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炎の凪唄
魔雄ハビヒ・ツブルク 3
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ーーベルナルディーノ国。
猫種の国だ。
この猫国と国境を接しているのが、人種の国である、ミセル国。
アルは、俺が与えた課題で、頭を悩ましているので、代わりに馭者をやっている。
ーー最後尾。
ベンズに向かうには、混雑する、中央の街道を通らなければならない。
「あれれ? アオスタですかー?」
見回りの、管理官だろう。
ほわほわな、垂れ耳。
彼が驚いたのと同じく、俺も意表を突かれた。
「兎人が外で仕事なんて、珍しいな。噂で、幻想団に一人、いるとは聞いたことがあるが」
「あー、ネーラの姐さんのことですねー。僕も、姐さんと同じでー、兎族の中では変わり者でしたー。同じ場所で、じっとしてることなんてー、できっこないんですよー」
人懐っこい兎だ。
革鎧に、短剣。
武装した兎種は、現代では初めて見たが、相変わらず、ーー似合っていない。
気配でわかる。
それなりに強いのに、子供がごっこ遊びをしているような微笑ましさがある。
前を見ると、幾人かが垂れ耳兎に視線を向けていた。
もしかしたら、この長蛇の馬車の列には、兎人目当ての者がいるのかもしれない。
「ご覧の通りですのでー、三つ時ほど、お待ちくださいー。あと、獣種の方からー、嫌がらせとかされちゃったらー。こう見えて、僕はー、結構強いのでー、おしおきしちゃいますよー」
「ネーヴ君。お待ちなさい」
兎人ーーネーヴが立ち去ろうとしたところに、猫人が現れる。
軽装鎧に、瀟洒な身形。
明らかに、高位の者だ。
洗練された立ち居振る舞い。
だのに、無骨な、飾り気のない長剣。
「どうか、なさいましたかー、フルドリッヒ様ー?」
「この方々を、予備の門まで、お連れなさい」
「ええ? でもー、でもー? うんっ、わっかりまっしたー」
ネーヴが先導していく。
何もしなくても、彼の後ろを馬が追っていくので、不思議な光景が現出している。
ーー連行される、人種の馬車。
周囲の獣種が、胡散臭げに俺を見ていた。
だが、その視線は、つつっと移動し、ネーヴに行き着くと、だらしないものに変わる。
「助かるーーということで合っているか?」
「お急ぎの、ご様子。ベルナルディーノ国を、直行で抜けられるよう、手配いたしましょう」
列から離れたところで、話し掛けると、委細承知した旨を、猫人が伝えてくる。
到着まで黙っていようと思ったが、好奇心を抑え切れず、聞いてしまった。
「黒毛の猫種とは、珍しいな。初めて見た」
「獣種の、始祖のことは、未だ解明されていないようですが、同じく、猫種に、黒毛がいるかどうかも、わかっていないようです。呪われた子、などと吹聴されましたが、教会がーーヌーテ様が、見解、という形で、問題がないことを伝え、赤子の私を抱き、祝福してくださいました」
「そうか」
「ーー似ていますね」
「ん? 何がだ?」
「いえ、何でもありません」
嬉しいことを、言ってくれる。
俺と同じく、四英雄であるヌーテも、長生きをしたから、猫人は、壮年期になったばかりのようだ。
「ネーヴ君。この馬車を、どう見ますか?」
「ほー? 普通ですねー。うん? うんん? あややっ、ちょっとー、変な感じー?」
正門よりも、一回り小さい門に着いたところで、フルドリッヒが、兎人で遊んでいた馬を止めながら、問い掛ける。
ネーヴを抱え、遊び足りないといった体の馬から、引き離す。
「動物に、好かれ易いのか?」
「はいー。なんか、僕からー、好い匂いが出てるっぽいんですー」
「撫師」の本領発揮といきたいところだが、急ぎなので、泣く泣く我慢する。
「この、特徴的な装飾は、ミュスタイアのーー絶雄カステル・グランデ王が所有する、三台の内の、一台です」
