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3章

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 食事が終わったあとは、ゆっくりとサンルームからの景色を楽しんでいた。
 その後、ユーゴは従者イアンが「そろそろ登城してください」と、泣きついてきたが、完全に無視しながら紅茶を飲んでいた。
 あまりにも、イアンが可哀想というよりも、何故か「アンジュ様からもお願いします」と頼まれたので、「ユーゴ、イアンのこと無視しないであげて。それに、今日も仕事だったのに私のせいでこんなに遅れてしまって、殿下やニコライさんに怒られない?」と、声を掛けてみると、いままで反応していなかったに、肩がピクリと反応した。殿下とニコライさんに反応したのだろう。
「折角ふたりだけの時間だというのに、変なことを思い出させないでくれ」
 嫌なものを思い出したかのような表情をするのだから、多少はサボっているという感覚はあるようだ。
「何を言っているのです!昨日、休んだのですから登城してください!!殿下たちから、連絡が来てますよ」
 連絡が来ているって、相当なことなのではないだろうか。
 もしかして、無断欠勤しているのかな?
 でも、彼のことだからそのようなことはしないと信じている。
 目の前にいるユーゴは溜め息を吐きながら「イアンが僕の代わりに仕事してきてくれる?いま、なんだよ」と、邪魔するなよって笑顔で訴えている。
 ユーゴの言ってくれる言葉は、嬉しい。、その言葉だけで苦手なダンスも踊れそうな気分だ。
 こういうとき、私の読書が役に立つはず!
 うるうると潤んだ瞳をスタンバイするために、目元を勢いよく擦る。
 痛くて涙が出てきた。これでは、準備は出来た。
 上目遣いになるようにして「ユーゴ。私はちゃんと仕事してる人のことが好きだよ?」と、言ってみたがすごく恥ずかしい。
 本の中の人たちって、どうしてあんなにも恥ずかしいことをやってのけてしまうのだろう。本当に不思議だ。
 恥ずかしすぎて、ユーゴのことが直視出来ない。
 顔を見ながらすることで、完成なのだが、私の場合はユーゴの頬辺りをみるようにした。瞳をみてしまうと恥ずかしさが倍増するためだ。
 ガチャーンっと硝子が割れる音がした。
 何が起きたのかと思って、物が落ちたと思われる床を見る。
 カップの破片が、足元に転がっていた。
 私以外に、この空間でティーカップを持つ人物はひとりしかいない。
 床から顔を上げ落とした人物を見れば、固まったままだ。
「だ、大丈夫?」
 ズボンが濡れているので、火傷などしていないか心配になるが、本人は「アン、あの僕これから城に行くから、また夜にでも会えるかな」と、慌ただしく立ち上がる。
 破片が広がっているのを気にせずに、そのまま走り出しサンルームから姿を消した。
「アンジュ様、ありがとうございます。では、私もこれで」と、イアンは嬉しそうにユーゴを追いかけた。
 この破片が広がるサンルームに取り残された私は唖然とするしかなかった。
 それにしても、ユーゴは濡れたズボンで向かったが、気持ち悪くないのだろうか。
「危ないのでお嬢様は、動かないで下さい」
 冷静に判断するミーナと侍女たちが、床を掃除するのを眺めていた。
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