魔女と弟子

てん

文字の大きさ
上 下
4 / 6

会話に

しおりを挟む
「弟子、お前はほんとに魔法を覚える気がないな!!」








「ししょう!

あなたはほんとにわからないひとですね!

だから何回もそう言っているじゃないですか!

最近知り合いの名前をよく忘れるとは思ってましたが、ついに私が言ったことも忘れ始めましたか!」








「だからって風呂洗いと洗濯物を乾かすのに私を使うな!

魔法を覚えるか、お前がやるか、どっちかにしろ!」








「お断りします!

ししょう!

あなたは何度も私に魔法を教えたじゃないですか!

懲りずに何度も何度も!

ほんとにもうしつこくて、何度どついたろうかとおもったことか!」







「弟子!

ししょうに対して『どついたろうか』とはどういうことだ!

大体お前がやる気を出さないから悪いのだ!

お前はやる気を出せば魔法を使えるだろうに!

何度も何度も教えても、何度も何度も誤魔化して、何度も何度も煙に巻く!」






「ししょう!

何度も何度もいいましたが、私はほめられてのびるタイプなのです!

ししょうはほめ方が下手なのです!

もうちょっとほめ方を勉強してください!

ししょう!

あなたは世界で一番の魔女、かたや私は魔法もろくに使えないあなたの弟子!

そんな私があなたを何度も何度も誤魔化して、何度も何度も煙に巻くなんて!

すごいことだと思いませんか!?

逆にすごいと思いませんか!?」







「弟子!

お前はすぐに『逆に』というが、私は『逆に』という言葉は好きじゃない!」






「え!?

えーっと、では。

『一周回って』すごいと思いませんか!?」







「どこを一周回るんだ!?

一周回ったら元通りだろうが!」







「さあ!?

やれやれ、ししょう!

またそんなあげあしをとるようなことを言って!

やれやれ、ししょう!

ではでは、世界を一周回りましょうか!?

世界で一番のあなたとならば世界を回ることもできましょう!

世界を一周回ったならば、回る前と回るあとでは世界が違って見えましょう!

私は感性が豊かですから!

世界を回る前とあとでは世界が違って見えましょう!」







「弟子!

お前にだけはあげあしとりと言われたくない!

たしかに私なら、世界で一番の私なら世界を一周することもできるだろう!

世界で一番の私には、世界なんぞもう見飽きたものさ!」








「うわ!

自分で自分のこと『世界で一番』とか言っちゃった!!

自分で自分のこと『世界で一番』とか言っちゃった!!

弟子のことをほめるのはへたなのに、自分をほめることはお上手ですね!!」








「弟子!

ちょっと表に出ろ!

今日という今日は許さんぞ!

今日という今日は逃がさんぞ!

今日という今日は魔法を覚えろ!」







「ぜーーーーーーーったい嫌!!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺の娘、チョロインじゃん!

ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ? 乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……? 男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?  アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね? ざまぁされること必至じゃね? でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん! 「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」 余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた! え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ! 【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?

攻略対象の王子様は放置されました

白生荼汰
恋愛
……前回と違う。 お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。 今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。 小説家になろうにも投稿してます。

山に捨てられた令嬢! 私のスキルは結界なのに、王都がどうなっても、もう知りません!

甘い秋空
恋愛
婚約を破棄されて、山に捨てられました! 私のスキルは結界なので、私を王都の外に出せば、王都は結界が無くなりますよ? もう、どうなっても知りませんから! え? 助けに来たのは・・・

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

婚約破棄されたので、契約不履行により、秘密を明かします

tartan321
恋愛
婚約はある種の口止めだった。 だが、その婚約が破棄されてしまった以上、効力はない。しかも、婚約者は、悪役令嬢のスーザンだったのだ。 「へへへ、全部話しちゃいますか!!!」 悪役令嬢っぷりを発揮します!!!

悪役令嬢に転生したので、人生楽しみます。

下菊みこと
恋愛
病弱だった主人公が健康な悪役令嬢に転生したお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】ご安心を、問題ありません。

るるらら
恋愛
婚約破棄されてしまった。 はい、何も問題ありません。 ------------ 公爵家の娘さんと王子様の話。 オマケ以降は旦那さんとの話。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

処理中です...