継母ができました。弟もできました。弟は父の子ではなくクズ国王の子らしいですが気にしないでください( ´_ゝ`)

てん

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第8章 継母と継子

第206話 父と娘

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「どうやら皆さんに気をつかわせてしまったみたいだね。

でも私もリアナと二人で話したかった。

皆さんの好意に甘えさせてもらうか。

リアナ、長い旅路疲れただろう?

体調は大丈夫か?」






部屋に二人きりになったことに気がついたリアナの父親はそう言って、リアナをソファーに座らせた。







「お父様、私は大丈夫です。

ここまで来る旅路も私の体調に配慮していただいて、とてもゆっくりしたものでした。

テオドアール家の皆さんには温かく迎えていただいて。

本当にレオンやお父様の手紙に書いてあったとおり皆さん優しくて。」








「そうだな。

領民の方々も皆優しい方ばかりだ。

私もレオンも皆さんによくしてもらった。

本来なら嫁に出した娘の家に父親が出入りするなど、あまりよくないのかもしれないが、皆さんにつまらないことを気にするなリアナのことだけを考えろと言われてな。

ウィル様にもできる限りリアナに会いに来るようにといっていただいている。

学校の仕事もあるからずっととは言えないが、これからできる限りおまえのそばにいる。

リアナ、もう何も心配はいらない。

お前はお前の身体のことだけを考えていればいい。」







「……お父様。

…………でも、でも私のお腹の子は………。」








「…………リアナ、お前のお腹に子がいることは皆さんご存じだ。

領民にはウィル様が王宮でお前を見初めたことになっている。

お前のお腹の子は誰が何と言おうと、テオドアール家の子だ。」







「…………皆さんは、皆さんはその話を信じてくださっているのでしょうか。」










「ウィル様は領民から慕われているし、とても優秀な方だ。

領民にはウィル様がうまく説明してくれている。

それにエレン様は領民皆から愛されているんだ。

この話が決まってからエレン様が、領内のあちこちで今度自分に母親ができるのだ、キョウダイもできるのだ、うらやましいだろうとニコニコしながら自慢して回っていてな。

この領内にエレン様の幸せを願わない人間はいないんだ。

皆エレン様が幸せそうで良かったと言ってくださっている。

レオンともよく話し合って手紙にも書いたが、リアナ、ここで幸せになれるよう一緒に頑張ろう。

いずれレオンも戻ってくる。

きっとまた幸せになれる。

なぁ、頑張ろう。

私とレオンもここに来るまでは辛かった。

でもここに来て、テオドアール領で暮らして、段々ともう一度幸せになれるんじゃないかと思えるようになった。

リアナ、頼む、私とレオンを信じてくれ。

お願いだ。」









そう言ってリアナの両肩に手を置きながら頭を下げる父親をリアナはぼんやり見ていた。

リアナの頬には涙がいくつも光っていたが、父親の願いにリアナがうなずくことは最後までなかった。









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