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第1章 はじまりはじまり

第15話 正妃は疲労困憊

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正妃は後宮は男子禁制だし、

リアナの妊娠は王宮でも一部の人間しか知らないので、

リアナが父親と弟と会うのは難しいが、

内密に手紙のやり取りができるように段取りをつけてきたので、

父親や弟に手紙を書きたいときはエレナという侍女にいうようにリアナに伝えた。

正妃は役立たずの国王の後始末やら外交やら忙しい中リアナが父親たちと

内密に連絡がとれるように段取りをつけてくれたのだ。

正妃はリアナの父親と弟がテオドアール辺境伯と面談する日程を調整するといった。

他に何か聞きたいことはないかという正妃にリアナはエレンはどんな子か聞いた。

普通は形式的とはいえ、夫になるテオドアール辺境伯のことを聞くべきなのかもしれないが、

リアナは母親を早くに亡くして寂しい思いをしているであろう

エレンのことが気になった。

「エレン…エレンね。

そうエレンはすごくいい子よ。

ちょっと、ほんのちょっと、

いえ大分?大分変わった子だけど。

いえ、ほんとにいい子なのよ。

元気すぎるほど元気でね。

ちょっと人の想像を越えるのが得意というか、

常識を越えるのが特技というか。

いえ、ほんとにかわいいのよ。

真っ黒な髪で真っ黒な瞳をキラキラさせて、

イタズラするときなんか天使と見間違えるくらいキラキラして、

いえ、悪魔?いえいえ、ほんとにほんとにいい子なのよ。」

正妃は段々しどろもどろになってきた。

リアナはこんなに慌てている正妃を見たのは初めてだった。

国王がリアナを襲ったと白状したときも、

リアナの妊娠がわかったときも、

激怒はしていたが正妃は冷静に対処していた。

常識を越えるのが特技?

それは特技なのかとリアナが疑問におもっている間も

正妃はエレンについて必死に説明していたが、

話せば話すほど正妃は疲労していった。

リアナは疲労していく正妃を見て戸惑いながらも

もう大丈夫ですといった。

正妃は心底ほっとした顔をした。

「色々言ったけど、エレンがいい子なのは本当よ。

まああとは会わないとわからないと思うわ。。」

正妃は疲労困憊の体で最後にそういうと申し訳ないが、

まだ公務が残っているからまた明日来ると言って部屋をでていった。

結局エレンのことはよくわからないが、

あの正妃を説明だけで疲労困憊させるただ者ではないことだけはわかった。
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