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3章

本日の紅茶

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変な夢を見てから、花嫁修行という名のハミルトン家での御茶会を欠席して数週間。
あのような夢を見て、どのような顔をしてユーゴに会えばいいのかわからない。
思い出すだけでも、顔が林檎のように真っ赤になってしまうというのに、本人を見てしまえば、次は倒れるのではないだろうか。
それに、「待っていて欲しい」という言葉から逃げたのは私だ。その後、抗議の手紙などなかったから、あれは社交辞令だったのだろう。
何だか悲しくて、笑顔を作るのが無理そうだ。
気を抜くと、すぐ悲しい気持ちが甦ってきてしまうので、気丈に振る舞わなくては。
「もう、どうしちゃったの?危ないから、注意しながら作業しないとダメでしょ」
アイリーン様の声で、現実に戻る。
紅茶を淹れる練習をしていたのだが、どうしても単調な作業だと違うことを考えてしまいがちだ。
その癖、旨く淹れることが出来ない。 
「んー、ちゃんと、砂時計使っている?蒸らしすぎも味が苦くなる原因だから気を付けてね」
「はい」
本日、三度目の失敗なのに怒りもしないで優しく注意してくれる。家庭教師だったら、こんなに優しくなどしてくれないのに、アイリーン様は優しいな、っと思う。そんなアイリーン様の期待に応えるべく、変に考えることをやめよう!やめられるかわらかないけれど。
「フルーツティーにしようか。厨房で何があるか聞いてくるから、少し待っていて」
次こそは!と、気合いを入れようとしていたら、いなくなってしまった。
きちんと砂時計を使っているはずなのに、どうしてうまくいかないのだろう。
砂が全て落ちれば出来上がりだと思っていたのに、何が違うのか。
じーっと自身の失敗した紅茶と砂時計を恨めしくみる。
「みてみて、こんなに分けてもらえたよ!ついでに、パウンドケーキもくれたから、休憩ティータイムしようか」
アイリーン様が持ってきたのは、苺とブラックベリー、キュウイにオレンジといった定番的なものだ。あと、ひとつだけ白い黒い斑点みたいなものがある果物を持っているが、それは何だろう。不思議に思っていると「あっ、そうだ!これ冷やさなきゃだ!アイスティーにしないと!」っと、また引き返してしまったから、聞くに聞けなかった。
暖かい物を冷たくするとは、どういうことだろう。
アイリーン様が考えていることは、わからないから戻るのを待っていると、今度はバケツに氷を入れていた。
「あのそれは?」
「氷を入れて冷やすのよ」
自信満々に答えるから、苦笑いしか出来ない。渋味が増してしまう気がするが、それはフルーツの酸味で打ち消そうとしているのかは、わからない。
フルーツよりここはハチミツがよかったのではないか。
「よし、じゃあやろうか!きっと楽しいよ」
目をキラキラさせているので、やったことはないのだろう。実験として、いまやるということだ。
氷を入れるためにグラスを変え、それに継ぎ足すかのように紅茶を淹れる。熱さで勢いよく氷が溶けていく。
それをみて満足したのか、次に果物を入れていった。
温野菜ならぬ温果物になるっている。
「あ、アイリーン様?」
「仕上げにこのドラゴンフルーツを入れようと思ったんのだけれど、溢れそうだからこのまま食べようか」
白に黒い斑点がある果物はドラゴンフルーツというのか。
商家の令嬢であるため、博識だな。
顔がひきつっていたのか「食べたことない?南国の果物なんだけど、甘くて美味しいよ」と言われるたので「楽しみです」とだけ答えた。
果物より紅茶の味が心配だ。
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感想 10

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