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第2章 王都にて(前)

第33話 土産

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ユーリが混乱して固まり、

思考の小路で迷子になっている間、

エレンはテーブルのお菓子や軽食の中で、

生クリームが使われているものなど、

あしがはやそうなものから食べていった。

見ただけでとても子供二人が食べきれる量ではなかったが、

残すともったいないので、

日持ちしそうなものは後で包んでもらって、

もって帰ろうと思っていた。

明日には王都を出ると父親が、言っていたので、

クッキーや焼き菓子なんかはテオドアール領まで持つかもしれない。

屋敷で待ってる皆のお土産がただで調達できそうでよかったよかったと思っていたら、

庭に置いてある銅像みたいに固まっていたユーリが、

思考の小路から少し広い路に出たのか、

その重い口を開いた。

「け、決して暇そうではないが、り、

リカルド兄上なら答えてくれるかもしれない…

兄上は今、王宮にいるはずだ…」

ユーリは根が真面目なので、

エレンの要望を真面目に考えた。

いくら暇そうとはいえ、エレンを国王にあわせるのは危険すぎる。

リカルドは第一皇子として、勉強やら剣術やら社交やらで忙しかったが、

正妃よりは忙しくはなかったし、

リカルドは何をやらせてもそつなくこなしていた。

リカルドだったらエレンをうまくあしらえるかもしれない。

リカルドに対して色々引け目を感じていたユーリだったが、

引け目を感じているということはリカルドを認めているということだった。

ユーリのリカルドに対する信頼度はある意味あつかった。

何よりユーリはこのエレンの相手を一人でできる自信がなかったので、誰かに助けてもらいたかったが、

正妃は今会議中だし、姉二人は別のお茶会に行っていて、

今は王宮にいないことをユーリは知っていた。

元々ユーリはリカルドのことが嫌いなわけでも、

不仲なわけでもなかった。

ユーリが一方的にリカルドに対して卑屈になっていただけで、

リカルドはそんなユーリにも優しかった。

ユーリはリカルドを兄として頼りにしている自分に気づいてちょっとびっくりもしていた。
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