「えっ、えー? するとー、お兄さん、魔雄様だったりしちゃいますかー?」
「ネーヴ君!? 何故それを知って……、いえ、ごほんっ、ごほんっ」
鎌を掛けられた格好になってしまった、猫人ーー黒猫は、空咳で誤魔化す。
「いや、失敬。ーー魔雄殿の噂が、人相の類まで伝わってきていましてな」
そこまで知られているのなら、隠す必要もない。
「魔雄ハビヒ・ツブルクは、故人だ。だから、俺が言えることは。ーーユングフラウで、噂の元となったアオスタは、俺だ」
「そして。ーー絶雄殿に、認められた」
緊迫した場面なのだが、ネーヴが俺たちを交互に見つつ、短い両手をばっさばっさとやっているので、緊張感が解けてしまう。
「ーー便宜を図る代わりに、お願いしたき儀がございます」
ここまで、国境を二つ、上手く抜けられたが、最後に一悶着あるようだ。
だが、黒猫の目を見ればわかる。
俺好みの展開だ。
「だが、まぁ、事情を聞かせてくれ」
ただ、闘うだけなのも、味気ない。
黒猫の戦意に、揺らぎがある。
ーー全力でやってもらうためにも。
できるなら、取り除いてやりたい。
「私は、猫種の名家の生まれです。幼き頃より、『家名を汚すな』と、事あるごとに叩き込まれました」
ネーヴが、重い空気に耐え切れず、踊り出そうとしたので、一撫で。
上手く急所に入ったようで、兎が脱力する。
「鰐種の上に、竜種があるとされます。しかし、鰐種は、内向きの性向で、外野の声など一向に気にしません。犬種の上には、狼種。ですが、これも、勢力では犬種が上であり、優れた個も多く生まれます。それだけでなくーー」
聖犬種のことを仄めかしたので、頷いてやる。
「はい。そして、猫種の上に、ーー虎種。私は、虎種と、これまで幾度も闘いました。ーー一度も、負けませんでした。ですが、私は今も、虎種から、軽侮されます。猫種は、虎種に劣るということを、受け容れてしまっています。『家名を汚すな』ーーそう言ってきた、先達までもが、抗いもしなかった。ーー何が、何がっ、名家か!」
黒猫の気配が膨れ上がる。
ネーヴの目に、涙が浮かぶ。
兎種に認められなかった、自分を、黒猫に重ねているようだ。
「ーー自分が、許せないのか?」
「……気づかず、私自身、何より憎んでいた、その言葉に、縛られてしまっていました。……絶雄殿が、衰退期に入る前に、闘いを、挑むことを、ーーしなかった」
俺の言葉を肯定するように、黒猫は、訥々と語っていく。
「これまで、私は、一度も剣で、負けたことが、ありません。本気を出したのは、魔物相手に、一度だけです。衰退期の、絶雄殿に、私は勝てないでしょう。ですがーー」
「壮年期のカステルに、挑めなかった時点で、ーー敗けちまったか」
闘うことができなかった。
闘い、敗けたとしても、ーー答えには、辿り着けた。
気づいたときには、敗北していた。
ーーそう、自分に、敗けていたのだ。
「フルドリッヒ。お前さんの魔力は、吹き抜ける、爽快な風のようだ」
俺の言葉に、顔を上げた、黒猫に、手のひらを差し出してから。
星霜に、凝り続けた、魔力を享けとめる。
「ーー深き、麗しの、蒼風の双樹」
目を瞠る、黒猫。
逃さない。
黒猫の、強さの、根源。
「ーーこれはしたり。魔力から、私の、……あの里の、原風景まで見透かされてしまいましたか」
そうだ。
純粋な、戦意を、昂らせろ。
「カステルの、『十全』。今、眼前に、それを成す、唯一の者がいるぞ」
カステルの剣は、十の特性を持つ。
「『十全』とは……、まことか……?」
「俺に適合するのは、五つだと言われた。だが、カステルに憧れていた、俺は、我が儘を言って、十、すべてを注ぎ込んでもらった」
そうだ。
カステルは、絶雄は今も、俺の中で生きている。
「楽しみたいところだが、時間は有限だ。一合で決めさせてもらうぞ」
「それは、全力で相手をしてくれるということでしょう。ならば、望むところです」
もう、面倒な言葉は、いらない。
「やるぞ」
「相分かった」
ネーヴから離れる。
同時に、抜剣。
