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第2章 王都にて(前)
第43話 兄は腹黒
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ユーリが王座を狙うような野心家の弟だったら、
リカルドは喜んで裏で色々手を回して、
どうにかして王座をユーリに譲っていただろう。
しかしユーリは野心家ではなく、
今は多少こじらせているが、
基本的には気が弱くて優しくて、
自分と違って裏表がない素直な性格だった。
気が弱いところはあの父親に似たのかもしれない。
ユーリがあの父親のようになるのかと思うとゾッとした。
いくら自分で抜け出すしかないことでも、
あんまりこじらせて、ユーリがあの父親のようになったら、
さすがに困るので、自分に出きることがあれば、
なるべく助けてやろうとは思っていた。
母親の苦労を間近でみてきたリカルドの父親に対する評価は低かった。
妹二人は母親の正妃に似たのか、
気立てもよくしっかりした性格だったので、
政略結婚させてもうまくやるだろう。
ただ、ユーリは今のままの性格だと政略にも側近としても使えない。
ユーリはリカルドを何でもできる完璧で優しい兄と思っているようだったが、
リカルドはまあまあ腹黒かった。
リカルドはそんなことを考えつつも、
「剣術の鍛練までまだ時間があるし、
ユーリとご令嬢の頼みとあれば断れないね。
今ユーリはどこにいるの?」
リカルドは爽やかな笑顔で侍女に聞いた。
ユーリとご令嬢は南の庭でお茶会をしていると侍女は言った。
「へぇ。それはちょうどいい。
南の庭は鍛練場に行く途中だから、
そのお茶会に顔を出すよ。」
リカルドに笑顔で言われた侍女はすぐに後で控えていたユーリ付きの侍女にその旨を伝えた。
ユーリ付きの侍女は飛び上がらんばかりに喜んだ。
その様子を訝しんだリカルドはユーリ付きの侍女に何かあるのか聞いてみた。
侍女はためらいがらも、ユーリが困っている様子なので、
リカルドに助けてもらいたいと言った。
ユーリが何に困っているのかも聞いたが侍女はご令嬢に気を使っているのか詳しいことは言わなかった。
「ふむ。とにかくお茶会に顔を出すからそうユーリに伝えてくれる?」
あんまり侍女を困らせるのも可哀想なので、
リカルドは笑顔でユーリ付きの侍女にそういうと、
ユーリ付きの侍女はリカルドに頭を下げると跳ぶように帰っていった。
結局ユーリが何に困っているのか分からなかったが、
前にユーリを踏み台にリカルドに近づこうとしたご令嬢がいたので、
今回もそれかなとリカルドは思った。
リカルドにはまだ婚約者がいなかったので、
リカルドを狙っている令嬢は多かった。
正妃の苦労を見てきたリカルドは、
自分と結婚して正妃になりたがる令嬢の気持ちはさっぱりわからなかった。
『まあ、適当にあしらうか。』
リカルドはそう思うと、肉食系のご令嬢に絡まれて困っているユーリを想像しながら、鍛練場に向かう準備をして自室をでた。
リカルドは喜んで裏で色々手を回して、
どうにかして王座をユーリに譲っていただろう。
しかしユーリは野心家ではなく、
今は多少こじらせているが、
基本的には気が弱くて優しくて、
自分と違って裏表がない素直な性格だった。
気が弱いところはあの父親に似たのかもしれない。
ユーリがあの父親のようになるのかと思うとゾッとした。
いくら自分で抜け出すしかないことでも、
あんまりこじらせて、ユーリがあの父親のようになったら、
さすがに困るので、自分に出きることがあれば、
なるべく助けてやろうとは思っていた。
母親の苦労を間近でみてきたリカルドの父親に対する評価は低かった。
妹二人は母親の正妃に似たのか、
気立てもよくしっかりした性格だったので、
政略結婚させてもうまくやるだろう。
ただ、ユーリは今のままの性格だと政略にも側近としても使えない。
ユーリはリカルドを何でもできる完璧で優しい兄と思っているようだったが、
リカルドはまあまあ腹黒かった。
リカルドはそんなことを考えつつも、
「剣術の鍛練までまだ時間があるし、
ユーリとご令嬢の頼みとあれば断れないね。
今ユーリはどこにいるの?」
リカルドは爽やかな笑顔で侍女に聞いた。
ユーリとご令嬢は南の庭でお茶会をしていると侍女は言った。
「へぇ。それはちょうどいい。
南の庭は鍛練場に行く途中だから、
そのお茶会に顔を出すよ。」
リカルドに笑顔で言われた侍女はすぐに後で控えていたユーリ付きの侍女にその旨を伝えた。
ユーリ付きの侍女は飛び上がらんばかりに喜んだ。
その様子を訝しんだリカルドはユーリ付きの侍女に何かあるのか聞いてみた。
侍女はためらいがらも、ユーリが困っている様子なので、
リカルドに助けてもらいたいと言った。
ユーリが何に困っているのかも聞いたが侍女はご令嬢に気を使っているのか詳しいことは言わなかった。
「ふむ。とにかくお茶会に顔を出すからそうユーリに伝えてくれる?」
あんまり侍女を困らせるのも可哀想なので、
リカルドは笑顔でユーリ付きの侍女にそういうと、
ユーリ付きの侍女はリカルドに頭を下げると跳ぶように帰っていった。
結局ユーリが何に困っているのか分からなかったが、
前にユーリを踏み台にリカルドに近づこうとしたご令嬢がいたので、
今回もそれかなとリカルドは思った。
リカルドにはまだ婚約者がいなかったので、
リカルドを狙っている令嬢は多かった。
正妃の苦労を見てきたリカルドは、
自分と結婚して正妃になりたがる令嬢の気持ちはさっぱりわからなかった。
『まあ、適当にあしらうか。』
リカルドはそう思うと、肉食系のご令嬢に絡まれて困っているユーリを想像しながら、鍛練場に向かう準備をして自室をでた。
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