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本編
4. 恋人記念日だからダメ
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プレイの時は美沙にやられてばっかりのハジメだが、それ以外の時は年上のハジメが、年下の美沙に対して不器用なりに包み込むような優しさを見せていた。
「美沙は今まで相性がいい奴に出逢えなくて困ってたって言ったけど、それは性癖だけの話だろ? 恋人として付き合った奴の中で、未練がある奴とかいるのか?」
いつになく真面目な顔つきで尋ねてくるハジメの言葉に、美沙は彼の眼鏡の奥にある瞳を見つめてその真意を探した。やがてフッとため息を吐くように笑ってから、小さな口を開く。
「別に未練なんて無いよ。元カレ達には可哀想な事しちゃったな、って思うけどね。同意なく私のやり方を押し付けて、本気で泣かせちゃったりしたから」
「初めて会った日に話してくれたよな」
「うん、そう。だから、今が一番幸せなの。ハジメちゃんは私にピッタリのパートナーだし」
あくまでも二人はお互いの性質を存分に理解しあったパートナーではあるが、決して恋人では無かった。それを口にした美沙に向かって突然ハジメは居住まいを正す。
「……俺は美沙が好きだ。誰かに美沙を取られたらきっと、気が狂ってしまう。だからパートナーじゃなくて、ちゃんとした恋人になりたい。どうやったら俺の事を好きになってくれる?」
美沙はハジメの顔をじっと見つめる。簡単には近づき難いような、けれど誰もが振り向くような容姿をしているのに、誰にも話せない性癖を持っている。そんな男を目の前にして、懇願されるこの状況にゾクリと背筋が震えた。
「ハジメちゃん、可愛いね。こんなにイケメンなのに、中身は情けなくてカッコ悪くて、それに……変態」
「……すまん」
「だけど、知ってるでしょ? 私の性質は他の人間を虐めて虐めて、それでやっと満たされる。ハジメちゃんみたいに虐められて喜ぶますような情けない人間だからこそ、お互いが満たされるの。私達って、もうとっくに離れられないよね」
目を見開き歓喜の色を宿したハジメの両頬を両手で掴むと、初めて少しかさついた唇に口づけを落とす美沙。はじめは啄むように、そして噛み付くようなものに変わっていく頃には二人の隙間から荒い吐息が漏れ出る。
「んっ、はぁ……」
「美沙、もっと触れたい」
ハジメの手は美沙の細い腰に触れていて、もう少し上に触れたいと思うのに、美沙からの許可が無いうちは決して動けないでいる。けれどハジメの必死の抑制にとっくに気づいていたのに、当の美沙は知らないふりをしていたのだった。
目の前にいる恋人に触れたくても必死で我慢するハジメの表情に、美沙は満足げに目を細め口元には綺麗な弧を描いていた。
「もう恋人だから触ってもいいけど、ハジメちゃんのキスが下手くそだったら舌噛み切るからね。ちゃんと気持ちいいキスしながら触って」
「分かった」
こんなにもフワッと嬉しそうに笑うハジメの表情を知るのは、きっと美沙だけだろう。
その手は優しく、けれど確実に美沙の体と心の深いところに触れてくる。美沙はこれまでの恋人達では感じた事が無いほどに昂揚し、必死で恋人を喜ばせようとするハジメの愛撫に乱れた。
「はあっ、美沙、俺も……もう……」
「なぁに? 挿れたいの? だよね? こんなに先走りを垂れ流して。だらしないにも程があるよ」
「頼む、く……っ」
昂りの根元をぎゅっと掴まれて、苦悶の表情を浮かべるハジメを見て喜ぶ美沙は、その濡れた唇から残酷な言葉を紡ぐ。
「だめ、今日はしない。だって恋人になった記念日だもん。また来週、初えっち記念日にしよう。それまでは、我慢してね。一人でシてもダメだよ」
「そんな……っ、んんっ」
三度だけ、たった三度だけ美沙はハジメの硬くて震えるそこを掴んだ手を上下させた。
「私だって我慢してるのに、ハジメちゃんだけ楽になるの? そんなのずるいよ」
「分かった……っ、我慢……する」
「いい子だね。大好きだよ」
可憐な唇と舌を使って、ハジメの吐息を食べるような口づけを執拗にしてから、ハァと息を吐いた美沙は身体を離した。離れ難そうに美沙を見つめるハジメの瞳には、まだ情欲の色が色濃く残っている。
「これからは彼氏としてよろしくね、ハジメちゃん」
サラリと揺れる長い黒髪が、小首を傾げた美沙のセーラー服を着た肩から胸へとこぼれ落ちる。その光景はひどく背徳的で、とても美しかった。
「美沙、好きだ」
「知ってる」
「絶対大切にするから」
「私も、ハジメちゃんの事大切にするよ」