黒猫の剣を、盾で受けるのは得策ではない。
猫人の、練られた魔力が教えてくれる。
「はぁっ!」
掲げた剣の、剣身を、雷の如き、蒼光が乱打する。
ーー魔法剣。
稚拙な、魔力操作。
そう、本来は、こういうものなのだ。
粗削りで、剥き出しのーー。
魂で、染め上げるような、色彩。
ヌーテが、完成させた。
成せるのは、カステルの弟子だった、オルタンス、一人。
今は、俺の弟子となった、彼女のほうが、黒猫よりも強い。
だが、わかる。
闘えば、黒猫は、敗けない。
オルタンスには、猫人の、蒼い風のような、深みは、まだない。
「全力で、来い!」
ーーここからだ。
歓喜が渦巻く。
カステルに鍛えられた、絶雄の娘を、軽々と超えていく。
ーー来る。
風が、吹く。
「双風剣っ!!」
光雷を、風の女神が踏み拉く。
ーー性質も、相性も、ちぐはぐだ。
ネーヴも、アルたちも、大丈夫だとは思うが、一応、「結界」を張っておく。
「ぁああぁっ!!」
長剣に留まり切れなかった、風が弾け、黒猫の両腕を血塗れに。
続いた、閃光が、顔を斜めに切り裂く。
だが。
揺るがない。
風に濡れた、双眸は、俺の内側を、衝動で満たす。
須臾ーー相克にあった風と光が、沸騰する。
「ーーっ」
絶叫すら呑まれ、黒猫が、疾駆する。
剣を上に。
振り下ろされる、魔力の激甚。
触れる、一点に。
「ーーーー」
俺は、熱を、施す。
それから。
カステルの、「十全」の五の、秘奥。
ーー「抜き」。
「なっ……」
俺の剣から、すべてが抜け落ちる。
奪われた、黒猫の剣が、風を喪う。
ーーカステルなら、すべてを奪える。
俺には、無理だ。
精々、一瞬の空白を、作れる程度。
だが、それで十分。
「……あ」
凪いだ風に抗い、俺の片手剣が、黒猫の喉元に。
微動だにしない、猫人に、俺は、告げる。
「前言撤回だ」
黒猫が、迷子の仔猫のような表情を浮かべながら、顔を上げる。
「十分に、楽しめた」
にかっ、と笑ってやる。
風が解けた、黒猫の、穏やかな、憧憬の眼差し。
「……完敗です」
「フルドリッヒ様ー!!」
「ネーヴぁっ!?」
兎人に押し倒された、黒猫は、強制「治癒」施され中。
「はは、魔力の残量が少ないんだから、大人しく『治癒』されるんだな」
「未熟者ですので、一度に、すべての魔力を使い切ることができません。だからこそ、減魔症を恐れず、剣に籠めることができるのですがーー」
絶賛治癒魔法中のネーヴを抱えたまま、黒猫は立ち上がる。
「魔雄殿ーーでよろしいのかな?」
ーーそうだな。
楽しませてくれた、お返しくらいは、するとしよう。
「フルドリッヒ。これを見せるのは、お前が初めてだ」
俺は、魔石のカードを取り出す。
「S級ーーではない、ようです……が!?」
気づいたようだ。
「ーー今は、ラクン、とだけ名乗っておく」
「ラクン……幻魔大公……? 絶雄殿のーー。認められた、証し、か」
黒猫は、驚きと、納得の表情を見せる。
見せびらかすものでもないので、さっさと仕舞い込む。
「まぁ、今の俺は、冒険者で、幻魔団の団長だ」
「なるほど。馬車には、団員の方が乗っているのですね。只人でない方が二人と、もう一人ーー私は、試されているのでしょうか?」
「ああ、すまん。アルのことは、気にしないでくれ」
まったく、どうしようもない。
やっとこ、真面になったかと思えば、すぐにこれだ。
ーー昼飯抜きだな。
「ちょっとした、騒ぎになているようです。お早くーー」
黒猫が、派手にやったから、列の獣種たちは、興味津々のようだ。
無遠慮に、近づいてくる者もいる。
ここは、お言葉に甘えるとしよう。
「ーーーー」
国境を越え、しばらく行くと。
背後が騒がしくなる。
旅は、賑やかなほうが良いとはいえ、弟子三人は、やはり多い。
「魔雄様。ここらでよろしいでしょう。止めて下さい」
「ん? どうした、アル?」
小窓から、話し掛けられたので、振り返ると。
そこにいたのは、ボルネアだった。
ぱんっ、と手を叩くと、俺の名をーー?
