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19話 (ちょっと ※ ?)
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ずっと外にいたせいか、ざっと流した体を湯船に浸けると足先や指先からじんわりとした熱が伝わってきた。
ほぅっと一息つく。
立ち上る湯気とぼんやりと灯るランプに気を取られそうになりながら、体を清める。
遠征から帰ってきた先輩より先にお風呂を貰ってしまっていることに入ってから気づいてしまった僕は、何となく居た堪れない気持ちでいっぱいでもあった。
湯浴みもそこそこに、貰ったタオルで体を拭き、着替えた。
「シヴァン先輩お風呂ありがとうございました。ごめんなさい、僕先輩がお疲れなのに先にお風呂を貰ってしまって……。」
キッチンで作業していた先輩は手を止めこちらに寄ってくる。
「良いんだよべつに。…それより、やっぱりデカイなその服。なんつーか、その、かわ…」
「かわ?」
口に手を当てしげしげとこちらを見てくる先輩はなんかいつにも増して真剣そうな顔だ。
「んー、いや。まぁなんだ、その…あんまりチョロチョロと男に着いてったりすんなよ?」
何を言い出すかと思えば、また意味のわからないことを言ってくる。
「それまた何でですか、というかそれなら今日先輩に着いてったのもダメですよ!」
「何でもは何でも。それに俺は良いの、俺以外の奴は危ないから駄目だ。」
俺も風呂入ってくるよ。そう言って先輩はドアの方に向かう。
少し投げやりな回答に幼く見られている気がして、僕だってもう大人なので大丈夫です!そう先輩に投げかけた。
ピタッと、先輩の動きが止まる。
振り返った先輩と目が合った。
ツカツカと歩み寄る先輩に腕を捕られ、グイッと引き寄せられる。
「……こんなに華奢で、俺が誘ったらノコノコ着いて来ちゃった様な仔猫が?俺が悪い奴だったらどうしてたんだ?うなじだって、頬だって赤くて、今の君は目に毒だよ。」
そう言う先輩の表情はあいにく体勢を崩してしまった僕には見えなくて、でもいつもよりワントーン低い声色とか、圧倒されるオーラ(?)とかがいつもとは違う事をひしひしと感じさせた。
でも不思議と怖いとは感じなかった。
先輩の空いた手は腰に回ってきた。
触れた尾の付け根は偶然なのだろうか。
軽く置かれた手からビリッと感じた事のない感覚が身体の芯を登った。
「っん、?」
ぴくっと腰を揺らしてしまった。先輩はその動きに気づいたようだ。
「…あ、触ったな、ごめんワザとじゃないよ。」
慌てて手を離す先輩。僕もそれに習って姿勢を整える。少し疑った自分を恥じた。
「怖い思いをさせたかった訳じゃないって事は知って欲しい。でも、世の中にはこういうやつ沢山いるから。」
そう言い終わると、表情も少し威圧感のあるオーラもなくなっていて、元の先輩に戻っていた。
「そのテーブルの上にあるココア、飲んで良いからね。眠くなったら寝室はあっちのドアの向こうにあるから、眠くなったら先に寝に行って良いぞ。」
そう言ってシヴァン先輩はお風呂場に向かっていった。
湯気の立ち上るココアを口に含む。抜けていく香りが、また安心感を誘った。
このまま平常心を取り戻せる…なんてことはなく。
(えっ…本当に何だったの!?心臓バクバクで過労死しちゃうって……。)
流石に僕も18だ。言葉の意味くらいちゃんと伝わってる。
耳元で呟かれる低い声や触れる体温……。
何より触れられた腰が反応していた事に驚いた。
(僕、急激なストレスで発情も来なかったから、触られても感じないはずだったんだけどなぁ。)
病院、行かなきゃな。なんて思考を逸らしてみても意識するものは意識してしまう。
先輩がお風呂から上がってくる前に寝てしまおう。
そう思って、僕は先輩の寝室に向かった。
「…多分、このベッドで寝ていいってことだよね?」
その部屋は簡素で机と椅子、そしてベッドだけだった。
