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第1章 はじまりはじまり
第3話 リアナ
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リアナは身分の低い男爵家に生まれた。
リアナの父は爵位は低かったが、
王宮の図書館に勤めるほど賢く、
母親は若い頃は社交界の薔薇とうたわれたほど美しかった。
そんな両親に厳しくも優しく育てられたリアナは
波打つような美しい金髪に、白磁のような肌、
海のように美しい青い瞳に、しなやかな躯、
優しげな雰囲気に、賢さが滲み出る会話、
控えめな態度と身分が低いことをかんがみても引く手あまたな
素晴らしい女性に育った。
この国の女性の適齢期は16才から20才前後だが、
リアナが16歳で社交界にデビューして、社交界の薔薇の再来と評判になってから間もなく母が急な病で倒れた。
リアナに12才年の離れた弟のレオンがいた。
リアナは結婚適齢期と言われる時期を弟の育児と母親の看病で過ごしてしまった。
献身的な看病の末母親が亡くなった時にはリアナは24歳になってしまっていた。
24歳といってもリアナは美しく、まだ10代にしか見えず、
縁談も数多あったが、当時12才の弟が王立の学園への入学を希望していたが、
元々裕福ではなく、母親の治療代にかなりの金額を使ってしまっていた男爵家には弟を王立の学園に入学させる資金がなかった。
リアナを裕福な貴族の後妻にというはなしもあったが、身売りのようなことをよしとしない父と相談した結果、
リアナは王宮で侍女として働くことになった。
これが不幸の始まりだった。
王宮で侍女として働き始めてから間もなくリアナは国王の目にとまってしまった。
国王は40をすぎており、正妃以外に側妃が二人もいたが、
正妃との間にしか子供はいなかった。
正妃との間に皇子と皇女が二人ずつおり、
王位は第一皇子のリカルドが継ぐことが確定していた。
正妃は大貴族の出であり、大変優秀な人であった。
頭が悪いわけではないが良いわけではなく、
決断力がないわけではないが、あるわけではない
優柔不断を、絵にかいたような国王は公私ともに正妃に頼りきりだった。
配下も優秀な人が沢山いたので王政はよくもなく悪くもなかった。
優柔不断な国王のくせにリアナについては決断力は
凄かった。
リアナに一目惚れした国王は、
政務でもそのくらいの意思を見せろよというぐらいの勢いで、
迅速にリアナを自分つきの侍女にし、
嫌がるリアナを弟がどうなってもいいのかと脅し、
無理矢理襲った。
しかし正妃は賢く大変勘のいい人だったので、
この愚行にすぐに気づいたが、
正妃が、国王に土下座で謝罪させた時にはすでにリアナは妊娠してしまっていた。
正妃は公正な人でもあったのでリアナに非はないとし、
リアナが望むなら側妃にしてもよいと言ったが、
リアナは自分を無理矢理襲った国王の側妃になる気はなく、
お腹の子すら愛せるか自信がないと正妃に答えた。
しかしこの国では堕胎も未婚のまま子を産むことも宗教上許されていなかった。
正妃は悩んだ末に旧知の仲である辺境伯ウィル・テオドアールにリアナと再婚してくれないか頼んだ。
辺境伯のウィルは愛妻のティナを亡くし、再婚もせずに長女のエレンを育てていた。
ただまだ若いウィルに親族は絶えず再婚を勧めており、ウィルは再婚話にうんざりしていた。
そしてウィルは大変優秀だったが、生来からだが弱くすぐに風邪をひき一年の半分をベッドの上で過ごすような男だった。
ウィルは再婚する気はなかったが、正妃からリアナの話を聞き、
人助けとして、再婚しても良いかと言う気になった。
長女のエレンにも事情を説明した。
普通は大人の事情は隠すものだが、
ウィルはエレンに包み隠さず事情を説明した。
ウィルは善くも悪くも正直な男だった。
エレンはまだ幼かったが父親に似て賢く、
事情をすぐに理解した。
母親もキョウダイもほしかったので、
再婚話を非常に喜んだ。
「てか話を聞く限りまだそのクソジジイ(国王)はリアナさまのこと諦めてないんじゃない?(°▽°)?」
父から事情を聞いたエレンは即時に国王=色ボケクソジジイに認定した。
ウィルもその意見に否やはなかったので、
愛娘の発言を否定しなかった。
「そう言われるとそうだな。今は王妃がリアナの面倒を見てるから大丈夫だと思うが。よし。緊急避難的にうちに嫁に来てもらうか!」