「ラクン・ノウ」
「あ……ああぁがああぁぁっ!?」
腕がーー。
悲鳴を上げた、というか、絶叫した。
「う……動かせない……」
少しでも動かせば、激痛が走る。
これまでに経験したことのない痛みに、症状。
腕を動かさなければ、痛みはないが、このままにしておいたら、きっと、悪化する。
「本当に、ラクンさんは、面白いですよね。今の今まで、痛みを感じていなかったんですから」
「うごぉ……。あー、記憶が戻ってきた。起き掛けに、やってくれたな」
起きた、直後から、ずっと「魔雄」だったようだ。
毎度のことながら、完全に「魔雄」として行動していた。
「楽しませてくれた、お礼に、二人とも、『治癒』をお願いします」
アルにお願いされ、渋々だが、俺に「治癒」を施してくれる。
「二人の頭を撫でるのは、解禁したのか?」
「ええ、僕のほうが耐えられないので、一日、三回は撫でさせてもらうことにしました。次の『ご褒美』は、頬に接吻です」
二人が、頬を赤らめ、もじもじしていた。
唇ではなく、頬で良いのかと思ったが、魔雄の膝までは、先が長い。
このくらいの進展具合で、丁度良いのだろう。
「ボルネア。オルタンス。それくらいで良いですよ」
「え? まだ、全然、痛いんだが」
「ところで、どうして腕を痛めたか、理解していますか?」
話を逸らされるが、今の俺に、自由権は、殆どない。
「ーー黒猫の、一撃。『抜き』に失敗していたみたいだな」
「ぷっ」
「笑いやがったな、こら」
「ぷぷっ。だって、そうなっても、仕方がありません。ラクンさん、完全に力を抜いていましたよね。カステルの『抜き』は、まったくの別物ですよ。下手をすれば、骨が折れていたところです」
悪戯小僧の、笑みだ。
笑壺に入るーーというわけではなさそうだが、どちらにせよ、癇に障る。
居館で、人犬相手に、アルが使っていた技だ。
当然、見ただけの俺が、使いこなせるはずがない。
「もしかして、俺、物凄く、危なかったか?」
「はい。十中八九、真っ二つでした」
今頃、ぶるっときた。
「ですが、課題は、達成しました。風属性をぷらすした、魔法剣を受け流しましたが、自覚はありますか?」
「任意の場所に、熱を放出できたような……気がする?」
正直、どうやったのか、自分でもまったくわからない。
「そういうわけで、三人とも、最終段階ということです。ボルネアとオルタンスの魔力は、二人のために使います。腕は、痛くても構わないので、ゆっくりと伸ばしてください。そうしたら、次は曲げて。あとは、繰り返していれば、動くようになります」
「はぁ、『大図書館』か」
「どういうことかしら、ラクン」
珍しい、というのも失礼だろう。
これまでは、俺とアルが話し、二人は大人しく聞いているのが常だったが、アルと一緒にいたいのであれば、それは悪手であると、学んだようだ。
「ボルネアは、治癒魔法が効果を発揮するようになったのがいつか、知っているか? 因みに、俺は、知らない」
「えっと、古代期には、今の水準に至ったと、父様が言っていたわ」
「俺は、魔法に詳しくない。だが、一つ、わかることがある。それは、『ハビヒ』前、と、『ハビヒ』後、だ」
「……益々、わからなくなったわ」
これは、確かに、こんがらがっていて説明が難しいかもしれない。
「アルは、治癒魔法に因らない、治療技術を知っている。当然、その元になるのは、『大図書館』だ」
「その頃ーー古代期には、治癒魔法以外の治療も、普通に存在した?」
オルタンスも加わってくる。
やはり、理解力は、ボルネアよりも上のようだ。
「別に、これは大したことじゃない。単に、アルの知識の源泉がどこか、どういう意味があるのか、気になっただけだ……ぐっ」
痛い。
痛いがーー、少しずつ動かしていく。
後遺症がなく、治るところまでは、治癒してくれたーーはずだから、それだけでもありがたい。
「ラクン・ノウ幻魔大公」
「くぅあっ!?」
少しではないくらい、動かしてしまった。
そうだった。
ーー火に油を注ぐと、取り返しのつかないことになる。
豚人から注意を促されていたのに。
ーー俺の、馬鹿。
油を注ぐどころか、大噴火させてしまった。
「魔雄」だったとはいえ、自分から暴露するなど、もしかして俺は、気づいていないだけで、見栄っ張りなのかもしれない。
「ネーラ様がーー」
「やめろ。様づけは、やめろ」
背中が、ぞわっとした。
「ネーラさんは、『公』ではなく、『大公』を選びました。それは、そちらのほうが誤解され難いからです」
「こら、アル。勝手にネーラを悪役にするな。『なにもかくさない』ネーラは、本当に、語呂で決めたんだ。悪役は、ネーラに同じて、道筋をつけた、アルのほうだろうが」
ーー誤解?
