5 / 16
5
しおりを挟む
画面に向かって喋りながらゲームをプレイする。
今日は二人用の対戦ゲーム。
ゲーム画面の隣に、視聴者さんからのコメントも流れてくる。
隠れんぼの進化版のようなゲームで、俺がプレイヤーで大和が鬼、俺はいかにアイテムや変装をして見つからないようにするのかが鍵となる。
「あと少しで制限時間だな! 今回は俺が勝つんじゃね?」
「ナオ、そうやって油断してると痛い目見るよ?」
「えっ? うわ!」
一瞬目を離した間に、俺のキャラクターはしっかり大和に捕まってしまっていた。
「え!? いやさっきまでいなかっただろ?」
動揺する俺に、大和が得意げに話す。
「ナオは最後絶対ここにくると思って、トラップ仕掛けてたんだよね」
"さすがシノ!"
"驚いたわwww"
コメントもどっと流れてきた。
「トラップもピンポイントで準備してたし……、もしかして最初からこのエリアに誘導されてた?」
「そうそう! こういうのはいかに事前に準備しておくかが重要なわけよ」
視聴者にはもちろん見えていないが、画面から俺に視線を写し、笑みを浮かべて言った。
イケメンに突然笑いかけられたからか、何故だかドキッとしてしまった。
「じゃあ今回の生放送はこれで終了です! また今週には動画も投稿するのでぜひ見てね~」
なんだかんだで大和が締めの挨拶をしていて、俺も配信を終了する手筈を整える。
このような作業も慣れたものだ。
あれからゲーム実況を始めて、数本の動画を投稿した。
トークもゲームも上手く場を回してくれる「シノ」(苗字の篠原から取ったそうだ)と、シノにいじられる俺「ナオ」として、チャンネル登録者数も右肩上がりに増えてきている。
面白いゲーム実況は世の中に溢れているから、最初は見向きもされないんじゃないかと思っていたが、意外なことに最近は収益化もでき、広告をつけてお小遣い程度には稼げるまでになっていた。
当初から登録者数が多かったので驚いたが、大和曰く「SNSで宣伝した」らしい。
「直樹! お疲れー」
配信が終了し、大和が飲み物を渡してくれる。
「おー、ありがとう! まじであれは悔しかったなー……」
「よかったらもう一回対戦する?
まあ、負ける気しないし、絶対に逃がさないけど」
「いや次こそ絶対俺が勝つから!」
コントローラーを再度手に取る。
こうやってゲーム実況以外でも大和とゲームすることは多い。
いつか夢に見た光景が叶っている。
仕事しかしていなかった俺が、大和のおかげでようやく楽しみを見出すことができたのだ。
大和と、俺たちの動画や放送を見てくれる人達と。
俺の居場所はここにあるんだという気がした。
今日は二人用の対戦ゲーム。
ゲーム画面の隣に、視聴者さんからのコメントも流れてくる。
隠れんぼの進化版のようなゲームで、俺がプレイヤーで大和が鬼、俺はいかにアイテムや変装をして見つからないようにするのかが鍵となる。
「あと少しで制限時間だな! 今回は俺が勝つんじゃね?」
「ナオ、そうやって油断してると痛い目見るよ?」
「えっ? うわ!」
一瞬目を離した間に、俺のキャラクターはしっかり大和に捕まってしまっていた。
「え!? いやさっきまでいなかっただろ?」
動揺する俺に、大和が得意げに話す。
「ナオは最後絶対ここにくると思って、トラップ仕掛けてたんだよね」
"さすがシノ!"
"驚いたわwww"
コメントもどっと流れてきた。
「トラップもピンポイントで準備してたし……、もしかして最初からこのエリアに誘導されてた?」
「そうそう! こういうのはいかに事前に準備しておくかが重要なわけよ」
視聴者にはもちろん見えていないが、画面から俺に視線を写し、笑みを浮かべて言った。
イケメンに突然笑いかけられたからか、何故だかドキッとしてしまった。
「じゃあ今回の生放送はこれで終了です! また今週には動画も投稿するのでぜひ見てね~」
なんだかんだで大和が締めの挨拶をしていて、俺も配信を終了する手筈を整える。
このような作業も慣れたものだ。
あれからゲーム実況を始めて、数本の動画を投稿した。
トークもゲームも上手く場を回してくれる「シノ」(苗字の篠原から取ったそうだ)と、シノにいじられる俺「ナオ」として、チャンネル登録者数も右肩上がりに増えてきている。
面白いゲーム実況は世の中に溢れているから、最初は見向きもされないんじゃないかと思っていたが、意外なことに最近は収益化もでき、広告をつけてお小遣い程度には稼げるまでになっていた。
当初から登録者数が多かったので驚いたが、大和曰く「SNSで宣伝した」らしい。
「直樹! お疲れー」
配信が終了し、大和が飲み物を渡してくれる。
「おー、ありがとう! まじであれは悔しかったなー……」
「よかったらもう一回対戦する?