まだ衰えていない昂りをチラリと横目で見ながら、美沙はペロリと苺のように紅い舌で唇を潤した。
「出逢わせてくれた涼介くんに、感謝しないとね」
「美沙は今まで相性がいい奴に出逢えなくて困ってたって言ったけど、それは性癖だけの話だろ? 恋人として付き合った奴の中で、未練がある奴とかいるのか?」
いつになく真面目な顔つきで尋ねてくるハジメの言葉に、美沙は彼の眼鏡の奥にある瞳を見つめてその真意を探した。やがてフッとため息を吐くように笑ってから、小さな口を開く。
「別に未練なんて無いよ。元カレ達には可哀想な事しちゃったな、って思うけどね。同意なく私のやり方を押し付けて、本気で泣かせちゃったりしたから」
「初めて会った日に話してくれたよな」
「うん、そう。だから、今が一番幸せなの。ハジメちゃんは私にピッタリのパートナーだし」
あくまでも二人はお互いの性質を存分に理解しあったパートナーではあるが、決して恋人では無かった。それを口にした美沙に向かって突然ハジメは居住まいを正す。
「……俺は美沙が好きだ。誰かに美沙を取られたらきっと、気が狂ってしまう。だからパートナーじゃなくて、ちゃんとした恋人になりたい。どうやったら俺の事を好きになってくれる?」
美沙はハジメの顔をじっと見つめる。簡単には近づき難いような、けれど誰もが振り向くような容姿をしているのに、誰にも話せない性癖を持っている。そんな男を目の前にして、懇願されるこの状況にゾクリと背筋が震えた。
「ハジメちゃん、可愛いね。こんなにイケメンなのに、中身は情けなくてカッコ悪くて、それに……変態」
「……すまん」
「だけど、知ってるでしょ? 私の性質は他の人間を虐めて虐めて、それでやっと満たされる。ハジメちゃんみたいに虐められて喜ぶますような情けない人間だからこそ、お互いが満たされるの。私達って、もうとっくに離れられないよね」
目を見開き歓喜の色を宿したハジメの両頬を両手で掴むと、初めて少しかさついた唇に口づけを落とす美沙。はじめは啄むように、そして噛み付くようなものに変わっていく頃には二人の隙間から荒い吐息が漏れ出る。
「んっ、はぁ……」
「美沙、もっと触れたい」
ハジメの手は美沙の細い腰に触れていて、もう少し上に触れたいと思うのに、美沙からの許可が無いうちは決して動けないでいる。けれどハジメの必死の抑制にとっくに気づいていたのに、当の美沙は知らないふりをしていたのだった。
目の前にいる恋人に触れたくても必死で我慢するハジメの表情に、美沙は満足げに目を細め口元には綺麗な弧を描いていた。
「もう恋人だから触ってもいいけど、ハジメちゃんのキスが下手くそだったら舌噛み切るからね。ちゃんと気持ちいいキスしながら触って」
「分かった」
こんなにもフワッと嬉しそうに笑うハジメの表情を知るのは、きっと美沙だけだろう。
その手は優しく、けれど確実に美沙の体と心の深いところに触れてくる。美沙はこれまでの恋人達では感じた事が無いほどに昂揚し、必死で恋人を喜ばせようとするハジメの愛撫に乱れた。
「はあっ、美沙、俺も……もう……」
「なぁに? 挿れたいの? だよね? こんなに先走りを垂れ流して。だらしないにも程があるよ」
「頼む、く……っ」
昂りの根元をぎゅっと掴まれて、苦悶の表情を浮かべるハジメを見て喜ぶ美沙は、その濡れた唇から残酷な言葉を紡ぐ。
「だめ、今日はしない。だって恋人になった記念日だもん。また来週、初えっち記念日にしよう。それまでは、我慢してね。一人でシてもダメだよ」
「そんな……っ、んんっ」
三度だけ、たった三度だけ美沙はハジメの硬くて震えるそこを掴んだ手を上下させた。
「私だって我慢してるのに、ハジメちゃんだけ楽になるの? そんなのずるいよ」
「分かった……っ、我慢……する」
「いい子だね。大好きだよ」
可憐な唇と舌を使って、ハジメの吐息を食べるような口づけを執拗にしてから、ハァと息を吐いた美沙は身体を離した。離れ難そうに美沙を見つめるハジメの瞳には、まだ情欲の色が色濃く残っている。
「これからは彼氏としてよろしくね、ハジメちゃん」
サラリと揺れる長い黒髪が、小首を傾げた美沙のセーラー服を着た肩から胸へとこぼれ落ちる。その光景はひどく背徳的で、とても美しかった。
「美沙、好きだ」
「知ってる」
「絶対大切にするから」
「私も、ハジメちゃんの事大切にするよ」
まだ衰えていない昂りをチラリと横目で見ながら、美沙はペロリと苺のように紅い舌で唇を潤した。
「出逢わせてくれた涼介くんに、感謝しないとね」
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