わかりそうで、わからない。
もどかしい。
喉元まで出掛かっているのに、非常によろしくない悪寒が、答えに辿り着くのを邪魔している。
「あっ、わかったわ!」
「まだ、わからない」
朗らかな笑顔の人猫と、苦渋の犬人。
勝ち誇った、ボルネアは、俺のことなど歯牙にもかけず、喜び勇んで回答を口にする。
「父様のっ、後継者!」
「……何の、話だ?」
そういえば、あのときの、黒猫の表情。
絶雄の、称号だけに、驚いている様子ではなかった。
「では、答え合わせといきましょう。『公』ではなく『大公』とすることで、ラクンさんが、カステルの後継者ーーつまり、ミュスタイア国の次期国王であることを、明確にしたのです」
「ちょっと待て。それ、絶雄様は、というか、絶雄様が理解していないだろう?」
少し、言葉がおかしくなったが、趣意は伝わったはずだ。
アルが、にっこり、と笑っていた。
以心伝心。
どうやら、伝わり過ぎたようだ。
「ティソさんは、理解していました。今頃、裏工作でもしているかもしれません」
「ぐぅぎいっ!!」
もう考えるのも馬鹿らしくなり、俺は一気に、腕を伸ばしてしまうのだった。
猫種の国だ。
この猫国と国境を接しているのが、人種の国である、ミセル国。
アルは、俺が与えた課題で、頭を悩ましているので、代わりに馭者をやっている。
ーー最後尾。
ベンズに向かうには、混雑する、中央の街道を通らなければならない。
「あれれ? アオスタですかー?」
見回りの、管理官だろう。
ほわほわな、垂れ耳。
彼が驚いたのと同じく、俺も意表を突かれた。
「兎人が外で仕事なんて、珍しいな。噂で、幻想団に一人、いるとは聞いたことがあるが」
「あー、ネーラの姐さんのことですねー。僕も、姐さんと同じでー、兎族の中では変わり者でしたー。同じ場所で、じっとしてることなんてー、できっこないんですよー」
人懐っこい兎だ。
革鎧に、短剣。
武装した兎種は、現代では初めて見たが、相変わらず、ーー似合っていない。
気配でわかる。
それなりに強いのに、子供がごっこ遊びをしているような微笑ましさがある。
前を見ると、幾人かが垂れ耳兎に視線を向けていた。
もしかしたら、この長蛇の馬車の列には、兎人目当ての者がいるのかもしれない。
「ご覧の通りですのでー、三つ時ほど、お待ちくださいー。あと、獣種の方からー、嫌がらせとかされちゃったらー。こう見えて、僕はー、結構強いのでー、おしおきしちゃいますよー」
「ネーヴ君。お待ちなさい」
兎人ーーネーヴが立ち去ろうとしたところに、猫人が現れる。
軽装鎧に、瀟洒な身形。
明らかに、高位の者だ。
洗練された立ち居振る舞い。
だのに、無骨な、飾り気のない長剣。
「どうか、なさいましたかー、フルドリッヒ様ー?」
「この方々を、予備の門まで、お連れなさい」
「ええ? でもー、でもー? うんっ、わっかりまっしたー」
ネーヴが先導していく。
何もしなくても、彼の後ろを馬が追っていくので、不思議な光景が現出している。
ーー連行される、人種の馬車。
周囲の獣種が、胡散臭げに俺を見ていた。
だが、その視線は、つつっと移動し、ネーヴに行き着くと、だらしないものに変わる。
「助かるーーということで合っているか?」
「お急ぎの、ご様子。ベルナルディーノ国を、直行で抜けられるよう、手配いたしましょう」
列から離れたところで、話し掛けると、委細承知した旨を、猫人が伝えてくる。
到着まで黙っていようと思ったが、好奇心を抑え切れず、聞いてしまった。
「黒毛の猫種とは、珍しいな。初めて見た」
「獣種の、始祖のことは、未だ解明されていないようですが、同じく、猫種に、黒毛がいるかどうかも、わかっていないようです。呪われた子、などと吹聴されましたが、教会がーーヌーテ様が、見解、という形で、問題がないことを伝え、赤子の私を抱き、祝福してくださいました」
「そうか」
「ーー似ていますね」
「ん? 何がだ?」
「いえ、何でもありません」
嬉しいことを、言ってくれる。
俺と同じく、四英雄であるヌーテも、長生きをしたから、猫人は、壮年期になったばかりのようだ。
「ネーヴ君。この馬車を、どう見ますか?」
「ほー? 普通ですねー。うん? うんん? あややっ、ちょっとー、変な感じー?」
