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第29話 従者の釣糸

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「フィー様は本当にマルコスおじ様と仲がいいんですね」

マリアは帳面にジュリアのドレスについて色々書留ながら、

ジュリアの横で眠たそうに、

マリアが持ってきた色々な布地を漁っているフィーに嬉しげに言った。

マルコス将軍は豪快で口が悪くて、

よく誤解される男だった。

顔も厳つく額には大きな刀傷があったし、、

体格も大きかったので、

本人は子供が好きだったが、

子供にはよく泣かれた。

しかしフィーはマルコス将軍をまったく怖がったことはなく、

それどころかマルコス将軍の自慢の長い白髭を引っこ抜いたものを依って釣糸をつくり、

「白爺の髭が長さといい固さといいちょうどいい( ´_ゝ`)」

と言っては王宮の庭の池でザリガニを釣るような子供だった。

「この間あのモジャモジャジジイにタックルされた時は息が止まりかけたよ( ´_ゝ`)

あのジジイはひめさまやマリア様みたいな、

清楚できれいな女の子が好きなんだよ( ´_ゝ`)

フィーがいつもひめさまと一緒にいるのがうらやましいんだよ( ´_ゝ`)」

あのロリコンジジイは大人げないねとフィーがいうと、

マリアはアハハと声を出して笑った。

マリアはおじが、

フィーをとびきり気に入っているのを知っていた。

気に入り過ぎて、

かまってほしくてフィーにイタズラをしては

やり返されてそれでも楽しそうに笑う子供のようなおじをみて、

マリアも嬉しかった。

マリアはすぐにフィーが好きになり、

フィーもマリアを気に入り、

二人はすぐに仲良くなった。

フィーがマリアに心を許したことで、

まだ人間不審に陥っていたジュリアも

ぎこちないながらもマリアと世間話をするくらいにはなっていた。
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