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12. 可愛いけど、時々毒を吐く野良猫 ※
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「ん……っ、はぁッ、才谷……くん」
もう何度目だろう。この人とキスをするのは。
俺のよりいつだって少しだけ低い体温が、絡め合う舌の温度が、息継ぎごとに高まっていくのが気持ちいい。
「ねぇ、も、後ろ触ってよ」
堪え性の無い水川さんは、毎日会ってもそのほとんどの日々を俺がキスや触れ合いだけしかしない事に不満そうだ。
でも俺は、会えばセックスだけをする関係にしたくなくて。水川さんに俺の気持ちを分かって欲しい、水川さんの体も心も大切にしたいと伝えたかった。
「おねが……い、才谷くん、はぁ……ん、くるし……い」
「我慢してください」
「なんで……っ! 人でなし! 君もこんなになってるのに、早く……っ、ん、ああッ! 早く、触れ……って!」
だから今も水川さんのベッドの上でしつこいくらいにキスを交わして、向かい合わせで体を絡ませ、お互いのモノを触り合っている。
二つの切っ先からは随分前にから透明の雫が漏れ出していて、それが竿の方に垂れると尚一層グチュグチュと卑猥な音を奏でた。
俺は水川さんの手でイかされないように必死で我慢してるっていうのに、この人はそんなのお構いなしの色っぽい表情と声色で「後ろを触れ」と誘って来る。
水川さんの持つキツイ入り口、うねる肉壁を想像するだけで俺のブツは更に硬度を増す。
その反応にいち早く気付き、二人の間を物欲しげに見つめる水川さんに興奮してしまう俺もどうかしている。
「ダメ、今日はキスだけです。昨日、俺が傷つけちゃったから」
「だって、あれは……っ! 僕が『激しくして』って頼んだから……。才谷くんのサイズ感をつい忘れちゃって、いつも通りしようと……。ん、はぁッ」
この人の言う『いつも通り』っていうのは、俺との事では無いんだろう。俺を前にして、他の男とのセックスを思い出しているのかと思うと無性に苛立つ。
「キスと、触り合い気持ちよくないですか? 俺はすごく気持ちいいですよ」
「んぅ、気持ちいい……けど……。前だけじゃなくて、後ろ……触って欲しいんだ。分かってて、やらないなんて……っ、ん、く……! ひどいだろう!」
「さっきの……、他の男とのセックスを『いつも通り』って言ったんですか? 水川さんの事を独り占めしたいって言い続けてる俺に、それを聞かせる事の残酷さが分かってるんですか?」
そう言って弾力のある水川さんの上唇にキュッと噛みつく。もう長い時間口付けを交わしているからか、そこはぷっくりと腫れていた。
「ひ……ッ」
水川さんのくぐもった悲鳴を無視して、兜合わせ(これは俺がネットで色々調べて知った行為だが)をしていた手をぬるりと滑らせると、そのまま会陰へ這わせた。
「んあ……っ! ふ……、うぅん!」
至近距離で向き合っていたはずなのに、期待のこもった視線をこちらへ向ける水川さんはたまらずといった風に背を反らし、キスが出来ない距離にまで離れる。
「おねが……い、だからっ、もっと後ろ、触ってほし……んぅんっ! 触れっ……て!」
「今日はキスだけって言ってたのに、やっぱり我慢できませんか」
「は、あぁっ、才谷くん……っ! 頼むから……ぁ」
「慎太郎です。慎太郎って呼んでくださいよ」
ぬるぬると滑る指先を会陰よりもっと後ろへと進める。少し腫れぼったいそこは、昨日のセックスで小さな裂傷が出来た。だから触らないでおこうと思っていたのに。
「し、しんたろぉ……、お願い、頼むから、ん、ふぁ……っ、後ろ触って……ッ」
会社以外の場所では俺に対して冷たい視線とツンツンした口を聞く事もある癖に、快楽を求める今だけはその口調も時に蕩けるように甘い。
「……痛かったら言ってくださいよ」
一度側を離れると枕元のジェルを手に取り、窄まりの中へ一本だけ指を挿し入れる。慎重に、傷つけないように。
「んぅ、きもちい……」
こちらの心配をよそに俺の指を美味そうにぢゅぷりと飲み込んでいく様は、俺自身を受け入れてくれたかのように錯覚して興奮を覚える。
「もう傷は治ったのか、見当たらないですね。痛くないですか? 塗り薬が効いたのかな」
「や、はぁっ、痛く……ないっ、もっと……ッ」
同時に水川さんの腰は、これから一層快楽が与えられるかも知れないという期待によって、徐々に高く高く持ち上がっていく。
「水川さんって、こういう時にはすっげぇ可愛くなりますよね。会社では確かにニコニコしてるけど、プライベートでは最近毒吐くし、俺には冷たい態度する事も多いのに」
そう、近頃水川さんと毎日一緒に過ごすうちに、会社では見せないような顔を見せてくれるようになった。
それは今まで社長にだけ見せていたような、ストレートな物言いだったり、素っ気ない態度だったりする。
一見暴言みたいな事も吐くし、ツンとした態度は野良猫みたいで。
その癖時々「言い過ぎたかな」という風にチラッとこちらの様子をを窺ってくるのも堪らなく可愛いんだが。
「君に、ん……っ、好き勝手、されてるばかりじゃ、あぁッ、悔しいじゃないか! んくぅ……うっ!」
この人は、俺がそんな態度に腹を立てるどころか、喜んでいる事を分かっていないのか?