正門よりも、一回り小さい門に着いたところで、フルドリッヒが、兎人で遊んでいた馬を止めながら、問い掛ける。
ネーヴを抱え、遊び足りないといった体の馬から、引き離す。
「動物に、好かれ易いのか?」
「はいー。なんか、僕からー、好い匂いが出てるっぽいんですー」
「撫師」の本領発揮といきたいところだが、急ぎなので、泣く泣く我慢する。
「この、特徴的な装飾は、ミュスタイアのーー絶雄カステル・グランデ王が所有する、三台の内の、一台です」
「えっ、えー? するとー、お兄さん、魔雄様だったりしちゃいますかー?」
「ネーヴ君!? 何故それを知って……、いえ、ごほんっ、ごほんっ」
鎌を掛けられた格好になってしまった、猫人ーー黒猫は、空咳で誤魔化す。
「いや、失敬。ーー魔雄殿の噂が、人相の類まで伝わってきていましてな」
そこまで知られているのなら、隠す必要もない。
「魔雄ハビヒ・ツブルクは、故人だ。だから、俺が言えることは。ーーユングフラウで、噂の元となったアオスタは、俺だ」
「そして。ーー絶雄殿に、認められた」
緊迫した場面なのだが、ネーヴが俺たちを交互に見つつ、短い両手をばっさばっさとやっているので、緊張感が解けてしまう。
「ーー便宜を図る代わりに、お願いしたき儀がございます」
ここまで、国境を二つ、上手く抜けられたが、最後に一悶着あるようだ。
だが、黒猫の目を見ればわかる。
俺好みの展開だ。
「だが、まぁ、事情を聞かせてくれ」
ただ、闘うだけなのも、味気ない。
黒猫の戦意に、揺らぎがある。
ーー全力でやってもらうためにも。
できるなら、取り除いてやりたい。
「私は、猫種の名家の生まれです。幼き頃より、『家名を汚すな』と、事あるごとに叩き込まれました」
ネーヴが、重い空気に耐え切れず、踊り出そうとしたので、一撫で。
上手く急所に入ったようで、兎が脱力する。
「鰐種の上に、竜種があるとされます。しかし、鰐種は、内向きの性向で、外野の声など一向に気にしません。犬種の上には、狼種。ですが、これも、勢力では犬種が上であり、優れた個も多く生まれます。それだけでなくーー」
聖犬種のことを仄めかしたので、頷いてやる。
「はい。そして、猫種の上に、ーー虎種。私は、虎種と、これまで幾度も闘いました。ーー一度も、負けませんでした。ですが、私は今も、虎種から、軽侮されます。猫種は、虎種に劣るということを、受け容れてしまっています。『家名を汚すな』ーーそう言ってきた、先達までもが、抗いもしなかった。ーー何が、何がっ、名家か!」
黒猫の気配が膨れ上がる。
ネーヴの目に、涙が浮かぶ。
兎種に認められなかった、自分を、黒猫に重ねているようだ。
「ーー自分が、許せないのか?」
「……気づかず、私自身、何より憎んでいた、その言葉に、縛られてしまっていました。……絶雄殿が、衰退期に入る前に、闘いを、挑むことを、ーーしなかった」
俺の言葉を肯定するように、黒猫は、訥々と語っていく。
「これまで、私は、一度も剣で、負けたことが、ありません。本気を出したのは、魔物相手に、一度だけです。衰退期の、絶雄殿に、私は勝てないでしょう。ですがーー」
「壮年期のカステルに、挑めなかった時点で、ーー敗けちまったか」
闘うことができなかった。
闘い、敗けたとしても、ーー答えには、辿り着けた。
気づいたときには、敗北していた。
ーーそう、自分に、敗けていたのだ。
「フルドリッヒ。お前さんの魔力は、吹き抜ける、爽快な風のようだ」
俺の言葉に、顔を上げた、黒猫に、手のひらを差し出してから。
星霜に、凝り続けた、魔力を享けとめる。
「ーー深き、麗しの、蒼風の双樹」
目を瞠る、黒猫。
逃さない。
黒猫の、強さの、根源。
「ーーこれはしたり。魔力から、私の、……あの里の、原風景まで見透かされてしまいましたか」
そうだ。
純粋な、戦意を、昂らせろ。
「カステルの、『十全』。今、眼前に、それを成す、唯一の者がいるぞ」
カステルの剣は、十の特性を持つ。
「『十全』とは……、まことか……?」
「俺に適合するのは、五つだと言われた。だが、カステルに憧れていた、俺は、我が儘を言って、十、すべてを注ぎ込んでもらった」
そうだ。
カステルは、絶雄は今も、俺の中で生きている。
