継母ができました。弟もできました。弟は父の子ではなくクズ国王の子らしいですが気にしないでください( ´_ゝ`)

第２章 王都にて（前）

第59話 ありのまま

エレンがちょっとリカルドに心を許した頃、

「あ、あにうえ？」

ようやくユーリがちょっと戻ってきた。

「ああ。やっと戻ってきたか。

ユーリ、お前はやっぱりちょっと繊細過ぎるよ。

これから陰謀渦巻く貴族社会でやっていけるか心配だよ。」

リカルドはふぅっとため息をついた。

「す、すみません。あにうえ。」

ユーリは思わず頭を下げて謝った。

「いや、謝ってほしいわけじゃないんだけど。

まぁいっか。

いいかい？

ユーリ、

お前はずっと私のことを完璧な兄だと思っていたんだろうけど、

私は全然完璧じゃないんだ。

勉強しなければ、試験の成績も悪いし、

剣術も、相手が私に気を使っているから、

そこをついて、なんとか様になっているたけで、

剣の筋は悪くはないけどよくはないんだ。

失敗もするけど、うまく誤魔化すし、

優しくもするけど、見返りを要求することもある。

普通の人間が、

それがばれないように必死に足掻いているだけなんだよ。」

リカルドはできるだけ優しく言った。

ユーリは目を見開いて、

何か言おうとして口をパクパク動かしたが、

結局言葉は出てこなかった。

「いきなり今まで信じてきたものを否定するのは難しいだろうけど、

少しずつでもいいから、

理解してくれたら嬉しい。

今、エレン嬢と話していて思ったんだけど、

私が『ありのまま』でいれる人は少ないんだ。

お前が『ありのまま』の私を受けいれてくれると嬉しい。

まあすぐには無理だろうけど。

とりあえず今は私の話を聞いてくれる？」

リカルドは、ユーリと腹を割ってはなそうと思ったが、

ユーリにこんなことを言うつもりはなかった。

けれど、エレンと話していたら不思議とそんな気持ちになった。

エレンは楽しい子で、不思議な子だ。

ユーリはリカルドの言葉を反芻するように、

少し考えると、最後にこくんと頷いた。

「よし。じゃあ、エレン嬢。

ユーリも復活したことだし、

早速質問の答えにうつろうか。」

リカルドはそういうとエレンをからかうような顔で、

ウィンクをした。














『………やっぱりお兄さんをかくれんぼの仲間に入れるのはやめよう( ´_ゝ`)』









エレンはリカルドのウィンクに生理的に背筋がゾッとした。