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第2章 王都にて(前)

第25話 ワクワク

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ウィルたちが王宮に泊まった翌日、

正妃はほぼ引きこもりに近い生活をしていたユーリを庭に引きずり出し、

エレンとお茶会をさせることにした。

その間ウィルは正妃や重臣たちと平民のための学校について

話し合ったりすることにした。

「父上、父上、今日は貴族みたいなエレンがいい日?(°▽°)?」

ユーリを庭で待ってる間、

エレンはウィルに聞いてみた。

たまに他の貴族がテオドアール領に来たりするときは、

ありのままのエレンでいると、

客が帰ったあとの侍女頭のサーヤに何時間も説教を受けることになって非常にめんどくさいので、

エレンは貴族に会うときは貴族の真似をしてごまかすことにしていた。

真似も何もエレンはれっきとした貴族なのだが、

ありのままのエレンでいると

貴族らしくないとよくいわれるので、

貴族らしさがよくわからないエレンにはたまにくる貴族の真似をするしかなかった。

「うーん。そうだなー。

一応王宮だからあんまり激しいとあれだけど、

今日の目的はユーリ殿下の心の要塞を壊すことだからねー。

まあ、ありのままのエレンでいいよ( ´_ゝ`)」

「わーい(°▽°)わーい(°▽°)

今日一緒に遊ぶのは前に会ったことのある

ディアナおばさまの息子なんだよね?

ディアナおばさまは他の貴族みたいに

裏でこそこそエレンの悪口言ったりしないからいいよね(°▽°)」

貴族らしくなく色々ぶっとんでるエレンは、

他の貴族に影口をたたかれたことがあり、

エレンはあまり貴族が好きじゃなかった。

ディアナとは正妃の名前で、

ディアナはテオドアール辺境領に視察に行った際などに何回かエレンと会ったが、

イタズラをしていたエレンを見て、

影口を言うのではなく、

直接説教してくれた。

サーヤをはじめ、正面から直接説教してくれるひとは、

エレンは好きだった。

直接説教してくれれば自分の悪いところがわかって、

自分でも納得すればそこを直すこともできるからだ。

それに比べて影口は何か悪口が言われていることはわかるが、

自分の何が悪いのかよくわからないから直しようがない。

影口を言う人間はエレンにどうなってほしいのかまったくわからないから意味不明だ。

それに直接説教してくれるひとはエレンが立派な大人になれるか、

心配してくれているのだ。

しかし影口をいうやつはエレンを心配なんかしていない。

心配していないということは、

エレンに興味がないはずだが、

興味がないはずなのに、

エレンの影口を言うという、

まったくもって意味不明だ。

一方ディアナの説教は理路整然としていて、

とてもわかりやすかったし、

ディアナがエレンを心配していってくれているのもわかった。

だからエレンはディアナのことは好きだったし、

そのディアナの息子なんだからいいやつかもしれないと思った。

ディアナは正妃で結構偉い人らしいし、

今日遊ぶ予定の息子はおうじさまでまあまあ偉いらしいが、

父親が貴族ぶらなくていいと言ってくれたのだから、

いつもどおりのエレンのままで、

この広い王宮で遊べると思うとワクワクしてきた。
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