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21. 自分の価値を知ってくれ ※
しおりを挟むセックスの際、水川さんはあまり焦らされるのを好まない。
妖しげな笑みを浮かべながら、甘えた声で「優しくなんてしないでよ。僕はされるよりしたい方なんだ」なんて言ってさっさと俺のモノを咥えたりする事が多い。
そうかと思えばすぐに挿れたがって、自分への愛撫は最低限、出来るだけ手短に終わらせようとする。
今までは俺も水川さんの好きなようにしようと思って、しつこく愛撫した事は無かった。
「才谷くん……っ、もぉいいよ……」
「良くないです」
今日は俺の気持ちをとことん伝えようと思う。
この人には言葉だけじゃ通じないだろうから、身体の繋がりで俺の好意を、覚悟を伝える。
引き裂いたワイシャツから覗いた胸の頂を、舌先と唇で赤く腫れるまで刺激する。もう片方も指で挟んでつまみ上げれば、痛みに呻くようにして掠れた声を上げた。
「あ……っ、あぁ……」
「水川さんのここって、元々は色が薄くて小さいのに、もうこんなに赤くなって腫れ上がってきましたよ」
「やめ……、しつこい……よ」
「今日は俺のしたいようにするんで、黙っててください」
「ひ、やぁ……っ! やだ……っ」
ちゅ、ちゅ、と薄い腹に口付けを落としていくと、水川さんの腹筋がふるふると震え、喘ぎ声と共に腰を大きく反らせた。
同時に俺の身体に当たる水川さんの下半身は、ググッと硬さを増していて、「やだ」という言葉なんて何の説得力も無い。
その甘く蕩けた眼差しは、もっと触れてほしいと訴え続けているんだから。
「なんでこんな事……っ」
「水川さん、大切にされる事に慣れてください」
「そんな……っ、必要……なんかない……ッんぅ」
硬さを増した水川さんの下半身を優しく撫で上げる。服越しに分かるカリ首を中心にもどかしい程度の刺激を与え続けた。
「ん、はぁ、もう……、やめ……ッ、直接触ってほし……んぁっ」
小さく凹んだ臍の中へ舌先を差し入れてグルリと舐めた。ふるふると震える腹筋と、ピクピク動く手の中の物が、自分の与える刺激で反応しているんだと思うと興奮する。
「水川さん、俺が水川さんのどこが好きか分かりますか?」
「んはぁ……っ、んん、そんなの……、知らな……いっ」
濡れた臍周りに口づけを落としながら、右手は水川さんの竿の部分と玉の部分をやわやわと刺激する。
無意識だろうか。快感の波を堪えるように、俺の両肩に手を置いてギュッと握り込んで力を込めるこの人が堪らなく愛しい。
本気で跳ね除けるような事はしないくせに、わずかな抵抗を示す水川さんに、俺の行動が嫌では無いという証拠だと判断する。
「あの日、俺の童貞を奪った静って人の事が忘れられなかった。凍りつくみたいに冷たい表情をしている癖に、俺の上で散々乱れていたそのギャップにやられたんだと思う」
ふと、敬語を忘れている事に気付いたが、目の前で頬を赤らめて熱い吐息を吐き出す水川さんも気にしてないようだから良しとする。
話しながら水川さんのベルトを外し、ファスナーを下げる。俺の言葉に思うところがあるのか、それともこれから先の刺激を期待しているのか、潤んだ眼差しが俺を見つめていた。
「それから水川さんがあの静だと分かって、男相手だなんて初めてだったしびっくりしたのは確かだけど。会社ではいつもニコニコ尊敬される先輩で出来るリーマンの仮面を被っている癖に、プライベートでは時々野良猫みたいにツンツンする表情を見せるとこが、俺は好きだし可愛いと思う」
そこまで言うと、水川さんのボクサーパンツをズルリと下ろす。ボロンと飛び出した竿は、凶暴なデカさの俺のに比べると可愛いもので、透明の液体が滲み出ている先端をペロリと舐めてやる。
「ひ、やあ……っ! あぁ……っ」
「水川さんが過去に囚われて自分の価値を見誤っているのを、俺は正したい。水川さんは俺にとって唯一無二の存在だから」
ピクピクと震える竿を丹念に舐め上げながらそう告げると、聞いているのかいないのか、切なげな喘ぎ声を上げる水川さん。
水川さんの右手が俺の髪を掴んでギュウっと握りしめるものだから、引っ張られた毛根がチリチリして痛い。それでも、俺は水川さんの先端から滴る汁を啜り上げるのをやめない。
「んんっ! し、慎太郎……っ、も、もう……ッ」
「ちゃんと、伝わった?」
「はぁ……ッ、な、なにが……! ん、ぁ……ッ」
「だから、俺の気持ち」
まだ「何が?」とすっとぼけるのか。
俺は水川さんの掠れた声を聞くだけで、胸が締め付けられると同時に身体が熱くなるのに。
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