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第3章 王都にて(後)

第83話 条件

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リアナの事件が発覚し、

国王に土下座で謝罪させたあと、

正妃ディアナは事件の後処理に奔走した。

第一皇子のリカルドには、

ことの次第を打ち明けたが、

二人の娘と、ユーリにはことの次第を話せなかった。

二人の娘とユーリは何かあったことには気づいていたが、

リカルドと正妃が自分達に任せるよう言い聞かせていた。

自分の父が、国王が強姦紛いのことをしたなんて、

とても話せなかった。

国王を退位させて、

リカルドを即位させる話が出たこともあり、

正妃はリカルドには早い段階でことの次第を打ち明けたが、

そのときのリカルドの顔は心の底から父を侮蔑した顔だった。

リカルドは国王を退位させることは何の罰にもならない、

どうせだったら死ぬほど働かせるべきだと冷たく言った。

正妃はリカルドに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

正妃はリアナの今後として、

側妃にするのが一番妥当かと思った。

お腹の子は国王の子で、

王家直系であることは免れない事実であった。

すでにリカルドとユーリがいる以上、

リアナの子が男の子だったとしても、

継承争いなどは起こる可能性は低かった。

リアナにはせめてもの謝罪として、

側妃としてきちんとした扱いをすることを考えていた。

しかしリアナの気持ちを聞いた正妃は、

リアナを側妃にすることは、

謝罪どころか、

余計リアナを苦しめることだと気がついた。

リアナを側妃にすることはできない。

しかしこのまま未婚のままでも、

堕胎させるわけにもいかない。

修道院に入ることも考えたが、

まだ若いリアナを修道院に行かせることはあまりに酷に思えた。

残る道はリアナを誰かと結婚させることだった。

リアナの結婚相手の条件は厳しかった。

まずはリアナの事情をわかった上で、

受け入れてくれる人。

そして、リアナは精神的にとても傷ついていた。

リアナを絶対に傷つけることのない人でなければならない。

またリアナのお腹の子は王家直系の子だ。

王家だけの特徴の銀髪で産まれる可能性があった。

事情をわかった上で受け入れてくれ、

リアナを傷つけることなく、

王家だけの特徴の銀髪の子が産まれてもおかしくない人。

正妃にはテオドアール辺境伯のウィルしか思い浮かばなかった。

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