「楽しみたいところだが、時間は有限だ。一合で決めさせてもらうぞ」
「それは、全力で相手をしてくれるということでしょう。ならば、望むところです」
もう、面倒な言葉は、いらない。
「やるぞ」
「相分かった」
ネーヴから離れる。
同時に、抜剣。
黒猫の剣を、盾で受けるのは得策ではない。
猫人の、練られた魔力が教えてくれる。
「はぁっ!」
掲げた剣の、剣身を、雷の如き、蒼光が乱打する。
ーー魔法剣。
稚拙な、魔力操作。
そう、本来は、こういうものなのだ。
粗削りで、剥き出しのーー。
魂で、染め上げるような、色彩。
ヌーテが、完成させた。
成せるのは、カステルの弟子だった、オルタンス、一人。
今は、俺の弟子となった、彼女のほうが、黒猫よりも強い。
だが、わかる。
闘えば、黒猫は、敗けない。
オルタンスには、猫人の、蒼い風のような、深みは、まだない。
「全力で、来い!」
ーーここからだ。
歓喜が渦巻く。
カステルに鍛えられた、絶雄の娘を、軽々と超えていく。
ーー来る。
風が、吹く。
「双風剣っ!!」
光雷を、風の女神が踏み拉く。
ーー性質も、相性も、ちぐはぐだ。
ネーヴも、アルたちも、大丈夫だとは思うが、一応、「結界」を張っておく。
「ぁああぁっ!!」
長剣に留まり切れなかった、風が弾け、黒猫の両腕を血塗れに。
続いた、閃光が、顔を斜めに切り裂く。
だが。
揺るがない。
風に濡れた、双眸は、俺の内側を、衝動で満たす。
須臾ーー相克にあった風と光が、沸騰する。
「ーーっ」
絶叫すら呑まれ、黒猫が、疾駆する。
剣を上に。
振り下ろされる、魔力の激甚。
触れる、一点に。
「ーーーー」
俺は、熱を、施す。
それから。
カステルの、「十全」の五の、秘奥。
ーー「抜き」。
「なっ……」
俺の剣から、すべてが抜け落ちる。
奪われた、黒猫の剣が、風を喪う。
ーーカステルなら、すべてを奪える。
俺には、無理だ。
精々、一瞬の空白を、作れる程度。
だが、それで十分。
「……あ」
凪いだ風に抗い、俺の片手剣が、黒猫の喉元に。
微動だにしない、猫人に、俺は、告げる。
「前言撤回だ」
黒猫が、迷子の仔猫のような表情を浮かべながら、顔を上げる。
「十分に、楽しめた」
にかっ、と笑ってやる。
風が解けた、黒猫の、穏やかな、憧憬の眼差し。
「……完敗です」
「フルドリッヒ様ー!!」
「ネーヴぁっ!?」
兎人に押し倒された、黒猫は、強制「治癒」施され中。
「はは、魔力の残量が少ないんだから、大人しく『治癒』されるんだな」
「未熟者ですので、一度に、すべての魔力を使い切ることができません。だからこそ、減魔症を恐れず、剣に籠めることができるのですがーー」
絶賛治癒魔法中のネーヴを抱えたまま、黒猫は立ち上がる。
「魔雄殿ーーでよろしいのかな?」
ーーそうだな。
楽しませてくれた、お返しくらいは、するとしよう。
「フルドリッヒ。これを見せるのは、お前が初めてだ」
俺は、魔石のカードを取り出す。
「S級ーーではない、ようです……が!?」
気づいたようだ。
「ーー今は、ラクン、とだけ名乗っておく」
「ラクン……幻魔大公……? 絶雄殿のーー。認められた、証し、か」
黒猫は、驚きと、納得の表情を見せる。
見せびらかすものでもないので、さっさと仕舞い込む。
「まぁ、今の俺は、冒険者で、幻魔団の団長だ」
「なるほど。馬車には、団員の方が乗っているのですね。只人でない方が二人と、もう一人ーー私は、試されているのでしょうか?」
「ああ、すまん。アルのことは、気にしないでくれ」
まったく、どうしようもない。
やっとこ、真面になったかと思えば、すぐにこれだ。
ーー昼飯抜きだな。
「ちょっとした、騒ぎになているようです。お早くーー」
黒猫が、派手にやったから、列の獣種たちは、興味津々のようだ。
無遠慮に、近づいてくる者もいる。
ここは、お言葉に甘えるとしよう。
「ーーーー」
国境を越え、しばらく行くと。
背後が騒がしくなる。
旅は、賑やかなほうが良いとはいえ、弟子三人は、やはり多い。
「魔雄様。ここらでよろしいでしょう。止めて下さい」
「ん? どうした、アル?」
小窓から、話し掛けられたので、振り返ると。
そこにいたのは、ボルネアだった。
ぱんっ、と手を叩くと、俺の名をーー?