それとも……、分かってて素直になれないだけなのだろうか。
どちらにしても、水川さんと俺の関係性は少しずつ変わりつつある。
もう何度目だろう。この人とキスをするのは。
俺のよりいつだって少しだけ低い体温が、絡め合う舌の温度が、息継ぎごとに高まっていくのが気持ちいい。
「ねぇ、も、後ろ触ってよ」
堪え性の無い水川さんは、毎日会ってもそのほとんどの日々を俺がキスや触れ合いだけしかしない事に不満そうだ。
でも俺は、会えばセックスだけをする関係にしたくなくて。水川さんに俺の気持ちを分かって欲しい、水川さんの体も心も大切にしたいと伝えたかった。
「おねが……い、才谷くん、はぁ……ん、くるし……い」
「我慢してください」
「なんで……っ! 人でなし! 君もこんなになってるのに、早く……っ、ん、ああッ! 早く、触れ……って!」
だから今も水川さんのベッドの上でしつこいくらいにキスを交わして、向かい合わせで体を絡ませ、お互いのモノを触り合っている。
二つの切っ先からは随分前にから透明の雫が漏れ出していて、それが竿の方に垂れると尚一層グチュグチュと卑猥な音を奏でた。
俺は水川さんの手でイかされないように必死で我慢してるっていうのに、この人はそんなのお構いなしの色っぽい表情と声色で「後ろを触れ」と誘って来る。
水川さんの持つキツイ入り口、うねる肉壁を想像するだけで俺のブツは更に硬度を増す。
その反応にいち早く気付き、二人の間を物欲しげに見つめる水川さんに興奮してしまう俺もどうかしている。
「ダメ、今日はキスだけです。昨日、俺が傷つけちゃったから」
「だって、あれは……っ! 僕が『激しくして』って頼んだから……。才谷くんのサイズ感をつい忘れちゃって、いつも通りしようと……。ん、はぁッ」
この人の言う『いつも通り』っていうのは、俺との事では無いんだろう。俺を前にして、他の男とのセックスを思い出しているのかと思うと無性に苛立つ。
「キスと、触り合い気持ちよくないですか? 俺はすごく気持ちいいですよ」
「んぅ、気持ちいい……けど……。前だけじゃなくて、後ろ……触って欲しいんだ。分かってて、やらないなんて……っ、ん、く……! ひどいだろう!」
「さっきの……、他の男とのセックスを『いつも通り』って言ったんですか? 水川さんの事を独り占めしたいって言い続けてる俺に、それを聞かせる事の残酷さが分かってるんですか?」
そう言って弾力のある水川さんの上唇にキュッと噛みつく。もう長い時間口付けを交わしているからか、そこはぷっくりと腫れていた。
「ひ……ッ」
水川さんのくぐもった悲鳴を無視して、兜合わせ(これは俺がネットで色々調べて知った行為だが)をしていた手をぬるりと滑らせると、そのまま会陰へ這わせた。
「んあ……っ! ふ……、うぅん!」
至近距離で向き合っていたはずなのに、期待のこもった視線をこちらへ向ける水川さんはたまらずといった風に背を反らし、キスが出来ない距離にまで離れる。
「おねが……い、だからっ、もっと後ろ、触ってほし……んぅんっ! 触れっ……て!」
「今日はキスだけって言ってたのに、やっぱり我慢できませんか」
「は、あぁっ、才谷くん……っ! 頼むから……ぁ」
「慎太郎です。慎太郎って呼んでくださいよ」
ぬるぬると滑る指先を会陰よりもっと後ろへと進める。少し腫れぼったいそこは、昨日のセックスで小さな裂傷が出来た。だから触らないでおこうと思っていたのに。
「し、しんたろぉ……、お願い、頼むから、ん、ふぁ……っ、後ろ触って……ッ」
会社以外の場所では俺に対して冷たい視線とツンツンした口を聞く事もある癖に、快楽を求める今だけはその口調も時に蕩けるように甘い。
「……痛かったら言ってくださいよ」
一度側を離れると枕元のジェルを手に取り、窄まりの中へ一本だけ指を挿し入れる。慎重に、傷つけないように。
「んぅ、きもちい……」
こちらの心配をよそに俺の指を美味そうにぢゅぷりと飲み込んでいく様は、俺自身を受け入れてくれたかのように錯覚して興奮を覚える。
「もう傷は治ったのか、見当たらないですね。痛くないですか? 塗り薬が効いたのかな」
「や、はぁっ、痛く……ないっ、もっと……ッ」
同時に水川さんの腰は、これから一層快楽が与えられるかも知れないという期待によって、徐々に高く高く持ち上がっていく。
「水川さんって、こういう時にはすっげぇ可愛くなりますよね。会社では確かにニコニコしてるけど、プライベートでは最近毒吐くし、俺には冷たい態度する事も多いのに」
そう、近頃水川さんと毎日一緒に過ごすうちに、会社では見せないような顔を見せてくれるようになった。
それは今まで社長にだけ見せていたような、ストレートな物言いだったり、素っ気ない態度だったりする。
一見暴言みたいな事も吐くし、ツンとした態度は野良猫みたいで。
その癖時々「言い過ぎたかな」という風にチラッとこちらの様子をを窺ってくるのも堪らなく可愛いんだが。
「君に、ん……っ、好き勝手、されてるばかりじゃ、あぁッ、悔しいじゃないか! んくぅ……うっ!」
この人は、俺がそんな態度に腹を立てるどころか、喜んでいる事を分かっていないのか?
それとも……、分かってて素直になれないだけなのだろうか。
どちらにしても、水川さんと俺の関係性は少しずつ変わりつつある。
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