ウィルもエレンも大分いい加減な性格だった。
しかし国王がまだリアナを諦めていないという意見に王妃は同意し、
正妃とリアナは相談し、
まだリアナを諦め切れていない国王からリアナを守るためにも
形式的にリアナはウィルと再婚することになった。
リアナの父は爵位は低かったが、
王宮の図書館に勤めるほど賢く、
母親は若い頃は社交界の薔薇とうたわれたほど美しかった。
そんな両親に厳しくも優しく育てられたリアナは
波打つような美しい金髪に、白磁のような肌、
海のように美しい青い瞳に、しなやかな躯、
優しげな雰囲気に、賢さが滲み出る会話、
控えめな態度と身分が低いことをかんがみても引く手あまたな
素晴らしい女性に育った。
この国の女性の適齢期は16才から20才前後だが、
リアナが16歳で社交界にデビューして、社交界の薔薇の再来と評判になってから間もなく母が急な病で倒れた。
リアナに12才年の離れた弟のレオンがいた。
リアナは結婚適齢期と言われる時期を弟の育児と母親の看病で過ごしてしまった。
献身的な看病の末母親が亡くなった時にはリアナは24歳になってしまっていた。
24歳といってもリアナは美しく、まだ10代にしか見えず、
縁談も数多あったが、当時12才の弟が王立の学園への入学を希望していたが、
元々裕福ではなく、母親の治療代にかなりの金額を使ってしまっていた男爵家には弟を王立の学園に入学させる資金がなかった。
リアナを裕福な貴族の後妻にというはなしもあったが、身売りのようなことをよしとしない父と相談した結果、
リアナは王宮で侍女として働くことになった。
これが不幸の始まりだった。
王宮で侍女として働き始めてから間もなくリアナは国王の目にとまってしまった。
国王は40をすぎており、正妃以外に側妃が二人もいたが、
正妃との間にしか子供はいなかった。
正妃との間に皇子と皇女が二人ずつおり、
王位は第一皇子のリカルドが継ぐことが確定していた。
正妃は大貴族の出であり、大変優秀な人であった。
頭が悪いわけではないが良いわけではなく、
決断力がないわけではないが、あるわけではない
優柔不断を、絵にかいたような国王は公私ともに正妃に頼りきりだった。
配下も優秀な人が沢山いたので王政はよくもなく悪くもなかった。
優柔不断な国王のくせにリアナについては決断力は
凄かった。
リアナに一目惚れした国王は、
政務でもそのくらいの意思を見せろよというぐらいの勢いで、
迅速にリアナを自分つきの侍女にし、
嫌がるリアナを弟がどうなってもいいのかと脅し、
無理矢理襲った。
しかし正妃は賢く大変勘のいい人だったので、
この愚行にすぐに気づいたが、
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正妃は公正な人でもあったのでリアナに非はないとし、
リアナが望むなら側妃にしてもよいと言ったが、
リアナは自分を無理矢理襲った国王の側妃になる気はなく、
お腹の子すら愛せるか自信がないと正妃に答えた。
しかしこの国では堕胎も未婚のまま子を産むことも宗教上許されていなかった。
正妃は悩んだ末に旧知の仲である辺境伯ウィル・テオドアールにリアナと再婚してくれないか頼んだ。
辺境伯のウィルは愛妻のティナを亡くし、再婚もせずに長女のエレンを育てていた。
ただまだ若いウィルに親族は絶えず再婚を勧めており、ウィルは再婚話にうんざりしていた。
そしてウィルは大変優秀だったが、生来からだが弱くすぐに風邪をひき一年の半分をベッドの上で過ごすような男だった。
ウィルは再婚する気はなかったが、正妃からリアナの話を聞き、
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普通は大人の事情は隠すものだが、
ウィルはエレンに包み隠さず事情を説明した。
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「そう言われるとそうだな。今は王妃がリアナの面倒を見てるから大丈夫だと思うが。よし。緊急避難的にうちに嫁に来てもらうか!」
ウィルもエレンも大分いい加減な性格だった。
しかし国王がまだリアナを諦めていないという意見に王妃は同意し、
正妃とリアナは相談し、
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