治の顔が思い浮かんで、あわてて消した。
「付き合ってないの。あたしが、ただ、好きなだけ」
言ってから、急にすとんと心に落ちた。
ああ。やっぱりあたし泰治が好きなんだ。
胸の奥がくすぐったい。
「えー片思いー?ゆっくり話して」
きゃーと叫ぶマリーをみて、あたしは恋バナという万国共通言語をあらためてかみしめた。
早く帰ってこいよ。
最後に会った日、学校の昇降口で泰治が言った言葉を反芻する。
そうだ。帰るんだった。
早く、絶対早く帰る。
あたしはぎゅうっと握り拳をつくった。
「マリー、明日も早いからな。もう寝ろよ」
カイとラニは興味なさげに火の回りでごろりと横になった。
火の番は興奮冷めやらぬマリーが引き受けることにしたようだ。
あたしはレイの体にあてた布をもう一度冷たいものに変えて、自分の毛布にくるまった。
木々の葉の間から、あわい月の光が辺りを照らしていた。
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