ふかふかのベッドに寝そべり、真っ赤な顔を毛布の中に隠す。
今晩は寝られるかどうか、不安でしかない。
ほぅっと一息つく。
立ち上る湯気とぼんやりと灯るランプに気を取られそうになりながら、体を清める。
遠征から帰ってきた先輩より先にお風呂を貰ってしまっていることに入ってから気づいてしまった僕は、何となく居た堪れない気持ちでいっぱいでもあった。
湯浴みもそこそこに、貰ったタオルで体を拭き、着替えた。
「シヴァン先輩お風呂ありがとうございました。ごめんなさい、僕先輩がお疲れなのに先にお風呂を貰ってしまって……。」
キッチンで作業していた先輩は手を止めこちらに寄ってくる。
「良いんだよべつに。…それより、やっぱりデカイなその服。なんつーか、その、かわ…」
「かわ?」
口に手を当てしげしげとこちらを見てくる先輩はなんかいつにも増して真剣そうな顔だ。
「んー、いや。まぁなんだ、その…あんまりチョロチョロと男に着いてったりすんなよ?」
何を言い出すかと思えば、また意味のわからないことを言ってくる。
「それまた何でですか、というかそれなら今日先輩に着いてったのもダメですよ!」
「何でもは何でも。それに俺は良いの、俺以外の奴は危ないから駄目だ。」
俺も風呂入ってくるよ。そう言って先輩はドアの方に向かう。
少し投げやりな回答に幼く見られている気がして、僕だってもう大人なので大丈夫です!そう先輩に投げかけた。
ピタッと、先輩の動きが止まる。
振り返った先輩と目が合った。
ツカツカと歩み寄る先輩に腕を捕られ、グイッと引き寄せられる。
「……こんなに華奢で、俺が誘ったらノコノコ着いて来ちゃった様な仔猫が?俺が悪い奴だったらどうしてたんだ?うなじだって、頬だって赤くて、今の君は目に毒だよ。」
そう言う先輩の表情はあいにく体勢を崩してしまった僕には見えなくて、でもいつもよりワントーン低い声色とか、圧倒されるオーラ(?)とかがいつもとは違う事をひしひしと感じさせた。
でも不思議と怖いとは感じなかった。
先輩の空いた手は腰に回ってきた。
触れた尾の付け根は偶然なのだろうか。
軽く置かれた手からビリッと感じた事のない感覚が身体の芯を登った。
「っん、?」
ぴくっと腰を揺らしてしまった。先輩はその動きに気づいたようだ。
「…あ、触ったな、ごめんワザとじゃないよ。」
慌てて手を離す先輩。僕もそれに習って姿勢を整える。少し疑った自分を恥じた。
「怖い思いをさせたかった訳じゃないって事は知って欲しい。でも、世の中にはこういうやつ沢山いるから。」
そう言い終わると、表情も少し威圧感のあるオーラもなくなっていて、元の先輩に戻っていた。
「そのテーブルの上にあるココア、飲んで良いからね。眠くなったら寝室はあっちのドアの向こうにあるから、眠くなったら先に寝に行って良いぞ。」
そう言ってシヴァン先輩はお風呂場に向かっていった。
湯気の立ち上るココアを口に含む。抜けていく香りが、また安心感を誘った。
このまま平常心を取り戻せる…なんてことはなく。
(えっ…本当に何だったの!?心臓バクバクで過労死しちゃうって……。)
流石に僕も18だ。言葉の意味くらいちゃんと伝わってる。
耳元で呟かれる低い声や触れる体温……。
何より触れられた腰が反応していた事に驚いた。
(僕、急激なストレスで発情も来なかったから、触られても感じないはずだったんだけどなぁ。)
病院、行かなきゃな。なんて思考を逸らしてみても意識するものは意識してしまう。
先輩がお風呂から上がってくる前に寝てしまおう。
そう思って、僕は先輩の寝室に向かった。
「…多分、このベッドで寝ていいってことだよね?」
その部屋は簡素で机と椅子、そしてベッドだけだった。
ふかふかのベッドに寝そべり、真っ赤な顔を毛布の中に隠す。
今晩は寝られるかどうか、不安でしかない。
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