「ラクン・ノウ」
「あ……ああぁがああぁぁっ!?」
腕がーー。
悲鳴を上げた、というか、絶叫した。
「う……動かせない……」
少しでも動かせば、激痛が走る。
これまでに経験したことのない痛みに、症状。
腕を動かさなければ、痛みはないが、このままにしておいたら、きっと、悪化する。
「本当に、ラクンさんは、面白いですよね。今の今まで、痛みを感じていなかったんですから」
「うごぉ……。あー、記憶が戻ってきた。起き掛けに、やってくれたな」
起きた、直後から、ずっと「魔雄」だったようだ。
毎度のことながら、完全に「魔雄」として行動していた。
「楽しませてくれた、お礼に、二人とも、『治癒』をお願いします」
アルにお願いされ、渋々だが、俺に「治癒」を施してくれる。
「二人の頭を撫でるのは、解禁したのか?」
「ええ、僕のほうが耐えられないので、一日、三回は撫でさせてもらうことにしました。次の『ご褒美』は、頬に接吻です」
二人が、頬を赤らめ、もじもじしていた。
唇ではなく、頬で良いのかと思ったが、魔雄の膝までは、先が長い。
このくらいの進展具合で、丁度良いのだろう。
「ボルネア。オルタンス。それくらいで良いですよ」
「え? まだ、全然、痛いんだが」
「ところで、どうして腕を痛めたか、理解していますか?」
話を逸らされるが、今の俺に、自由権は、殆どない。
「ーー黒猫の、一撃。『抜き』に失敗していたみたいだな」
「ぷっ」
「笑いやがったな、こら」
「ぷぷっ。だって、そうなっても、仕方がありません。ラクンさん、完全に力を抜いていましたよね。カステルの『抜き』は、まったくの別物ですよ。下手をすれば、骨が折れていたところです」
悪戯小僧の、笑みだ。
笑壺に入るーーというわけではなさそうだが、どちらにせよ、癇に障る。
居館で、人犬相手に、アルが使っていた技だ。
当然、見ただけの俺が、使いこなせるはずがない。
「もしかして、俺、物凄く、危なかったか?」
「はい。十中八九、真っ二つでした」
今頃、ぶるっときた。
「ですが、課題は、達成しました。風属性をぷらすした、魔法剣を受け流しましたが、自覚はありますか?」
「任意の場所に、熱を放出できたような……気がする?」
正直、どうやったのか、自分でもまったくわからない。
「そういうわけで、三人とも、最終段階ということです。ボルネアとオルタンスの魔力は、二人のために使います。腕は、痛くても構わないので、ゆっくりと伸ばしてください。そうしたら、次は曲げて。あとは、繰り返していれば、動くようになります」
「はぁ、『大図書館』か」
「どういうことかしら、ラクン」
珍しい、というのも失礼だろう。
これまでは、俺とアルが話し、二人は大人しく聞いているのが常だったが、アルと一緒にいたいのであれば、それは悪手であると、学んだようだ。
「ボルネアは、治癒魔法が効果を発揮するようになったのがいつか、知っているか? 因みに、俺は、知らない」
「えっと、古代期には、今の水準に至ったと、父様が言っていたわ」
「俺は、魔法に詳しくない。だが、一つ、わかることがある。それは、『ハビヒ』前、と、『ハビヒ』後、だ」
「……益々、わからなくなったわ」
これは、確かに、こんがらがっていて説明が難しいかもしれない。
「アルは、治癒魔法に因らない、治療技術を知っている。当然、その元になるのは、『大図書館』だ」
「その頃ーー古代期には、治癒魔法以外の治療も、普通に存在した?」
オルタンスも加わってくる。
やはり、理解力は、ボルネアよりも上のようだ。
「別に、これは大したことじゃない。単に、アルの知識の源泉がどこか、どういう意味があるのか、気になっただけだ……ぐっ」
痛い。
痛いがーー、少しずつ動かしていく。
後遺症がなく、治るところまでは、治癒してくれたーーはずだから、それだけでもありがたい。
「ラクン・ノウ幻魔大公」
「くぅあっ!?」
少しではないくらい、動かしてしまった。
そうだった。
ーー火に油を注ぐと、取り返しのつかないことになる。
豚人から注意を促されていたのに。
ーー俺の、馬鹿。
油を注ぐどころか、大噴火させてしまった。
「魔雄」だったとはいえ、自分から暴露するなど、もしかして俺は、気づいていないだけで、見栄っ張りなのかもしれない。
「ネーラ様がーー」
「やめろ。様づけは、やめろ」
背中が、ぞわっとした。
「ネーラさんは、『公』ではなく、『大公』を選びました。それは、そちらのほうが誤解され難いからです」
「こら、アル。勝手にネーラを悪役にするな。『なにもかくさない』ネーラは、本当に、語呂で決めたんだ。悪役は、ネーラに同じて、道筋をつけた、アルのほうだろうが」
ーー誤解?
わかりそうで、わからない。
もどかしい。
喉元まで出掛かっているのに、非常によろしくない悪寒が、答えに辿り着くのを邪魔している。
「あっ、わかったわ!」
「まだ、わからない」
朗らかな笑顔の人猫と、苦渋の犬人。
勝ち誇った、ボルネアは、俺のことなど歯牙にもかけず、喜び勇んで回答を口にする。
「父様のっ、後継者!」
「……何の、話だ?」
そういえば、あのときの、黒猫の表情。
絶雄の、称号だけに、驚いている様子ではなかった。
「では、答え合わせといきましょう。『公』ではなく『大公』とすることで、ラクンさんが、カステルの後継者ーーつまり、ミュスタイア国の次期国王であることを、明確にしたのです」
「ちょっと待て。それ、絶雄様は、というか、絶雄様が理解していないだろう?」
少し、言葉がおかしくなったが、趣意は伝わったはずだ。
アルが、にっこり、と笑っていた。
以心伝心。
どうやら、伝わり過ぎたようだ。
「ティソさんは、理解していました。今頃、裏工作でもしているかもしれません」
「ぐぅぎいっ!!」
もう考えるのも馬鹿らしくなり、俺は一気に、腕を伸ばしてしまうのだった。
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