まあ、負ける気しないし、絶対に逃がさないけど」
「いや次こそ絶対俺が勝つから!」
コントローラーを再度手に取る。
こうやってゲーム実況以外でも大和とゲームすることは多い。
いつか夢に見た光景が叶っている。
仕事しかしていなかった俺が、大和のおかげでようやく楽しみを見出すことができたのだ。
大和と、俺たちの動画や放送を見てくれる人達と。
俺の居場所はここにあるんだという気がした。
13
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
前世から俺の事好きだという犬系イケメンに迫られた結果
はかまる
BL
突然好きですと告白してきた年下の美形の後輩。話を聞くと前世から好きだったと話され「????」状態の平凡男子高校生がなんだかんだと丸め込まれていく話。
片桐くんはただの幼馴染
ベポ田
BL
俺とアイツは同小同中ってだけなので、そのチョコは直接片桐くんに渡してあげてください。
藤白侑希
バレー部。眠そうな地味顔。知らないうちに部屋に置かれていた水槽にいつの間にか住み着いていた亀が、気付いたらいなくなっていた。
右成夕陽
バレー部。精悍な顔つきの黒髪美形。特に親しくない人の水筒から無断で茶を飲む。
片桐秀司
バスケ部。爽やかな風が吹く黒髪美形。部活生の9割は黒髪か坊主。
佐伯浩平
こーくん。キリッとした塩顔。藤白のジュニアからの先輩。藤白を先輩離れさせようと努力していたが、ちゃんと高校まで追ってきて涙ぐんだ。
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
ガラス玉のように
イケのタコ
BL
クール美形×平凡
成績共に運動神経も平凡と、そつなくのびのびと暮らしていたスズ。そんな中突然、親の転勤が決まる。
親と一緒に外国に行くのか、それとも知人宅にで生活するのかを、どっちかを選択する事になったスズ。
とりあえず、お試しで一週間だけ知人宅にお邪魔する事になった。
圧倒されるような日本家屋に驚きつつ、なぜか知人宅には学校一番イケメンとらいわれる有名な三船がいた。
スズは三船とは会話をしたことがなく、気まずいながらも挨拶をする。しかし三船の方は傲慢な態度を取り印象は最悪。
ここで暮らして行けるのか。悩んでいると母の友人であり知人の、義宗に「三船は不器用だから長めに見てやって」と気長に判断してほしいと言われる。
三船に嫌われていては判断するもないと思うがとスズは思う。それでも優しい義宗が言った通りに気長がに気楽にしようと心がける。
しかし、スズが待ち受けているのは日常ではなく波乱。
三船との衝突。そして、この家の秘密と真実に立ち向かうことになるスズだった。
多分前世から続いているふたりの追いかけっこ
雨宮里玖
BL
執着ヤバめの美形攻め×絆されノンケ受け
《あらすじ》
高校に入って初日から桐野がやたらと蒼井に迫ってくる。うわ、こいつヤバい奴だ。関わってはいけないと蒼井は逃げる——。
桐野柊(17)高校三年生。風紀委員。芸能人。
蒼井(15)高校一年生。あだ名『アオ』。
弱すぎると勇者パーティーを追放されたハズなんですが……なんで追いかけてきてんだよ勇者ァ!
灯璃
BL
「あなたは弱すぎる! お荷物なのよ! よって、一刻も早くこのパーティーを抜けてちょうだい!」
そう言われ、勇者パーティーから追放された冒険者のメルク。
リーダーの勇者アレスが戻る前に、元仲間たちに追い立てられるようにパーティーを抜けた。
だが数日後、何故か勇者がメルクを探しているという噂を酒場で聞く。が、既に故郷に帰ってスローライフを送ろうとしていたメルクは、絶対に見つからないと決意した。
みたいな追放ものの皮を被った、頭おかしい執着攻めもの。
追いかけてくるまで説明ハイリマァス
※完結致しました!お読みいただきありがとうございました!
※11/20 短編(いちまんじ)新しく書きました! 時間有る時にでも読んでください
平凡くんと【特別】だらけの王道学園
蜂蜜
BL
自分以外の家族全員が美形という家庭に生まれ育った平凡顔な主人公(ぼっち拗らせて表情筋死んでる)が【自分】を見てくれる人を求めて家族から逃げた先の男子校(全寮制)での話。
王道の転校生や生徒会、風紀委員、不良に振り回されながら愛されていきます。
※今のところは主人公総受予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる